モータースポーツ

SUPER GT 2008SERIES 第7戦 ツインリンクもてぎ

シリーズ中盤4、5、6戦は得意とするサーキット。ここで高順位、高得点を稼ぎランキング上位(トップ希望!)をキープし、終盤へと突入するはずだったが、3戦合計で僅か7ポイント!
しかも、前第6戦、鈴鹿1000kmでは、23戦続いた紫電の連続完走記録も途絶え、初リタイヤを喫しランキングも8位へとダウン!チームのモチベーションは下降気味。
そこに加え、今回第7戦のモテギは紫電がもっとも不得意とするサーキット。チャンピオン争いの仲間に入れるのか・・・?
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SUPER GT MOTEGI



開催日:2008年9月13・14日
サーキット:栃木県 ツインリンクもてぎ
マシン名:プリヴェKENZOアセット・紫電
ドライバー名:高橋 一穂・加藤 寛規




9月11日(木)設営

 紫電はデビュー当時から、車重の大きさに加え、リストリクター(エンジンの吸入空気量を制限する為の吸気口)を絞られ、とにかく相対的にパワー不足。
 立ち上がり加速、トップスピードでは大きく遅れをとっており、トップスピードが大きく影響する富士、低速コーナーの多い岡山、ストップ&ゴーのモテギは不得意なサーキットであり、反対に、高速コーナーや高速S字がある、鈴鹿、菅生、セパン、オートポリスは得意とした。
 実際にはもっと複雑な要素も絡んでいるのだが、大雑把にはこんな感じである。
 その高いコーナーリングスピードに、更に磨きをかけるマシン改良、それに呼応したエンジン改良も進み、トップスピードで稼げない分を、それ以外の場所で稼ぎ、オールラウンドなマシンへと進化し、岡山、富士でもポールポジション、表彰台は獲得していった。
 そうした努力も、ここモテギではまだ追いつかず、唯一のポールポジション未獲得サーキットであり、セパンと共に表彰台未獲得のサーキットである。
 また第6戦までは、4戦のみ有効ポイント制の為、6戦中2戦の低得点は累計されないが、ここからの終盤3戦は全て累計されるので、1戦も落とせない。
 ここモテギの為に、マシンへのアイテムは特にないが、ドライバー用のアイテムがひとつ。
 鈴鹿ポッカ1000kmには間に合わなかったが、9月ならまだ効果が期待できる、ヘルメットクーラーである。
 クールスーツ用の氷水を利用した冷風を、ドライバーのヘルメット上部のエアインレットへ、ホースとカバーを使い直接導き頭頂部を冷やすのある。
 これも特に目新しい装置ではなく、既に利用しているチームもあるが、市販されていない為、全てスペシャルである。
 効果は絶大だが、故障するとかえって暑さが倍加してしまうクールスーツと異なり、万一故障しても悪影響は無い。
 ヘルメットのエアインレットは、ハコ車の場合、元々風は入ってこない・・・。
 ドライバー交代時に、ホース接続の作業が増える程度である。

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完成したヘルメットクーラー。チョッと判りにくいが頭頂部全体が透明カバーに覆われ、既存のエアインレットから冷気をヘルメット内部に送り込まれる。
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ホースはこんな感じで取り回され、チョッと物々しいがそれほど違和感は無く、効果と差し引けば充分おつりがくる。
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冷気はこの配水管を利用した、ここの内部にクールスーツ用の氷水を循環させ、ここを通った外気を冷やしヘルメットに送る。開発秘話はゆらたくブログ9月13日「頭を冷やせ」をご覧ください。

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セパンの乗降時に配線にシューズが引っかかり無線が不調となった。その対策として配線類を覆うカバーが新設された。
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チャンピオン争いから大きく後退し、注目度も無くなり、もう依頼は無いかと思ってた“激G”収録用車載カメラ。(学習用Xactiの向こう側)
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ついに無くなったハンディウェイト!これはうれしいと言う訳ではない。



