GT CHAMPIONSHIP 2001 Round 6
SUZUKA GT300km

合同テスト

10月1〜2日。鈴鹿サーキットにて、JGTC合同テストが行われたので、我々も参加してみることにしました。これはGT選手権の行われる、全てのサーキットで実施される合同テストで、各サーキットにおけるセッティングデータ―を取ったり、通常のレースウィークだけでは時間がかかり、リスクも大きい変更を行なったりする事ができ、またサーキットを丸一日、1チームが貸し切るにはコストがかかりすぎるので、これらの点からも各チームにとって重要かつ貴重なテスト走行日です。

これは平日に行われるのですが、意外にお客様(ファン)が多いのには驚きました。勿論このテスト日は告知されていますので、通常のレース時には見られないマシン、ピット、ドライバー等の表情が見られファンの方にとっても貴重な日となるのでしょう。

しかし初日は午前中が雨! 午後からは序々に乾き始めるといった高橋選手にとっては苦手?なコンディション。そんな中、サスペンションを中心に、色々セッティングを変更しトライするも今ひとつ決まらない状態で終了となってしまいました。2日目は高橋選手の仕事の都合もあり不参加。早々に引き上げる事にしました。初日に帰ったのは我々だけ・・。

photoシェイクダウンのTIも、今回の合同テストも「テスト」となると雨…。

photo平日にも関わらずお客さんもパラパラと…。パドックやピットにも結構みえる。

降水確率10%

合同テストから約3週間後の10月25日、JGTC第6戦300kmレースがその鈴鹿サーキットで開催され、我々の「ベルノ東海・AR・ドリーム28 NSX」にとって2戦目のGT戦となりました。

このマシンでは鈴鹿1000km、GT第5戦モテギと充分走りこんできており、高橋選手もシーケンシャルシフトやハンドルの重さ等にも慣れ、後はセッティングと、攻め所を決め、ここ鈴鹿でタイムアップを望みたいところだ。幸い金曜日の時点での週末の降水確率は10%!さすがは年間を通じて最も天候の安定した季節。(だから東名・名神高速の集中工事もこの時期に行う。)各クラスでコースレコードが出るのも、マシンが煮詰まるこの時期が多いのである。

photoコースアウトし、泥水を持ってくる。冷却効果の高いブレーキエアダクトは、ガムテープでふさいである。

photo今回から車名に「ベルノ東海」と入れ横断幕も…。

photo新兵器。鈴鹿はタイヤサービスまで、起伏が激しく遠い為、タイヤ運搬に大活躍。

渡辺 明選手

今回高橋選手とペアを組むのは、あの「渡辺 明」選手!ポルシェ等でGT選手権にも参戦、CIVICレースではチャンピオン経験もあり、CIVICでは日本でも五指、いや三指に入るかもしれない超ベテランドライバーである。

その渡辺選手のアドバイスによりセッティング変更を行い、2回目のフリー走行で早くも2分14秒台を記録!8月の1000km時の18秒台から一気に4秒近く短縮してしまった。ん〜さすがである。今年鈴鹿でのGT選手権はこの1戦だけの為、GT300クラスのタイムは、1000kmレースと、合同テスト時しか参考にならないが、14秒台はGT300クラス中盤辺りに来るタイムと思われたのだが・・。

photo高橋選手より取扱い説明を受ける、ベテラン渡辺 明選手。2回目のフリー走行でいきなりこのGT300NSXのベストタイムを出す。

photoどんどんタイムアップするNSXではあったが…。

タイムアップ!

