モータースポーツ

SUPER GT第4戦スポーツランドSUGO

2013シーズン マクラーレン
2013年08月06日

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SUPER GT第4戦 スポーツランドSUGO

セパン帰りの「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」は、先週鈴鹿で開催された2日間の合同テストに参加。
セパン戦に続いて、ノントラブル。順調にテストメニューをこなす事ができ、遅れていたタイヤテスト、データー収集もできたが、この時の天候はドピーカンの晴れ、コースコンディションはオールドライ。
反対に今レースウィークは、オールウェットの可能性も無くはないが、ウェットタイヤのデーターは殆ど無いに等しい。
当然の事ながら、ここSUGOは「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」にとって初走行となるコース。
ちーむとしては表彰台に上がった回数が多いサーキット・・・程度しか良い材料がない!!
無論マシンが変われば、そんな“ゲン”は意味が無い。
果たしてみちのくのファンにいいとこを見せられるか・・・。

13rd04-008.jpg 設営日、午前中はゲリラ豪雨に見舞われたが、午後はご覧の通り。 13rd04-007.jpg しかし霧は酷いもんだ。コントロールラインなkら1コーナーを臨む・・事ができない。 13rd04-040.jpg 高熱を避けて左右に振られたバックカメラ。どちらが良いか?はドライバーのご希望で・・。

7月27日(土) 練習走行 / くもり

早朝、サーキットの濃霧に、走行できるのか?と心配されたものの、午前8時45分からの練習走行では、ウェットコンディションながら視界も回復、定刻通り走行開始。
マーキングタイヤ以外の使用も認められるウェット宣言も出され、ウェット(深みぞレイン)タイヤで走り出した加藤選手、特にウェットコンディションの“引き出し”が殆ど空っぽの我々にとって、重要な走行データーを収集する。
だが雲は厚いが、雨は落ちてこない天候にコースは次第に水はなくなり、インターミディ(浅みぞレイン)タイヤのコンディションへと変わり、それに呼応したチームはタイヤをチェンジ、ラップタイムも当初の1分30秒以上から30秒以下へと上がり、28、27、26とドンドンと削られていく。
それに対し我々「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」は、数種のウェットタイヤをテスト。
午後の予選でも予想されるウェットコンディションに備え、なるべく多くのウェットコンディションのデーター収集に務めた。
レコードラインはほぼドライとなり、明らかにスリックタイヤ勢が早くなったセッション中盤、「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」加藤選手もスリックタイヤを投入しコースイン・・・ところがこの周、急速に霧が濃くなり、視界不良の為赤旗、約15分間中断となる。
加藤選手による走行は、29、28秒台・・そしてベストは27″537とタイムアタックとなるものではなく、マシン全体のバランス確認を行い、少なくなった残り時間、高橋選手へとバトンタッチする事となる。

既にクラス24台中13台までが22~23秒台に入ったセッション終盤だが、ここまでのベストは高橋選手の27″285といまひとつセットが決まらなまま、10分間の300占有時間に入るが、直後再び視界不良となり赤旗中断。
約20分後に再開されたが、残り5分・・・タイヤも冷えた為かタイムアップするマシンは無くセッション終了となる。
午後の予選、天気は微妙・・・といった所。

13rd04-025.jpg 早朝とは言え、連日30度越えの東海地方からくると、正に避暑レース。 13rd04-056.jpg ピット幅は狭く、タイヤ幅は広い。 13rd04-804.jpg 霧深い中の練習走行は続くが・・・
13rd04-065.jpg 幾度かの赤旗中断。こりゃ無理だ。 13rd04-090.jpg 13rd04-094.jpg 終盤、貴重な300専有走行でも中断。
13rd04-103.jpg 残り僅かな時間で300専有再開。各マシン一斉に飛び出す。

