モータースポーツ 2008シーズン 紫電
SUPER GT 2008SERIES 第8戦 オートポリス
DATE : 2009.01.08
| モテギでの予想外(本当に誰も予想していなかった・・)の2位を得て、ランキング3位へとジャンプアップ。 鈴鹿ポッカ1000km終了時、チームのモチベーションも片足を入れていた棺おけから足を抜き出すどころか、一気にチャンピオンGETを思わせる程の回復振り。 ランキング争いをしている、ここ3シーズの前は、入賞(ポイント圏内)だけでも充分楽しめたのだが、この味を一度味わったら、もうやめられない。 |
10月16日(木) 設営
シーズンも残り2戦。ランキング争いも混沌としてきて、残り2戦で得られるポイントは44ポイント。
従って現在ランキングトップの46号車から、44ポイント差以内なら机上ではチャンピオンの可能性はあり、それは13台にも及ぶ。
だが、それは上位陣が残り2戦を上位入賞しない事が前提であり、現実的には20ポイント差内の上位6台、46号車Z:65P、43号車Garaiya:60P、2号車紫電:55P、7号車RX7:54P、26号車ポルシェ:51P、95号車MRS:48Pと予想される。(と、雑誌でも予想されている。)
ところでこの6台の中で1台だけ“仲間はずれ”がある。
そうそれは我々2号車。唯一今シーズン優勝が無いのである。
ここオートポリスは初優勝サーキットであり、紫電とのマッチングも最高。
充分優勝を狙う事はできる。
岡山と共に、ここオートポリスはテストデイが無い。
一作年まではあったが、シーズン終盤と言う事もあり、遠征費用の掛かるこのテストは参加チーム激減する事からか?昨年からテストデイは無くなった。
因みに06年の300クラスの参加台数は我々含め3台!
もっともテスト走行が無いのは全チームイーブンであり、大幅なコース改修があった訳でも、“マシンが変わった”訳でも無いので、昨年までのデーターと、今シーズンのデーターを応用すれば充分好タイムが期待できる。
狙うは06年同様、ポール、ファステスト、そして優勝でフルマーク24ポイントである。
10月17日(金) 練習走行
1ヶ月前のモテギはまだ残暑が残る程だったが、ここオートポリスは標高900mに位置する為、日中は軽い長袖が丁度良い秋らしい快適な陽気だが、朝晩はグッと冷え込み、シッカリとした上着が欲しくなる。以前は、こうした高地のサーキット(富士も・・)では、気圧が低い為、NA(自然吸気)エンジンには救済措置があったが、特に性能差が無いのか?ルールが煩雑になる為か?4~5年位だったか?から無くなった。
もっともターボ(過給)エンジン車も、以前はMRSやセリカ、シルビア等、結構なシェアだったが、今はスバル1台だけになってしまったが・・・。
午前セッションの走り出しはいつも通り加藤選手。
昨年のデーターを元に決められたセッティングに大きな狂いは無く、直ぐにトップタイムとも言える1′52″074をマーク。
その後、新作の空力デバイス追加。
と言っても殆どおまじない程度のパーツでどれ程の効果が期待できるか・・・?
と言う程、もうやるべき事が無くなっているのである。
その後も赤旗を含めた、数回のピットインを繰返し微調整、52、53秒台はマークするが、序盤に出したベストタイムを上回る事はなかった。
(結果的にはこの日のクラストップタイムとなるが・・・。)
約1時間、20周程し、マシンも仕上がったところで高橋選手に交代。
決して不得意なサーキットではない高橋選手だが、1年ぶりのオートポリスサーキット。
今回は“チャンと”午前から走りこむ事ができる。
57から56秒台へ、そして55秒台へと順調にタイムを縮め、終盤54″755をマーク。
レースであれば、55~56秒台をコンスタントに刻めれば全く問題無し。
加藤選手の一発タイムでポールとファステスト、そして両選手によるレースラップも予定通り。
皮算用の“たぬき”は捕捉した。次は捕まえるだけだ。
午後セッションは、高橋選手のタイムの安定化。そして加藤選手“一発”タイムに更に磨きを掛けポールを確実にする為のセッティング等々。
しかしコースコンディションの変化からか?タイムは伸び悩む。
加藤選手によるセッティング、そして高橋選手の10周の連続の走り込みを終えピットイン。その間にストップ車両回収の為赤旗。
再開後は再び高橋選手。
1周、2周と順調にペースを上げる。
ピットでは終盤15分の300占有時間での予選、SUPER LAP(以後「SL」)シミュレーションに備え、リヤホイールにカバーを装着するなど準備が進められていた。
高橋選手4周目第1セクターもタイムを縮め、更にペースアップ!
