モータースポーツ

2011:SUPER GT第3戦

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“灼熱の”と形容される、SUPER GT唯一の海外マレーシア、セパン戦。
しかし、ここセパンだけが暑いわけでは無く、むしろ次のSUGOや、鈴鹿Pokkaの方が暑いほどである。
セパンは、船便でマシン、機材を送る関係上、前のレースからのインターバルが短くメンテナンスの時間が充分取れないこと、また現地で万一の事態、大きなクラッシュや、パーツの故障、破損があった場合に対応できない可能性がある怖さがある。
幸い岡山ではクラッシュや大きな破損も無かったものの、月曜日に戻ったマシンと機材を、三日後の木曜日までに整え、金曜日には倉庫搬入するのは結構タイトなスケジュールである。
前戦岡山では、レース序盤、コースサイドの縁石に乗り上げたショックで助手席側のドアが開いてしまうというトラブルに見舞われ大きく後退してしまったので、ドアキャッチ周辺の見直し、対策は忘れない。
セパンの場合、チームは木曜日夕方現地入り。時差はマイナス1時間。

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いつもクアラルンプール国際空港で出迎えてくれるI・M JIHANのシャーミン君。
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ピットには既に機材が入っている。
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レンタル品も届いているが、これらの不備(不良)には閉口してしまうが・・・慣れた。
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マシンも無事?に到着。セパン用、「I・M JIHA」ステッカーはこれから・・・。
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こうした目貼りは絶対必要。それは・・・
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他のピットで煙が・・?パドックの噂ではどうも輸送中悪戯でエキゾーストにオイルが入れられた様で、暖気でこの状態になった。エキゾーストの目貼りにも穴が開いていたらしい。大事には至らなかったが・・・
翌金曜日朝、サーキットへ入り、約3週間振りにマシンと対面。
通常のレースウィークと同様、この日は設営のみでSUPER GT“関連”の走行は無い。
ただ、国内サーキットと違って、初めてや、年1回、このイベントでしか走らないドライバーの為に、「コースウォーク」という形で徒歩による下見ができる。
数年ほど前は、レンタカーライドということで、レンタカー等、持込み“足”車での下見走行ができたのだが、下見とは言え、走りが過激な(方も見え・・)為、車による下見は無くなり徒歩または自転車での下見となった。
高橋、加藤両ドライバーもエンジニアと共に下見に出かけたが、やはり徒歩でコースを見る事はコースの微妙なアンジュレーションが分かり、スキルアップには重要なようだ。
因みに、ここセパンではコースサイドのグリーンや、タイヤバリア等にはヘビや、結構でかいトカゲがいるので要注意らしい。(この日は見かけなかったけど・・)
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コモンルームのタペストリー兼日除け。今年はエヴァヴァージョン。
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概ね設営も完了したので・・・
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サーキットウォークに出かける。
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いかにもセパンっぽいコースを闊歩する加藤、高橋両ドライバー。
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エンジニアシンタロー「こんな石があるグラベルに飛び出したらオシマイだぜ!」の図

