モータースポーツ

2007年SUPER GT 第8戦 オートポリス

2007シーズン 紫電
2007年12月20日

シリーズも終盤の、SUPER GT
残りあと2戦。チャンピオンの権利があるチームも絞り込まれてきた。
我が、「プリヴェKENZO アセット紫電」高橋、加藤組の2号車も、
前戦モテギでようやくランキングトップに躍り出る事ができた。
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SUPER GT in KYUSHU  


開催日:2007年10月13・14日
サーキット:大分県 オートポリス
マシン名:プリヴェKENZOアセット・紫電
ドライバー名:高橋 一穂・加藤 寛規

 しかし、2位は開幕から4戦まで、2回の優勝を含む連続表彰台の101号車。しかも点差は3点。これでは全くリードしていると言える状態では無い。
 むしろこの101号車、F3の若手コンビ (2人の合計年齢は、2号車の2人の合計の半分にも満たない。) の、伸び”旬度”これらは、2号車高橋、加藤組を凌駕しているとも言える。
 無論、3位以下の43号車、62号車等も2連勝できる実力のツワモノ。まだまだチャンピオン争いに加わってくる。
 だが、この8戦オートポリスは紫電のもっとも得意とし、昨年初優勝をもたらしたコース。
 ここで鈴鹿1000km同様、一花咲かせ、2位101号車以下に点差を付け、最終戦に臨みたい。

快適な秋のレースウィーク
朝晩はチョッと冷え込むが、
快適な秋のレースウィークとなりそうだ。
横断は反対側に注意!
GT戦でここオートポリスは唯一ピットロードが逆向き。
 

10月12日 練習走行 晴れ

 約1ヶ月ぶりの走行となる紫電だが、午前の走行では、エンジン、足回りは順調に仕上がり。
 加藤選手の1′51″576は午前2番手でまずまずのタイム。高橋選手は54″367と相変わらずのスロースタート。
 普段、全くマニュアルミッション車をドライブすること無い高橋選手にとっては、ここの慣れから入らなくてはならない。
 この午前中の走行時には、一部電気系にトラブルが発生。ラップタイム表示や、無線が不調となった。秋の長雨のの湿気のせいか?どうかは判らないが、各部の点検、一部に接触不良箇所を発見し、午後の走行に備えた。

花束贈呈。でもまだチョッと…
上津江町が開いてくれたウェルカムランチでは、
“現在”のポイントリーダーとして花束贈られた。
まだチョッと早いかも…。
必勝祈願花
その花は殺伐としたホスピテントに
”必勝祈願”として飾られた。
 
いい調子だったが…。
午前中のタイムはまずまず。
予選に決勝に向け着々と仕上がりが進む。
今年も狙うぞ!
GT戦で、ポーディアムの中央に初めて立ったのは昨年、ここオートポリス。果たして今年は…。

 今日を含め、今週末のレースウィークは特に天候の心配はなさそうで、朝晩こそやや冷え込むものの、軽い長袖で充分な、過ごし易い秋の週末となりそうだ。
 大まかなセッティングも決まり、午後は明日の予選と決勝レースに向けたタイヤテストと、よりシビアな足回りのセッティング。そして高橋選手のスキルUP走行が主体となる。
 前半では加藤選手が決勝用のセッティングを煮詰め、そして高橋選手のスキルUPロング走行を行う。そして、最後の300占有セッション15分で、予選用を決める、いつものメニュー。
 ところが、加藤選手から、高橋選手に交代し、試行錯誤の中、徐々にタイムUP。第1セクター、第2セクターともベストタイムを更新。充分52~53秒台に届こうかというラップの終盤、登りの右コーナーでコースアウト。まっすぐタイヤバリアに激突!
 ドライバーは何とも無かったが、マシンは紫電誕生以来最大級の破損!
 フロントカウルは中破。足回りにもダメージが及ぶ。無論最後の300占有セッションは走れない。
 どうなる予選!取れるか、ポールポジション!メカニックの修復作業は深夜にまで及んだ。

