モータースポーツ

SUPER GT第3・8戦:SUPER GT第3・8戦 ツインリンクモテギ

GTレースレポート
2016年11月29日

11月10日 設営

暑かったタイから1ヶ月・・・立冬を過ぎ、朝の冷え込みが厳しくなった11月のモテギ。
波乱に飛んだ2016年SUPER GTも最終戦を迎える。
しかし例年のシリーズ最終戦と大きく異なる。
4月の熊本地震により、5月に大分オートポリスで予定されていた第3戦が中止・・延期となり、今回の最終戦で併催される事となった。
開催の形としては、金曜日にプラクティス、土曜日に第3戦としての予選、その後250kmの決勝が行われ、日曜日にも同様に第8戦の予選、決勝が行われる。
こうした土日2戦形式はF3やF4、ポルシェカレラカップ等では見られるスタイルであるが、SUPER GTでは、過去に特別戦のスプリントレースが行われた事はあるが、通常のシリーズ戦では初めてである。
当然ポイントも同様に与えられ、仮に2戦共優勝すれば40ポイントが加わる為、ランキング争いは全く予測ができず、ファンにとっては目の離せないレースウィークとなる事だろう。
しかし我々は、そんなポイント争いとは全く関係なく最終戦を迎える事となってしまった。
マシンの速さに手応えを感じ始めたシーズン中盤・・・第4戦SUGO以降、富士、鈴鹿1000km、タイと、連続でトラブル、クラッシュと続き、完走すらままならない、これほど不甲斐ないシーズンはSUPER GT参戦以来初めてである。
だが明日からまだ2戦・・・マシンの速さはある・・チャンスがないわけではない。
応援いただいているファンの為にも、シーズンを締めくくる為にも、シーズンオフを、来シーズンを気持ち良く迎える為にも悔いのない1戦・・いや2戦としたい。

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11月11日 プラクティス

プラクティス 午前・ 雨/ウェット

未明からの冷たい雨は、プラクティスが始まっても止むことはなく、雨量もかなりのもの。
明日からの予選、決勝レース日はドライ予想であり、このコンディションの中、レーシングスピードで走るにはかなり危険であり、意味がないと判断しコースコンディションと相談しながらピットで待機。
しかし雨は止むことはなく、少ない走行台数にも関わらず、各所でコースアウトが発生、赤旗、再開、赤旗再開の繰り返し。
結局午前の走行は我々を始め、何台かはコースに出ることなく終了。
審査委員会はこのコンディションを鑑みて、午後のプラクティスを異例の40分延長・・・100分間とした。

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プラクティス 午後・ 雨/ウェット

しかし午後1時からの2回目のプラクティスも雨こそ止んだものの厚い雲に覆われ、まだまだウェットコンディションに変わりはなく、各マシンの走り込みでドライコンディションとなって行くことに期待し、まずは加藤選手でコースイン・・・勿論ウェットタイヤ。
タイから戻ったマシンの確認の後、徐々にペースアップ・・・しかし他車トップが既に1分56秒台に入る中、59秒台とタイムは伸びない。
何か根本的にセッティングが合っていないかと思われるので一旦ピットイン。
加藤選手「全然グリップ感がないな・・・」・・確かにタイヤも暖まらない。
渡邉エンジニア「(タイヤを触って)人肌くらいですね。」
ウェットセットのスタビライザーをドライセットに変更、ウィングを少し触るなど僅かづつ乾き始めたコースに合わせて行き、タイムも57″209まで上がるが13番手。トップは既に54秒台。

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ところが走り始めのデーターロガーを解析していたエンジニアから、「バッテリー電圧の低下が見られる。」との事。
このままではバッテリーが上がり止まる恐れがある事から、加藤選手に急遽ピットインを指示。
ピットに戻ったマシンを再チェックすると、充電系に異常が見られた。
このままでは、バッテリーの電気が“尽きれば”コース上で停止するかもしれない。
良い所で見つかった・・・と言いたい所だが、原因箇所の特定と、それを修復する為に残り約40分の走行時間を費やすことになってしまった。
原因はウォームアップ、走り出し直後には発生していなかった“一過性の接触不良”・・・電気系の故障で厄介なトラブルである。
この午後セッション、そろそろドラタイヤでも行けるか・・?というコンディションとなりつつあったが小雨がすぐにが路面を濡らしてしまった。
そのほんの僅かなタイミングで、ドライタイヤを投入した僅かなチームだけがタイムを上げたが多くの周回を重ねるには至らなかった。
結果的には予選決勝で予想されるドライコンディションでのセットを出せるセッションとはならなかったが、事前テストもなく、一年ぶりにモテギを走ることになる高橋選手の走行は、またも予選、決勝でのブッツケとなってしまった。