6月18日(土) 練習走行 晴れ/ ドライ

午前10時からの練習走行は1時間45分。
ここセパンサーキットは1周約5.5KmとSUPER GT開催サーキットの中では鈴鹿に次ぐロングコースでラップタイムも2分を超え、予選は恐らく2分09秒前後、レースラップは12~13秒辺りと思われ、これも鈴鹿より2~3秒落ちといった感じ。
中高速コーナーと短いストレートが繋がり、トップスピードの差が出にくく、優勝経験もある紫電の得意とするサーキットのひとつである。
因みにここセパンでは2号車は「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」となる。
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ファンの横断幕はここセパンでも・・・。エヴァ2号機(7号車)が半分隠されているのが寂しい。
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公開車検。早朝、この時間、日本ほどファンは多くない。
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この時間を利用して現地スポンサーさんのステッカーを貼る。
大幅な変更の無いマシンに、豊富なデーター、改良されたタイヤへの合わせこみで始まった練習走行で、程なく加藤選手が2′10″170とクラストップタイムをマーク。
セパンマイスターの貫禄?を見せる。(確か岡山でも同様の形容詞が・・・)
しかしこのクラストップも08″994!と、1秒以上の差を着けられ4号車BMWに明け渡す事になる。
ここでも・・・と言うより、今年はFIAGTが優勢である事は間違い無く、上位10台中、JAFGTマシンはこの2号車のみである。
パワーのあるFIAGTマシンも、ここではトップスピードの差が出にくく、多くのFIAGTマシンは210km/h前後。
(SUPER GTマシンはパワーが絞られて、ノーマルスポーツカーに比べ、意外とトップスピードは遅いのだが、ラップタイムが速いのは、コーナーリングスピードが遥かに速いから。)
それに対し2号車始めJAFGTマシンは、200km/hを僅かに超える203km前後。
ところが、この4号車BMWは何と220km/hオーバー!
これにはもう太刀打ち不可能!コーナーリングスピードで取り返せる速度差で無い。
しかも各コーナーも充分速いときている。勿論ドライバーも・・・
まともに走られたら勝負にならないが、“ミス”の無いレースを行えば充分表彰台を狙うことはできる。
そのカギは、ここセパンが3年振りとなる高橋選手だが、当時の“勘”が取り戻せればレースラップとしては申し分ないし、“走り込み”さえ行えばそれは充分可能である。
ある程度セットアップも出来上がり、SUPER LAP進出のメドもたったので残り約1時間を高橋選手の走行に充てる。
ところが加藤選手から高橋選手に交代した直後、高橋選手から「ハンドルが重い!」との訴え。
直ぐにピットイン。
簡単な点検を行うが特に異常は無い・・・というか停止時にはパワーステは効いているようだ。
モーター内部の事であれば、残り時間では対処のしようもないので、とりあえずもう一度コースに出て、とても走れないようであればドライバー判断で走行を中止する事とした。
高橋選手は、突然重くなるステアリングと格闘しつつも16秒台まで入るが、症状は悪化、計測4周程で走行中止。
症状としては、時折いい時もあれば、一気に重くなる場合もあるようだ。
残りの走行時間はキャンセル。
午後の予選に向け原因の究明、修理を行わなくてはならないが、クラッシュ等の修復や、明らかに原因が分かっているのであればとにかく突き進めば良いが、こうした原因がハッキリしていない場合、どこまで分解を行うか?は重要で、ドンドンと“掘り下げ”て行って、予選走行までに組み付けが完了しなければ元も子もない。
パワーステアリングのモーターユニットがこれまでにないほど高温になっており、これによる誤作動が疑われる。
交換してみるのが手っとり早いのであるが、このパーツは単体で安めの軽自動車1台分程のパーツであり、通常であれば非常に信頼性の高いパーツで滅多に壊れる物ではないのでスペアパーツの持ち合わせが無い。
またピットでの停車時には作動しているので、モーターユニット以外の箇所を点検していくと同時に、走行風や、ブロアファンを利用しての熱対策も行なった。
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練習走行、加藤選手により順調にセットアップは進んでいったのだが・・・
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FIAGTのトップ車両とは、最高速が15km/h以上の差に驚き!
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セパンは3年振りとなる高橋選手。果たして・・・。
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ところが僅か数周でパワーステ不調でピットイン。
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結構、事態は深刻。スポットクーラーでモーターを冷却中。応急修理とは言え、各部の点検が予選開始時間にまで掛かってしまう。
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予選直前、出走を待つ高橋選手。