9月12日(金) 練習走行 晴れ

 そのポイントランキングも、昨年、一昨年とチャンピオン争いの話題を集めた我がチームだったが、先の鈴鹿1000kmのリタイヤ、ノーポイントの為、3位から8位へと大きく後退し、話題から外れつつある。
 残り3戦の最終戦富士、第8戦オートポリス、ここを単なる(チャンピオン争いから脱落した)消化レースとなるか?ならないか?は、ここモテギ次第である。
 そんな中、唯一の好材料は、前戦鈴鹿のリタイヤを受けウェイトハンディが無くなり、今シーズン開幕戦以来の最軽量で挑める事である。
 またマシンは不得意だが、ドライバーは、意外にそれ程不得意ではないと思われる。
 勿論それは高橋選手の事であり、加藤選手は一発タイムもレースラップもトップレベルである。
 その高橋選手、練習走行を充分こなせば、レースラップも充分行けるはずである。・・・・っが、その貴重な練習走行を走る事ができない。
 それは鈴鹿1000kmで周回遅れにマシンに衝突した件で、ペナルティを受け、SUPER GTのモラルハザード制度の加点対象となり、その累積により金曜練習走行、午前セッションが走行禁止となってしまったのである。
 しかも、高橋選手7月に行われたモテギ合同テストも仕事の都合上参加できず(加藤選手のみの走行となった)、走りこみは完全に不足している。
 当然午前の走行は加藤選手のみによる、各種セット変更を加えた走行となり、午後はみっちりと高橋選手のみの練習走行となった。

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今日午前セッションの走行は加藤選手のみ
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7月末、モテギ合同テストも加藤選手のみだったので、走り込みは充分すぎる。
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しかしテスト時は鈴鹿優勝前提でテストしており、今回はそれから-70kgとなり、セッティングはかなり変わる。

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ここモテギだけのノックダウン予選に備えタイヤテストも行う。
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そんな各種セット変更を繰り返す前に出したタイムは4番手。ダントツは19号車で2番手に1秒以上の差を付けた。


 

ところが午後、トラブル発生。
 パワーステが重い!
 データーを見るとどうやら電気不足?発電機(以下:ACG)がパンクしたようだ。
 勿論スペアはあるが、時間が掛かり過ぎる。
 走行時間が勿体無いので、バッテリーを交換し、電気が続く限り走り続ける事にした。
 ジンクスでは無いが、これまで紫電はレースウィーク中、決勝レース以外のセッションでは何かしらマシントラブルが発生し、それらのタイミングがいつも絶妙であった。
 今回も何の前触れも無いトラブルで、決勝中に発生しても何ら不思議でないトラブル。
 この様なトラブルが全く無かったのが前回鈴鹿ポッカ1000kmであり、それが連続完走記録が止まったレースでもある。
 これをジンクスと呼ぶなら、今回のレースは安心できると言えよう。
 だが、モテギ1年振りの高橋選手のタイムは伸び悩み、何とか2分を切る程度で、58秒台は僅か1周!しかも58″9・・・。
 レースラップでももう少し縮めなくてはならず、予選では57秒台でないと、第1セッションでノックダウンされてしまう。
 本人は「大丈、夫大丈夫」という事だがほんとかな~。

 またNEWアイテム、ヘルメットクーラーは、

  加藤選手「スイッチを入れた“時”は感動モン!!」
 慣れてしまうと、感じないようだが、得てして快適“贅沢品”とはそういう物だ。
 冷却効果が無くなる訳ではない。
 今回の心強いアイテムとなりそうだ。

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午後からは、やっと高橋選手の走行。しっかりと練習走行に当てるはずだったが・・・。
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数周でトラブル発生。ピットイン。今回赤旗は出ない・・・。
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ACG(発電機)の故障。電気不足は、まずパワステに影響が出た。

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ACGを交換する時間は無いので、バッテリーを交換して電気の続く限り走る事にした。
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マシンはそれなりに回復。だが高橋選手のタイムは伸び悩む。
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ACGはスペアエンジンから取り外すが、エンジンを降ろさないと交換できないか・・・?

