モータースポーツ 2011シーズン 紫電
2011:SUPER GT第2戦【復興支援大会】
DATE : 2011.05.14
東日本大震災で被害に遭われた方々にお見舞いと、一日も早い復興を心からお祈りいたします。
また、震災直後に予定していた岡山でのテスト並びに、開幕戦の延期をいち早く決断したGTA、その延期期間に復興支援にご尽力された関連メーカー、チーム、ドライバーの方々に敬意を表したいと思います。
今シーズンの紫電は「ヱヴァンゲリヲン初号機アップル紫電」となり、大幅なカラーリング変更は、デビュー以来殆ど同じ「青い稲妻(ファンの方からの愛称)」に見慣れたスタッフは勿論、ファンにとっても新鮮に映る事だろう。
マシンの中身に大幅な変更、追加アイテムは特になく、シーズン中徐々に投入するかも・・・。(意味深ですが・・・)
と言っても、この紫電含め、VEMAC(ビーマック)やGaraiya(ガライヤ)等、JAFGT特認車両は、来シーズンも参戦継続するとなると、大幅な性能調整が入り、おおよそ勝ち目は無くなるので実質、紫電は今季がラストシーズンとなる。
そうした来シーズンの動きを象徴するかの如く、紫電はデビューからの6年間、常に最終戦までチャンピオン争いに残る唯一のマシンとして完成度も増し、未だ戦闘力は衰えないが、そうした消え行くJAFGT特認車両に代わり ポルシェ、フェラーリを始めとするFIAGT勢が台頭してきている。
FIAGT勢は、当初は改造範囲が狭い代償として、リストリクター(エンジンの吸入空気量を制限しパワーを調整する絞り)が大径の為、そのパワーを活かし500クラスに迫るトップスピードで、ここ富士や、ストップ&ゴーのモテギが得意で、それ以外の鈴鹿や菅生等は、足回りに改造範囲の広いJAFGT勢に分があった。
だが昨年辺りから、これらFIAGT勢も熟成が進み、またドライバー層も厚みが増し、各サーキットで強さを発揮、未だチャンピオンこそ無いものの、死角は無いと言える。
GT300クラスは、事実上このJAFGT VS FIAGTの様相を呈している。
その紫電ラストシーズンのドライバーは紫電デビューからのレギュラーパイロットの加藤寛規選手と、2年振りに高橋一穂選手が復帰。
その高橋選手、今やSUPER GT最高齢のアラ還ドライバーとなり、約2年のブランクは心配されるが、オフ期間中でもF4マシンや、ロータスカップカー等をドライブ、昨年11月にはJAFGPにもスポット参戦、レース感、の維持に努めてきた。
そんな2人は2006、2007年、チャンピオンと同ポイントながらシリーズ2位と、昨年、若手のハマちゃんこと濱口選手、そして一昨年にはヨッスィーこと、吉本選手等が、共に加藤選手と組んでもこれだけのリザルト残せなかった。
勿論レース内容には、ドライバーの実力とは別の不運も多く重なったが、こうした事も含めてのシリーズ戦であり、他のライバルとの相対関係でのリザルトではあるが、そうした中、2シーズン連続ランキング2位はなかなか残せるものでは無い。
実力以上の強運をもつこのペアで今シーズン、悲願のドライバーチャンピオンを狙う。
29日(金)習熟走行
開幕前の3月19・20日に岡山で予定されていたテストが震災により中止された為、今回設けられた29日(金)の習熟走行が、今シーズンの初走行となる「ヱヴァンゲリヲン初号機アップル紫電」
過去の大量の走行データーを活かし、程なくセッティングも決まり、1回目の走行で加藤選手は1′45″568、高橋選手も1′47″376と、クラス9位となるも、2回目の走行で加藤選手は44″340まで縮めクラストップ。
だが、2位以下のFIAGT勢のトップスピードは255km/h前後に対し、「ヱヴァンゲリヲン初号機アップル紫電」は246km/h、この速度差はいかんともしがたい。
スリップストリームは利用はするものの、みるみる離されていく速度差である。
僅か10km/hは小走り程度の速度だが、10秒続けば約27m!の差が詰められ、また広がるのである。それもリスクの少ないストレート上でである。
無論、こうしたマシンのキャラクターの違いがレースを面白くしているのであり、どこにセットアップのポイントを絞り込むか?エンジニアとドライバーの腕の見せ所でもある。
紫電の場合、富士はAコーナー(コカコーラコーナー)からの右100Rと、Bコーナー(ダンロップコーナー)からのテクニカルセクション、そして1コーナーのブレーキングが勝負所。
これらでトップスピードの遅れをカバーしなくてはならない。
また、パワー的に劣るJAFGT勢は、反面燃費が良く、“長距離”では有利となる・・・だが・・・今回の富士は300km!