予選 晴れ/ ドライ

午後2時15分開始の予選ギリギリに組み上がったマシンに、高橋選手が乗り込みコースイン。
ピットアウト時、また右に左にとクイックに切り込む1、2コーナー。
アウトラップ、作動状態を確かめつつストレート通過。
ところが
高橋選手「ダメダ~!!」と涙目無線。
パワーステが効かないだけなら“重ステ”状態でも走行可能だったが、徐々にハンドル操作そのものができないほど重くなり、かなり速度を落としてもコーナーを回りきれない。
ピットロードのシケインすら心配だと、高橋選手が無線で伝えるほど事態は深刻。
なんとかピット内に入ったが、この40分のセッション内での修理は無理だろう。
SUPER LAPへの進出どころか、予選突破もできなくなってしまった。
実際には決勝レースへの出場は、シード権がある事、また嘆願書の提出により可能だが、このトラブルが解消しない限り意味がない。
パワーステユニットのメーカーであるKYB(カヤバ)のエンジニアもピットにつきっきりで色々アドバイスをくれるが、どうもユニットを交換するしか無さそうである。
日本のサーキットならこうしたトラブルにおいて、パーツが必要で国内にあれば(時間にもよるが)翌日には修復可能であろうし、何らかのクラック等もどこかしらのガレージの溶接機、工作機械等を借用し修復する事は珍しい事ではない。
そうした不足の事態を、どこまで予測し準備するかは、チームの経験と資金によるものであるが、特にこうした海外戦では致命的である。
そんな場合、チーム間で貸し借りをする事もよくあり、このユニットも多くのマシンに使われている。
だが、前述の理由でスペアを持っているチームが無い・・・・万事休す。
そこへKYBのエンジニアが段ボール箱を抱えて走ってきた。
同じユニットのユーザーを訪ねてもらい、たまたま持ち合わせが有ったライバルチームの「K野」氏が快くお貸しくださったのである。
“つづら箱”の中からピカピカの新品のユニットが現れ、とりあえずカプラーを接続、簡単な作動チェック。
故障したユニットとは明らかに動きが違う。
「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」、決勝に向け一気に再起動準備が進む。
ユニットの故障原因は今後の解析を待たなくてはならないが、パワーの乏しい紫電は、高いコーナーリングスピードでそれらをカバーしており、その為の強力なダウンフォース、グリップはパワーステユニットに予想以上の負担を掛け、他のマシンでは発生した事のないトラブルに繋がったのではないかと思われる。
とにかくこれで明日のグリッドは確保できた。
最後尾とは言え・・・しかも3年連続で・・・。
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KYB(カヤバ)さんが他のチームから探してきてくださったパワーステモーター。ありがとうございます。
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壊れた物はこんな状態。ってチョットお見せできません。非常に珍しい故障。
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みんな見守る中に、何故かこの茶髪、ゼッケン66のシャツ。馴染んでる。
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スーパーラップもゆっくり観戦。
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マシンも治り(多分)、明日に備えてピット前の線引き。
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イイカンジの夕焼け。明日は“慣れた”最後尾スタート・・・できる様になって良かった。

6月19日(日) フリー走行 晴れ/ ドライ

昨日、パワステユニットの交換を行い、「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」は再起動に成功。
まずは加藤選手によりコースイン。
加藤選手「ハンドル軽い。」
渡辺エンジニア「片手で回さないでくださいね。」
再起動後のる連動試験も順調だ。
加藤選手「全然問題ない。」
決勝グリッドを確定するには、今朝のフリー走行中に、予選同様クラストップ3台の平均タイムの105%以内の基準タイムをクリアしなくてはならない。
だがパワーステが復活した今、それらは全く心配ない。
このセッション、加藤選手は、ほぼ決勝用のセッティングで、2′10″833のクラストップをマーク。
最後尾スタートが3年連続なら、この決勝日フリー走行のトップタイムも3年連続である。
覚醒した「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」、前方マシン全てに対して、脅威の存在となった。
次の課題は、走り込みが不足の高橋選手の“シンクロ率”を高める事。
残り約15分のフリー走行と、それに続く30分のサーキットサファリを高橋選手の走行に当てマイレージを稼ぐ。
昨日と合わせ僅か20周弱の走行で決勝レースに挑まなくてはならないが、13秒2とレースラップとして充分なタイムまでUPする。