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取付ボルトの長さと、スペースを比べ、車載状態でも交換できる事が判った。
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明日の予選用マーキングタイヤを準備するのは、カーズ東海からの長崎サービスマン。レーススタッフ体験。




9月13日(土)予選 晴れ

今回は予選方式が異なる。
 午前1回目予選は、今まで同様2名のドライバーが基準タイムをクリアする事だけで、午後2回目の予選に進む事ができるが、他のサーキットで行われるSUPER LAP(スーパーラップ:以下「SL」)方式の様に、1回目予選の上位10台による、1台ずつのタイムアタックでグリッド順を決めるのではなくKnockDown(ノックダウン:以下「KD」)方式。
 これは3回のセッションで行われ、15分間の第1セッションはクラス全車(今回GT300クラスは25台)が出走、その間の計測タイム上位20台が、10分間の第2セッション進出でき、そこでの上位10台が、同じく10分間の最終第3セッションに進出できるのである。
 また昨年同じここモテギで行われた(今のところモテギ以外では行われていないが・・・)KD予選では、この3セッションは全て同じドライバーが出走してもよかったが、今年は3セッション共出走した場合、もう1人のドライバーもいずれかのセッションを担当しなくてはならない。
 この予選方式の主な狙いとしては、これまでのSLでは、1人のドライバーしかパフォーマンスを披露する事ができないが、これなら2名のドライバーがパフォーマンスを見せる事ができるという事である。
 だが、これで上位にグリッドを獲得するには、両ドライバーがそれなりのタイムを出せなくてはならない。
 両ドライバーがタイムアタックを得意とするのであれば良いが、1人又は両名共アタックを得意としない場合、どこかで先のセッションに進めなくなってしまう。
 では、我々のチームは?と言うと・・・加藤選手はこれまでにも何度もSLでトップタイムをマークしポールポジションを獲得しており、全く問題無いが、高橋選手は、レースアベレージは向上しているものの、こうしたイッパツタイムは全くもって不得意。
 となると、高橋選手をどこで起用するか?第1、第2セッションを加藤選手で行けば確実に第3セッションに進めるだろうが、恐らく10番グリッド確定となるだろう。
 もっとも、両ドライバー共が上位タイムをたたきだせる様なワークス系チームならともかく、プライベーターの多い300クラスでは、多くのチームが同様の悩み?を持ってこのKD予選に挑んだ事であろう。
 第1セッションを確実にクリアする為、いきなりエースドライバーを出すか?次のセッションまで温存するか?
 300クラス全ドライバー50名中どの辺りに位置するか?試されるセッションとなった。

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57秒台に向けてビデオ学習中の高橋選手。
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予選開始直前、アンダーパネルを支えているステーの破損を発見!
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リベットで応急処置。セッション直前のトラブルは良い流れ?だとすると迷惑なジンクス。


 まずは午前、1回目予選。
 ここでは両ドライバーが基準タイム(上位3台の平均ラップタイムの107%以内)をクリアするだけで良い。
 高橋、加藤両ドライバーともそれぞれ1′57″962と、1′57″042で難なくクリア。
 高橋選手にとっては、300占有時間をフルに使用し、NEWタイヤによる計測8周の最終周で、やっと入った昨日からの自己ベスト、57秒台。
 加藤選手にとっては、500との混走セッションでの残り時間を練習不足の高橋選手の走行時間に充てる為、2周計測のみでタイヤ温存ドライビングで出した57秒台。
 結果は0.9秒差だが、プロセスにはかなりの隔たりがある・・・。
 高橋選手から加藤選手の乗り換える際に、タイヤを外し氷水で冷却。
 これは午後2回目予選KD予選で第2、第3セッションへ進む際にもタイヤ冷却を行うので、そのシミュレーションである。
 この予選に出走した300クラス25台にとって、この基準タイムは(今回は2′04″291)何ら問題とはならず、全車KD予選で第2セッション進出を掛け午後予選を戦う事となる。
 っと思われたが、なんと1台が予選をクリアできなかった。
 それは、昨日の練習走行でも、つい先ほどの1回目予選でもトップタイムをマークしていた19号車ISが予選後の再車検で不備が発覚、予選タイム抹消となってしまったのである。
 となると、午後予選、第1セッションでどんなタイムを出そうと、第2セッションへは進めないどころか、唯1台の1回目予選不通過の為、最後尾グリッド確定なのである。

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タイヤ冷却用に用意された氷水。
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午前予選で使用されたタイヤは、午後ND予選では使用しないので、しっかりと走りこむ。
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午前予選は基準タイムクリアだけだが、高橋選手にとってはKD予選の為の走りこみ。おろそかにできない。