いよいよ予選である。GT選手権の予選スケジュールはいつも決まっており、60分を三分割し最初GT500・300混走、その後各クラス占有走行となる。(1回目と2回目は占有順が変わる)各クラス延べ40分の予選である。

短時間でセッティングを色々トライしたが、渡辺選手2分14秒982とフリー走行を上回る事ができなかった。が、高橋選手はデータ―ロガーを参考に、渡辺選手からのアドバイスを受け、タイムアタック。

このデータ―ロガーは走行中の各種データ―を、走行後にパソコンにインプット。各コーナーの速度、アクセル開度、回転数、ブレーキの踏み方等各種データ―をグラフ状に表し、自分の走りと他のドライバーの走り方を客観的に比較できるのである。ここのコーナーは、どこまでアクセルを開けていたか?どこで戻し、またどこから開けたか?車速は?等、自分が思っているのとずいぶん違う場合も有るので、速いドライバーとの比較によりウィークポイントを克服するのにとても有効なようだ。

果たして高橋選手は2分15秒612!1000km時のレース中のベスト19秒台から4秒もの短縮である。しかし他チームは更なるタイムアップ!

ポールから8台がコースレコードの2分10秒台、その後7台も11秒12秒台にひしめいて、終わってみればGT300、21台中18番である。GT500に至っては18台中16台がレコード更新である。8月の1000kmレースから2ヶ月、直前に合同テストが有ったせいもあるだろうが、GTマシンの進歩恐るべし。

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お隣のピットはダイシンさん。ランキングトップでポールポジションと完璧っだったのだが…。

photo500・300混走で始まる予選。ピットが端の為、列に割り込まないと最後になってしまう。

photo毎走行後、マシンよりデータ―を吸い上げる。いまやタイムアップに欠かせ無い作業。

photo最後の予選中、エキゾーストが外れ、時間を残し終了。高橋選手「まだタイムアップできたと思う。」次回よろしく。

photo決勝当日、朝7時前。いつ降ってもおかしくない空模様

降水確率80%!

ところが土曜日の午後辺りから「明日は雨だぞ。」とささやかれ始めた。天気予報もいつの間にやら午前の降水確率70%、午後に至っては80%!雨天レースは避けられないようだ。タイヤサービスもにわかに忙しくなってきた。

明けて日曜日、朝、ホテルの窓から見る景色は、雨こそ降っていないものの、いつ来てもおかしくない空だ。午前のレースがどんどん消化されていく中、時々パラパラッとくるが殆ど問題無いと思いきや、ポルシェレースのスタート直後にそれはやってきた。本降りだ!ドライタイヤのポルシェは一気にペースダウン、スピン続出である。

タイムスケジュールも遅れたが、レース終了後には一旦雨も上がった。とりあえず降水確率の「約束」は果たされたのでこのままもってほしい!と、願いむなしくスタート直前までパラッと降って、止んで、乾いてが繰り返される。

お昼のピットウォークも傘はいらないが、路面は濡れている、といった状態。午後のアルテッツァレースがドライ路面で終始したのを見て、GTクラスのレース進行が始まる。

スタート1時間前から約15分のウォームアップ走行の開始。ドライタイヤを着けピットから出した直後、パラパラ降ってきた。各ピット大忙しである。

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ドライタイヤを着けスタート前のウォームアップへ。

photo最近不況のモータースポーツの中、GTは鈴鹿でも人気レース。

photoさすがダイシンオリジナルテルテル坊主。効果てきめんでした。

photoピットウォーク時、路面は濡れていた。これはGT恒例の「キャンギャルとツーショット」のチャリティーポラロイド。

photoスタート直前の雨で、ピット前は大混乱。ドライ、レイン各タイヤが用意される。

スタートドライバー高橋選手

というのも各チーム、「皮むき」と呼ばれる、新品タイヤを即使用できる様にする為、1周しては交換する作業を開始したからである。ピットイン、アウトをこの短時間で繰り返す為、ピット前は戦場と化してしまった。

実際ピット前に全車停車すると、前進だけではピットイン、アウトは不可能で、斜めに止めて作業終了後、ピットクルーが押し戻してそしてピットアウトする。といった状態があちこちで見受けられる。勿論リバースギヤは付いているが、ピットロード上ではリバースギヤは使用してはいけないからである。結局レインタイヤを装着してスターティンググリッドへ向う。