■決勝日フリー走行後のコメント

■渡辺エンジニア
「とりあえず3年連続最後尾スタートと言う大偉業・・・(笑)。今回壊れたのはパワーステアリング関係の部品なんですけど・・・我々の方でも持っていない部品で、各チームでも基本的にふんだんある部品ではなく、それがたまたま、本当に極たまたまあるチーム持っていて、それを貸していただけることになり、何とか朝、今日走る事ができました。クルマそのものは、昨日走り始めた加藤さんのコメントから・・・基本的に調子は良いと・・。高橋さんも練習できずに昨日は終わってしまったんで、この朝のフリー走行は加藤さんの方でパフォーマンスチェックしたら、高橋さんの慣熟に当てようと言うことで走りました。っで、加藤さんの言っていた通りクルマのバランスは良い様でタイムはトップ。高橋さんも・・・今回全然走行距離が少ないんですけど・・・以前乗っていた、2008年頃とほぼ変わらないタイムまで戻ってきてるんで、決勝は期待できるかなっと思ってます。
でもま~予選が・・順位が最後尾って事なんですけど・・・色んな人は最後尾からでも勝った事があるじゃないかって言うんですけど、特に今年に関しては、よく騒がれているFIAGTが速くて、しかもストレートも速いんで、JAFGTカーがFIAGTカーを抜くというのは至難の状態となっている昨今・・・以前は最後尾から優勝した事もあるかもしれませんが、かなり難しいミッションになるのではないかなと思います。」

■加藤選手
「メカスタッフさんのおかげでクルマも直ったんで、今日はポジティブにレースを戦いたいと思います。朝のフリー走行でもフィーリングは良かったので、楽しんで・・・できるだけ上位でゴールできるよう皆で頑張ります。」

■高橋選手
「ひたすら頑張りますよ。ガンバル、ガンバル!!」
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加藤選手、憂さ晴らしのトップタイム。
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眼つきの悪いサファリバス。無論サファリ中もしっかり走る。
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完全復活にシンタローも笑みが溢れる。

