モータースポーツ

SUPER GT第3戦 マレーシア セパンサーキット

2013シーズン マクラーレン
2013年06月23日

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SUPER GT第3戦 マレーシア セパンサーキット

5月中旬に予定されていた韓国戦が中止となった為、約1ヶ月半ぶりのSUPER GT、第3戦はマレーシア、セパンサーキット。
エヴァRT初号機アップルMP4-12Cだが、年始めのシェイクダウンからトラブルが続き、走れば速いがリザルトに結びつかない。
このレースまでのインターバルを利用し、エンジニアも渡英し、メーカーに対し、電話、メール等では伝わりにくい現状を伝え、対策を協議。
配線関連のアップデート、並びに交換による対策を加えてマシンを送り出し、今日合流したMclarenのエンジニアが、現地で簡単に交換できる、アップデートパーツを持込むという万全の体制。
ここ3戦に至っても、まだトラブルが解決できないようでは、今シーズンはかなり厳しい状況になる。
背水の陣で臨むこのレース、シリーズ戦のターニングポイントとなるか!!

13Rd03-065.jpg ステッカーをマレーシア仕様に・・・ 13Rd03-125.jpg 上から見るとこんな感じ・・任意計測待ちの松下チーフメカ 13Rd03-130.jpg 真横・・・なかなかカッコいいと思います。

6月15日(土) 練習走行 / 晴れ

土曜日は練習走行と予選だが、国内戦と異なり、午前中の走行はなく午後1時から・・・。
これまでのトラブルへの対策として交換した配線パーツ類、それらの効果はいかに・・・?
加藤選手により序盤は、”船旅”をしたマシン各部の確認と新品のブレーキ慣らし。
その後本格的な走行に入り、トータル15周でベストは2′07″410・・24台中16番手タイムといまひとつだが、テスト走行を繰り返した国内サーキットと違って、このマシンで初めてのサーキットであれば止む負えないところだろう。
続いて高橋選手に交代し、途中1回のピットインを含め18周をこなし10″915がベストながら安定した11秒台ペースはレースラップとしては悪くない。
最後の300クラス占有時間は加藤選手がアタックするが、時間不足で不発となるものの、110分間でトータル38周は、単セッションとしてはこれまでにないロングラン。
しかもノントラブルと、好発進。

13Rd03-206.jpg 土曜日、公開車検。さすがに日本ほどの観客はいない。 13Rd03-800.jpg マレーシアらしいショット。 13Rd03-801.jpg 110分間の練習走行では、トータル38周を順調にこなす。

6月15日(土) 予選 / 晴れ

午後4時半からはセパン初めてのノックアウト予選。
15分間のQ1、加藤選手は残り10分になってからコースイン。
このQ1または、Q2で使用されたいずれかのタイヤが明日の決勝のスタートタイヤとなる為、できるだけ周回数は少なくしたい。
その為、他のマシンがある程度タイムアタックが終わった頃に、アタックしたい。
または、予選終了直前に最終アタックが終える様にコースインしたい。
無論、雨でコースコンディションに変化が出る場合は、そうは行かないが、今日はそうした心配はいらない。
2周目のアタックで05″366は6番手タイム。
連続アタックはタイヤに負担が大きいので、再アタックの為のクールダウン。
だがクールダウン走行中に11番手までドロップダウン。
上位13台が進めるQ2には危うい!!
再アタック入る間に300クラス終了となり、最後のアタックとなった加藤選手、Q2進出を確実にせんと、第1、2セクターはベスト更新!
だが第3、4セクターでやや遅れ、ベスト更新には至らぬものの13番手と、ギリギリでQ2進出を手にする。
因みにこのQ1予選、トップ55号車(CR-Z)は03秒台と別格の早さだが、2番手04″229、そして3番手04″396から、加藤選手の05″366までの1秒以内に10台が入る大激戦となった。
続くQ2アタックは高橋選手。
2周目のアタックでベスト8秒台に入れる!
更に翌周08″092と、7秒台に迫るベスト更新となるも、プロドライバーひしめくQ2の中では及ばず12番手タイムとなる。
しかし更なるタイムアップの余裕もあり、ここに至るまで全くのノントラブルも、明日のレースへの好材料。いいレースが期待できそうである。

13Rd03-294.jpg Q1アタックは加藤選手。 13Rd03-301.jpg 激戦のQ1で、何とかQ2にコマを進める。 13Rd03-285.jpg Q2アタックの高橋選手。
13Rd03-263.jpg 自己ベストを更新するも、12番手でグリッド確定。 13Rd03-310.jpg 予選後の再車検を終えてピットに戻る。

