モータースポーツ

2014:SUPER GT第3戦 オートポリス

GTレースレポート
2014年06月20日

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5月30日 設営日

2001年、我々が参戦を始め、2003年の初遠征から、これまでズッと(2010年は未開催)ここオートポリスのでのSUPER GTレースは、例年秋・・・シーズン終盤に開催されたが、台風の影響も残り、雨、風、霧でコンディションが荒れる印象が強く、昨年も土曜日の予選が、濃霧によりキャンセルされ、決勝日の朝行われた。
だが今シーズンは、今夏完成予定のタイのブリラムサーキットでの“こけら落とし”レースが第7戦として10月初旬にスケジュールが組まれた為、オートポリス戦は5月31日/6月1日の開催となった。
お陰でこれまでは涼しい・・・を通り越して“寒い”ヴァージョンでの準備も、今年は30℃超えの真夏ヴァージョンとなった。

前戦富士では、不運ながらもマクラーレンでのシリーズ戦最高位7位、初の4ポイントを獲得。
その後のSUGOテストでも好調・・・というか、とにかくマシンの信頼性は格段に向上。

今週末はほぼ晴れと思われるが、山の天気はどうなることやら・・・だがチームのモチベーションはアゲアゲ・・!!
シーズン序盤、もっと高みを目指したい。

5月31日 プラクティス・予選

昨日は34℃、本日も35℃が予想されるプラクティス、予選日。
だが湿度は低く、風は爽やか、日陰が涼しく過ごしやすい。
年間を通じて、両ドライバー共、走る機会の少ないここオートポリス、昨年のレースでの車載ビデオで復習しプラクティスに臨む。

加藤選手により、セッティング、バランスの確認で走り出し、1′47″859でいきなり2番手タイムを、叩き出し相性の良さを見せる。
その後、ここオートポリスではコーナリングスピードの速さから好タイムが予想されたJAFGT勢の一角、61号車(BRZ)が46″146と、2番手以下が47秒台の接戦の中、ダントツのタイムでトップへ・・・。
その後もライバルも好タイムを出すものの、しばらくは47秒台止まり。
だが、種類の異なるタイヤ比較に入った加藤選手は、46″941のベストタイムを更新し、プラクティスセッション、クラス2番手となる。

セッション後半は高橋選手がドライブ。
最初の計測8周で、50秒台までは行くものの、なかなか伸びない。
加藤選手のデーターロガーと見比べ、試行錯誤を繰り返し精力的にドライブ・・・セッション終盤に49秒台から48秒台・・・48″842までタイムアップ、徐々に調子を上げてきたところでセッション終了。
マシンのバランス、タイヤとのマッチングも良く、午後の予選に期待したい。

午後、Q1予選は加藤選手がアタック。
気温は30℃までは届かないものの、路温は40℃近くまで上昇、エンジンもヒート気味で、プラクティス後にレスポンスに違和感を訴えていた加藤選手・・・データー上の異常は無いが、昨年も高気温では顕著に出ていたレスポンスの不満が顔をもたげてきたか・・?
そうした状況下でも加藤選手のアタックは46″298ベスト更新!!
しかしトップ61号車と2番手55号車(CR-Z)は45秒台、60号車(BMW)の46″158に次ぐ4番手で、Q2進出は確定。

500クラスのQ1予選に続いて、13台で争われるQ2予選は高橋選手。
ピットアウトから3周目、48″803のベストを更新するも、13番手。
更に2周連続アタックするも49秒台・・と、伸び悩む中、セッション終了も近い。
ここで使用したタイヤはそのままスタートタイヤになる可能性もあり、タイヤ温存の為ペースを落としたところ、最終アタックに入っていた55号車が接近、セクター1、2とベストタイムを叩き出していたアタックラップを塞ぐ形となってしまった。
セッション終了後、この行為が走路妨害となり、予選(Q1、Q2共)タイム抹消の裁定が下された。
結果、明日の決勝レースは最後尾グリッドからのスタートとなった。