7月27日(土) 予選 / 晴れ

午後2時からのノックアウト予選、天候は曇りながらドライコンディション。
いつ降りだしてもおかしくない空模様でもあるが、濃霧によるセッション中断の方が可能性は高そうだ。
そんな状況を踏まえ、早めにタイムを出そうと予選Q1は開始と同時に、全車一斉にファーストレーンに踊り出る。
2周タイヤのウォームアップを行いアタック、23″881のベストは7番手だが、こんなタイムではQ2進出の13番手に食い込めない事は百も承知の加藤選手は、連続アタックに入るが、なんとハイポイントコーナー立ち上がりでスピン!
幸い直ぐにコースに復帰するも、どうも良い具合うにトラクションが駆けられずタイムを詰められらない。
6周目23″586、8周目23″463、と確実にベストタイムは更新するものの、順位は23番手。
予選9周目と、これまでになく多くの周回数を費やして出たベストも、23″239と22番手タイムと大きく沈む結果となり勿論Q1でノックアウト。
これまでにも、マシントラブルや、コースコンデションの激変により、予選タイムが低迷し下位グリッドに沈んだ事はあったが、特に問題を抱えていない状況下でこれほどの不振は初めて・・・。
マシンはノントラブル、バランス的にも悪くないが、トラクション不足は如何ともし難い。
明日の決勝スタートタイヤは既に、Q1で使用したタイヤと決まっており、(ピットスタート覚悟でタイヤチェンジはできるが・・・)これを踏まえて、足回りの練り直し必要だが、これと言った打開策が見つけるには“引き出し”の中身がまだまだ足りない。
明日の決勝への希望は見つかるか!?

13rd04-158.jpg 予選はドライタイヤ。路面コンディションの急変が予想される為、各マシン開始と同時にコースイン。 13rd04-163.jpg 予選タイヤは決勝スタートにも使われるので、多くの周回を走らないのだが、異例に周回を重ねる加藤選手。 13rd04-168.jpg その甲斐もなく、最終22番手!“軽く”Q1予選敗退。

■予選後のコメント
■渡邊エンジニア「ここ近年というか、僕も加藤さんもそうだとおもうんですが、レースを始めて普通に車が走り、出た順位としては最低の結果だと思います。これがまた困ったことに車が壊れたとか、根本的に走ることが不可能なバランスということであれば直しようがあるんですが、何気に走って遅いといういちばんタチのの悪い状態なんで、さっきも加藤さんとミーティングして、明日に向けて、大きくバランスを見直すのと、GTの場合タイヤがチョイスしたもので決められてしまうので、それに合わせてレース走れるように、アジャストして明日様子を見たいなと、今作業進めています。なんで明日走ってみないとわからないってところが有るんでさが・・・正直みんなショックていうか・・びっくりしたくらいだめだったんでちょっと一回リセットして、しっかり考え直して明日に挑みたいと思います。」
■高橋選手「俺は予選走ってないんでコメントしようがない。レーシングスーツ着て(Q2)待ってました.久しぶりだね。カトちゃんが、(Q1)落ちるんだったら車が悪いとしか言いようがないね。出口の見えないトンネルに入ったね。加藤「いやまだ入ってないです。」由良「トンネルの入り口すら見つかってないです。」渡邊エンジニア「これから入るんです。」
■加藤選手「予選は残念な順位だったんですが、ん~~ま~~、やっぱテストができてないところで、ギャンブル的な.予選タイヤチョイスになって、それが外れちゃったかな・・って感じがしてます。車のバランス自体はそれほど悪くなかったので、今エンジニアと明日のレースに向けて作戦を練り直してますので、明日は明日のドライのまた違う走り見せたいと思っています。」