ところがその直後・・・!
「ごめ~ん・・ぶつかった~・・・!」
高橋選手は、昨年も、ここオートポリスでも起こした出来事に、ピットクルーも“苦笑”こそすれ慣れたもの。チャンと連絡が来た事でドライバーの無事も判り、誰ひとり驚きも無い。
これまで同様の“十人三色”程度の被害状況を想像した。
ところが
「走ってこれますか~?」の問い掛けに対する返事にピットは凍りつく!
「結構ひど~い。」
これまで大なり小なり、紫電のクラッシュは高橋選手が“専任”で担当しているが、これまでの経験から「大したことないよ。」と言う自己申告で、かなりひどい事はたびたびあった。
それが今回は、自己申告段階で「ひどい!」である。
サーキットの定点モニターカメラでは写し出されず、ドライバーが車外に出てしまってからは無線連絡ももらえない。
これまでに経験の無い“十人八色”の想像図となった。
しばらくして、高橋選手だけ戻ってきた。
体の方は自己申告で「大丈夫だて!」という事だが、車体のダメージがひどかったので、オフィシャルの指示により、一応医務室でドクターの診察を受けての後だった。
しばらくしてキャリアカーに積まれたマシンが帰ってきたが、高橋選手の体とは裏腹に、確かにひどい。
フロントカウルは大きく浮き上がり、左前足回りを中心に、フロントアンダーパネルが大破。
勢いでガードレールにヒットし、ウイングの左が押されウイングもステー類が破損。
デビュー以来最大級である。
午後セッションが終了するまでは、ピットに入れられないので、ブルーシートを掛けて待機。
その間に、メカが大まかなスペアパーツを確認、準備を進める。
スペアパーツと言っても、これらは、お金と輸送スペースとの兼ね合いで、何でもかんでもあるわけではないが、幸い今回外装は何とかなりそうだ。
フロントカウルを外すとツギハギだらけになるが・・・。
とにかく現地で修復可能なギリギリの線である。これ以上破損が大きければ、タイトル争いの列車からサッサと下車し、明日、明後日はクルー全員で湯布院へでも出かけようかという状態だった。
このチーム、レース前は何か?トラブルめいた事があった方がいい結果が出ると言う、メカにとってははなはだ迷惑なジンクスがある?がこれはチョッと特盛である。
食べ切れるかどうか・・・?