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高橋選手走行が走行した300占有セッションが終了。タイヤを氷水で冷やす。
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500との混走セッションから加藤選手走行。
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KD予選での“水冷”タイヤの感触を掴む。



 それは、ともかくこの予選で計測13周、トータル17周と全ドライバー中最も多く周回した高橋選手。
 1回しか57秒台は出なかったが、いつも走り込むほどタイム上がる事だろうから、午後予選でも57秒台はいけそうな感触である。

 結局、高橋選手の練習タイムから第1セッション20位以内には食い込めると判断。・・・いや、決断し、高橋選手に第1セッションを切り抜けてもらう事とした。
 このKD予選はもうひとつ試練があり、通常予選用タイヤは2セット用意されているが、KD予選で使えるタイヤは、その内1セットのみなのである。
 仮に最終的にポールポジションを始めとする、上位グリッド決める第3セッションに進んだ場合、既に6~10周近くを走行したタイヤでアタックする事になる。
 午前1回目予選で使用したタイヤは基準タイムをクリアしただけのタイヤなので、まだ充分アタックできるタイヤだが、これは使用できないのである。
 従って第1セッション、第2セッションでどれだけタイヤを温存できるか?
 これはドライビングテクニックによっても、大きく左右される。
 高橋選手が使い切ってしまっては、以降のセッションにおいて加藤選手が不発となる可能性もある。
 そうは言っても、朝飯を食う前から、昼飯、晩飯の心配をしてもしようが無い。
 まずは目の前の事からかたずけなくては・・・。
 午後2時50分、第1セッションは高橋選手に託され開始された。
 少しでも軽くする事、タイヤを温存する事、3周計測できれば充分と、高橋選手の力強い言葉もありアウトインラップ含め5周分の燃料だけにし、殆どのマシンがコースに出たあと“受験生”を送り出す。
  エンジン始動時に、
 高橋選手「何か変な音がした~」
 スターターを回した時だけ、なんか金属音がしたようだ。
 かと言って、今更どうしようもない。
 シンタロー「走行に支障が無いなら、そのまま行ってくださ~い。」
 計測1周目1′59″170。
 まずは12番手だが、他のマシンも徐々にタイムを上げ17番手辺りに落ちた頃2周目58″079をマーク。
 これで再び12番手に上がるが徐々に後退16番手に落ちる。
 そして3周目のタイムは・・・58″116!タイムUPならず!
 シンタロー「燃料も無いので帰ってきてくださ~い。」試験終了。
 あとは“合格発表”を待つだけだ。
 直後に500クラスボードが提示され、最終アタックに入っていたマシンがコントロールラインを通過。
 これらがどれだけタイムUPしているか・・?
 祈る様に計時モニターを見つめるが、徐々に順位が下がり、なんと21番手にまで落ち第1セッションで不合格!

 
 だが、この計時モニターは走行全車が表示されており、1回目予選のタイムを抹消された19号車も驚速タイムで1位表示されているが、残念ながらかれらはこのセッションでは基準タイムをクリアしたに過ぎず、第2セッションには進めない。
 従ってひとつ繰り上がり、20番手で滑り込み“合格”である。
 因みに21番手とのタイム差は1000分の66秒である。
 正に“滑り込み”!!
 
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マシンも順調。昼休みを取るメカスタッフ。テント下の日陰より、この辺りが一番涼しい。
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結構気温も上がってきた。
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第1セッション出走直前の高橋選手に声をかける加藤選手。こタイム如何では、加藤選手の午後の仕事は無くなる。

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不安げなスタッフに見送られ、ピットを後にする高橋選手。
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3周計測するも、午前予選を上回るタイムはでない。
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“合格発表”・・・“受験番号”は・・・有った有った。



