GT CHAMPIONSHIP 2002 Series Round 3

開催日
2002年5月24〜26日
サーキット
宮城県:スポーツランドSUGO
マシン名
BOSSベルノ東海AR・NSX
ドライバー
高橋 一穂・渡辺 明

とうとう来ました、ウェイトハンディ

24日(金)フリー走行 曇り所により雨 路面:ドライ

第2戦富士の予選タイム、及びレース中のファステストタイム3位までに科せられるウェイトハンディ、20kgを持って、第3戦の地、宮城県スポーツランドSUGOへ。

4月末の合同テストでは1'27秒台で12番手と今ひとつ決まらなかったが、その後第2戦富士でデビューした、3,500ccエンジンのパフォーマンスも素晴らしく、サスペションの等のセッティングデーターも集まり、マシンの戦闘力も飛躍的に向上し、26秒台前半〜25秒台も充分狙えるだろう。

案の定1回目のフリー走行、渡辺選手が古タイヤで程なく27'6を記録。午後2回目には25秒台を狙う。ところがこの間、1cm大の雹(ひょう)も混じるものすごい雨。路面は完全ウェット。

その後、他のクラスの走行で路面が乾き始め、2回目の走行開始時は、所々ウェットパッチが残る程度となった。

ライン上がほぼドライになった事を確認し、渡辺選手がコースイン。サスやウイングのセッティングを変え、結局26'576、8番手タイムを記録し、数周の後、走り込みの不足している高橋選手に交代。実は高橋選手、ここSUGOは合同テストが初めてで、その時も主なメニューはセッティングの為、連続走行は殆どできていない。渡辺選手とのタイム差を詰めるべく走りの研究をしている。

そこへ受付をすませたマネージャーから、ウェイトハンディのステッカーを受け取る。「10kg」が2枚。

正直、昨年の不振から、こんなに早く貼る事になるとは思わなかった。スタッフ一同感慨深いものがある・・。
どうせなら次はレース結果でウェイトをもらいたい。

このアップダウンの激しいコースは、ターボ車が有利なのか、8台中NAエンジンは前戦優勝のVemacと、我々のNSXだけで、ポルシェ、BMW等NA勢は伸び悩んでいる。結局、ギヤ比を少し変更する事にして明日に備える。

photo朝は「蔵王」も見晴らせる好天だった

photo突然、1cm大の雹(ひょう)を伴う夕立!これにはびっくり!

photoライン以外はまだ濡れているが、走り込みを続ける

photoウェイトハンディ10kg + 10kg。これは色によって、「タイム」か?「レース結果」?いずれで科せられたかがわかる

ごめんなさい

25日(土)予選 晴れ 路面:ドライ

予選1回目、まずは高橋選手がNEWタイヤでアタック。1周、2周とタイヤを慣らし3周目1'28"662!自己ベストをマーク。そのまま更に1周のアタックを試みるが、サインマンが見つめる最終コーナー、予定時間に戻ってこない。
すると

「ごめんなさい。最終コーナーでコースアウトしちゃいました。」

と元気の無い無線連絡。

幸いサンドトラップ上で止まったようだが脱出できず、結局赤旗中断となり、牽引されて戻ってくる。マシンに大きなダメージはない物の、大事を取って各部の清掃(小石等を大量に巻込む為)点検の為、また自力復帰ができなかった事により、1回目の予選は終了する事となった。

コースアウトした時などは、大量に砂や小石がマシンの各部に入り込むが、このまま走行すると隙間に入った小石がこすれて、ラジエターに穴を空けたり、エンジン側ではベルトに巻込みベルトを破損させたりと、致命傷になりかねない。また自分が拾った砂利が、直後のブレ―キングで吐き出され、そのまま自分が乗ってスピンする事あるし、他のマシンに危険与えてしまう。だからこれらは可能な限り除去しないといけない。(レース時でも、程度こそ違え行う。)今回はバケツ2杯程度の砂利が出てきた。

