GT CHAMPIONSHIP 2002 Series Round 1

開催日
2002年4月12〜14日
サーキット
岡山県:TIサーキット英田
マシン名
ベルノ東海ARドリーム28NSX
ドライバー
高橋 一穂・渡辺 明

フル参戦に向けて・・、いきなり・・

12日(金)フリー走行日 天候:晴れ

6月のマレーシア:セパンサーキットもシリーズ戦に加えられ全8戦を、フル参戦予定の今年は、昨年末のタイヤテスト、3月の合同テストと精力的に走り込んできた。

しかし3月のスーパー耐久と重なった渡辺選手は、合同テストに参加できなかった為、午前のフリー走行は渡辺選手からスタート。

しかし1周目途中でスロー走行、そしてピットイン! なんとアクセルワイヤーの破損だった!

この部品はと言うより、このNSX、殆どが専用部品で、スペアの持ち合わせが無かった。

しかし加工することで修復は可能。

しかしこれで午前は終了。

photoフル参戦予定の今年はかなり走りこんでいたのだが…

photoいきなりのトラブルは、アクセルワイヤーがペダル側で破損。スペアが無い場合、与えられた道具材料でいかに加工、修復するかもメカニックの腕

明日への期待

修理を終え、午後も渡辺選手がドライブ。ところが5ラップ程でピットイン。左後輪付近からオイル洩れが発生!

至急修理にとりかかるが、ミッションからと判明。致命傷にはなっていないが、午後の時間帯の修理は無理と判断。

本日は渡辺選手が実質5ラップ程、高橋選手は1ラップも走る事無く終了してしまった。

明日は降水確立が午前60%、午後20%、決勝日は晴れ予想。午前の予選を無理せず、午後の予選で勝負を掛けるか?

決勝日、万一の雨を想定して午前が雨でもデーター取りの為、しっかり走り込むか?と両ドライバー不完全燃焼のまま、明日に備えたミーティングが行われる。

photo渡辺選手も、やっと走る事ができたのもつかのま。また新たなトラブルが…

photoミッションオイル洩れ発生。修復は可能だが、初日はこれでおしまい

初戦は無難に・・

13日(土)予選日 天候:曇りのち晴れ

天気予報とは裏腹に、曇り空で迎えたものの雨の心配はなさそうだ。降水確率も下がっていた。

マシンも、メカニックの深夜に及ぶ整備で復活し、セッティングが不充分ながら、予選用に仕上がっている。

午前のセッションはまず高橋選手がアタック、そして渡辺選手に交代。渡辺選手は午後タイムアタックを行う事に決まった。

このGT選手権の予選は60分だがGT500、300各20分づつ、そして混走が20分となっており、混走では台数も多く、速度差が多きい為、タイムを出す事は難しい。

しかしGT300クラスの専有走行時間の5分後、「これから!」という時に一台が冷却水を撒き散らし、スピン車両が続出。赤旗中段となってしまった。これに巻き込まれた高橋選手、コース外に出てしまうがマシンにダメージは無い。

再開後、高橋選手のタイムアタックで1’35”300をマークしクラス16番手に着ける。

しかし午後のセッション迄の間に行われたカートレースの後、路面状況が悪くなったのか、2回目は結局タイムアップできず、渡辺選手も1’35”348に留まる。

しかし午前中スピン等でタイムアップできなかった他のマシンに前に行かれ、結局18番手に終わる。とはいえ両ドライバーともタイム差も無く、初戦でもあり、無難にレースをこなし上位へ行く作戦とする。

当然ピットワークも重要なカギとなるので、予選終了後もメカニックはピットワークを、ドライバーは交代を何度も繰り返し練習を行った。明日も雨の心配は無さそうである。

photo予選前は車検。手押しで最終コーナー側へ。少し上りだが鈴鹿より楽だ

photoGTは予選、決勝を通じ使用できるのは3セットまで。その内1セットは抽選でスタートタイヤになる。これで予選スペシャルタイヤを防止できる

photo今回TIに来て、高橋選手が初めてドライブしたのはいきなり予選だった

photo他車のまいた冷却水でスピン、コースアウト。ダメージも無く自力でピットへ…。しかし自力で帰れないマシンも出たた為、赤旗中断

photo昼休みに集合写真撮影。初戦GT300クラスは25台50名の参加。最前列右から3組目が両ドライバー

photo昼に行われたカートレース。125ccミッションカートのコーナリングスピードはGTカーを凌ぐ。

photo午後のセッションも果敢にアタックをするが…

photo予選終了後の渡辺選手。タイヤの状況や、少ない走行時間の感触から決勝用のセッティングをメカニックと話し合う

14日(日)決勝日 天候:晴れ

明けて決勝日、快晴である。お客さんには丁度良い観戦日和だが、ドライバーには少々つらい天気と思われるが、クールスーツが要る程では無いだろう。ところが朝一のフリー走行で思いがけないトラブルが発生!スタートドライバーを務める渡辺選手が、半周もしないところで、モニターTVに映し出された! スロー走行をしている。結局コース脇に止まってしまった。