 とにかくバトンは繋がった。
 タイヤを冷却。
 この季節で5周を消化したタイヤ。
 イッパツタイムの“旬”は過ぎてしまったかもしれない。
 次(第3セッション)もあるので計測1周(アウト、インラップ含め3周)だけにすると言い残し、加藤選手が10分間の第2セッションに向かう。
 そこで出たタイムは56″204!!
 そこで出た高橋選手の言葉「カトチャンすげ~な~。」
 20台中2位。
 文句無く上位10台と共に第3セッション進出。
 この時点でトップは26号車。56″203。
 10位は56″719。
 約0.5秒に10台がひしめく激戦となった。
 更にグリッド争いが熾烈になる第3セッション。
 抜き所の少ないここモテギではグリッド位置は重要である。
 果たして各マシン(タイヤ)どれほどの余力を残しているか?
 因みに第3セッションへ出走するドライバー10名は、全て第2セッションと同じである。
 再び“冷却タイヤ”で10分間の第3セッションスタート。
 加藤選手はなんと計測1周目で、このレースウィークベストタイム、1′55″972!!
 アッサリとトップタイムである。
 カトウヒロキ恐るべしである。
 ところが、ここモテギの昨年の覇者、26号車が次の周に55″739で逆転。
 それを聞き、加藤選手更にもう1周アタック。
 55″751まで短縮するも1000分の12秒届かず時間切れ・・・。
 セカンドグリッドが確定。
 SUPER GT開催全サーキットでの、ポールポジション獲得を僅かなところで逃した。
 だが全サーキットの中で、紫電にとって“鬼門”とされるここモテギでのセカンドポジションは、ポールポジションにも匹敵。
 予想外、いや“以上”のグリッド。
 鈴鹿ポッカ1000kmでダウンを喰らった“チャンピオン争い”のボクサーは、カウントエイトで再び“ファイティングポーズ”を取った。
 あとはどれだけ反撃ができるか・・・?
 明日は秋晴れ予想!

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第2セッション進出が決まり、タイヤ冷却に“熱”?が入る。
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加藤選手、午後の初仕事。第2セッションに向かう。
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1周の計測のタイムで、アッサリ第3セッション進出を決める。

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続く第3セッション。本格的アタックはこれから・・・?
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早めに暫定ポールのタイムを叩き出した加藤選手だったが、26、62号車が時間ギリギリまでアタック。
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結局ポールは逃すが、セカンドポジションGET!これはここモテギでは、充分すぎるポジション。

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素晴らしい仕事を終えた加藤選手。
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この時間でも結構気温は高いが、湿度は低く、さわやかな秋の一日。
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予選後のキッズウォークでサインを求められる高橋選手。ここでは良きオッチャン。

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テストも含め充分走りこんだモテギ。レシオ変更は無いが、内部の状態を点検。
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始動時の異音は、シートベルトの余り部の金具が、フロアに触れていた為のビビリ音と思われる。




9月14日(日)決勝 晴れ

朝晩めっきり涼しくなり、深まりゆく秋の気配を感じられるが、日中は30℃前後が予想され、戦うドライバーにとっては、まだまだ過酷なレースとなりそうだ。
 路面温度もかなり上がりそうだ。
 
 朝のフリー走行は、満タンマシンで加藤選手から・・・。
 かなり走りこんだユーズドタイヤで57秒前半。
 気温が上がってくる決勝レース、NEWタイヤからのレースラップもこれぐらいはいけそうな手ごたえ。
 その後の高橋選手は59秒~00秒が精一杯。
 レースを戦うにはあと1秒は足りない。
 フリー走行を時間一杯走行した高橋選手、フリー走行の後、恒例イベントとなったサーキットサファリも目一杯走る。

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水戸のホテルを出る時に雨がパラついたが、これっきり。
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朝晩は暑からず、寒からずの良い陽気だが、午後には30℃位にはなるだろう。
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この3日間で最も雲が多かったが、雨の心配は全くない。

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高橋選手のフリー走行直前、ロガーを見せ、ウィークポイントを伝えるエンジニアのシンタロー。
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フリー走行中、他のマシンのラップタイムを書き留める加藤選手。レースの組立の材料となる。
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今回も給油時間が短く、ピットストップも短い。ドライバー交代練習も重要。




 今回も給油時間は極力短縮。

 ピット勝負でも負けぬよう、前夜、メカもピットワークトレーニングを重ねている。
 それを活かすべく入念なドライバー交代練習も行われる。
 ヘルメットクーラーのパイピングが増えているが、ドライバー交代で遅れをとるわけにはいかない。
 このフリー走行でも特に波乱も無く、“高橋選手がドライブすると赤旗が出る”という、もうひとつのジンクスは当てはまっていない。
 メカスタッフも普通に昼食をとる事ができ、マシンも順調。