元々このゴールデンウィークの富士戦は2008年まで500kmのレースで、シリーズとしては8月の鈴鹿ポッカ1000kmに次ぐ長丁場だったが、2009年から、レース経費の削減を狙いとして、それぞれ400km、700kmへと短縮された。
500km(実質300クラスは460km前後)でも、紫電始め、好燃費マシンなら1回のピットストップでもレース可能な微妙な距離だったのだが、400kmに短縮された上に、2回のピットインが義務付けられ燃費の優位性は薄まった。
更に今年は、大震災後の社会情勢を鑑み300kmに短縮、通常のシリーズ戦と同様のレース距離。
これは全くもって苦しいレースとなること必至である。
30日(土)プラクティス 予選
今シーズンNEWマシンも多いFIAGT勢、昨日午後のクラストップタイムなど殆ど意味が無い。それらNEWマシンも、午前中の練習走行で徐々にタイムが上がり、上位8台は全てFIAGTで43秒台に入り、我が「ヱヴァンゲリヲン初号機アップル紫電」は44″243と10位。
ここ富士での予選はSUPER LAP方式。(以下「SL」) 他にノックダウン予選もあるが、その説明はまたいずれ・・・。
このSLは、予選1回目の上位10台(昨年は8台だったが、原則大会によって異なる。)が進出でき、10位のマシンからコースインし、2周のウォームアップ後、1周だけのタイムアタックを行い、そのタイムでグリッドを決めるセッションで、1回目予選で暫定ポール(1位)タイムをマークしても、そのタイムは関係ない。
従って最初にスタート(1回目予選10位)でも、上位グリッドにジャンプアップする事もあれば、最後にスタート(暫定ポールタイム)しても、スピン、コースアウト等でタイムを落としたり、計測できなかったりで後方グリッドにドロップしてしまう場合もある。
この後公式予選となるが、プラクティスでの10位は、SL進出に向けては厳しい順位である。
また、この公式予選では基準タイムがあり、これは予選でトップ3台の平均タイムの105%以内(トップ3台の平均が1分45秒なら1分50秒25)をクリアしないと、予選落ちなのである。
昨年までは107%だったが、トップグループとあまりタイム差が大きいと危険なので厳しくなった。
これは両ドライバーがクリアしなくてはならない。
勿論SUPER GT参戦ドライバーは普通であればこれらの基準はクリアできる技量はもっているし、最近では新規参戦ドライバーはルーキーテストも行われるので問題ないのだろうが、新開発のマシンが充分仕上がらずクリアできない場合もある。
また天候の急変、例えばドライ状態で始まり、途中で雨が振り始め、またその逆に雨があがって路面が乾き始めるなど、両ドライバーがセッション内に同じコンデションで走ることができなかった場合に基準タイムを達成できない事がある。
そうした天候の急変が予想される場合は、予選開始と共に全車が一斉にコースインするなど、そうした背景を踏まえて各チームの動きを見るのも面白いだろう。
5月1日(日)フリー走行
決勝日、朝のフリー走行前から雨がパラつき、セッション始まる頃にはドライタイヤの選択肢は無くなり、ウェットタイヤを浅溝か?深溝か?というコンディションとなる。走行中、コース上もかなり水しぶきの上がる所、そうでない所、また雨が上がり、強風が一部の路面を乾かすかと思うと、また降り始め等まったく絞り事はできない。
この状況下では単純に、ライバルとのタイム比較は難しく、雨予報の午後の決勝レースに向けて、セットをどう絞り込むか?エンジニアを悩ませる事となる。
フリー走行後・・・
■加藤選手のコメント
