モータースポーツ

SUPER GT 2008SERIES 第1戦 鈴鹿サーキット

ニュース
2008年03月20日

いよいよ2008年シーズン開幕。紫電の開発も、爪楊枝で“重箱の隅をつつく”しか残されていない。かなり厳しいシーズンとなろう。 08r1hpgp-095.jpg


SUPER GT SUZUKA 300km  


開催日:2008年3月15・16日
サーキット:三重県 鈴鹿サーキット
マシン名:プリヴェKENZOアセット・紫電
ドライバー名:高橋 一穂・加藤 寛規

 SUPER GT参戦から早8シーズン目。
 特に区切り、節目でも無いが、紫電、加藤選手とのペア等、現在のチーム体制になって3年目。
 この“3”は、「石の上にも3年」、「3度目の正直」と色々な節目の年と言える。
 昨年、一昨年と、2年連続で、惜しくもチャンピオンを取り逃がしてむかえる今シーズン、果たして前者の“3”となるか?後者の“3”となるか?

3月13日(木) 設営

 
 2週間前のテストを皮切りに、いよいよ長いシーズンが始まる。
 こうした開幕戦でのピット設営は、作り変えられたピット設備があったり、スポンサー変わったりした場合の各種バナーの変更や、スタッフの変更等で手間取るものだが、我々はこれらに関し殆ど変更が無い為、順調に作業は進む。
 ただ今年チャレンジするル・マンに向けたマシンの準備、特に船積みの日程が迫り、スタッフの一部がそれらの準備の為、まだサーキット入りできず、少ない人数での設営となった。
 しかし近代設備を誇った、鈴鹿サーキットのパドックも、昨年からF1日本GPが開催された富士スピードウェイと比べると老朽化が進み、またトレーラーの大型化、各チームスポンサーのホスピタリティ設備の増加等、ひと昔前と比べると相対的に、狭く、使い勝手が悪く感じられる様になった。
 それらを解消し、09年のF1日本GP再開催に向け、昨年末からパドックの大改修工事が行なわれており、来シーズンのSUPER GT開幕戦ではそれらを利用できるらしいので、今から楽しみである。(来シーズンも続けていれば…)
 設営もそろそろ終わろうかという、午後6時過ぎ、残るはエンジンの“火入れ”のみとなり、メインスイッチを入れ、スターターを回す前に灯火類の確認の為スイッチON。
 テールランプが灯かない。とっ、インパネからモクモクと煙が…やばい!とメインスイッチをカット。
 早速各部を点検。テールランプスイッチ付近の配線が焦げている。どうやらどこかでショートしているようだ。
 こうした電気系トラブル(に限らないが・・)、症状がいつでもはっきり確認できていれば、テスターを使いトラブル箇所を特定するのは比較的簡単だが、今回のそれはそうではない。
 配線をずっと追い続け、テスターと目視で点検。
 結局約3時間の格闘の末、テールランプ本体内の配線のハンダが取れ、配線が揺れた際に、ショートしていたと判明。
 こうしたトラブルは、どの時点で発生してもおかしくない事で、それが今日であったのはまさにラッキーと言えるが、明日以降に備え、今日は早めに休もうと思っていたスタッフにとってはチョッとつらい設営日となった。

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開幕戦の設営は、何とは無いが雰囲気が違う。
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テスト時悔やまれた、ウイングもキンピカになった。
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リストリクターの小径化に伴い、今年最も変更された1UZエンジン。外観は変わらないが…。
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エンジン始動直前に、配線が焦げた。スイッチ付近の点検の為、ウインドウが外される。
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ショート箇所を探す為、各部の配線を露出させる。
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結局テールランプ内の配線が外れ、イタズラをしていたのが原因。今日、設営日に発生したのは全くのラッキー。