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午後の走行中盤、高橋選手がコースアウト!まだ走行時間もあった事から、高橋選手はいったんマシンから降り破損箇所の確認をする…。
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一見外観だけかと思われたが…
高橋選手「ごめんなさい」
走行終了後、グラベルから引き出され、何とか自走で帰っては来たが…。
今夜の残業
これほどの破損は、昨年紫電がデビュー依頼、最大級。

イヤ~こんなところも!
足回りもイッてしまったし…。
 
初登場
いつも持って来ていたが、現場で”実働”となるのは初めての、スペアカウル。

10月13日 予選・スーパーラップ 晴れ

 明けて予選日。やや雲がかかった山を登りサーキットに到着。
 メカの深夜に及ぶ修復作業により、紫電は、何事も無かったかの様に、公開車検を行っている。
 幸い手持ちのスペアパーツと、修理により、走行に関し、重要な部分はほぼ修復でき、予選を戦うには充分な性能が取り戻されている。…はずだが、こればかりは実際に走ってみないと何ともわからない。

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朝の公開車検。マシンは何事もなかった様に修復されていた。
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各部に修復の足跡は見られるが、幸い走行に支障を及ぼす箇所ではない。

 今回の予選は、前戦のモテギで行われたノックダウン方式の予選とは異なり、従来のスーパーラップ方式(1回目予選で上位10台を選抜し、1台ずつのアタックによりグリッドが決定するシステム:以下SL)である。
 その出場枠、10台に入る為の、午前、1回目予選。加藤選手はいつものリズム通り、開始8分ほど経過したところでコースイン。マシンの状態を確認しつつも、余分な周回は重ねられない。
 3周目アタック。各セクターでベストを更新。1′50″398!SL進出には充分な2番手タイムをマーク。
 珍しくもう1周アタックするが、これは不発。300クラスの占有時間が終了。
 500占有の後、混走セッションでは高橋選手のみドライブ。昨日、自己ベスト更新直前にコースアウト。そんな影響を感じさせない走りで、54″393をマーク。基準は軽くクリア。

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昨日の走行不足部分を、車載ビデオで補う高橋選手。後ろは舘”師匠”走りを指導。
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午前予選の時は、まだ青空だったが…。
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ここでもホイールカバーを使用。僅かなタイムUPの可能性も…塵も積もれば山となる。
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高橋選手のアタック。というより、決勝想定のドライブ。

 最終的には3番手タイムとなるが、マシンに問題は無い。見事に紫電の性能は戻っている。とりあえずメカの努力は報われた。
 ランキング2位の101号車は11位でSL進出とならず、11番グリッドがほぼ確定。
 午後のSL結果では、明日のスタートでかなり優位に立てるチャンスとなった。

 この走行を終え、ドライバーとエンジニアとのディスカッションで、更なるタイムUPの為の策として、ミッションのレシオ変更を行う事となった。
 本来なら、前日の走行を終えてから行う事だったが、クラッショにより300占有セッションが走行できなかったので、ここにずれ込んだ事だが…メカのランチタイムに大きくずれ込んでしまった。
 サポートレースが進む中、アライメントチェック、レシオ変更が行われ、この頃から爽やかなな秋空を、雲がおおい始める。これは山の軽い気まぐれか…?

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ウイング部が外され…
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レシオ変更。昨日なら”試し”ができたのだが。今日だと最後の賭け(勿論裏づけあっての事だが…)となる。

 
 午後予選はこれらの確認の為、加藤選手のみが走行。おおむね良好、若干の車高調整を行いSLに挑む。
 1回目予選3位、8番手出走だが、最初のマシンがアタックに入った辺りから、雨がポツリポツリと…。
 このまま降りがひどくなれば、我々にとっては最悪。後になればタイムなど望めるものではない。
 しかし、そんなクルーの祈りが通じたか?ウェット宣言 (レインタイヤの使用が許可される) も出されたが、幸い雨は路面を濡らす程にはならず、全車イーブンなコンディションでのSLとなりそうだ。
 理想は、2号車アタック終了直後の豪雨だったっが…そんな都合よくいくはずがない。
 加藤選手がコースイン。ここまでのトップは5番手出走の62号車。49″525のコースレコードである。
 雨の影響は全く無いようだ。