こうなってしまっては、ドライバーに用は無い。
早々に引き上げて貰い、やけ酒でも飲んで、充分な睡眠をとってもらい明日頑張って貰うだけ。
メカは、(多分)徹夜に備え、早めの夕食を取り、修理作業に取り掛かる。
この時期ともなると、ここオートポリスの夜は結構冷え込む。
走りに重要なのは足回り。
最低限、4輪を、正しい位置で、正しく動かす事が必要だ。
紫電は、昨年初め、足回り、アームを(07モデル)伸ばし、ジオメトリーを変更しているが、そのアームのスペアが無いのである。
スペアとしてはその前、デビュー時(06モデル)のショートアームしかなく、止む負えずこれらを使用。
だがダンパーは07モデル用に用意された物。
アームの長さが変われば、ダンパーに掛かる力は変わるし、タイヤも進化しており、こうした06モデルと07モデルのパーツ、そして今年のタイヤが混在する事になれば、これまでの走行データーは白紙となってしまう。・・・と言うのはちょっとオーバーであるが、エンジニアのシンタローは、それらを全て計算で補正しセッティングデーターを練り直さなければならない。
何しろ、次に走るのは明日の予選。
ここで10位以内に着けなればSL落選。グリッドは11番以下・・・。タイトル争いから大きく遅れをとってしまう。
10月18日(土) 予選1回目
予選日の朝は公開車検。何事も無かったかのようなにピット前に押し出された紫電。
車検準備をする傍ら、フロントカウルの取付ステーを調整する松下チーフメカ。
ピット裏ではマーキング用タイヤの準備。
ホテルに帰る事無く、朝を迎えたメカニック。
何とかマシンは仕上がった。
とは言え、テスト走行すらできないこのマシン、ぶっつけ本番(予選)でどれだけのパフォーマンスを発揮出切る事やら・・・。
このメカの努力に報いようと、加藤選手「ガンバルヨ~!」いつもながらのハイテンションでマシンに乗り込む。
SLモードスイッチが、既にこの予選から入ったようだ。
いつもと異なり予選開始と同時にコースイン。
ライブ映像は、昨日クラストップタイムをマークした2号車を映し出している。
だがペースは遅い。
加藤選手「チャンと走るよ!」
シンタロー「そんなスピードでは判らないんじゃないですか~?」
加藤選手「左右に取られないし、まっすぐ走るから大丈夫だよ。」
1周してピットイン。
カウルを外し各部をチェック。問題無し。
再びコースイン。加藤選手も本格アタックに迷い無し。
今度はレーシングスピードで“流し”2周目でアタックに入る。
第1セクターで昨日のベストタイムをコンマ5秒上回っている!
更に第2セクターでコンマ1秒短縮し、これは51秒台ペース!
戻ってきた。コントロールライン通過、51″638!2番手タイム。
そのまま連続アタック。
第1、第2セクター共、前の周を上回る。
っが、やはり“足”の差が出たのか第3セクターは昨日のベストを上回れない。
だがベストタイム、51″615をマーク。
2番手は変わらずだが、SLは確実。
マシンに特に問題も無く、若干のセット変更を行い、続く混走セッション、高橋選手の走行に備える。
マシンの仕上がり、ぶっつけセッティングは、ほぼ的中、メカの仕事は報われたようだ。
混走セッションが始まる直前・・・500占有終了直前ストップ車両回収の為、赤旗中断。
そのまま混走でセッションとして再開されるのかと思ったが、最終アタックに失敗し、SL圏ギリギリのチームにとっては死活問題。
その為、500占有時間を1分30秒!残し再開。
1周1分40秒以上掛かる為、“鬼の形相”(見えないが・・)で最後のアタックに出た500が、計測ラップに入った頃は、300クラスはアウトラップの第1セクターを通過する頃。
多くは、相方ドライバーが基準タイムをクリアするべく、“のんびり(って事もないが・・)ウォームUPランに入っている所。
のんびり散歩に出かけた羊の群れの中に、狼の群れがやって来た様な物。(ひどい例え!)
