モータースポーツ

2017SUPERGT第5戦:富士スピードウェイ

2017シーズン LOTUS EVORA
2017年08月10日

8月4日設営日

設営

SUPERGT真夏の3連戦・・第4戦SUGOから2週間、高速サーキット富士スピードウェイに舞台を移す。
SUGOでのクラッシュの修復が間に合うか?危惧されたが、メカの不眠不休の努力とサポートメーカー様のご協力で何とかサーキットに搬入。
このフロント周りの修復を“兼ねて”というのも妙な話だが、ダウンフォースを多少犠牲にしてもドラッグを減らしトップスピードを稼ぐいわゆる富士仕様。
過去のテストデータと風洞実験による高速富士仕様のほぼ完全体。
いまだタイヤとのマッチングが決まらず、成果は未知数ながら、立ち止まることは後退に等しいこのレース・・・ 何かを掴み、結果を残したい。

修復完了し積み込まれる「LOTUSEVORA」

これまでもテストはされてきたフリックボックス。レギュレーション一杯まで拡大・・かつ一体化。スムージングフロントフェンダー等々富士仕様。

周りの山は雲だらけ・・・いまだ雨は無いが予報は有る。

8月5日プラクティス・予選

プラクティス 晴れ ドライ

プラクティス 晴れ/ドライ
雲はあるものの快晴の朝。昨日は隠れていた富士山も臨める。
今回も走り出しは修復後の確認。
アウト・インの1周を終え加藤選手「うんチャント走れる」・・・今のところ・・。
特に問題は無さそうなので、その後周回を重ねる。
今回のマシンはドラッグ(空気抵抗)を減らす為に、ダウンフォースを犠牲にした・・・言い換えればトップスピードを稼ぐ為に、コーナリングスピードを犠牲にするのだが、それらをどの辺りまで折り合いを着けるのか・・?
それらが高次元マッチングすれば完全富士仕様となる。
まずは加藤選手により1′39″540をマークしシングルポジション・・・とはいえ他のマシンもタイムアップ・・トップは38秒台に入り順位は埋没。
その後スタビの調整、タイヤ内圧調整、タイヤ比較等を行い加藤選手は19周をこなし39″323までタイムアップするが10番手。
まだタイムアップの余裕を残しつつも高橋選手に交代しマイレージを稼ぐ。
ダウンフォースが減りオーバーステアに戸惑いながらも44秒台から43秒台、そして300占有走行に入って42″753へとタイムアップ。
ところが「ステアリング重くなった!!」との無線。
ステアリング系トラブルは、先回のSUGOでも起こり(この時は電源がOFFとなった)アクシデントに直結する最重要トラブルだけに即ピットイン。
チェックするとパワーステモーターの故障っぽい・・・占有時間を残しプラクティス終了。
スペアモーターはあるので午後の予選は心配ないが、すぐ後のサーキットサファリまでに間に合わない。
貴重な走行時間を失う。
Q1予選 晴れ/ドライ
午後2時35分からの15分間のQ1予選は加藤選手のアタック。
マシンのセットアップや、天候も変動が無い事もあって、セッション開始から4分ほどピットで待機、他のマシンの様子を見てからコースインするのは、いつもの加藤選手のリズム。
2周のウォームアップでアタック開始。
最初は39″642で14番手とQ2進出台数枠ギリ!!無論このタイムQ2進出できるはずはない。
連続アタックは38″813と7番手・・・だがこれも徐々に順位を下げる。
グリップのピークはこの辺り・・・だが、アタックを続ける加藤選手。
トップスピード270km/hはGT3勢には敵わないが、マザーシャーシ勢トップで第1セクターベスト、続く2つの高速コーナーとヘアピンで構成される第2セクターもベスト!!
38秒台前半のペースだ。
ところがテクニカルな最終第3セクターで、MAXを過ぎたタイヤではペースを上げられず更新ならず、この周回1000分の1秒の更新にとどまり38″812・・・Q112番手でQ2進出となった。
Q2予選 晴れ/ドライ
セッション開始と同時にピットを離れる高橋選手にとってはプラクティスの延長ともいえる12分間のQ2予選。
タイヤのウォームアップで既にプラクティス時のベストタイムを上回る。
更に41秒台そして40″331のベスト更新でセッション終了。
順位こそ14位とQ2最後尾となったっが、決勝での伸び代が期待できるセッションとなった。