■予選後のコメント
■渡邊エンジニア「え–っと、とりあえず前回、富士のレースで色々とシステム的に出たトラブルを解決すべく、マレーシアに来る前に、かなり大幅な・・特に配線関係なんですが、アップデート、及び交換そして新しい部品の取り付けを行って今日初めて走ったんですが、まぁ以前に出てたシステムのトラブルは、基本的には今日はあまり出ませんでした。
まぁそれなりにマイレッジも今までにないレベル、周回数を走れたかなと思います。
ちょっと予選に関しては以前とゆうかそれまでにきちんとタイヤテストとかができていなかったとか・・・まぁ車のセットアップも煮詰めてなかったという部分もありましたので・・まータイムも若干伸びなかったなぁという感じがします。
ただマー今回全体的にヨコハマ勢がなかなか苦戦してる感じなので、まぁそういう部分もあったのかもしれませんが・・・、予選タイムがかなり接戦なんですよね。
特にトップスリーはファイブぐらいまでは、比較的ずば抜けちゃってるんですが、10番12、13番手あたりまでは1秒以内にひしめいている状態で、ちょっとそんな中でシングルポジションはゲットできるかなと思ったんですがそれも難しかった。
ただ不思議と一発のタイムは出ないんですが、ロングランのタイムは出ているので、まぁ明日の決勝に向けてどんな組み立てのレースをするか重要なので、ちょっとその辺今夜、一通り考えて明日に向けて準備をしたいと思います。
ただまあそれ以外の細かなトラブル(バックモニター等)等出ているので、今ちょっとそれを直している・・・作業的にはしているところです。
何とかしてうまい形でまとめてみたいと思います。」
■高橋選手「だめだめ言っとってもしょうがないけど。失敗したんだ・・おいしいところで、コースはみ出した。でもそれがベストラップだったんだ・・あれがなきゃもう少し早かった・・と思うけどもうひとつうえ、ヨッシー(87号車:吉本大樹選手:11番手)のところへは・・いかんかったかな~?でもまだタイムは縮まるよ。」
■加藤選手「予選は何とかQ1を突破できて目標は達成できたんですが、結果的には13番でギリギリだったって事もあって、まだまだ詰めなきゃいけないところもあるんですが・・今まで問題になっていたトラブルは出

なかったのでチームとしては良かったと思います。明日は頑張ります。」

6月16日(日) 決勝 / 晴れ

予選で12番グリッドとなった決勝日早朝。
前日の走行で飛び石により大きな亀裂の入ったフロントウィンドガラスを交換する為、現地のガラス屋さんに作業を依頼。
ところがガラス交換の為に外周のモールを外そうとした際にマシンに搭載してある消火器を誤って作動させるというハプニングが発生。
室内、エンジンルームが消火剤まみれになり、それらの清掃に追われる事になる。
また消火器が空になってしまっては、安全上走行する事ができない。
通常のアクシデント(火災)で、消火器を作動させれば、おそらくはレース続行は不可能となることが多いので、殆どスペアの消火器を持ってる事は無い。
そんな中多くの方々のご協力を得て、NISMO様から適合した消火器をお借りでき、何とか朝のフリー走行の出走に間に合わせる事ができた。
因みにレースにおいてはライバル関係にあっても、こうした何らかのトラブル等で、部品や、工具類の貸し借りは行われおり、自チームを犠牲にするものでなければ、裏方ではいくらでも助けあっているのである。
そうした“事件”はあったもののマシンに影響はなく、フリー走行、サファリとピットワークシミュレーションと合わせ、順調に周回を重ね、満タン時のバランスは悪くはないが、タイム的には08″557で17番手・・・トップ5の05~06秒台から大きく水を開けられてしまった。

13Rd03-390.jpg 飛び石で大きくクラックの入ったガラス交換。 13Rd03-365.jpg 加えて、消火器の誤作動による、消火液の洗浄。 13Rd03-378.jpg NEWガラスの位置合わせ。現地のガラス屋さんとは掛け声が合わない。
13Rd03-802.jpg ハプニングはあったけど、フリー走行も無事出走。ピットワークシュミレーション。 13Rd03-431.jpg 暑い時期、エアインテークに詰まる草は命取り。 13Rd03-417.jpg ピットウォーク。コース上は大量のバイク。
13Rd03-341.jpg グリッド上のクルー。 13Rd03-503.jpg スタートの加藤選手に気を注入?する高橋選手。 13Rd03-507.jpg 横車を押す・・じゃない、スタート前のストレッチ中の加藤選手。