今回スタートドライバーは久々に高橋選手である。ファイティングポーズ(ヘルメットを被り、ベルトを締めた状態?)をとったら、即レースモードに入りたい高橋選手にとって、スタートセレモニー等が続くスタートドライバーはあまり好きではないようだ・・・。

photoマシンもまっすぐ止められない状態。しかしこういう状況でも作業ができる様にはしてある。

photo我々も急遽タイヤ交換。結局レインタイヤでグリッドへ。

photoグリッドへ向うピットクルー。グリッド上でのタイヤ交換の用意もしており大所帯。まるで大名行列。

波乱のGT300

ところがグリッドに着いてからは全く雨が降ってこない。路面もどんどん乾いていく。グリッド上でドライタイヤに交換、スタートに臨む事になった。

今回300km、51周のレースであるがGT500からのタイム差から我々は45〜46周のレースと考えている。ドライバー交代、給油作業は22〜24周目を予定。天候、ペースカーの導入等、各事態に備え柔軟に対応準備をする。各マシン隊列が整わず、ローリングスタートを2周余分にしてグリーンシグナル! スタート! この2周の為、レースは49周に短縮されている。スタートしてほどなく普通ならタイムが安定するか、早くなって行くはずだがどんどんと落ち込んできた。「後タイヤがおかしい!」無線(相変わらず携帯電話)が入る。7周目ピットイン! 特に異常も見つからず後輪だけ交換。ピットアウト。外したタイヤの空気圧を計ると異常に高い。

どうもこれが原因か?どうかはともかく、乗り慣れてきたせいか? 徐々にタイムも上がってきた。っが、ドライバー交代が後3周に迫った21周目、デグナーカーブでスピン! モニターTV大写しである。今日はデグナーカーブでのスピンが多いようである。幸い自力でコースに復帰できたが緊張の糸が切れ、やる気のうせた高橋選手そのままピットイン。(実際にはタイヤにフラットスポットができたりして、タイムが落ちる場合もあるのでピットインが近ければ交代した方が良いかも・・。)ルーティン作業に取り掛かる。天気も持ちそう・・・・?後は渡辺選手にお任せである。

一方レースの方は、GT500はともかく、GT300は大波乱のレースとなっている。80kgのウェイトハンディをものともせずポールを取った、ランキングトップ「DAISHINシルビア」が、序盤でクラッシュ!懸命の修復作業むなしくリタイヤ。

ベルノ東海走行会にも来てくれた、ランキング2位の山野哲也選手駆る「マツキヨ RX7」もトラブルでスロー走行に・・・、ポイント圏外へ。などなど、観客の皆さんにとっては充分過ぎるドラマ盛りだくさんのレース展開になっていました。

photoスタートセレモニーの間、雨は降らず。結局グリッド上で再びドライタイヤへ交換。

photoスタート直後、タイヤ異常を訴え、後タイヤのみ交換。外したタイヤを前にメカと話し合う渡辺選手。

photo予定より2周早くドライバー交代。特に問題なくコースへ。

photo隣ダイシンさんを襲ったアクシデント。グリーンからコースへ復帰して来たGT500に追突された。流石のメカもこのマシンを戦列に戻すことはできなかった。

photoゴール、ウイニングラン後、Uターンして車両保管所に向うNSXを迎えるチームスタッフ。

今年はここまで

「ベルノ東海・AR・ドリーム28 NSX」は、その後は何のトラブルも無く走り抜け、両ドライバー共2分17秒台と、予選2〜3秒落ちのベストタイムをマーク。(これはまあまあでしょう。)42周でゴール、クラス13位と、結果を残す事ができました。

今回はGT500のまま使用していた、足回りのアライメント、サスペンションの味付けを色々変えるなど、フリー走行の時からトライしていましたが、そういう部分でのセッティングがまだまだ不充分ながら14秒台をマーク。

上位と争うにはまだ3秒以上の短縮が必要ですが、マシンのポテンシャルに手応えを感じるレースであったと思います。2001年のGT戦は「MINE」の1戦を残しますが、我々はこのレースで今年は終了します。シーズンオフはテスト走行もありますが、ベルノ東海の各拠点にて展示を予定しております。お近くの店に、置いてありましたら是非一度間近でご覧下さい。今シーズン応援ありがとうございました。

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NSXとベルノ東海をご声援ありがとうございました。

 
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