無線では
「パイパーコーナーを立ち上がったところで、ギアが抜けたみたいで、全く走らない!」
との事。ピットに緊張が走る。エンジンは無事な様で、ミッション・動力系が予想されるのでメカも準備を始める。

30分のフリー走行が終了。
サービスカーに牽引されマシンが戻ってくる。跳びつくメカニック。ピット内は騒然となった。

photo今回よりサントリー「BOSS」がスポンサーに…

photo朝のフリー走行で止まってしまい、渡辺選手もマシンから降りてしまった

photoサービスカーに牽引されて戻って来たマシン。原因はドライブシャフトの破損

程なく原因がドライブシャフトの破損とわかり、スペアパーツもある事から一安心。午後2時からのスタートに併せて、確実な修復を行う事にする。

無事修理を終え、グリッドにマシンを並べる。不安が無いと言えば嘘だが、やるべき事はやった。全てのトラブルは予測が難しかった事で、レース中であれば致命傷になる事ばかりで、ここまでに出尽くしてくれたと考えれば、ラッキーだったとも言える。

photoピットウォークはファンとドライバーが触れ合える機会。サインを求められる渡辺選手

photoグリッドで、アメリカンレーシングのキャンギャルと両選手

1ラップのローリング後、レッドシグナルがグリーンへ、スタート!1コーナーまでに1台を抜き、オープニングラップ17位で返ってくる。

今回は82ラップのレースで、GT500とのタイム差からGT300はトップで77ラップ前後、我々は75〜76ラップでフィニッシュと考えている。

渡辺選手が40ラップ前後走り、タイムの落ち込みや、セーフティーカーが入いったりの状況を見て、ピットインする作戦である。

10周目辺りからGT500マシンが混ざり始め、GT300勢にとっては後方にも気を配るレース展開となり、抜き方と抜かれ方を、うまくこなさないとタイムが落ち込むばかりか、接触の危険性も出てくる。

しかしこういう状況下になると、さすがはベテラン渡辺選手、どんどん順位を上げてくる。フルタンク状態からスタートし、タイヤ磨耗、混戦状態でも、37秒前後のペースを崩す事無くラップを重ねる。

そして50ラップ目にピットイン、給油、タイヤ交換、ドライバーチェンジ、練習タイムより短くピットアウト。

photoオープニングラップでのバックストレート。既に1台を抜いている。この後、快進撃が続く

photoセッティング決まらないまま挑んだ決勝。しかし不運を使い果たした、NSXは快走を続ける

photoスピード、タイムを落とさずGT500マシンを先行させる、ベテラン渡辺選手

photoドライバー交代。コースで1秒縮めるのは大変だが、ここで1秒遅れる事はアッというま

9位でバトンを受け取った高橋選手、燃料も残りラップ分の為、3分の2程である。

混戦状態の為、タイムは38〜39秒台と上がらず、1つ順位を落とすが最終的に抜き返し、75ラップ、9位でフィニッシュ! ポイント2点をゲット。幸先の良いスタートを切る事が出来ました。

photo後半順位を守りきって快走する、高橋選手

photo75ラップでフィニッシュ。ウィニングランを終えて戻って来たNSX

photo鈴木監督とがっちり握手。幸先の良いスタートをたたえあう

今回のレースはGT300、24台中リタイアは4台、GT500も18台中リタイアは1台という、昨年の様な接触、リタイアといったサバイバルレースとはならず、走り切った実力通りのレースであり、素直に実力が上がり始めたと感じることができました。

photo

GT選手権第1戦 GT300クラス予選 18位 決勝9位 2ポイント

ドライバーコメント

渡辺選手「フリー走行が全く走れず、予選までのセッティングもできず、レースもいちかばちかで挑みました。もっと上を狙いたいという欲はありましたが、一生懸命走っての結果ですのでしょうがないです。次回はがんばります。」
高橋選手「渡辺さんにかなり走ってもらい、9位で引継ぎ順位を落とさないようがんばりました。一時抜かれ順位を落としましたが、抜き返す事ができました。」
渡辺選手「いや、高橋さん良いレースができたと思いますよ。」

 
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