決勝レース 晴れ/ ドライ

マレーシアは2、3日もいれば1回か2回は雨が降るが、このレースウィーク1度も雨がない。(未明にパラついた様だが・・・)
今日もそんな兆候も全く無く、決勝レースウォームアップの始まる午後4時前でも気温は35度。路温も45度近くまで上がった。
ここでは馴染みの定位置となった最後尾グリッド。
とは言え、TVリポーターも駆け付け、スターティングセレモニーの間、涼を取る為ピット戻り、グリッド上のマシンから不在となった加藤選手を待ち受ける。
2009年は、この位置からでも優勝しており、同じシチュエーションに猛烈な追い上げを周囲も期待している・・・のかな?
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3年連続最後尾。
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現地世話人シャーミン君(左)とホテルとの送迎のドライバーさん
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最後尾まで取材に着てくれる程、注目度は高かった。
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服装がラフすぎて、スタート直前、現地オフィシャルにグリッドから追い出された高橋選手と加藤選手のツーショット。
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スタート。上位は殆どFIAGT車両。
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ここから怒涛の追い上げを見せる。
“Gentleman Start Your Engin”の合図でエンジン始動。
午後4時フォーメーション開始。
SUPER LAPに出走していないNEWタイヤをしっかり馴染ませ・・・スタート。
スタート直後の混乱に巻き込まれない様、前車と充分マージンを取り、1コーナー、そして直ぐ左へ続く2コーナーへ進入。
“あいにく”ここでは大きな波乱は無く通過。
オープニングラップ、前半の“密集地帯”を巧みにくぐり抜け、最後尾19位から16位で戻ってくる。
優勝の09年は18番手からいきなり10位で帰ってきたのでややペースが悪いか(笑)
ここからはセパンマイスターの真骨頂。
2周目で13位、3周目12位、5周目11位と着実に順位を上げ、9周目には6位、翌10周を終え早くも5位!
トップはバカッ速の4号車BMWがポールスタートを活かし、序盤11秒台で逃げ、2位27号車、イカ娘フェラーリから10秒以上リード。
3位11号車最新鋭フェラーリ458、4位は88号車ランボルギーニ、そして2号車「EVANGELION RT TEST-01 IM・JIHAN Shiden」と続く。
それらトップグループが12~13秒台でラップする中、序盤の混戦から抜け出し単独走行となった加藤選手は11秒台。
10周目で30秒あったトップとの差は14周目には26秒に縮まる。
そのトップグループの1台11号車フェラーリがピットイン。
SUPER GTでは一人のドライバーが走行できるのは走行周回の3分の2以下と決められており、今回500の周回は46周。
300クラスは42?43周。その3分に1に達した時点での“いの一番”でのピットインである。
タイヤのキャラクターの差か?混戦を避け後半勝負にもって行くか?
ここから、各マシンピットインが始まるが、中段以下のマシンばかりで見かけ上の順位に変化はない。
4本タイヤ交換をした11号車は一気に11?12秒台のハイペースとなり、14位ながら見えざるトップ4号車との差を詰める。
17周を終え、トップはスタートから変わらず4号車BMW、2位は27号車イカ娘フェラーリ、見かけ上の3位は88号車ランボ、そして2号車、“EVA紫電”ここまででトップから26秒差。
翌18周に入り前の2台、27号車と88号車は接戦の末順位を入れ替え、またこの接戦は2号車の接近を許し、5位に着けた10周時13秒あった88号車との差は9秒となり
渡辺エンジニア「前に見える2台が2位争いです。」
と、ついに目標を捉える事ができた。
この頃になると3位27号車イカ娘のペースがガクっと落ち、19周目こそ13秒台だが、前後の18、20周目は15秒台、対し加藤選手は11?12秒台。
差が3秒以下に詰まった21周目、27号車ピットイン。
翌22周目には2位88号車ランボもピットへ・・・。
上位グループで未だピットへ入っていないのは我々2号車EVA紫電と、トップ4号車BMWのみ。
タイム差は約27秒。
その4号車も27周を終えピットイン。
ここセパンでは(少なくとも上位グループは)全てタイヤ4本交換。一部左側のみという変則もあったが・・・。
4位でコースに戻った4号車は、見かけ上トップに立った2号車の48秒後方、その更に7秒後方には早々とピットインを終え、11?12秒台のハイペース本来の位置に戻ってきた11号車フェラーリ。
続いて28秒差で27号車イカ娘フェラーリ。
恐らく2号車がピットストップをしてもこの前に入る事は出来るだろう。
29周目に入り加藤選手に「BOX(ピットイン)」サインが出される。
既にピットインを終え、タイヤ交換をしたマシンでも多くは12?13秒台(4号車11号車だけはしっかり11秒台・・・)で走行する中、加藤選手はこの周回でも12秒台!
その力走を更に活かすべく、奇策がピットにはあった。
岡山に続くタイヤ無交換作戦!
加藤選手がピットに滑り込む。
クラス全マシンの中で最後の“ルーティン”ピットである。
ジャッキUPは無し。
高橋選手に交代。同時に給油開始。
YOKOHAMAのエンジニアが身をかがめタイヤを覗き目視点検。
夏のレースの生命線、クールスーツの氷交換。
順当に作業は進む。
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6周を終え既に10番手。と言っても6位まで団子状態。
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8周目14号車を抜き7位へ・・・。
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高橋選手待つピットへ・・・。うまく行けば3位で復帰できるはず。
ドライバー交代より先に給油が終了。
5秒ほど遅れ運転席のドアが締まり、ドライバー交代完了。
エンジンスタート!
とその瞬間、マシンの前でスタートを指示するメカから「待った!」の合図。
エンジンストップ!
左側タイヤ担当のチーフメカが、運転席ドアを開け、再度締りを確認した。
勿論直ぐにOK、再スタート。
この間僅か2?3秒。
猛然とピットを後にする高橋選手。
27号車の前、3位で1コーナーへ。
アウトラップを終え、トップは4号車BMW、8秒差で2位11号車フェラーリ、そして9秒差2号車EVA紫電と続く。
4位は27号車イカ娘フェラーリが21秒後方。残り周回は恐らく12周。
高橋選手も14?15秒台とややペースが悪いが、練習周回も少なく、少し走り込んでいけば今朝のフリー走行並みの13?14秒台となるだろう。
充分な表彰台圏内と思われ・・る・・た。
ピットアウト後、コース上での直ぐ後ろは22号車。
序盤のトラブルで既に6周遅れ。勝負権は完全に失っているが、ラップタイムは12?13秒台と高橋選手を上回り、33周目に突入する頃には1秒差にまで迫っている。
タイムは速いが、争う必要がないのであれば、むしろ先行させて、ついて行くほうが安全だろうと無線で指示しようとした直後「当てられたー!」と高橋選手。
裏ストレートに入る右コーナー立ち上がりで、イン側に飛び込んで来た22号車が接触。
それだけであればまだ良かったのだが、
高橋選手「またドアが開いたー!ドアがー!」
一度開いたドアは、走行中に自然に閉まることはない。
また中途半端に開いたドアは、空気の流れを乱し、マシンのバランスを崩す。
ラップタイムも16?17秒台にダウン。
27号車も8秒後方に迫る。
そうしたコース上でのレース以前に、ドアが開いたままなので、オレンジボールが出され前戦岡山同様、強制ピットイン。
36周目ピットイン。
ドアを締め念の為ガムテープで固定。
幸い接触による、タイヤ、ハンドリングには影響はなさそうだ。
この約45秒のロスは表彰台争いはおろか、ポイント圏内(10位)争いへと変えてしまった。
もう挽回できる残り周回でもない。
こうしたレースでドライバーがモチベーションを保つのは難しい。
だが高橋選手は、終盤の荒れたコースに加え、グリップの落ちたタイヤで14?15秒をキープ。
ピットアウト後残り6周、9位を行く33号車ポルシェに接近戦を挑み、結果0.4秒差で敗れ10位となったもの次戦つながる走りを見せた。
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素晴らしい追い上げを見せインタビューを受ける加藤選手。
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ところが、周回遅れのマシンと接触!岡山に続きまたもドアが開いてしまう。
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レースを終えたマシン。接触はあったものの走行に支障のあるダメージは無し。惜しい開扉だった。
■決勝レース後のコメント

