モータースポーツ

2017SUPERGT第8戦:ツインリンクもてぎ

2017シーズン LOTUS EVORA
2017年11月18日

11月10日設営

 タイ戦から1ヶ月・・季節も変わり立冬を過ぎ、冷え込みが厳しくなってきた。
 2017年のSUPERGTは早くも最終戦。
 今シーズン、マシンの信頼性は大幅に向上したものの、まだまだ細かなトラブルに悩まされ、失った走行時間も少なくなくない。
 それに伴う、高橋選手の習熟、タイヤテスト・・特にレイン・・・等、多くを課題、やり残しを抱え最終戦を迎える事となった。
 そんな中、富士でのトップスピードアップ等、マシンの速さは確実に向上し、明るい材料もある。
 来シーズンはエントリー台数も増えるようで、サーキットによっては予選落ち・・・どころか、エントリーすら制限を受けてしまう場合もあり、更なる激化となることは必至。
 残念ながら我々の様に下位に低迷したチームはこの最終戦でのリザルトはそんな来シーズンへの布石となる重要な一戦となる。
 悔いの残らぬレースをしたい。
 
 雲ひとつない好天のもと、1週間前にタイから戻った2号車LOTUSEVORA・・・明日は雨模様。

 今レースの目玉のひとつ「DTMマシン」のデモ走行に備え、今日は試走

 こまかなディティールが目を引くメルセデス・・・他アウディ、BMWと3台が走る

 確実に速さと信頼性が向上したEVORA・・・来シーズンに繋がるリザルトを残したい。

11月11日プラクティス・予選

プラクティス 晴れ / ドライ
 全国的に雨予報となっていたが、少なくともここモテギでは晴れ・・・少し雲が出てパラついたようだが、8時45分からのプラクティスには全く影響はないものの気温10度、路温も13度と共に低い。
 加藤選手の走り出しですぐに1分49秒・・そして48″636でクラス中盤辺りに位置したが、今回用意し装着したソフトタイヤは10周ほどでパフォーマンスが低下・・・ハードタイヤに交換。
 セッティングはそのままで48″404までタイムを上げるがクラス15番手・・・だが、充分タイムアップの手応えを掴み高橋選手に交代。
 ここモテギ1年振りの走行となる高橋選手、昨年の決勝レースを僅か3周で終えてしまい、根本的にマイレージが不足気味。
 このセッション、残り30分とクラス占有10分を高橋選手に充て、途中スピン、コースアウトにより、マシンに巻き込んだ砂利の清掃という場面もあったものの17周、その後のサーキットサファリでも5周と周回を稼ぐ。
 だがタイム的には51″935がベストと苦戦。
 車載ビデオ、加藤選手のデーターロガーとの照らし合わせで学習、午後の予選Q2に備える。
予選Q1 晴れ/ ドライ
 プラクティスでのベストタイムでは15番手と、Q2進出14台枠には厳しい状況とも思われるが、手応えは充分・・。
 全車がコースインした最後尾でコースインした加藤選手、3周のタイヤ暖気でアタック、48″123で5番手に着けるが、各車のタイムアップで瞬く間に13番手にドロップ。
 翌周47″789で7番手、ほぼ各マシンのアタックは終わったものの2台に割って入られ9番手・・・充分とも思われるが「もう一周行く!!」と加藤選手。
 だが既にタイヤのピークは過ぎたか・・?1、2セクターとタイムタイムアップできず、既にチェッカーも振られ、翌周のアタックは不可。
 結局9番手とはいえ、久々のQ2進出を果たす。
予選Q2 晴れ / ドライ
 セッション開始と同時にコースインする高橋選手。
 加藤選手と同様3周のウォームアップでアタックラップに・・・すぐに51″874とプラクティス時のベストを更新。
 翌周には51″025と更にタイムアップ。 最終アタックとなる翌周には50″605をマーク。
 プロドライバーばかりのQ2セッションでは14位と最下位となるが、走り込む程にタイムアップするのだがセッション終了。
 走行時間が少ないのが残念。
 シーズン中盤から決勝レースでのマシントラブルはほぼ無くなったが、そうした時はドライバーのミス、不運等でレースを落としている。
 今日のプラクティス、予選もマシンはノントラブル。
 来シーズンに繋がるべく、決勝は見ごたえのあるレース展開にしたい。