 気温も30℃をやや上回った、定刻午後2時フォーメーション開始。
 とっ、ここで500クラスの100号車と、300クラス6番グリッドの33号車がスタートできない。
 100号車ピットへ、33号車は大きく遅れながらも、最後尾で隊列に加わる事ができた。
 パワーもあり、ここモテギを得意とする33号車の後退で、後方の脅威がひとつ消えた事は我々にはありがたい。

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日差しが強く、テント内が暑いので、こうしたシートを掛けてみた。見た目は悪いが効果は抜群。
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思わぬグリッドに、エンジニア、シンタロー正に左団扇。
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グリッドへのゲートは入場を待つメカ、スポンサー、レースクイーン等々でごったがえす。

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グリッドNo19が“紫電の前”に出ている。何かの暗示か?全く関係無い。
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RQのパラソルを分捕った高橋選手。左は05年VEMAC参戦時代、R&Dの井上メカ。現在は62号車担当。
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キメのポーズ。って訳ではない。

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激Gインタビュー。オンエアされるか?どうかは結果次第。
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このレースの結果如何で、残り2戦が消化レースになってしまうかも・・・。プレッシャーの掛かった1戦だが、なんらいつもと変わらぬ2ショット。
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スタート直前の加藤選手。この人、プレッシャーが掛かった状態を見た事が無い。気合が入ったとこは見るが・・・。



 スタート!
 オープニングラップはグリッド通り26号車に続いて2位。
 3位62号車、4位110号車、そして77号車、11、66号車がトップ7。
 2周目ファステストラップ狙いで57″166のベストをマーク。
 (惜しくも最終的には、1ポイント得られるトップ3ファステストとはならなかったが・・)
 4周目、62号車が3コーナーでスピン!遅れる。
 この後トップの2台は2~3秒前後の差を保って、見る側にはとっては退屈なトップ争い、いやランデブー走行を続ける事になるが、実際は・・・
 加藤選手「ポルシェにゃ手が出ないな~。」
 加藤選手のタイムは57~58秒台でそんなに遅れは取っていないが、(このモテギのプログラムに紹介されていた様に)名物となった、ロングスティントに備え、58~59秒にペースを落とすが、3位との差を詰められる事もない。
 その3位以下は、見る側にも面白いレースを展開。
 5周目に、110、77号車入れ替わり、9周目には66号車が11号車をパスし5位。
 そして14周目には再び110号車が77号車を抜き返し3位へ・・・。
 16周目には66号車が77号車を抜き4位へと上がる。
 こうした3位以下の争いの、更に後方が何やら騒がしくなってきた。


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スタート。短いストレートながら、パワーを活かしてポールの26号車が先行。
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2位以下はダンゴ状態になると思われたが・・・。
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序盤は26号車と2号車が、ランデブー?走行で先行。



 最後尾からレースを始めたマシン、景山選手駆る33号車と織戸選手の19号車が怒涛の追い上げを見せ、8周目には33号車、19号車それぞれ10位と12位、9周目には10位、11位!
 百戦錬磨の彼らだが、ここから先は簡単には行かせてもらえない。
 しかし追撃の手が緩む事は無く、13周目にはそれぞれ9、10位へとコマを進める。
 22周目、ポイントランキング2位の43号車が10位走行からピットへ入る。
 こうしてレースは別の形で動き出すが、上位陣のピットへの動きは遅く、25周を終え、トップは変わらず26号車。
 0.8秒差で2号車加藤選手、4.8秒差で110号車、4.6秒差で66号車、そのあと77、11号車と続き、そしてなんと7、8位に33、19号車がこここまで上がって来ている。
 とりあえず26、2号車のワンツー2台が、3位以下を引き離す・・?展開である。
 レースも約1時間経過した28周目、クムホ勢でもっとも上位の110号車が突然スローダウン!脱落(と言っても充分入賞圏内)!
 トップ26号車に0.4秒差、テールtoノーズの2号車。
 加藤選手「500来てる?500来ないと抜けないな~。」
 500を利用して26号車を抜こうと作戦を立てているようだ。
 29周を終え、最終ビクトリーコーナーへ差し掛かる直前、突然26号車がピットイン!
 ピッタリ付いていた加藤選手、「あせった~ー!」
 26号車の思わぬ動きにややビックリ!
 前が開けた事でペースUP。
 と言っても、“タイヤも終盤”59秒台中盤が精一杯・・・か?
 32周目には上位33号車と66号車もピットイン。
 給油時間の長い両車はピットストップが長い。
 33周を終え、トップは2号車、13秒差で2位11号車、そして更に3秒後方、3位には19号車、これら3台は未だノーピット。
 