6月1日 フリー走行・決勝レース

毎度天気の事ばかりで申し訳ないですが、今日も快晴、雨の心配はなさそうだ。
今シーズン、鈴鹿、富士、岡山、SUGOの4回のテストと、今日までのレース3戦で、レインタイヤを履いたのは鈴鹿テストの初日のみ。
レース遠征は、ホスピ関連含め、アウトドア・・・チョットしたテント生活なんで天気が良いにこした事は無い。
勿論観戦するお客様にとっては尚更の事である。

朝のフリー走行、予定していたレースシュミレーションが変更された。
高橋選手スタートで途中加藤選手となった。
昨日のQ2予選で、走路妨害により予選タイム末梢となり、決勝グリッドが最後尾となった為である。
加藤選手といえども、最後尾からではトップグループに追い付くには多くの周回を要するであろう。
であれば高橋選手で前半スティントを短めとして、早めのピットインでポジションを代えて追い上げ、リアルなバトルを避け、その後他のマシンがピットインする間に順位を上げようという作戦である。

満タンによるフリー走行では、加藤選手は1′48″370の4番手だが、高橋選手は1′51″237と今ひとつ・・・加藤選手とのタイム差は大きい・・せめて昨日のプラクティスで出ていた48~49秒台・・・50秒台は行きたいところだ・・・。
マシンのバランス、タイヤとのマッティングは悪くないので、決勝中のタイムアップを期待したい。

初体験では無い最後尾グリッド・・・これまでもセパンで2回経験している。
「またか。」と言った印象・・・マシンその物にトラブルを抱えていたり、根本的にタイムが出ない事での最後尾では無いので、レースその物に“未来”がない訳ではない。
どこまで順位が上げられるか・・?ポジティブにレースに臨む。
気温は28℃と高めながら爽やか、路温も44℃前後・・・。
定刻の午後2時フォーメーションラップ開始。
300クラス24台の23番グリッド・・・左後ろにはマシントラブルで予選不出走の7号車(BMW)が本当の最後尾。

第1戦、2戦では、全車新型となった500クラスへの措置として行われた、フォーメーションラップ前の1周のウォームアップランが、気温が高くなった事もあり今回から無くなった。
5番グリッドの31号車(プリウス)がスタートできずオフィシャルの押しがけにより、最後尾からピットスタートとなる。
4位以下、各グループで順位の入れ替わりはあったものの波乱なく終えたオープニングラップ、2号車高橋選手は23位。
トップからは14秒差・・グリッド位置の距離的な差であれば4~5秒の差であるが、オープニング時、トップグループはともかく中団以降はどうしても遅れ、差がもっともつきやすい。
反面、後方グリッドからスタートした、速いドライバーはジャンプアップするチャンスもこのオープニングラップであり、最後尾の7号車は17位に上がっている。

2周目52秒台、3周目51秒台とタイムを上げ始めた高橋選手だが、前を行く48号車(GT-R)より若干速いがオーバーテイクには至らない。
このレース、加藤選手につなぐまで、トップと同一周回をキープし後半スティント、加藤選手が追い上げる作戦。
だが、周回遅れとなってしまうと、加藤選手が仮にトップより速いラップタイムでも、よほどのタイム差が無い限り、トップに割込むことはできないのである。
それが周回遅れの“立場”なのである。
その為には単純計算で、トップから4.5秒落ち程度でラップしなくてはならない。
2周目以降、既にトップ61号車(BRZ)は47~48秒にペースが上がっているので51秒台は必須である。
だが6周目に入ると早くも500クラスが追いついてきて、ラップタイムが落ち込む。
昨年の、レースではこれら500を先行させる為、レコードラインを外した際にタイヤカスが付着し、その後のラップタイムがずっと落ち込んだが今回は違う。
まだレース序盤でタイヤカスが少ない事もあるが、ドライビングスタイルを学習した事である。

9周までに22位に順位を上げ、51~52秒台にペースを保つが、トップも47~48秒台で飛ばし、グングン迫ってくる。
ピットインするまでは同一周回を保てるだろうが、長い給油時間分をリードするにはいたらないか・・・。

