AUTOBACS JGTC 2004 Series 第1戦 1/3ページ

開催日
2004年4月2〜4日
サーキット
岡山県:TIサーキット英田
マシン名
プリヴェチューリッヒ・クムホ・NSX
ドライバー
高橋 一穂・渡辺 明

2004年を迎えて・・

2003年はフラットボトム等、車体下部の車両規定が大幅に変更となり、それに合わせた改造に時間と予算を取られた。ベース車両の差を埋める為、性能を向上させる為の規定変更もあったのだが、元々素性の良いマシンであった事が、無理に前述の時間と予算を掛けなかった事に繋がった。

photo03年初頭、フラットボトムの改造。

photo同じく03年02年Mのカウルに改造

事実序盤こそ、クラス上位を争う戦闘力を示したマシンも、中盤以降は300クラスに新たにデビューしたマシン郡の仕上がりが進むと共に低迷、下位争いをする事となった。

最終的には22ポイント(ランキング順位は、チーム11位、ドライバー14位)と、奇しくも2002年と同ポイントを得る事はできた。しかしこのままでは2004年を戦うには戦闘力不足は必至。

今シーズンは"攻め"の改造にシーズンオフの時間を費やす事となった。主な改造箇所としては、フロントホイールを大径化し、フロントのグリップを増しアンダーの解消を図る。NSXはその為には、フェンダーアーチ形状を大きくする必要があるが、2003年からそれが認められている。もうひとつはパワーステの装着である。いままで無し、でよくやっていたと、呆れられる箇所だが、何とか装着の目処が付いたと言った所である。これらの改造だけでも、充分なタイムアップが望めるであろう。

photo04年の改造の目玉。フロントホイールの大径、拡幅化の為、フェンダーアーチの拡張。

photoそれに伴い、ボンネットの一部が吊上がる。

photoホイール幅が前後同じとなり、見分けをつける為のマーキング。

photoこれが最初の「KUMHO」との対面。「V4」とあるのはヴァージョン。

ところが新年を迎えた頃、急遽韓国のクムホタイヤとの、タイヤ開発の話が持ち上がった。モータースポーツに於いて、タイヤの閉める割合が大きい事は今更言うまでも無い。GT未経験のタイヤをチョイスする事は、決して楽なシーズンとはならないだろうが、我々は今シーズン、このGTへの新規参入を目論むクムホタイヤとのジョイントを決断。共にタイヤを育てると言う、新しい体験をする事となった。

photo設営日。シーズン最初のゲートオープン。新たな1年が始まる。

photoピット内は装いも新たにスポンサー名入りのパーテションが追加された。設営作業は、正直大変。

photoサインマンテントも"新築"TVも液晶となり、天井吊り下げとなった。

photoパドックの大事な足。スクーターもNEWカラーに・・。

photo設営日にやり残し作業を行う戸田レーシング゙の矢野さん。コックピットが狭く見えるのは、本人が大きい為。

フリー走行:4月2日(金) 午前:曇り/ウェット→ドライ 午後:晴れ/ドライ

3月の鈴鹿合同テストで初めてクムホタイヤをテスト。昨年まで使用していたY社には、まだまだ及ばないと言うのが実感である。しかしテスト以降も、どんどんと新ヴァージョンを作り、持込むとの事で迎えた開幕TIである。気温は13度前後と平年並みか・・

午前のフリー走行は、昨夜来から朝にかけての雨で路面はウェット。しかし空は明るくなり徐々にドライとなって行くであろう。

photo朝は12度台と肌寒い。

photo雨こそ降っていないが、未明の降雨で路面は・・ウェット・・・かな?

photoクムホレイン開幕戦、最初の走行でいきなりの出番である。

photo最初の走行は、今年も変わらぬ渡辺選手から。

クムホのレインタイヤ初の走行は渡辺選手から。(スケジュールの関係で、高橋選手この朝一の走行にギリギリ間に合わないか・・?)
ところがこのレインタイヤ、このウェットからドライに変わりつつある(レインか?ドライか?迷う)路面状況では、非常に好調なのである。他のマシンに比べ2〜3秒は早い。しかしこれは、ゴムもドライ用で、カットスリックに近い物で、このタイヤでは完全なレインコンデションでは、硬すぎて走れないであろうと思われる。こんな微妙な路面状況は長続きするはずが無く、現在レインはこの1種しかない、クムホの弱点が露呈する事となった。

photo数周走って各部のチェック。この頃には"スリック"路面になってきた。

photo他メーカーレインが"音"を上げる微妙な路面の中、好タイムをマークしたクムホレイン。しかしこれは喜ぶべき事ではなかった。

コースもしばらくして完全ドライとなり、スリックに交換し走り込む。
今シーズンのここTIは、シーズンオフに路面の全面改修が行われ、昨年仕様のままでも2秒前後のタイムアップは確実と思われ、既にコースレコード(一昨年の1'32,430)を上回る31秒台をマークしたマシンもある。それは今シーズンから300クラスにスイッチしたM-TEC(無限)NSXである。このマシンも我々のマシン同様、昨年までの500マシンを300用に改造したのであるが、我々のNSXと違い、縦置きエンジンでシャーシーも新しく、戦闘力も最新で、単純に比較するには酷でもあるが、同じ"NSX"として無視はできないマシンではある。

photo今シーズンから300クラスに参入して来たM−TEC(旧「無限」)NSX。おかげ様で今まで300クラス唯一のホンダ車として注目度は薄れてしまった。

photo全面改修されたTIサーキット。何もしなくても2秒はタイムアップすると言われている。

結局この午前のセッションで、渡辺選手は1'35.113に留まり、昨年の予選タイム、1'33.212に遥かに及ばないが、まだまだ数種のタイヤと、サスペンションとのマッチングを探っている段階である。

今回から投入されたパワーステも好調で、路面からのインフォメーションも悪くない。今までの"重ステ"では、ハンドルが切り足りない事による、いわゆる"手アンダー"が出ていたが、それらは解消されるはずだが・・。

しかしもうひとつの改造である、フロントタイヤの大径化と共に、タイヤが変わった為、どれだけタイムに結びつくものか?は比較できるものでは無い。

photo午後からは高橋選手も走行。

photoその高橋選手、いきなりである。が、大事にはいたらず・・。

photo走行後のタイヤを見て、クムホのスタッフと話す。と言ってもエンジニアは韓国語か英語。マネージャーは、日本語か韓国語。エンジニアにドライバーの微妙なニュアンスが伝わるか・・。

気温、路温も上がった、午後からの走行は2種タイヤテストと、高橋選手のドライブでロング(走行)をかける。そこでの課題は、明日の予選用に、タイヤを選択し、それ合ったサス、ウイング、エア圧のセットを模索する事、300クラスレース周回(推定77〜78周)に備え、40周前後のタイヤのタレを確認する事にある。レースウェークに入った中、これ以上タイヤテストに時間は掛けられない。予選、決勝を見据えたマシンのセッティングに入る。

この間にタイムアタックを行い、渡辺選手の1'33.301と昨年タイムに迫るまで短縮はできた。36周をこなしたロングも、30周辺りまでは、安定しているが、それ以上はやや不安が残る物となったが、この時のスペックをマーキングタイヤ(予選、決勝使用タイヤ)とした。

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