3月14日(金) 練習走行 雨

 使用期間の短い、チームブルゾンも邪魔になりそうな、まさに三寒四温を感じるレースウィーク。
 ところが金曜のフリー走行日は、やや寒さを感じる、あいにくの雨。
 土日は、晴天が(ほぼ)保証されている事から、リスクのあるレイン走行はあえて行う必要もない。
 午前の走行は加藤選手が数周走ったが、マシンがちゃんと走るかどうか?の確認程度で早々にピットに戻る。
 もう少し小降りになれば、それなりのテストメニューがあるのだが、かなりの雨で、レインタイヤのテストとして走るにも不向きなほど…。
 多くのチームが走行を見合わせ。数台のマシンが時折ストレートを通過するだけ…。
 結局、午前中殆どの時間をピットで過ごす事となった。

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この日は朝からしっかり雨。我々の21番ピットの裏。シャッターは少し開けているだけ。
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雨脚は強いが、とりあえずコースに出てみるが…
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このコンディションでは、走行するマシンもまばら。
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いたる所に川もでき、レインタイヤのテストにもならないコンディション。
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当然コースアウト車両も発生。幾度かの赤旗中断も…。
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結局、午前中の走行は殆どキャンセル。

 午後、雨は上がったものの、ウェット路面に変わり無し。
 ならばとレインタイヤの比較テストを始める。
 序盤セーフティーカーシュミレーションも行われ、その後加藤選手がレインタイヤを比較走行。
 途中、路面も乾くまでには至らないが、深溝レインか?浅溝レインか?という状態に変化。
 ドンドンと路面が乾くほど、風もなければ、日差しも無い。
 残り20分ほどで高橋選手に交代。
 低い路温でグリップも悪く、苦労しているようだ。再び雨もパラパラと…。
 数周走行したところで2コーナーでコースアウト。外周を走行しコースに復帰。ダメージもなさそうだが、一旦ピットイン。
 各部をチェック、ダメージも無く、問題無いようだが、残り時間が無いことからこのままおしまい。
 タイム的には見るべきものは無く、レインタイヤの比較テストができた程度。
 高橋選手の“レース勘”を取り戻す、十分な周回をこなせなかった事が、明日以降への不安材料かな…?

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午後の走行は開始早々にSCシミュレーションが行なわれる。
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この程度の路面になれば、有意義なテストもできる。
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数種のレインタイヤの比較テストを行なう。
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終盤、高橋選手も走行。この練習日の走行は、まさに“練習”。
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明日、明後日は晴天がほぼ“保障”されているだけに、ドライコンディションで走り込みたかった。。
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数周こなしたところでコースアウト。スタックする事無く外周路を走り無事帰還。マシンのダメージは無し。
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マシンの大きな問題は無いが、シフトのタッチが良くないとの訴えで、ミッション内部の点検。
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見た目の異常は無かったが、こうした些細な指摘に対し、チェックを怠らない事が、2シーズン、ノーリタイアに結びつく。

3月15日(土) 予選 晴れ

 予報通り、昨日の雨と打って変わって快晴。強い風が、ストレートで追い風になる方向へ吹いている。
 まだ予選日だというのに、朝早くから多くのお客さんが、公開車検に詰め掛けている。
 人によってはこの予選日の方が面白いという方もいるとか…
 主催者も、この公開車検や、夕方の子供連れなら無料のキッズウォーク等、この予選日からの集客に力を入れており、色々とイベントを考えている。

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“今日”から快晴。開幕を待ちこがれたファンが朝早くから詰め掛ける。
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予選、決勝スタートまでに使用できるのは3セット。抽選でスタートタイヤを決める方式は、今年も同じ。
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この人だかりは、お隣19号車のスポンサーさん、セキュリティソフトで有名なノートンの、キャラクターによるPR

 一回目予選の300占有は、加藤選手のアタック。
 予選方式は昨年と同様、午前1回目予選で上位10台を選抜し、午後2回目予選終了後に行われる、「SUPER LAP(1台づつのタイムアタック):スーパーラップ(以後「SL」)」によりスターティンググリッド順位が確定する。
 加藤選手のリズム、というより何台かのターゲットタイムが出てくる、予選開始開始から8分後ゆっくりコースイン。
 2周ほどタイヤを暖め、さあアタックという時、130Rで大クラッシュが発生。
 昨年最終戦までチャンピオン争いに加わった、62号車が単独コースアウト。タイヤバリアに激突、2メートルほど宙に浮いて落下!
 ドライバーはレスキューにより運び出される。
 自力で出られないのでは無く、現在のマシンには、外部から確認できるGセンサーがついていて、今回の様に、これが作動するほど大きな衝撃があった場合、火災等の危急で無い限り、レスキューがドライバーの自力脱出を制止し、医師が到着してから慎重に車外に運び出すのである。
 幸いドライバーは無事なようだ。(後に肋骨骨折とわかり、次戦以降のレースが心配される事となる。)
 マシンは大破、この開幕戦を断念する事となった。