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11月12日 第3戦予選・決勝レース

予選 晴れ/ウェット

予想とはズレがあり未明に雨・・・朝一の公開車検時に青空が広がるものの、午前8時35分からと早い予選開始時刻では路面は完全ウェットコンディション。
予選は15分1回のみ・・・第1、第2ドライバーのいずれかのみのアタックでグリッド順位を決める。(ドライバーは第3戦・・今日予選出走しなかったドライバーが翌日第8戦の予選アタックを行う。)
ドライタイヤ、ウェットタイヤ各車半々で“賭け”が始まった予選セッション・・・加藤選手、2号車EVORAはウェットタイヤ。
しかし走り始めてすぐに、“賭けは”ウェットタイヤの勝ちとなった。
僅か1周でピットに戻るドライ勢。
低い気温、路温に暖まらないタイヤ・・・タイム差は歴然。
加藤選手は充分周回を重ね暖気を行い、3周目2分02秒台12番手・・4周目59″019、7番手・・・残り5分・・この頃になると各車タイヤも温まりタイムアップ。
翌周には12番手にドロップ。
7周目には58″034までタイムアップするが、最終的には12番手。
このコンディションはタイヤメーカーのキャラクターがはっきりと現れ、上位5台はBS、ダンロップ勢・・残念ながらYOKOHAMAは、今ひとつこのコンディションとは合わなかったようだ。
午後の第3戦は12番グリッドスタートが確定した。

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第3戦 決勝レース 晴れ/ドライ

通常より早い午後12時18分からの決勝レース、天候は晴れ、路面は完全ドライとなり、まずはウォームアップ走行・・・。
スタートドライバーは加藤選手だが、このウォームアップ走行は昨日のプラクティス、今日の予選と全く走行できていない高橋選手の慣熟走行に当てる。
15分間8周をシッカリ走り込み、51″187とレースラップには充分なタイムをマーク。
決勝レース後半スティントにそなえる。
1時10分・・クリーンスタートでレースは始まる。
オープニングラップ2台をパスして10位で通過、翌周9位。
ところが3周目、バックストレートからの右90°コーナーで55号車クラッシュ!!SC(セーフティーカー)が入るが、スタート直後の為、500、300共に隊列もできているので、停車する事なくレースは仕切り直しとなる。
SCランは7周まで続き、8周目ポジション9位でレース再開。
加藤選手は49″790のベストタイムで前の51号車(フェラーリ)に迫るがポジションを上げるには至らず、反対に後ろ33号車(ポルシェ)からの激しい追撃もある。
そんな前後のマシンが入れ替る激しい攻防はあるが、順位は9~10位とポイント圏内で変わらない。
だがそんな混戦でタイムは53~55秒と落ち込むが、16周辺りから始まったルーティンピットにより見かけの順位は上がっていく。
20周辺りで集団のマシンがいなくなった事により、加藤選手のラップタイムは51秒台へとアップ。
ピットインのタイヤ交換は4本、左2本のみ、無交換等、各チーム様々・・・我々2号車も当初は無交換予定だったが、中盤、加藤選手の判断は交換となったが、30周を越えた辺りでの交換した他のチームのタイム、加藤選手のタイム、路温等々各種データを照らし合わせた加藤選手の再判断は無交換で行こう・・・という事になった。

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34周目加藤選手ピットイン・・タイヤは無交換、高橋選手へと交代。
順当に行けばポイント圏内で復帰できると思われる。
アウトラップは10位!!
だがラップタイムは53~54秒台と、ポジションキープにはまだ足りない・・ウォームアップ時の51秒台は欲しい!
トップと同一ラップで背後から迫る何台かのマシンは51秒台。
飲み込まれるのは時間の問題か・・?
38周目14位、41周目15位・・50~51秒台でラップするトップとの差は1分20秒。
高橋選手のタイムは54~55秒・・周回遅れにならない為にはもう少しペースアップが必要だが、ここ3戦連続無かった“まずは”完走の為にも慎重さも必要。
無理なペースアップより、明日第8戦の為の走り込みと捉える。
ところが47周目、バックストレート先の90°コーナーで61号車(スバルBRZ)と接触!スピンコースアウト!!
幸いすぐにコースに復帰できたが19位へ落ちる。
その2周後、トップから1周遅れ49周、19位・・・第3戦は久々のチェッカーフラッグを受ける。