午後、2回目の予選はまず高橋選手が、各部の点検を兼ね走行。その後NEWタイヤに変え渡辺選手がアタック。3周の慣らしの後、1'26"300をマーク!その後もクリアラップを作り、25秒台を目指し再アタック。

しかし直前のカート走行によるものか? 路面状態が良くない。また遅いマシンに引っかかったりと、良い状況ができず不発。1回目、2回目の総合で10位に終わる。

しかしマシンは特に問題無く、午前のコースアウト時のダメージを再点検し、決勝の為の作戦会議を行う事にする。

10台中ターボ車は7台で、やはり、ターボ車、特にMRS(5台中4台が26秒台)有利と思われるコース。しかし信頼性ではNAが有利。決勝ではまだまだ勝機はある。

photo最終コーナーからストレートの昇りは、突然マシンが飛び出して来る感じ

photo今回はNSXタイプRのデビューイベントをやっており2002MのGT500の集合写真(ルーフに注目)

photoこのエアインテークから直接新気が入る。02M「NSXタイプR」の純正メーカーオプション

photo牽引されて戻ってくる。この後が大変・・

photoピット内ではこんなリフトを使って少しづつマシンを持ち上げる

photo予選2回目にタイムアタックをした渡辺選手。いま一歩タイムは伸びず

間一髪!

26日(日)決勝  晴れ 路面:ドライ

明けて決勝。多少肌寒いが快晴である。朝一のフリー走行、満タンでも問題無し。序盤なら27〜28秒、GT500との混走になっても30秒くらいで周回できそうだ。

しかし今回「シルビア勢」の速さは脅威で、特に予選24秒台でポールの「ユニシアJECS」はまともに走られたら勝ち目は無い。自滅を待つしかない。
レースは81周。GT300は昨年が76周だが、今年は2秒以上早く周回すると思われるので78周位でゴールだろう。勿論1ピットで充分だが、狭いコースの為、コースアウト等で、セーフティーカー(以下SC)が出る事も多いだろう。

どこのチームもこのSCが出るタイミングでピットインをする訳だが、ここの駆け引きがレースを左右する重要なカギとなる。

前戦の活躍からか、昼のピットウォークでも、「BOSSベルノ東海AR・NSX」の人気は高いようで、応援してくれるお客様の為にも、今度こそは良い結果を残したいと気合が入る。

午後2時40分、1周のローリングで、渡辺選手スタート!第一コーナー数台が接触!予選4位のVemac と5位のRX7だ。Vemacはなんとか最後尾でレースに復帰、RX7はこの時抱えたトラブルのせいか、直後のS字コーナーでスピン。これに BMW M3とポルシェを巻き込み、3台ともリタイアとなる。

この多重クラッシュにより、1周目からセーフティーカーが導入された。TVモニターで「アッ、ダメだ!!」と誰もが思った程のアクシデントを、間一髪すり抜けた渡辺選手、

「ヒエー!怖かった〜。」

と無事を知らせる無線。

しかしこの多重クラッシュの為、止まったマシン、前に行かれたマシンで、殆どポジションキープの8位となる

勿論、この1周目のSCによる各ピットの動きは無い。

再スタート後は、着実にラップを重ねるもののなかなか順位が上がらない。だがトップグループを走っているマシンが次々とトラブルを抱え、ストップ、ピットイン等で順位を下げて行く。

photoアメリカンスポーツ「バイパー」と「コルベット」。「コルベット」はまだできたての為充分な戦闘力を発揮できず低迷している

photoダンロップのスタッフと語る渡辺選手。「インテグラ」のワンメイクレースでの不振原因と思われる、タイヤの対策を話しているのか?