と言うくらい、モードの違うマシンの同士のセッションになってしまった。
この“狼”は“羊”を食ってしまうわけでは無く、速度を落とす事無く、これらの前に出て、僅かに残されたクリアラップのチャンスを活かしたいだけであり、この1~2ラップは結構デンジャラスな周回となった様だ。
しかし、コース全体にマシンが散らばってからは“平穏な”混走セッションとなり、SL進出の上位10台は占有セッションから変動する事はなかった。
高橋選手も、ここでなすべき事充分判っている。
やむなく生まれた、新旧合成マシンの特性に慣れ、基準タイムについては全く心配ないが、求められるレースラップを確実に刻む事。
自己ベストに拘る走りをすれば、スペアパーツの兼合いから、些細なクラッシュでも、明日は“湯布院”になりかねない。
無論それらについて、高橋選手は確実に“仕事”を終えた。
予選2回目 スーパーラップ
とにかく、2番手タイムでSL進出が決まった。昨日のクラッシュ直後の“奈落”から、元気に這い上がって来る事ができ一安心。
だが、こうなると欲は出るもので、再びポールポジション奪取に向けセッティング変更。
それらの確認の為、午後予選は加藤選手のみの走行とし、アウト、計測、インの3周のみで終了。
バランスには問題ないようだが、今ひとつのパフォーマンス不足は否めない。
SLは先陣の62号車(Vemac))が3つ上げ、6位5番手スタートの19号車(IS)が26号車(ポルシェ)、43号車(Garaiya)をそれぞれ1ポジションづつ押し下げてくれた。
残り3台、まず81号車(Z)は51″241がトップタイムをマーク。
そして加藤選手がアタックラップへ・・・。
しかし第1セクターから僅かづつ遅れ、以降も取り戻す事はできず51″438で、今レースウィークのベストタイムながら81号車の後となった。
最後の11号車(フェラーリ)は、田中哲也選手が、全セクターで81号車を上回り唯一の50秒台、50″939をマークポールポジションを獲得。
結局3番手、惜しくもポールは逃したが、タイトル争いで、我々の上位にいる46、43号車がそれぞれ8番、6番グリッドへと沈んだので、レース結果もこれが反映してくれる事を望む。
10月19日(日)決勝 晴
雲ひとつない、清々しい秋晴れの下、高地のサーキットを目指し、ワインディングの続くミルクロードを登る。モテギに続いて、今回もレースウィークは好天に恵まれている。
昨晩(いつもに比べ)早めに撤収し、睡眠をとったメカは、かなり元気を取り戻し、先に到着している。
昨日も、走行中は気が張っているが、セッション間のチョッとした合い間に腰を降ろしていると、あちらこちらでウトウト状態。
毎戦の事とはいえ、今回のメカの奮戦振りはポールに値するだろう。
“新旧混成Ver”紫電は、生まれてから毎セッションがテスト走行の様なもの。
フリー走行と、今シーズン全戦催されたサーキットサファリも、貴重な走行時間となる。
いつも通り満タンセット確認。
高橋選手の走り込み。
また今回、特に(勿論毎戦であるが・・・)重要となるであろうピットワーク。
通常、前タイヤ交換時間+給油時間+後タイヤ交換時間がピットストップ時間であり、この間にドライバー交代を済まさなければならない。
前回モテギも同様だったが、給油時間を短縮=ドライバー交代時間も短縮となる。
他の作戦として、スタート時に少ない燃料で序盤からペースを上げ、リードを築き、給油時間を増やすという方法や、タイヤをいたわり前後、左右いずれかのタイヤ2本のみ交換としてタイヤ交換時間を短縮する作戦もある。
しかし、加藤選手のロングスティント作戦をとる我々としては、その両方共不可であり、路面μの低い、ここオートポリスはタイヤの磨耗が厳しく、500クラスでは2ピット作戦をとるマシンもあるとか・・・?
とにかくドライバー交代を、短く、確実に行う為、両ドライバーによる練習も幾度となく行われた。
オートポリスではシーズン最大のイベントととも言われる、今レース、数年前に比べ、最終コーナーや、1コーナースタンドはかなりの観客で埋まっている。
そんな大観衆注目の決勝レースは、午後2時定刻通りスタート。
スタートの加藤選手、前グリッドの11、81号車にやや離される形で1コーナーへ。
この間隔は、翌周狙うファステストラップの為の下ごしらえある。
多くのマシンは、路面もきれいで、500も混在しないこの辺りがベストラップをマークするが、単に“ベスト”ではない。
1ポイント取れるファステストラップである。
翌2周目、その仕事をきっちりこなし3周目に・・・。(ファステストは最終リザルトが出ないと分からなかったが1ポイントGET!)
上位3台11、81、2号車は変わらないが、以下4位以下は入れ替わり、26、19、62、43、33、46号車と続く中、33号車(ポルシェ)が43号車の前に入り7位と8位が入れ替わる。
43、46号車が下がってくれる事はありがたい!
だがそれはこちらの都合で、彼らもタイトル争いの重要な1戦である事に変わりはなく、500マシンが混ざってきてクラス入り乱れての混戦状態となり始めた8周目43号車は7位へ返り咲き、46号車は9周目に8位へと、共に33号車を攻略し、徐々に後方の脅威が膨れ上がってきた。
レースは車間の伸び縮みはあるものの殆ど硬直状態。
そんな12周目加藤選手から「やられた~!」と無線が入る。
まさかコースアウト!?スピン!?クラッシュ!?