 シンタロー「19(号車)は58秒台で~す!」
 加藤選手「58(秒台)は出ね~な~。」
 35周目58″343!
 36周目58″736!! 嘘つきである。
 このタイムは、NEWタイヤに変わった直後、思いの他ペースの上がらない26号車とのリードを広げている。
 35周時点の燃料消費量計算しから、給油時間も上位チームの中で最短で済みそうだ。
 36周を終え、まず19号車がピットイン。
 順調に作業は進みピットアウト。5位で復帰。
 38周目11号車もピットイン。
 しかしピットストップとアウトラップの遅れから19号車に抜かれてしまう。
 そして41周と、全車の中でもっとも引っ張り2号車加藤選手がピットイン。
 好燃費による短い給油時間、Panklのハブ、ナットを生かしたタイヤ交換練習の成果、そして何度も繰り返したドライバー交代練習これらが全て功を奏し、少なくとも上位チームの中では最短時間で、高橋選手をトップでコースに送り出すことに成功。

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26号車とのランデブー走行は、26号車が先にピットインするまで続き、以降はレースの流れが変わる。
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交代準備を整えた高橋選手。順当に行けばトップで復帰できるはず・・・。



 順位は2、26、66、19、110号車の順であるが、ピットアウト直後、2位とは16秒差、2位から4位の3位は接近戦となっている。
 高橋選手のアウトラップ2′05″639も、19号車の2′03″367を除けば決して見劣りするタイムではない。
 アウトラップの間に、2位以下の3台は激しいバトルを演じており、その主役は最後尾から追い上げて来た19号車。
 44周目、トップ2号車高橋選手。
 2位以下-7.6秒で66号車 3位-1.1秒で19号車 4位-1.1秒26号車 5位更に-10秒で110号車。
 残り周回は恐らく14~15周。
 2号車高橋選手は59秒台だが、66、26、更には110号車も58~59秒台。
 ところが、19号車だけが57~58秒台のハイペース。
 逃げるにはもう少しペースを上げなくては・・・。
 45周目、2分フラットと良くも悪くも無い目立たないラップで帰ってくるなり、
 高橋選手「目の前で(他のマシンが)スピンしてチョッと当ったけど大丈ブ~!」
 翌周ピットから見るが、特に問題無い様に“見える”・・・。
 この接触は正に間一髪だったようで、この危機回避は流れを引き寄せたか?
 この後からタイムが向上。
 レースラップとしては全く申し分無い58秒台を連発!!
 シンタロー「いいタイム!いいタイムです~!」
 ところが46周目、66号車をパスし、ついに2位に上がった19号車は相変わらず57~58秒台。
 48周目19号車と4秒差。
 49周目3.2秒
 シンタロー「残り10周ガンバッテー!!」
 50周目1.9秒
 2号車が見えて(多分)から47周からの19号車、ずっと57秒台である。
 高橋選手のペースも全く悪くなく58秒台。
 3位66号車との間隔は、多少の伸び縮みこそあれ、脅かされる物ではない。
 19号車が異常に速いのである。
 19号車が1秒うしろにピタリとついて52周目に突入。
 残りは5~6周。
 奥のヘアピンまではトップを守った高橋選手だったが、立ち上がりでテールスライド。
 一気に差を詰める19号車。
 裏ストレートを駆ける2台。
 最高速で勝る19号車がストレート中間点辺りで、2号車をパスし前に・・・。
 追走するが、グングンと離され、ピット前を通過した時点での差は0.7秒。
 翌周は0.9秒とリードは僅か。
 しかし54周から、再び57秒台にペースが上がった19号車にマイナス1.9秒。
 3位との差も縮められる事もなく、集中力を切らさず追走する高橋選手。
 まだまだワンチャンス圏内である。
 56周目最終コーナーで砂煙が上がる!
 19号車がビクトリーコーナーを左から右に切り返す。
 この時、左コーナーで膨らみ、次の右コーナーのインをショートカットする様にコースアウト!
 しかし“勢い”に乗る、19号車うまく立て直しに成功。
 高橋選手との差が僅かに詰まったものの、そのまま58周まで逃げ切り、驚異のテールtoウィンを達成してゴール。
 その1.7秒後、高橋選手がここモテギでは値千金の2位チェッカーを受ける。