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高橋選手と共にTVモニターを見る加藤選手。この時既に予選開始から3分が経過。
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予選開始7分で乗車。8分でコースインは、いつものスタイル。
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幻の予選タイムとなって、大破した62号車がレッカー車に積み込まれる。予選中断となった。

 サーキット中を震撼させたこの事故により、予選は約15分中断。
 タイヤが最も“美味しく”なった、この中断により、リズムの狂った加藤選手。
 「再開されたらすぐ行くよ!」
 残り約5分、ピットロードへの待機(コースイン2分前からOK。早すぎるとペナルティの対象となる。)が許可されると同時に、即ピットを離れる。
 これは抜群のタイミングで、先頭でコースインできることとなった。
 こうしたピットから出すタイミングを指示するのはチーフメカだが、これも地味だが隠れたファインプレーなのである。
 前に他のマシンがいたら、クリアラップがとれない。また間隔を開けようと、ゆっくり走っていたら、残り5分では、1周しか計測できないかもしれないのである。
 この時点ではまだ17番手のタイムしか出ておらず、まずは確実に10番手以内に入ってSL出走権は得なくてはならない。
 ブルーシグナルに変わる。
 先頭でコースインだから当然クリアラップ。
 充分慣らしの終わったNEWタイヤ、コースインと同時に飛ばす!このペースならギリギリ2周計測が可能だ。
 ストレートに戻り、計測開始!ここまでで最も早いのは皮肉にもクラッシュした62号車で、第3セクターまでトップタイムだった。(鈴鹿はコースを4分割し、各セクタータイムが表示される。)
 しかしその直後にコースアウト。トップタイムは幻となってしまった。
 ところが加藤選手は、そのセクタータイムを全て更新。
 10番手以内に入れる走りというより、各コーナーで暴れるマシンをねじ伏せる(ように見えるが、アタック時に見せる加藤選手走法である)、完全にSLを意識したシミュレーションと言える、猛烈なアタックである。
 2′05″211!暫定TOP。2周目計測は不要と、そのままピットイン。
 充分SL圏内、どころか結果的には2位に1秒以上の大差をつけた唯一の5秒台である。
 最高速はめっきり遅くなった分、コーナーで稼ごうと、良いタイヤを開発してもらい、決勝を見据えたタイヤチョイス。それを生かすセッティングがドンピシャとはまった1周だった。
 その後のGT500との混走は、高橋選手がマイレッジを稼ぐ。
 ベストは09″045。7秒台を目標としていたが、まだまだである。

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予選再開。約5分と残り少ない時間を目一杯使う為、コース一番乗り。
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ピットから出るのは“遅くてはダメ。早過ぎてもダメ。”絶妙のタイミングだった。
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加藤選手は、計測1周目で2位に1秒以上の差をつける、猛烈アタックで暫定トップ。
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500・300クラス混走を知らせるボードは、こうして表示される。
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やっとドライコンディションを走れる高橋選手。予選も重要な練習走行。
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予選トップで、再車検に向かうメカスタッフ。マシンを押すにも力が入る。って、本当に登り坂だから…。
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同じく1回目予選トップの23号車GT-R。開幕戦というか、今シリーズの“メインディッシュ”パワーバルジが特徴的。
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この日は恒例の集合写真撮影。トロフィーを挟むのは、昨年のチームチャンピオンと、ドライバーズチャンピオンだが、ドライバーズは今年SGTには参戦していない。
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どうでもいい事だが、その集合写真の前はこんな感じ。
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今年のレースクイーン4人。コスチュームも変わった。名前は…顔と一致しませんので、またいずれ・・。
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シンタローに叱られる高橋選手。ではなく、車載画像でシフトランプ(ある回転数でLEDランプが点灯する)の点灯するポイントを確認している。でも、たまに叱られている事はある。