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SLが始まる頃、僅かに雨が落ち始め、TVカメラもカバーされたが…
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実際には雨の影響は出ず、SL上位5台がコースレコード。500は9台!がコースレコード。

 第1セクターでは、やや遅れたものの、第2セクターで挽回。しかし登りセクションの第3セクターではクラス最大80kgのウェイトが効いたのか?このリードを保てず、49″556!コースレコードだ!…っが、100分の3秒差で暫定2位。
 残るは初戦優勝の13号車と、午前唯一50秒を切るコースレコードを出した46号車の「Z」勢2台。
 まずは13号車のアタックを見守る。しかし全セクターで僅かずつ遅れ、49″860。我々2号車の後ろとなり、この時点で3番以上のグリッド当確!
 ライバルの好タイムに、思わぬ苦戦を強いられた加藤選手。マシンを降りて、ガッツポーズ。
 続いて46号車のアタック。
 ところがこのZは全セクターで好タイムをマーク。48″847!!2番手に0.65秒以上の差を着け、唯一の48秒台!
 これで3番グリッド、1ポイントGET確定。
 すぐ前の62号車、後ろに続く13号車はそれぞれランキング4位と5位。そして、ランキング2位と3位の101号車、43号車はそれぞれ、11番と7番グリッド。
 そして今回12番グリッドに沈んだとは言え、前戦モテギでブッチギリ優勝し、勢いのあるランキング6位の26号車。現時点でここまでの6台がチャンピオンの権利を残しているが、14日の決勝で更に絞りこまれる。
 この1戦、今シーズン最大の山場となる事必至である。

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SLを終え、ピットに戻る加藤選手。ポールを狙ったが“不発”…では ない。他が早過ぎ!
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終わってみれば3番グリッドとポイント1GET
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ポイントリーダーとしてのインタビューを受ける加藤選手。
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今回はGT99戦目。最終富士の100戦に向けた、各ドライバーからメッセージの収録

10月14日 決勝 くもり

 好天が予想された、週間天気予報は、昨日からやや崩れ始め、今朝のサーキット周辺の山々は、雨こそないものの、曇り空で肌寒い。
 この低い気温は、各タイヤメーカーのキャラクターに少なからず影響を及ぼすであろうし、それは昨日の予選でも既に現れていたと思われ、その予選タイヤと同じ決勝用タイヤは、今日のレースを左右するであろう。
 (SUPER GTは予選前に用意した3セットタイヤから、1セットを抽選で決勝スタートタイヤとして保管され、残り2セットのみ予選で使用できる。これは予選専用タイヤを禁止する為のルールである。殆どのチームは、予選、決勝スタートは同じ種類のタイヤを用意するはず…)
 ここオートポリスを得意とする紫電にとって、3番グリッドからのスタートは悪くない。
 マシンは、メカの努力により、一昨日のクラッショの影響を感じさせない仕上がりである事は、昨日のSLでのタイムにも現れている。
 このレース、理想は勿論優勝だが、ランキング2位の101号車との点差をできる限り“開く”事にある。
 ここ3戦、足踏み状態だった彼ら、当然巻き返しをはかってくるかと思われたが、(101号車には失礼だが…)幸い後方グリッドに沈んでいる。彼らより前で、チェッカーを受けるチャンスである。
 現在の3点差を詰められたり、逆転されては最終戦富士でのチャンピオン獲得はかなり難しい事になる。

 

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厚い雲。山では天気予報と食い違う。
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高橋選手がフリー走行に出る。もう何も起こらないかと思ったが…。