っと、チャンと帰ってきた。
タイムはそれまでの55~56秒台に対し58秒台。
どうやら500にオーバーテイクされる際に、ラインを外してしまいタイヤカスを拾ってしまったようだ。
23周を終え、トップは11号車、2位4秒差の81号車に、1秒差で追走する加藤選手、2号車。
以下8秒差で4位26号車そして19、62、43号車、この4台が約2秒の団子状態。
その集団に遅れる事約10秒で46号車が続く。
この上位陣に動きが出たのは25周目、81号車のピットイン。
26周目には同じ「Z」46号車も続く・・・。
それらで見かけの順位はそれぞれ10、11位に後退。
トップは11、2、26、19、62、43号車、そしてランキング4位の7号車(RX7)が続く。
レースは65周だが、300クラスは推定60周。
その丁度半分が消化した30周、その上位陣が大きく動く。
なんと、26、19、62、43号車が連なって一斉にピットインしてきたのである。
タイヤに厳しいこのサーキット、ここまでの周回でタイヤもギリギリ、この先の周回でもギリギリが予想される以上、レース50%ピッタリでの交換を選択したのだろう。
各マシンのピットストップタイムをチェック。
26号車はリヤタイヤ交換のみで速い!
いつもながら43号車も、19号車も速いが、62号車がダントツに速い!
ピットロードを先頭で抜けたのは26号車、続いて62号車がピットワークで順位をひとつ上げ、19、43号車。
だがそんな彼らより15秒程先に、既にピット作業を終えた81号車がストレートを通過していた。
更に先には、11、2、7号車もいるが、この3台はまだピットに入っていない。
早めに交換したタイヤを、後半もたせる事ができれば、81号車のこのタイム差は事実上のトップであろう。
ランキングトップの46号車はこの“集団ピット”4台の後につき、上位9台の顔ぶれは、順位の入れ替わりこそあれ変わる事は無かった。
次にレースを動かしたのは、その差が1秒以内となった34周目の11号車と2号車。
第2へピンのブレーキングで11号車に並びかけた2号車加藤選手、そのままダウンヒルストレートでパス。
そのままリードを築き始めるが、その11号車がピットイン。
ピットがお隣の11号車、レース前の事前確認では我々と同様ロングスティント作戦を取り、ピットインが同じ周回になると思われていたが、周回遅れに阻まれたとは言え、タイムの落ち込みが酷くなり、このまま引張っても意味が無くなったのだろう。
トップに立った加藤選手。
既にピットイン、タイヤ交換を終えた上位グループと遜色の無い56秒台。
36周を追え、2番手81号車とは30秒差。
これはピットインでひっくり返される事は間違い無いが、3番手とは約60秒と、充分なリードが築きあがっている。
その後も加藤選手はタイムが落ちる事無く周回を重ね、41周を終えピットイン。
短いピットストップ時間に作業は順調に進む。
計算上ではトップ81号車には届かないが、それに続く26・62号車の僅かながら前となる2位、その後を走行するランキングトップの43号車には“充分な”マージンを保って復帰できるはず。・・・だった。
ジャッキ降下、エンジンスタート!
一瞬吹き上がるが“パスッ”とエンスト!!
再始動!