7月28日(日) 決勝 / 晴れ

不振の予選から一夜明けた決勝日、足回りのセッティングを大幅に変更して挑んだ朝のフリー走行。
未明の雨によりウェット宣言が出され、高橋選手からの走り出しはインターミディ(浅みぞレイン)タイヤでコースインするが、すぐにスリック(ドライ)タイヤで行けると判断、アウト、インでピットへ・・・ピットワークシミュレーションを行い再びコースへ戻る。
他のマシンが22、23秒台とタイムアップする中、まだ十分タイヤの温まらない高橋選手がヘアピンでスピン、あわや31号車と衝突かと思われたが、幸い間一髪で双方ストップ!ダメージを逃れる。
だがコースアウトした「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」高橋選手、ホイールが空転しコースへ戻ることができず、赤旗中断となりコースへ引き出されピットへ戻るが、マシンに問題は無いので再スタート。
タイヤも温まりタイムアップに入ろうかという矢先、再び赤旗中断。
変更した足回りの確認が重要な課題であるこのセッション、残り時間も少なくなった事から、この機に加藤選手に交代。
決勝想定の積載燃料、タイヤ、更に500との混走で昨日の予選タイムを上回る1′23″241と7番手タイム!
セッティング変更は、ほぼ成功。
22番の下位グリッドながら、追い上げが期待できる。

13rd04-218.jpg 朝は涼しいが、昼間、決勝の頃には暑くなりそうだ・・・。 13rd04-185.jpg 予選時と、大きく異るセットに変更。紙片はエンジニアからチーフメカへのオーダー票。 13rd04-226.jpg 朝のフリー走行、グリップが上がらずスピン。高橋選手は自力で戻れず赤旗中断。

午前中予想された雨、少なくともここSUGOスポーツランドには降ってこない・・・どころか決勝のウォームアップ走行では強い陽射しが差すほどになった。
ところが、グリッドに着くスタートの高橋選手から、「クラッチがおかしい」との無線連絡が入る。
先日の鈴鹿テスト時にも出たトラブルと思われる。
グリッド上で色々な処置を試み何とか復旧。
再発する可能性が無いとは言えないが・・・。
SUPER GTの場合ローリングスタート(フォーメーションラップ終了後、グリッド上に停車せず加速してスタートする。)の為、クラッチへの負担は軽い。
一旦フォーメーションラップに入れば停車は無い。
果たして高橋選手、うまくスタートを切ることに成功!第1関門突破。

13rd04-270.jpg 今回のスタートは高橋選手。 13rd04-253.jpg ウォームアップで慣らしをする、新品ブレーキである事をドライバーに知らせておく。 13rd04-275.jpg クラッチ不調をグリッド上で応急処置。皆でマシンを押す為、グリッドボードを持つRQにもチョットどいていただく。
13rd04-297.jpg スタート3分前。スタッフ退避。後は殆どいない。セパンではよく見かけた光景。 13rd04-817.jpg 埋め尽くされたスタンド。空模様はこの後の波乱を予感させる。 13rd04-819.jpg レーススタート!トップ3はJAFGTマシン。このレースからリストリクターが絞られたが相変わらず早い。

序盤20位辺りをキープするものの、昨日の練習走行を始め、走り込み不足の高橋選手、思うようにタイムが上がらず26~28秒台・・・上位グループの22~23秒台からは水を空けられていくが、500クラスにラップされる機会の多い中、うまくオーバーテイクさせ、無事に加藤選手へバトンを繋ぐべく“忍”のレースを続ける。
レース中盤に入ると西の空に黒く厚い雲が覆われてきて、雨を“匂わせる”。
丁度ピットイン時期となるので、空模様と“相談”しながらピットインの周回を伸ばすが、35周目ピットインのサインを出す。
走りだせば基本的にクラッチは不要である事。
今の所、クラッチ不調はに関して特に問題は無さそうである。
再発していた場合、一旦ニュートラルにするとギアが入らないかもそれない。
その為ピットストップではギアを入れたまま停車、エンストさせ、再スタートはスターターモーターを回し、ズルズルと進みながらエンジンをかける。
ロケットスタートとはならないが、それしか方法は無い。

13rd04-821.jpg 序盤の混戦・・・と言っても下位集団。 13rd04-822.jpg 大きくセットの変わったマシンにまだ走り込みが不足の高橋選手。ミスを無くし後半の加藤選手に繋ごうとするが・・・。 13rd04-309.jpg ルーティンのピットイン時にホワイトラインをカット。ペナルティのドライブスルーを消化するのは加藤選手。