 このシーズンを大きく左右する第8戦決勝日、朝のフリー走行。まずは高橋選手から走行開始、途中、冷えたユーズドタイヤにはき替え、決勝アウトラップを想定した練習である。
 ところがこのセッションで、あろう事か62号車に接触!TVモニターにハーフスピンした62号車の横腹に、正面から当っている…“ように見える”
 すぐにピットイン。左前ホイールが損傷、カナードが無くなり、フロントカウルも一部割れている。
 一昨日のクラッシュと比べれば大した事はないが、加藤選手の走行時間と、メカのランチタイムを無くし、エンジニアのシンちゃんの、頭痛の種を増やすには充分だった。
 この修理の真っ最中のパラパラと雨が落ちてきたが、すぐに止んでしまった。雲は厚いが、今日一日、まとまった雨をもたらすほどではなさそうだ。

 

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破損したと思われる、左前がモニター画面に写しだされる。
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一昨日に比べれば軽微。だが、加藤選手が走れなかったのは痛い!

 

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またまた外装修理にかかるメカニック。

 午後1時からウォームUP走行。スタートを務めるのは加藤選手、いつもならストレートを1回通過で戻ってくるのだが、さすがに今回は、足回りのセッティングの確認に、計測2周と念入りだ。
 ここで52秒台と、ブッチギリのタイムをマーク。決勝レースへの好パフォーマンスを示す。
 殆どのチームがレインタイヤを用意し、スターティンググリッドへ向かうが、全く交換を要する天気にはならず、午後2時、レースは始まった。

 

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トランポの中で、高橋選手への悪口(笑)を含め、今後の作戦について密談するエンジニア、シンタローと加藤選手。
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レース前ミーティング。この時はまだまだ“勝ちに行く”気合充分。
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500クラスで2~6番グリッドを占めたNSX勢、その2番グリッドの17号車がグリッドに着く前に火災!
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スタート前の両選手。

 オープニングラップ、すぐ後ろ4番グリッドにいた、13号車にパスされ4位。そして次の周、51″372のファステスト。実はこれを狙う為、燃料もやや少なめにしていた。これで1ポイント追加。
 続いて53秒台のあと、念の為か?3周目51″814。
 シンタロー「ベストラップは獲ってます!獲ってます!」と知らせ、
 加藤「それならいい!それならいい!」
 と、500にラップされる前、序盤での一仕事を終え、再びレースに“戻る”。
 トップは46号車が快走、ジワリジワリとリードを広げ、46、62、13号車に続き4位をキープする加藤選手は、コンスタントに53秒台でラップ。
 その頃101号車と43号車はそれぞれ12位と8位。怒涛の追い上げを警戒していたが、どうした事か淡々と走行。タイヤチョイスが“追い上げ”用なのか?

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300クラススタート。
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グリッド順、46・62に続き1コーナーへ
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3位キープ。加藤選手がこのスタートで順位を落とした事は無い。
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後は5位の7号車。昨年のチャンピオンマシンも、今年は精彩を欠くが、この後19号車と、今シーズン最高ともいえるバトルを展開。

 500も混ざり始めた10周過ぎ、後に19号車が肉迫し、更にそこに7号車が加わり、4~6位が団子状態となる。
 中でも19号車と7号車は、テールtoノーズからサイドbyサイドのデッドヒート!だがこれは彼等のペースダウンに繋がり、これを尻目に、加藤選手は単独4位を築き始める。
 そして18周目、いくつかのコーナーを、手に汗握るサイドbyサイドで抜け観客を沸かせる…がっ軽い接触!揃ってスピン!そこに7位の4号車も巻き込まれ、一気に3台が大きく後退。
 がっ、当然101、43号車が労せずして順位が繰り上がる事となる。
 その後しばらくは小康状態が続き、23周時点で46、62号車、そして3位の13号車に遅れること4.7秒に2号車加藤選手。
 そして途中3台が抜けた事により、5位に上がった43号車との間には、“まだ”19秒のアドバンテージを保っている。
25周目…
 加藤「リヤタイヤがおかしい!リヤタイヤがおかしい!」
 何が?と言う詳細は判らないが、ドライバーの直感による一報である。
 シンタロー「ピットの準備はしておきます」
 加藤「もう少し様子見る」
 タイム的には54~55秒台、上位の中で遅れを取っている訳ではない。このタイムが保てるのであれば、もう少し引っ張ろうかと思っていた矢先の、(300の)27周目、500も含めた、今回レースに大きな影響を及ぼす、アクシデントが 発生。
 第2ヘアピンで、メカトラブルによりスピン、ストップした300マシンに、500のトップが激突!ブラインドとなっているこの地点に、更に2台の500マシンが突っ込みストップ!4台のマシンとパーツが散乱してしまった。