photo今シーズンも支援いただきました。「くわがた村Dorcus

photo決勝に備え、ドライバー交代練習。止まる位置、タイヤを置く位置(今はない)など、ガムテープで位置決めしてある

photo今回のピットは、前が「ダイシンシルビア」後ろが500の「総警マクラーレン」という、そうそうたるメンバー

photo今回も3名のARギャル。勝利の女神・・

photo本調子となってきた。「BANPRESTO CAR倶楽部マッハ号MT」が直ぐ前。レース終盤、大アクシデントがこのマシンを襲う・・

photo1周のローリングでスタート!ポールの「ユニシアJECSシルビア」が先行:Y.Suzuki様提供

photoRX7のスピンによって2台が巻き込まれ3台とも、1周でリタイアとなった

photo前半を安定したペースで走行する渡辺選手。Y.Suzuki様提供

本日最大のアクシデント

結局6位にまで順位が上がった所で、車両撤去の為、再度SCが入ったのをきっかけにピットイン、高橋選手に交代、残り周回数を考慮し、予定より多めの給油。

しかしこのタイミングは絶妙で、順位を落とす事無くレースに復帰する事ができた。

ところがSC解除による、レース再開、数周後、同一周回のGT300勢の中に入った高橋選手、S字コーナー入り口で後続車にイン側を当てられスピン。約30秒近くをロスしてしまい、10位にまでドロップしてしまった。幸いマシンは大丈夫。

メカ始めスタッフ一同、胸をなでおろす。実は、このレースの5日後には次戦「マレーシア」に向けてマシンが船積みされる為、マシンに大きなダメージ有ると修復時間がありません。だからレース中は「マシン壊すな!!」「はよ(無事に)終われ!」と皆で祈っていました。

その後は安定したタイムで周回を重ねる。その間に抜かれたマシンもピットイン、マシントラブル等で順位を落とし、6位にまで復帰する。

その後本日4回目、最後のSCが入るきっかけを作った、大クラッシュが発生。「BANPRESTO CAR倶楽部マッハ号MT」が、かなりのスピードでコースアウト。タイヤバリアーに乗り上げてしまう。幸いドライバーは無事。この間のSCにより差の無くなったトップ3台、「ユニシアジェックスシルビア」「クスコスバルインプレッサ」「Vemac」、による残り10周ほどスプリントレースが、SC解除と同時に始まった。しかしこれにより「Vemac」は他車と接触、その後トラブルが発生リタイアとなった。その為5位に繰り上がり、そのまま76周でチェッカーを受ける。

今回はターボ勢がトラブルを抱える中、NSX、TODAエンジン信頼性の高さを実感できるレースとなりました。(上位10台中ターボ車は1・2位の2台のみ)

その後3位でフィニッシュしたチームが、ピット作業違反によるペナルティ1分加算で、順位が繰り上がり4位となって、ポイント10点、ウェイトハンディはマイナス10kgと、次回につながる好結果となりした。

photoドライバー交代。実はこのマシン、ドアが給油口(マン)と近い為、乗降りが少々しにくい

photo衝突からスピンまでのコマ撮り!Y.Suzuki様提供

photo前戦優勝の「VEMAC]も、素晴らしい追い上げを見せたが接触。その後トラブルを抱えリタイア

photoチェッカーは5位。その後他車がペナルティを受け、繰り上がり4位に・・。10点!!

GT選手権第3戦 GT300クラス 予選10位 : 決勝4位

ドライバーコメント

photo
レースを終えて左:渡辺・右:高橋両選手。

渡辺選手「予選2回目に25秒台を狙ってアタックをしたのですが、路面状況が悪く、遅い車にひっかかったりして、26秒台でしたが、あの状況なら、ま〜満足です。決勝は「SC」時のピットインで、良いポジションに着く事ができ、また上位の波乱に巻き込まれず高橋さんにバトンタッチし、結局5位(4位)でチェッカーを受ける事ができチームとして良い仕事をしたと思います。
セパンは私も高橋さんも初めてのコースですので、欲を出さず無難に走り、無事に帰ってきたいと思います。」

高橋選手「1回目の予選で3周目、自己ベストの後、もう1周アタックしたんですが最終コーナーでコースアウトしてしまい残念です。決勝も良い位置で交代したのに、他車に当てられスピンし、ロスしてしまいました。ポール以外全て脱落した、こんなレースこそ表彰台に上がりたかったですが、まだいくらでもチャンスはあると思います。セパンは体力勝負だと思いますので、バテてタイムが落ちないよう鍛えておきます。」

 
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