宿泊先、裾野のホテルからの富士。冠雪は無い。

朝の公開車検。隣は今シーズンから参戦のマザーシャーシ車両「マークX」でレスキューによる救出訓練中。

富士仕様はリヤ周りもスムージング化されている。

プラクティスでの走り出しはまずまず・・・特に問題なかったが・・・。

セッション終盤、パワーステにトラブル発生。マシンを降りる高橋選手。

ピットウォーク直前に行われた迫力のフライトパフォーマンス。

ステアリング部分。ステアリングホイールと、ギアBOXの間にモーターが有る。

エアコンの効きが悪く暑いという意見に対し、ウィンドスクリーンを外す事で対処。
ではなくステアリング部のメンテナンスの為に取り外し。

Q1予選を終えた加藤選手。タイム的には納得できるものでは無かった。

Q2予選を終えた高橋選手。決勝レースへの期待ができるタイムアップ。

8月6日決勝レース

決勝レース 晴れ/ドライ

気温30度、路面温度36度・・快晴の富士スピードウェイ。
外界の連日の猛暑から比べれば、少し高地の富士スピードウェイは多少楽だが、充分暑い・・・が雨の心配はない。
14番グリッドからのスタートは加藤選手。
スタート直後第2コーナーで8番グリッドの3号車(GT-R)と65号車(メルセデス)が接触、3号車が早くもストップしオープニングラップ13位で通過。
なんとオープニングで順位を落とさなかったのは今シーズン初めてかも。
これまでスタートからのパワー勝負でかなわず、特にここ富士はスタートラインから1コーナーまで・・また最終コーナーから計測ラインまでの距離が長く数台は間違いなくパスされてしまうのだが、今回に富士に持ち込んだ“富士仕様”が功を奏し、ビッグパワーGT3勢に肉薄する270km前後のトップスピードをマークし、マザーシャーシー勢の中ではトップである。
ただその代償にダウンフォースを削っており、単純にはコーナーリングスピードが落ちる・・・それらのバランスをどこで折り合いを着けるか?ラップタイムに現れるか?がこのレースの鍵といえるのだが・・・加藤選手は中団グループの中で快走。
5周を終え、トップ55号車(BMW)は2位7号車(BMW)から3秒先行、そこから13位2号車、加藤選手まで10秒以内に12台が入る。
7周目ヘアピンで11号車(メルセデス)にインを突かれ順位を落とすも、翌周ジャンプスタートのペナルティで前を行く26号車(アウディ)がドライビングスルー。
順位を戻したのもつかの間、9周目のBコーナーの左切り返しで500にピタリとついていた51号車(RCF)がアウトから抜いて行く。
しばらく51号車に追走し、12周目に入るストレート中盤からのスピード勝負でパス・・・と同時にこの周回8位走行中だった65号車がオープニングの接触のペナルティでドライビングスルーとなり12位へと上がる。
すぐ前は第3戦SUGO優勝マシン、マザーシャーシの25号車(86)だが、5km/h上回るトップスピードを活かし14周目のストレート中盤であっさりパス11位へ・・・ラップタイムも1秒早い。
15周目ヘアピンで111号車(メルセデス)をインから・・・16周目30号車(プリウス)を100Rアウト、翌周には50号車(フェラーリ)をストレートエンドでパスし各周でオーバーテイクし8位へと躍進!!
ストレート、高速コーナー、はたまたブレーキングと、いたるところで変幻自在のレースを見せている。
17・18周と順位は上げられないものの、ラップタイムも2位以下の上位10台は41秒台の中、トップ55号車と2号車加藤選手のみが40秒台と久々の快走。
20周を過ぎると各マシンルーティンピットが始まり、見かけの順位は上がり、28周目3位、31周目2位、そして36周目に暫定トップとなる。
その後43周を終え、ピットイン。
タイヤ交換、給油を終え高橋選手がピットアウト、戦列復帰。
コースイン時は7位あたりだったが、冷えたタイヤのアウトラップ・・後方集団は迫る・・アウトラップを終えて12位とポイント圏外となり、翌々周には14位にまで後退。
だが、今日の?富士仕様?は、ほぼ完全体。
アップデートは素晴らしいバランスで徐々にタイムアップしていった矢先、51周目の1コーナーのフルブレーキング・・・っと突然エンジン停止!!
そのままエスケープゾーンを抜け向きを変えてストップ。
再始動を試みるがスターターは回るが始動しない。
無線も生きてるし、パネルの表示も出ている・・今まで経験した電源喪失とは違うようだ。
幾度かの始動手順をやり直したところ始動!!コースに復帰する。
だがここで失った約90秒に加え、コースサイドのタイヤカスを拾った事でペースが上がらない。
結局トップから3周遅れ24位完走でチェッカー。
車両保管が解除になり、メカがエンジンストップの原因を探ったが不明。
ところが車載映像を見てみたところ判明。
コックピット中央に、頭部(ヘルメット内部)冷却用のホースがあるのだが、今シーズン途中から義務付けになったドライバー左右のレーシングネットを避けるように取り回されたホースの遊び部分がブレーキングのGで何とイグニッションスイッチに触れエンジンを止めてしまったのである。
今シーズンに入って、マシンのアップデート、セッティングがもっとも順調に進んでいたレースだっただけに残念な結果となってしまった。

決勝日・・・雨の心配はまずない。

恒例となった全ドライバー紹介。シャイな2号車パイロットである。

今シーズンハンドツールのサポートをいただいた「whirlpower」・・カラーがペトログリーンは偶然。

ファンの方がレゴで組み立てた歴代2号車を見せてくれた。凄い!! 決してモザイクがかかってるわけではありません。

グリッド上唯一の日陰となる300クラス14番グリッド。

この中団からジワジワと順位を上げた加藤選手。

富士仕様はドンピシャ!GT3マシンと遜色ないトップスピード。

ダウンフォースを削ったにも関わらずコーナでも充分レースができた。

加藤選手が戻るのを待つ高橋選手。昨年に比べ、ドライビングを合わせきれない。

ピットアウト・・7位で復帰する高橋選手。

なんと冷却用ホースがイグニッションスイッチに触れエンジンを止めてしまった。これは触れる寸前。