各チームテスト不足でデーターが無いですから、荒れたレースになると思うので、我々はデーターもあるし、けして速さでは(足りないので)トップには行かないまでも、結構いい位置にはいられるので大事に戦って、結果表彰台にあがれればいいなと思っています。
■高橋選手のコメント
とにかく雨が降ったり止んだりでめまぐるしく変る感じなので、安定して、ミスなく、コツコツ、地道に行けばなんとか上に行けるんじゃないか~って感じだね。雨得意じゃないけど・・・。
■渡邊エンジニアのコメント
とりあえず現状雨が降ったり止んだりなんで、今、時間にして(時計みながら)11時38分。
午後1時の(ウォームアップ)スタート1時間半前ですが、まだ何も決まっていません。
一応ひと通り「たくさん雨が降る」「雨がチョットしか降らない」「雨が止んでチョイ濡れ」「完全に乾いてドライ」この4パターン行けるようにタイヤは準備してる、車のセットアップに関しては、こうした不確定の要素が多いんで、車は全体的にソフト目にセットアップしており、仮に路面が乾いてもグリップはそれほど高くならない事は明白なので、ローグリップ対応のセットアップに変更してます。あとは走ってみないと判らない。
決勝
朝のフリー走行後、雨もあがり、強風と相まってドライコンディションに向かうかとも思われたが、ウォームアップ走行、スターティングセレモニーの間に再びウェットコンディションとなるも、雨量は微妙で、深溝、浅溝のマシンが混在、レースはセーフティカーの先導によりスタートとなる。5周の先導走行の後、6周目から実質レーススタート。
3番グリッドの66号車がヘアピンでコースアウト。
こうしたオープニングの波乱を避け、無難に4位で6周目を終えた加藤選手だが、7周目1コーナー立ち上がりで25号車ポルシェに先行され、更にダンロップコーナー手前で62号車レガシーにもパスされ6位にポジションダウン。
だがタイヤも温まり、翌8周目にはダンロップコーナー手前で、まず27号車フェラーリを抜き5位へ・・・追撃を開始。
ところが9周目、1コーナーを回った所で突然「エンジン止まった!」と加藤選手からの無線が入る。
コースイン側のグリーンにマシンを寄せつつ、再始動を試みる。
「グォッー!!」
一瞬息を吹き返したと思ったが、直ぐに沈黙・・・。
その後スターターモーターは回るが、ウンともスンとも反応がない。
チーフメカニックが、サブポンプの使用等、他の始動方法を伝えるが、どれもダメ。
雨降るコースサイドでマシンから降りる加藤選手。
開幕戦、残念なリタイヤである。
決勝レース(リタイヤ)後
■加藤選手のコメント
原因はまだ判らないですが、突然エンジンが吹けなくなってしまいました。
車が調子良かっただけに勿体無いな~と思ってるんですが、これもレースなんでしようがないかなと思います。
かなり今回は手応えも有ったし次挽回するよう頑張ります。雨の中応援ありがとうございました。
■高橋選手のコメント
カトチャンがエンジン壊したんでダメになっちゃたけど・・(笑)、もしチャンと走ってれば、後半ボクが頑張って表彰台は固かったっでしょう。
次岡山頑張ります。
■渡邊エンジニアのコメント
走る前に話したと思いますが、かなり雨量が多くても走れる様にセットアップを施し、レーススタートして結構この混乱のある中、比較的いい場所にいて、これからタイヤも暖まってきて、これから順位を上げていこうと思ったところで突然エンジンが止まってしまった。
まだはっきりした原因がまだ判らないが、加藤選手もすごくいいバランスだったと言うことだったので・・・残念でしたね。
細かい原因を探求して次の岡山頑張ります。
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