 午後2回目の予選は、加藤選手によるSLセッティングの確認、その後はひたすら高橋選手の走行。
 そして迎えたSL。
 この頃には気温も17℃。路面温度も30℃近くと、予想以上に上がって来ている。
 出走順は10番目のトリである。
 7台が終わった時点で、トップは今年新車になった43号車Garaiya(ガライヤ)、2番手、3番手は46、81号車のZ勢。全て6秒台中盤。
 タイム的には、1回目予選を上回るマシン、そうでないマシン混在である。
 8番目出走は昨年最終戦も含め2勝を上げた、26号車ポルシェ。予選タイムを上回る、06″118。
 暫定トップが入れ替わる。
 コーナーでの遅れをストレートで稼ぐ、紫電と正反対のキャラクターを持つと思われたポルシェが、ここ鈴鹿も得意とされると、正直厄介な存在である。
 9番手は7号車RX7。一昨年、最終戦の土壇場で、チャンピオンをとられるというドラマを提供してしまった、“因縁”のマシン、チームである。
 各セクターでトップタイムをマーク。かなりの好タイムが予想され…
 なんと05″502!26号車に0.6秒の差を着けトップに。
 既にウォームアップランに入っている加藤選手、無線でその報を受けアタック開始。
 アタックミュージックは、勿論今年もユーミン。SupreLap方式が取られた05年からの“伝統”である。
 季節に合わせ「春よ、来い」
 S字コーナーを鬼人の走りで抜け、第1セクターを、なんとトップタイムからマイナス0.7秒短縮。
 デグナーカーブでは、いくらなんでも“振り過ぎ”と思われるドライビングで抜け、第2セクターでマイナス0.5秒。チョッと貯金を使う。
 スプーンからパワー勝負の裏ストレートが終わる第3セクターではマイナス0.2秒と想定内の“支出”
 その後、早い130Rと、シケイン、下りの最終コーナーで稼ぎ、チェッカー。
 マイナス0.34秒の、2′05″169!
 完璧なアタックで、幸先良い、開幕ポールを奪取。
 でもこんなタイムが出るタイヤで、決勝はもつのか?

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SuperLapのトリを務める加藤選手。出番までライバルのタイムを確認中。
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グリッドに移動。ブルーシグナルを待つ。
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予選以上の鬼人の走り。第3セクター以外の各セクターでトップタイムをマーク。
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終わって見れば2位に0.34秒差。紫電7回目のポールポジション。
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ヨコハマタイヤのエンジニアを交え談笑するエンジニアシンタロー、両ドライバー。ここまで、かなり入念にセッティングを詰めたので、このポールの喜びは一入。
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今シーズンからサンケイビバレッジの「La Seule Gloire Defi」がSGTの公式シャンパンとなった。
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モデルチェンジされたPPトロフィーをカメラにおさめるメカスタッフ。
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花粉症の加藤選手。走り終えればこのスタイル。この時期、花粉症に悩まされ、集中力を欠くドライバーは多い。

3月16日(日) 決勝 晴れ

 昨日より、暖かくなりそうな好天の決勝日。スタンドは朝早くから多くの観客が入っている。
 特に今年は、ニッサンGTーRの復活という大きな“目玉”もあり、また改革された主催団体GTAの、各種、集客策も功を奏したのか、SUPER GT人気は相変わらず・・より以上と思われる。

 朝一のフリー走行はサーキットサファリ(GTマシン走行中、バスもコースに入り、お客さんに迫力ある走行マシンを、間近に見てもらおうという人気イベント)が行なわれた為、10分長い40分。
 これを利用し、高橋選手の走行を中心に、ピット作業の実戦シミュレーションを行なう。
 マシンに大きな問題も無く、決勝レースに向けて良い流れはできている。