■渡辺エンジニア
「う?ん、レースそのものの戦略は良かったと思うのですが、第2スティント、高橋選手の時に接触があって結果的にドアが開いてしまって前回のレースでもドアが開いたりして・・・今回対策はしたんですけど・・・また今回違う方向からのインパクトでドアが開いてしまうということが発生して、ま?それが原因でピットインしてレースを落としてしまった・・・。表彰台も十二分に狙える位置まで車もできたし、タイヤも良くて、加藤さんのスティンとも調子が良かっただけに・・・残念です。」

■加藤選手
「え?スタートして結構混乱があったんですけど・・ま?うまく抜けれて車のバランスもよっかたので結構追い上げられたんですけど・・・途中からやっぱタイヤ気使いながら、でもペース上げながらうまく走れて、うまく高橋さんにバトン渡せたかな・・・と。ただ周回遅れの車にぶつけられたという不可思議な現象が起こってしまって・・・悔しいけどこれもレースなのかなと思いますんで・・・ま?次菅生ですけど、菅生は去年も勝ったとこなんで、もう一度チャレンジしたいと思います。」

■高橋選手
「・・・う?んん。2度続けて(ドアが開いて)は悔しい。(レースが終わった直後の)今は、「次頑張ります。」というのも虚しい。」

DATE:2011/07/25