 高橋「赤旗出るで、ピットインさせたらどう?」
 シンタロー「残り周回が(半分)30周にもなるので、もう少し引っ張りたい!
       高橋さん30周行けますか?」
 高橋「55秒なら大丈夫。がんばるわ!」
  これは赤旗が出るのでは…?レースもほぼ半分、赤旗が出される前にピットインさせるのが有利である。
 先の“リヤタイヤがおかしい”の無線連絡も早めのピットインを促す材料となり、29周を終え加藤選手がピットに入ってくる。
 事故処理は、最低速のコーナーの為か?イン側ラインが空いているからか?2周過ぎても赤旗もセーフティーカーも出ない。
 しかし“サイは投げられた”後半約30周、高橋選手のロングランである。
 交換したタイヤを見ると、リヤ、イン側の磨耗が進んでおり、レース半分でこの状態。同じタイヤで、ほぼ同じ周回となろう、後半が心配だ。
 アウトラップは10位で復帰。レースも丁度50%消化(500は65周だが300は59~60周と予想)した事もあり、また事故処理の為、イエローフラッグ区間がやや長く、ペースが落ちると判断したか?上位陣も続々とピットイン。殆どがピット作業を追え35周目で6位。43号車は7位で13秒後方、101号車は9位である。

 

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レース中盤、第2ヘアピンで起きた多重クラッシュ。
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4台を巻き込んだこの処理に、赤旗は必至と読んだのだが…。
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ピットワークもスムーズにこなされた。松下チームメカも「(左)リヤタイヤ早くできた」と満足気
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多重クラッシュ地点を尻目に、高橋選手、公約通り55秒台で快走。あとは“体力だけ”が、心配だと思ったのだが…。

 高橋選手は“公約”通り55秒台で周回を重ねる(序盤56~57秒台だったが…)がっ!43、101号車は共に53秒台!“貯金”は食い潰されていく。
 39周を終え、それぞれ順位変動はないものの、43号車は5秒、101号車は25秒にまで迫られている。
 舘“師匠”「ガライヤ(43号車)接近してきたら、無理に抑えず先に行かせた方が良いですよ。」と指示。
 41周目、ここまでノーピットで引っ張っていた、トップ31号車がスロー走行、そしてストップ。どうもガス欠か?
 41周を終え5位に浮上。だがこの翌周、第1ヘアピンで痛恨の単独スピン!約20秒を失い、7位にドロップダウン。43号車には、あえて譲ることなく先行を許す事となり、5秒後方、8位には101号車が迫っている。
 だがペースは高橋選手とあまり変わらず、55秒台。46周目には9位にいた47号車が101号車との間に割って入り、8位となる。着かず離れずで終盤の勝負か?このレースでの101号車今までのレース運びとは違う。
 ところが、48周目、そんな101号車との勝負等、全く問題外の事態が発生!
 メインポストより「D2」のボード。“ゼッケン2”に対しドライビングスルーペナルティである。
 この時点では「No2:黄旗追越」とのモニター表示のみで、いつ?どこ?と言った詳細は不明。
 しかし直ちに実行しなくては失格となってしまう。

 < レース後「ドライブスルーペナルティ」の理由を競技長に尋ねたところ、41周目の単独スピンをしたコーナーは、直前にスローダウン、ストップした31号車に、セーフティーゾーンへの撤収作業が行われておりイエローフラッグが振られていた。そうした黄旗区間でのスピンは、充分減速されていなかったと判断され、ペナルティの対象となった。 >