決勝スタートは、国内戦の午後2時と異なり、日中の暑さを考慮し午後4時から。
加藤選手はオープニングラップは前の2台が接触し合ってオーバーランする間に10番手に上がるものの、その後は淡々と周回を重ね、ラップタイムも今ひとつ・・・上位の8~9秒台に対し10秒台と精彩を欠く。
各チームのルーティンピットインが始まる頃には、17周目頃には13位にまで下がってしまった。
その後は見かけの順位は上がるが予定通り28周目にピットイン。
加藤選手から高橋選手に交代。
タイヤは予定通りリヤのみ交換。
給油時間の36秒は、以前の紫電ならタイヤ4本交換してピットアウトできるタイム・・・いかにFIAGTマシンが大喰いかが伺えるが、それを補えるラップタイムでなければジリ貧である。
今日のレースは正にそれで、高橋選手に交代後も同様。
今シーズン、トラブルでリザルトが伴わないものの、決勝レースでトップグループと変わらぬパフォーマンスを見せる高橋選手だが、今日は12~14秒台と低迷、後方集団からも追い上げられ、ピットアウト時の13位から最終的にはトップから1周遅れの15位フィニッシュ。
レース終了後、両ドライバー共、マシンのパフォーマンスと、タイヤのグリップの不足を訴えている。
前戦の富士ではオーバークールを考慮し、ラジエターを部分的に塞ぐほどの気温から、1ヶ月半で一気に灼熱のレースとなり、これら詰めの対応をするには、走り込みが不足していたのかも知れない。
なにより、レースディスタンス約280kmを走り切ったのは初めてで、テスト走行における、ピットインを繰り返しての走行で得るデーターと異なる。
今回多くのデーターを得られたのは大きな収穫だが、早急に上位グループに加わらなかれば手遅れとなってしまう。
これらを生かし次戦菅生では巻き返しを図りたい。

13Rd03-804.jpg フォーメーション開始。 13Rd03-805.jpg いつもの序盤の追い上げなく、淡々と周回をこなす加藤選手。 13Rd03-807.jpg 後半の高橋選手も同様。攻め切れないタイヤに苦戦。
13Rd03-526.jpg ラップモニターを見つめる渡邊エンジニア。 13Rd03-529.jpg 終わってみれば、15位完走・・・走り込み、データー不足が響いた結果に・・。

■決勝レース後のコメント
■渡邊エンジニア「昨日も話したんですけど、初めて、車が壊れることなく完走しました。
ポジティブな見方とネガティブな見方がありますが、2つに分けるとすると、ポジティブな部分というのは、やっぱりレース300キロの距離があって、2人のドライバーが乗って、いろんな展開がある中、ゴールを迎えるんですが、走り切らないとわからない事って意外に多く、今回も走りきったんで分かったことって実はたくさんあって、そこがはっきり収穫として残ったかな、ってのがある意味ポジティブなことです。
走行中いろいろと車に起こる変化、ラップタイムだったりとか、レース状況が変わっていくんですけど、それが今までですぐに終わっちゃって・・・トラブルで頻繁にピットインを繰り返したとかするとそういうことかわからなかったが、それが今回分かった。
正直レベルの低い話ですけど、・・実際今までそれができていなかったので、・・すその部分がわかったのは良かったと思う。
これで次のレースに向けてアジャストしていかなくちゃいけない部分が見えたので、それはそれで好材料かなと・・。
もう一つネガティブな部分としては、トラブルが重なってちゃんとした車体のテストとか、タイヤのテストだったり、ドライバーの慣熟とかを含めて正直ちゃんとできていなかったって、言うのが車がちゃんと走ることによって露呈したかなと。
タイヤのチョイス的な部分も、タイヤのテストがちゃんとできていなかったところもあって、選びかねていた部分もあったかな。
正直今回のレース・・・ヨコハマタイヤ勢は、そういう傾向があったと思います。
ちょっとあまりコンディションに合ってなかったかな。まぁリザルトで予選決勝見てみても、ヨコハマじゃないじゃないメーカーが上位に並ばれちゃってるの見ると、我々をも含めてヨコハマユーザーとして底上げをしていかなきゃいけない。
その辺はかなりネガティブだったと思います。
通常であれば加藤選手がもりもりと追い上げていくというレースを観てたと思いますが、正直FIAGTっていうレギュレーションが非常にうまくできていて、特徴というより性能がきっちり揃っていて、なんていいますか・・独断的な展開は起きにくいレギュレーションになっちゃってますね。
ハイブリッドの二台とJAF GTの一台は、僕個人的にはシーズン前から簡単には太刀打ちできないなと思っていした。
まぁ実際今日のレースなんかでも、仮にどんなにうちの車がうまく走ったとしてもあれに追いつくことは正直ないでしょう。
そこは辛いですけれど、まずは今回見えたところを次にアジャストしてうまくレースができたらいいなと思います。」
■高橋選手「だめですセバンは・・もともと。車もちょっとダメだったけど人間はもっとダメでした。カトちゃん2人でも今日は10位がやっとかな・・やっぱ12位かな。」
■加藤選手「まあ予選から決勝までの間にいろんな出来事があったんですけど、それもスタッフのおかげで何とか決勝スターティンググリッドにつく事が出来てホッとした反面、やはりレースではちょっと煮詰めがりなくて苦しい展開になってしまいました。 ただ今まで懸念されていたトラブルは完全に消えていたので、次戦以降、もう少し車を煮詰めて、もう一回優勝争いにしたいなと思います。」