20周を終え高橋選手に「BOX」(ピットイン)のピットサインが出される。
その10秒後にトップ61号車が通過。

翌周、最終コーナーを抜け、ピットロード進入路のシケインを抜けて高橋選手がピットに向かってくる。
その横ストレート上を61号車と55号車(CRZ)が駆け抜ける。

残り周回(推定41周)に見合う燃料給油・・ほぼ満タン・・、タイヤ4本交換を終え加藤選手ピットアウト。
この時点では最下位24位、前を行く22号車(メルセデス)はその前の周にルーティンピットを済ませ10秒先行。
トップからは1周+約70秒の差がついているが、トップがピットインするまでにどこまで追い上げられるか?そしてピットアウトでの位置は・・?
同一周回で終盤を戦えれば、ポイント圏内にまで運ぶことも望みが無いわけではない。
25周目に22号車をパス、23位へ、22位の7号車は、最後尾から序盤13位まで順位を上げたものの、ドライブスルーペナルティを受け、ここまで下がってしまったが、既にピットインを済ませ、20秒前方である。

タイヤの摩耗もあってか、上位グループが49~50秒台へとややペースが落ちる中、48~49秒台で飛ばす加藤選手、見えざるライバルを追う。
加藤選手が27周目を終えピット前を通過した43秒後、トップ61号車がピットイン。
61号車のピットアウトまでに前にいることができれば、ギリギリではあるが同一周回となる・・・果たして・・・。

ストレートを通過する加藤選手の視界に入ったのは、ピットアウトしてくる青いマシン・・61号車だ。
10秒近く少ない給油時間の差が、そのままピットストップの差となりコース上に現れ約3秒先行された。
2号車と同じピットストップタイムであれば、前に出られるはずだったのだが・・・。
だがアウトラップ、タイヤがあたたまるまでに、前に出られないか?と、攻める加藤選手だが、ちょうど500の集団が来るタイミングと重なった事、また真のトップ争いではないので、無理なプッシュはできない。
加藤選手「ダメだ!周回遅れだ」の嘆き無線が入る。

その後は、他のチームもルーティンピットに入り、加藤選手のここまでの猛プッシュの“精算”として順位が上がる。
30周目21位、32周目18位、そして43周目には16位となる。

ところが、その周1コーナーで30号車(GT-R)がコースアウト。
タイヤバリアを乗り越えサービスロードにまでマシンが飛び出す大クラッシュが発生、セーフティカー(以下:SC)が入る。
ドライバーは救急車で搬送されるも幸いにも無事が伝えられる。

SC先導でストレート上で整列、停止、その後手順に従い、500、300の順で再びSCランに入る。
この時点で“殆ど”周回遅れながら、トップより僅かでも前にいれば、一気にその差を埋められるのだが、今回はその逆、トップ(この時点で55号車(CRZ)に変わっている)から1周遅れ+15秒遅れとなっている。
クラッシュ車両の撤去、タイヤバリアーの修復に時間がかかり、レースが再開されたのは51周目、残り10周を切っている。
SC介入により同一周回の先行車との差も当然縮まったとはいえ、トップと同一周回のグループ(13位まで)と、周回遅れ(14位以下)のグループとがハッキリと別れてしましまった。
こうしたモチベーションが下がりかねない状況下でも、加藤選手はトップグループと殆ど変わらぬ・・いやそれをも凌ぐ48~49秒台の力走を見せ、52周目に7号車、翌周には33号車(ポルシェ)を抜いた同じ周、13位の9号車(ポルシェ)がスピン、グラベルでストップ。
復帰に1周分以上のタイムをロスした為13位へと上がるが、こんな“何か”が無い限り、残念ながらこれ以上の順位は望めない・・・だが、タイヤが摩耗した終盤でも加藤選手のタイムは48秒フラット、そして47″889のベストラップをマークしてフィニッシュとなった。
300クラスのトップの直後に500のトップが入り、2号車の周回はそこで切られてしまった為、トップから2周遅れの13位。(これはチームポイントに影響する。)
グリッド順位はともかく、レースそのものはノーミス、ノントラブル、相変わらずのポテンシャル見せるマクラーレン。
次回は7月19-20日の第4戦SUGO、かなり走りこんでおり、その間に鈴鹿のテストもある。
入念な準備のもと、次戦に臨みたい。

画像はFacebookアルバムで・・・。