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高橋選手、素晴らしい走りを見せたものの、終盤ヘアピンでミス!最後尾からやってきた2位の19号車に追いつかれる。
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裏ストレートで並ばれ、そのままオーバーテイクされる。
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終わってみれば2位。充分すぎる結果。

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表彰台で19号車の阿部選手を称える高橋選手。年の差29歳。
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今シーズン3度目、第3戦以来の表彰台。
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残り2戦も、白熱レースを楽しめそうだ。



2008年 SUPER GT第7戦 GT300クラス
予選2位 : 決勝2位
獲得ポイント チームポイント15点+3点(トップと同一周回ポイント)累計66点
ランキング 3位
ドライバーポイント17点(15点+2点:予選2位)累計55点
ランキング 3位
 ドライバーポイントはシリーズ全9戦のうち最終3戦(Rd.7~9)のポイントは全て有効とし、上位7戦のポイントを対象として有効ポイントを算出する。*第5戦1ポイントと第6戦0ポイントは累計しない。



 会心のレース!
 これまでもいくつかこうしたレースはあるが、ここモテギでこの順位は優勝以上のできと言える。
 今回、ランキングで大きく落ち込んでやってきたモテギ、明るい材料はハンディウェイトが無くなった事だけだが、これでも最低でも5~6位、“運良く”表彰台(3位)に昇れれば上出来と思っていた。
 ところが、予選、決勝共に2位!
 しかもランキング上位のマシンが殆ど下位に沈むと言う、願ってもない状況で一気にランキング3位!
 昨年同様、チャンピオン争いに加わる事ができ、最終2戦が単なる消化レースとならずにすみそうだ。(最終戦は判らないが・・・)
 レースそのものは予選から薄氷もので、レポートにある様に、19号車の予選落ち、それに助けられた形の、高橋選手ギリギリ第1セッション通過。
 これで、もし(KD予選、第1セッションでKDとなった場合)21番以降のグリッドからスタートしていたら、加藤選手が力走しても、精々前述の順位が精一杯だろう。
 そこは実力?というか、運、とでも言うべきか?最高の流れを引き寄せる事に成功。
 特に高橋選手は、練習、予選ではいまひとつだったが、決勝レースではそれを払拭する素晴らしい走りを見せ、トップをキープ。
 結果的にはトップを奪われたが、あれは優勝した19号車の“勢い”が、“速さ”が、ずば抜けていたのであり、それ以外のマシン(3位以下)とは充分リードを保つ事はできたのある。
 また1000kmの教訓から、今日のレースは何を成すべきかを充分判っていた。
 トップを死守するのではなく、結果を残す事。
 残り5~6周の裏ストレートでオーバーテイクされたのも、彼らがトップを“勝取った”のであって、高橋選手が“明け渡した”訳でも、“譲った”訳でもないし、抜かれた後も集中力を欠く事無く、全力で追走し続けた。
 彼ら19号車が、ミスをしたらいつでもトップを奪える位置にいる為に・・・。
 事実、終盤そうした場面があったが逆転には至らなかっただけである。
 レースの世界では結果が全てであり、負け惜しみかもしれないが、正直な感想としては、本当に2位で充分だった。
 残り2戦となって、チャンピオンの資格を有するポイントを稼いでいるのは(机上では)現在14位まで。
 この7戦を終え、ランキング7位までのチームで優勝が無いのは我々だけ。
 次のオートポリスは“勝ち”に行く。
 この場合の“勝ち”は無論優勝である。


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DATE:2008/10/03