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決勝日。今日も快晴。暑くなりそうな予感。亀山のホテルの窓から
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これはドライバーの休憩室の看板。何か目印がないと部屋がわからなくなる。
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朝のフリー走行では、人気イベント、サーキットサファリが行なわれる。
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”サファリ”ではないが、カーズ東海にて観戦券をご購入の方から、抽選でサーキットバスツアーご招待。ガイドは高橋選手。
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同じく抽選でピットウォークご招待。ドライバーと記念写真。
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応援席ではオリジナルデザインのスティックバルーンでの声援ありがとうございます。

 シーズン開幕のオープニングセレモニーが進み、ポールポジションへマシンを運ぶ加藤選手。
 昨年途中から、ポールマシンは、他のマシンが全車グリッドに整列し終わってから、最後にゆっくりと300、500の順にグリッドにマシンを着けるという演出となった。
 これで紫電は7度目のポールポジションだが、初めての体験である。
 グリッドは相変わらずの大混雑。グリッドへの進入路がピットウォールの両端にしか無い、鈴鹿サーキットは、グリッドへの出入りだけでも随分不便を感じるサーキットとなった。
 来年春完成予定の、大改修にこれらも盛り込まれていることだろう。

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スタート前、開幕戦としてのセレモニー。チームスタッフは整列。
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カーズ東海特設応援席も、スタート前で埋まってきた。
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J-Sportsからポールポジションインタビューを受ける両選手。
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スタート直前、マシンの前で恒例のショット。一昨年オートポリスからスタートは加藤選手。
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グリッド上の、上位4台。4番手新車のGarayaがここまで本調子で無いだけに不気味。

 定刻のPM2:00ローリング開始。いよいよシーズン開幕である。
 加藤選手は危なげなく、ポジションキープ。
 1周目、2位7号車からプラス2秒と、ややリード。
 2周目には7号車と共にファステストタイム2′07″846をマーク。
 その後じわりと2位との差を広げようとするが、あまり広がらない。
 と言うより、3位以下が9~10秒台で走行する中、2、7号車だけが8秒台で走行。
 1、2位が3位26号車を引き離す形となる。
 トップ加藤選手に、1秒以内で食らい付く7号車井入選手。
 無理なチャージを仕掛ける様に見えない。
 むしろこの状態をキープし、ドライバー交代後の勝負を考えているように見える。
 これまで加藤選手がポールポジションからスタートしたのは5回(2回は高橋選手がスタート)。
 ドライバー交代までに順位を落とした事は無い。
 唯一あったのは昨年のSUGOだけ・・。
 それもスタート直前の雨により、下位から追い上げてきたAWD(全輪駆動車)インプレッサであった。
 その加藤選手に対し、名手、井入選手といえども、易々と攻略できる相手ではない。
 しかし加藤選手から「タイヤが~・・」と窮状を訴える。
 高い気温にタイヤの磨耗が予想以上に進んだようだ。
 しかしタイムほぼ9秒台をキープ。順位も落とすことなく7号車を直後に従えラップを重ねる。

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2008年開幕戦スタート。
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1周目終えて・・。3台が逃げ、43号車が下位のふたをする格好になった。
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更に2号車と7号車が先行。序盤は終始テールtoノーズとなる。

 中盤20周辺りで、3位は14秒後方の26号車。
 1、2位での独走態勢である。
 シンタロー(エンジニア)「あと10周ガンバッテー!」と無線を送ると
 加藤「キツイネ~・・。」
 タイムも10秒台に落ちてきた。それは7号車も同様である。