 午前7時・・モテギの空。少しパラついた程度でコースコンディションには影響はなし

 公開車検

 プラクティススタート。

プラクティス途中、高橋選手にアドバイスする加藤選手。

 DTMマシンとGT500によるデモ走行。

 ピットウォークはかなりの混雑ぶり。

 Q1予選タイヤ、自然のタイヤウォーマーを使う。

 Q1セッション・・ピットを離れる。

 レースクイーンのコスチュームも冬仕様。

11月12日決勝レース

決勝レース 晴れ / ドライ
 天候の心配はなくむかえた決勝日。
 シリーズの中で早目の13時30分スタートにむけてのウォームアップ走行では、満タンではなく決勝想定の70%程の燃料で走る。
 加藤選手から、途中高橋選手への交代練習も入念に行う・・・。
 レース距離の短いこの最終戦、タイヤ交換も無交換、4本交換、2本のみ交換と各チーム様々。
 我々2号車は硬めのタイヤ・・・といってもQ1予選で使ったタイヤ・・で無交換作戦をとる。
 となると逆算でドライバー交代時間がほぼ給油時間となり、単純計算ではスタートしてチェッカーまでの必要燃料からピットイン時の給油量を差し引いた量でスタートする事になる。
 こうした搭載燃料を決める燃費は、プラクティス、予選まで一貫して、走行距離(周回数)と使用燃料を綿密チェック・・大きな振れがないか?確認している。
 また、給油装置にしても自然落下の為、実際に流量チェックが必要であり、マシンの通常の燃料ラインから燃料を完全に抜き取りカラになった状態に、給油装置で何秒で満タンになるか?はサーキットによって給油装置とマシンの位置(高さ)が多少異なるので毎戦チェックしている。
 決して前回や昨年のデータそのまま利用する事はない。(大きな振れがないかはチェックするが・・・)
 また、満タンといっても実際に何リットル入ったか?有効に使用できるのは何リットルか?(100リットルタンクの全て使えるわけではない)等々・・・燃費、燃料に関するデータはレース管理のデーターの中ではかなり重要な項目である。
 作戦(ピットイン周回の・・)の自由度を広げる為、ある程度の余裕・・突然のSC介入がありピットインできなくなる場合もある・・・は見越しているがそれを突き詰めるのもレースである。
 スタートは加藤選手。 オープニングラップの1コーナーで早くも60号車(RC-F)にインに入られ15位に下がる。
 4周目1コーナーで同じ形でインから3号車(GT-R)にパスされ16位 7周目最終コーナー、左、右の切り返し31号車(プリウス)にアウトから・・・17位に下がる。
 この日の気温は16度、路面温度は23度と想定より低く、タイヤはハード・・・と言ってもベストでは無く、ソフトよりはマシというレベル。
 これは決してタイヤ性能が劣るという事ではなく、ここシーズン終盤に至るまで、テストしきれなかったツケがまわってきたのである。
 7~8周目に入ると500が来る。 9周目88号車(ランボルギーニ)が下がって16位に上がるが、11周目ダウンヒルコーナー立ち上がりで10号車(メルセデス)87号車(ランボルギーニ)の2台に拔かれ18位。
 STOP&GOのモテギ・・富士とは違うパワー勝負のサーキット。
 パワー・・立ち上がり加速に勝るGT勢に先行される。
 コーナーリング性能に勝る2号車EVORAといえど、集団の中、このコースでは強みを発揮できない。
 16周過ぎからピットイン始まり、見かけの順位が上がる。
 20周を終えた時点で渡邊エンジニアが「FU(消費燃料)お願いしま~す。」
 の呼びかけに対し、メーターに表示された数値で応える。
 加藤選手「◯57!◯57!」。 渡邊エンジニア「◯57了解!」と返す。
 事前の計算通りの数字で、順調な燃費・・これでピットイン時点での給油時間を算出。
 この加藤選手のスティントは33~34周を予定・・次の30周でもう一度消費燃料を確認し給油時間を再チェックしピットインに備える。
 集団での52~53秒台から、ピットインが始まった事により集団がバラけ51秒台に上がる。
 見かけの順位が4位になった26周目、ピットでは高橋選手も今シーズン、最後のレースにむけスタンバイ。
 昨年の最終戦、追突し僅か3周でレースを終えた無念を晴らそうと、コンセントレーションもアップ。
 ところが29周目に入ったV字コーナーからヘアピンに向かう辺りで「エンジンおかしい!!」と加藤選手から連絡が入る。
 更に「フューエルロープレッシャーの警告が出てる!!」 渡邊エンジニア「おかしいようならピット入ってください!!」という声は届いたようだが、「エンジン止まった!!」
 ヘアピンを惰力で回り、バックストレッチ途中まで行って完全ストップ・・再始動を試みるがダメ。
 最終戦は、完走ともならず、あっけない幕切れとなってしまった。
 エンジンが止まった原因・・・フューエル系の何か?ポンプの故障か?マシンが戻らないと分からない・・・。
 レース終了後マシンがピットに戻りここで分かる範囲で点検・・だが然圧が上がらず再始動不能。
 燃料が流れてるのか?抜き取ってみると・・・何とガス欠!しかも完全に!
 まだ5周以上走れる充分な量が残ってるはずなのだが?
 スタート時の給油量の間違いか?だが給油量は最重要チェック事項で、給油量の記録を見直してもそれはない。
 エンジンのデータを吸い上げ、チェックして見ると、22~23周辺りから消費燃料が異常に増えている事がわかった。
 異常燃費の原因そのものはこれから探る事になるが、センサー等の故障が考えられる。
 30周目にも消費燃料をチェックするので、ここまで走れていれば異常燃費が分かり、緊急ピットインを指示する事ができたのだが・・・。
 昨年に続き何ともフラストレーションが溜まる最終戦となってしまった。


 ウォームアップ走行前に航空自衛隊の「F2戦闘機」のデモ飛行。

 モテギで14番、中位グリッドは久し振り。

 スタート1コーナー・・・既に後ろグリッドにいた60号車がインについている。

 集団の中、苦戦する加藤選手。

 後半スティントの高橋選手待機中。

 リタイヤ後にピットに戻り、状況説明する加藤選手。

 キャリアカーで戻る2号車。

 止まった直接原因は“意外な”ガス欠。

 残念な最終戦を終える。