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ただ虚しくピット前をスルーする高橋選手。レースの明暗を分けたペナルティ

 50周目ピット前を60km/hで高橋選手が通過。約24秒を失い、10位で復帰。まだポイント圏内には踏みとどまっていたが、101号車は労せず8位へ。
 レースはここで決した…と言える。
 よく“レースは何が起こるか判らない”と言われるが、それは今回2号車が“起こして”しまった事であり、残り10周の間に期待するのは、まさに奇跡的出来事であろう。
 スルー以降は、9位、そして後の11位共に水を空けられ、単独走行となった事、ならばこの1ポイントを大事にゴールまで運ぶ事である。
 そしてモチベーション(多分…)と、グリップの下がった、高橋選手とタイヤを労わりつつ57秒台で周回。
 クラストップ62号車から1周遅れとなる59周10位でチェッカー。以前ランキングトップは保ったものの…
“労多くして功少なし”のレースウィークでした。

2007年 SUPER GT第8戦 GT300クラス
予選3位 : 決勝10位
獲得ポイント チームポイント1点+2点(トップから一周遅れ)累計92点
ランキング 1位
ドライバーポイント3点(1点+1点:予選3位+1点:決勝ベストラップ) 有効累計78点
ランキング 1位
*2007年は第1戦から6戦内、上位4戦のみが有効とされる為、第3戦の7点と、第4戦の0点は累積されない。
第7戦から最終9戦までの3戦は全て有効となる。


最終戦富士でのチャンピオン争いは4台に絞られました。
1位   2号車 78ポイント
2位 101号車 74ポイント(-4)
3位  62号車 68ポイント(-10)
4位  43号車 62ポイント(-14)

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レース後、メカの食事は、“遅い昼食”から“早い夕食”の時間帯に…。
 
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終わったレースはしようがない。車両保管解除となったマシンからデーターを吸い出すシンちゃんと、次の最終戦に向け話し合う加藤選手。

 紫電の様に、重い割にパワーの少ない(決して戸田レーシングエンジンが悪い訳ではありません。リストリクターで絞られているからです。)マシンの場合、Stop&Goサーキットは得意ではありません。
 逆に中高速コーナーでタイムを稼げるサーキットは比較的得意です。
 前者は岡山国際サーキットやツインリンクモテギであり、後者はセパンや、SUGO、そしてここオートポリスです。
 事実2006年ではキッチリその兆候は現れ、不得意サーキットは無得点。得意なサーキットでは3位初表彰台や、ここオートポリスでは初優勝までもしています。
 勿論そうした欠点を克服する為、メカニック、エンジニアは知恵を絞り改良を重ね、タイヤメーカーも各種改良を加え、エンジン屋さんもパワーを絞り出しています。
 そしてドライバーもそれらに応えるべく、マシンの性能をフルに引き出し攻め立てます。
 そんな甲斐あってか?第2戦岡山、は開幕鈴鹿と同じく2位の連続表彰台!と、苦手なサーキットでも良いパフォーマンスを示すと思われたが、セパンは思わぬ路面改修の為、セットが合わず惨敗ノーポイント。SUGOは辛くも4位。しかしここオートポリスでは高橋選手の、ケアレスミスが順位に大きく影響し、辛うじてポイント圏内の10位と、まったく噛み合わなかったのですが、マシンはデビューの昨年に比べ確実に進歩しており、逆にモテギは予想とは反対の6位と大健闘。
 そうかと思えば、オールラウンダーとも言える101号車の1~4戦で見せた、怒涛の勢いは、5戦からこの8戦までパタリと止まってしまった。
 この様に筋書き通りに事が運ばないから、レースは面白いのかも…。って、それは見ている側の話しで、早く楽になりたいですね。
 いよいよ最終第9戦は富士。ここは中高速コーナーでタイムを稼げるのだが、トップスピードも大きく影響する、紫電にとって得意と不得意が混在するサーキット。
 果たしてどんなドラマが、今年を締めくくる事になるのか!

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