 この硬直状態は25周目まで続くが、まず7号車のピットインにより崩れる事になる。
 約39秒で作業を終えた7号車が、波乱も無くレースに復帰。
 その6周後の31周目、加藤選手もピットイン。
 緻密な燃費計算により、ギリギリまで給油時間を切り詰め、7号車より短い32秒のピットストップで高橋選手を送り出す。
 果たして…、7号車と約3秒差でトップをキープ。
 だが、既に折目選手に交代した7号車は、もうタイヤが“できている。”
 昨シーズン、幾度か101号車と演じたシチュエーションである。
 しかしこのビハインドタイムにより、高橋選手はトップをキープ。
 1周、2周すると追いつかれ、33周からは殆どテールtoノーズ。
 昨日からのタイムからすると、折目選手の方がアベレージタイムは早いのであろうが、オーバーテイクを許す程ではない。
 後ろから揺さぶりを掛ける折目選手。
 追いついた500マシンの交わし方も、ラインを少し変えて譲る折目選手に対し、500のパワーで先行して貰おうと、ラインをキープする高橋選手。
 これにより、時折リードを広げる高橋選手だが、振り切れるほどのものではなく、むしろ後方から観察される事により、オーバーテイクポイントが絞られていくことになる。
 38周目各コーナーで揺さぶりを掛ける折目選手。裏ストレートから、130R、折目選手が、今までに無く車間を詰めて駆け抜ける。
 モニターを見ていた、誰もが「シケインで来る」と予感。
 シケインが迫る、ブレーキング、と直前に右にラインを変えた折目選手、インからバッサリ。
 やられたとは言え、見事なオーバーテイク。
 大観衆からのどよめきは、折目選手に対する感嘆の声か?高橋選手に対する無念の声か?拍手も起こった事からすると折目選手よりかな・・。
 手に汗握るクリーンバトルは、多くの観客を魅了したようだう。
 この後は折目選手が、ドンドンリードを広げる快走。と言うより高橋選手のタイムがめっきりと落ち込む。
 折目選手の9~10秒台に対し、直前まで似たようなタイムで走っていた高橋選手、単独走行になってからは、一気に11~12秒台へ…。
 折目選手とのバトルで張り詰めていた集中力が(本人は違うと言っているが・・)一気に切れてしまったようだ。(ように見える・・。)
 残り周回は10周。(レースは52周だが、300クラスは恐らく48周)
 追い上げるのはもう無理だろう。3位26号車との差をにらみつつ、今のポジションをキープし、開幕戦、無難に2位でチェッカー。

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交代準備中の高橋選手。トップで引き継がれるようだ…。
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約3秒のリードでコースに出た高橋選手だったが…。
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数周で加藤選手と同じ状態になったが、煽られているように見えるのは、色眼鏡かな…。
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レースの行方を見守る加藤選手。
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折目選手にオーバーテイクされた後は、ジリジリ離され単独走行となってしまった。
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それでも開幕2位フィニッシュは、幸先の良い出だしかな。

2008年 SUPER GT第1戦 GT300クラス
予選1位 : 決勝2位
獲得ポイント チームポイント15点+3点(トップと同一周回ポイント)累計18点
ランキング 2位
ドライバーポイント19点(15点+3点:予選1位+1点:決勝ベストラップ) 累計19点
ランキング 2位
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予選上位3台が表彰台を埋める。
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シャパンファイト。今年は何回楽しめるか・・。
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撤収作業中、全くの無傷で車両保管から戻った紫電。

 昨年と全く同じリザルトに、高橋選手は「(昨年の)抜いて2位と、抜かれて2位では気分的に全く違う。金曜(のフリー走行日)にドライを走れなかったのが痛手だった。(レース走り終えた)今、もう一回走ったらもっと高いアベレージで走れるけどな・・。」と「タラ、レバ」コメント。
 今シーズンの紫電は、パワーが無くなった遅れ分を、コーナーで取り返すべく、マシンセッティングはかなり神経質となり、よりシビアなドライビングが要求される様になった。
 これまで、“プロ”の加藤選手の予選2秒以内、決勝アベレージ0.5秒以内を目標にし、実際に昨年までは実行してきた“アマ”の高橋選手にとって、今回は不本意なレースとなってしまった。
 今年は宿題の多いシーズンとなりそうである。
 ※今年から「J SPORTS OVER TAKE賞」という特別賞典が新設されたが、その栄えある第1戦は、7号車(折目選手)に贈られた。無論38周目終わり、シケインで、高橋選手を抜き、トップを奪ったシーンに対してである。
 高橋選手が「半分は、俺のもんだな。」って言ったとか、言わなかったとか?…あっ、言ってませんか。失礼しました。

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