キュルキュルキュル・・・むなしくスターター音がするだけ。
8月のポッカ1000kmでも同様の事があった事を思い出した高橋選手、フューエルポンプスイッチがOFFになっているのを発見。
ONにして始動成功。ピットを離れる。
ピットロードの制限速度60km/hがもどかしい。
43号車が迫る。
81号車は勿論、既に26、62号車にも先行されている。
ピットロードを抜けフル加速。
予定通り43号車の前に出ることはできたが、マージンは“充分”ではなくなった。
43号車を背後に従える事ができたのは2コーナーまで。
“アウトラップ”2号車VS“レースラップ”43号車のの決着は3コーナーで着いてしまった。
しかし暖まりの早いタイヤをチョイスした為、リードを広げられる事なく43号車を追走する高橋選手。
2周目からは43号車と変わらぬタイムをマークし背後からあおる。
お互いタイムは55~56秒台。
このレースとしては4位、5位争いだが、ランキング争いでは重要なポジション争いである。
そんな45周目、3位を走っていた62号車がスピン!大きく順位を落とし、47周目には2位に上がった26号車もスピン!これはうまくリカバリーしたが、5位に後退。
この2台のスピンは共に500マシンに接触されてのアクシデントであった。
お陰でと言うのも申し訳ないが、4位、5位争いは、なんと2位3位争いに昇格。
タイム差は約1.5秒
奮戦する高橋選手。
モテギの流れを、そのまま引っ張ってきている。
この順位が入れ替わる事が、どれ程の意義があるか!
このまま3位なら7ポイントと差を広げられ、2位なら1点差ながらランキングトップになるのである。
しかし50周を過ぎた辺りでその差も3秒以上に広がる。
それでも集中力を欠く事無く追走。
まだワンチャンスのタイム差である。
しかしその差は1.2秒差まで詰めるに留まり60周で3位チェッカー。
ランキングもトップとなった43号車に7点差の3位。
予選3位 : 決勝3位
獲得ポイント チームポイント11点+3点(トップと同一周回ポイント)累計80点
ランキング 3位
ドライバーポイント13点(11点+1点:予選3位+ファステスト1点)累計68点
ランキング 3位
今回の最低限の目標は優勝ではなく、43、46号車の前でゴールし、ランキング上位陣との差を詰め、あわよくば表彰台でランキングトップに躍り出る事であった。
だが結果46号車の前に行けたが、43号車に僅差で敗れ差を広げられてしまった。
敗因は“局地的”にみればピットストップでの再始動遅れ。
この原因はドライバーサポート(ベルトやクールスーツホースの接続等の補助)に入ったメカが、誤ってポンプスイッチに触れてOFFにしまった事と思われる。
ではその原因は、通常運転席側から行うドライバーサポートを、ピットが逆のここオートポリスでは助手席から行ったのある。
理由はエアジャッキのチャックがルーフにある紫電、チャックをピット側に移した為、運転席側(ピット側)にドライバー、エアジャッキ担当、給油担当と人口密度が高まってしまい、止む無くドライバーサポートは助手席側から手を伸ばして行う事になった。
これは初めての事である。
ではこれまでは?と言うとオートポリス以外のサーキットでは運転席側からメカが行っていたが、オートポリスでは降りたドライバーが行っていた。
またそれで充分こなす事ができた。
だが、“今シーズン”は給油時間が短く、タイヤ交換もハブ、ナットを換えた為短縮され、相対的にドライバー交代に与えられる時間は短くなってきた。
しかも夏季から(前戦モテギ)加わった新アイテム、ヘルメットクーラーが予想以上に効果的で、その為通常このオートポリス辺りからは使用しないクーラーBOXも装備し、それらの配管接続にも時間(精々2~3秒)を費やすようになった。
給油時間が短くなったのは、今シーズンのレギュレーション変更により、リストリクター(パワー)が絞られ、燃費が良くなった為である。
リストリクターの縮小化
↓
燃費が良くなる
↓
給油時間が短縮される
↓
ドライバー交代時間も短縮される。
↓
ドライバーサポートが必須となる。
↓
オートポリスでは、ピット位置が逆の為、初めての助手席(右)側サポートとなる。
無論このフローチャートの頂上からの枝分かれはいくつかあり、今回はそのひとつである。
「風が吹けば桶屋が儲かる」的に考えると、リストリクターが絞られた事が最終的に偶発的なアクシデントを生んだのかもしれないが、このモータースポーツ(に限った事ではないが・・・)は全てがこうした「風が吹けば桶屋が儲かる」的な関連が強く、これをどこまで広く深く読めるか?できるか?
こうした点も考えながら、モータースポーツを見るとより面白いと思います。
って、メンドクサイかな・・?
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