ピットに戻った高橋選手がピットに入る、ガソリン給油と、雨はまだなのでスリックタイヤ4本交換。
ジャッキダウン!普通ならここで爆音と共にスタートとなるが、「クククッ」とスターターモーター音と共にユルユルとスタート。
一車身ほどの距離でエンジンはかかりピットレーンを走りレース復帰。
ところが高橋選手がピットインの際にホワイトラインをカットをした為、ドライブスルーペナルティが課せられ、数周の後ピット前を通過していった。
順位は22位となったが、この間に23秒台の上位グループと互角のタイムをマークし、ようやくマシンのポテンシャルを示す。
40周に過ぎる頃、雨が落ちてきて50周あたりで明らかにタイムにも現れて来たので、ウェットタイヤに交換するチームも出始める。
コースの場所によって雨量、グリップは異なり、ピットでは判断がつかないので、タイヤ交換はドライバーの判断に委ねると、加藤選手「このまま行く!」との事。
雨は止むことはないが、ドシャ降りにもならない。
マシンの走るライン上はスリック、ウェットタイヤ、互角の勝負といったところ、各チーム今後の判断が勝負となった。

64周目、500のワンツー2台が後ろから迫り、レインボーコーナーで「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」加藤選手を左右から追い抜く際に、サンドイッチ状態で衝突!!幸い?ダメージは外装だけにとどまりレースは続行できたが、ヒヤリとした場面であった。
その後も小雨は続くもの、ピットイン、タイヤ交換のタイムロスを覆す程のアドバンテージは無く、上位陣は全てルーティンピットのみでスリックタイヤで走り切っており、同様の加藤選手の好判断、ドライビングが冴えた後半スティントとなったものの、結果は16位と今ひとつ。
だが23″628のベストを始め、数ラップの23秒台は昨日の予選の不振を払拭する明るい材料となった。

13rd04-321.jpg 終盤、トップ争いの500に左右から挟まれる。1台はレースを失う。 13rd04-326.jpg 中盤からの雨に対応する為、各種のレインタイヤを準備するが・・・。 13rd04-842.jpg 加藤選手の判断でスリックのまま走り続ける。500とのアクシデントで左前フェンダーが破損。
IMG_5002.jpg 右側はドアに大穴が開いた!

■決勝レース後のコメント
■渡邊エンジニア「予選まではかなり苦戦したんですけど・・これまでマクラーレンが(チームに)着た中で、やったことがないぐらい大きくセットを、変更して今日、日曜日の朝走ってみたんですけど、とりあえず今までのデーターとか、経験から数字を決めちゃったんで、心配だったんですけど、とりあえずバランスよく朝のウォームアップはチャンと走れたので、それから少しアジャストして決勝走ってみたんですけど高橋選手はちょっと苦戦した見たいですけど、加藤選手はラップタイムは早くて正直今のFIAGTの中ではトップクラスだったと思うし、途中雨が降ったりやんだりして、その判断も冷静にできて、加藤選手のスティントはグッドレスタたかなと思います。今までトラブルがあったり、ある意味不完全燃焼だった部分があるんですけど、今回そのレースの進み方っていう部分では良かったと思います。ただま~高橋選手が車に慣れてラップタイムがうまくまとめられるようにする事と、やんなくてもいいペナルティ受けちゃったりしてるんで、必然的にそれがうまくクリアできない限り今のままでは上位に絡めないんで・・・クルマの事も、そうした事も含めてもう少しつめて・・・(次のレースまで)途中テストもあるんで次につなげらればいいなと言う感じです。」
■高橋選手「ペナルティーとかでボロボロだったけど、もうちょっと早くならないかんね~~。はい」
■加藤選手「え~と・・昨日の予選があまり酷かったんで、エンジニアと大きなセットアップの変更をしたんですけど、今日はその確認の意味でドライでレースができてよかったかな・・、まだ少し問題はあるんですが、大変なレースの中それなりのかなり良いラップタイムでも走れましたし、まぁ少しずつ改善されているのかなと・・後はこれをもう少し富士のテストで煮詰めていければ鈴鹿に向けては、また少しプッシュできる状況になるんじゃないかと思いますんで、引き続き頑張りたいと思います。」