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11月13日 第8戦予選・決勝レース

予選 晴れ/ドライ

8時40分と、昨日とほぼ同じ(5分開始が遅い)まだ冷え込みのある予選のスタート。
今日は完全ドライコンディション・・15分をしっかり使う為、開始と同時にピットを離れる高橋選手。
3周のウォームアップの後アタックに入る。
4周目52秒台、翌周50秒台・・昨日のRd3がいい練習となり、タイムアップが早い。
6周目49″729と毎周更新するが24番手。
7周目、各セクターで更新、48秒台に入るかと思われたが、惜しくも49″063・・・更に翌周連続アタックに入るが、第1、第2セクターと僅かに遅れ、タイム更新は無理と判断、タイヤ温存(この予選タイヤは決勝スタートタイヤとなる。)の為ピットに戻る。
自己ベストとはいえ、予選出走28台中25番手・・・・。
このタイムは、ほぼプロ化が進んだ4年前のコースレコード、一昨年(昨年はウェット)なら充分Q1突破タイム・・・勿論こんな慰めの比較が、“現在に”何の意味もなさないが、アマチュアドライバーの着実な進歩以上に、GT300のハードルは高くなっている。
だが51秒台でレースラップをこなせれば、レースは充分面白い展開が期待できる。

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第8戦 決勝レース 晴れ/ドライ

正午過ぎから始まったウォームアップ走行から、スターティングセレモニーへと続く。
昨日より上がった気温、路温は、それぞれ22度、27度と過ごしやすい最終戦。
スタートは高橋選手。
午前予選で使ったタイヤは、温まりの早いタイヤ・・・予選でのバランスは良かったが、決勝でのライフはチョット未知数。
短いスティントで、加藤選手に交代。
タイヤ交換は状況次第・・・といったところ。
昨日のRd3では無かった観客のグリッドウォークが加わった為、決勝スタートは20分遅い13時30分。
パレードラン、フォーメーションラップからレーススタート。
タイヤが暖まらないスタート直後、後3台のパワーに勝るGT3マシンに、4コーナー立上りのストレートで次々と抜かれ、オープニングラップは最下位となったが、まだ500もこない、後を気にする必要もなくドライビングに集中できる。
2周目に入りタイヤも暖まり、ラップタイムも前を行くマシンよりも早くなった。
3周を終え、予選時の走りの勘が戻ってきた。
ところが4周目、モテギで一番奥のヘアピン進入で、前を行くヨッシーこと吉本大樹選手がドライブする60号車(RCF)の右後ろに追突!!
そのまま2台共コースアウト・・・ストップ。
レスキューに引かれ、何とかコースに復帰したものの、左前の足回りが曲がりトロトロとピットに戻るが、修復しレース復帰できる状態ではない。
僅か3周でリタイヤである。

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申し訳ない事にヨッシーの60号車も足回りが破損、リタイヤを余儀なくされた。
ラップタイムが上がり、何とか前に出られれば・・・という気持ちが判断を誤らせてしまった。
また鈴鹿、タイと、2戦連続の高橋選手自身のミスによりレースを失っており、無難に走りきる事だけに専念すれば良かった・・・だが消極的になっては参戦する意義がないという葛藤・・・。
しかし結果、代償は大きかった。
今シーズン熟成が進んだ「2号車 LOTUS EVORA」は昨シーズンの不調を払拭すべく大改良を施されシーズンに臨み、序盤こそ遅れをとっていたタイヤとのバランスが悪かったが、Rd4SUGO前に完全2016ヴァージョンとなってからは確実にクラストップの戦闘力をもったマシンとなった。
だがそのRd4SUGO戦始め、以降は8月Rd5富士のマシントラブル以外は全てスピンやクラッシュでレースを失い、Rd6鈴鹿1000kmでのクラッシュは、2016ヴァージョンのパーツを失い、再び2015ヴァージョンに戻さざるえなくなってしまった。
2年連続の不振・・・2015年シーズンはマシントラブル、タイヤバースト、と主にハードが原因でドライバーは殆どミスなしだったが、今シーズン、マシンは良い状態仕上がったが、ドライバーが不振の主な原因となった。
もっとも2016年もマシントラブルが無くなったわけではなく、プラクティス等で走行時間を失う事は多々あり、そのシワ寄せの多くは高橋選手が負うこと事となり、今回のモテギでも金曜のプラクティスは0周・・・。
なかなか歯車がうまく噛み合わない・・・。

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