GT CHAMPIONSHIP 2002 Series Round 5

開催日
2002年7月27〜28日
サーキット
静岡県:富士スピードウェイ
マシン名
BOSSベルノ東海AR・NSX
ドライバー
高橋 一穂・渡辺 明

26日(金)晴れ フリー走行 路面:ドライ

GT選手権は全8戦中、(国外1戦、国内7戦)今回だけは、5月の第2戦と同じく、国内屈指の高速サーキット、富士スピードウェイで開催される。その5月はポール寸前、2番グリッドからのスタート。

レースも2位快走中、ドライバー交代のピットインで、「スターターモーターが回らない」というマシントラブルで、完走に留まっている。

しかし高速コーナーが得意なNSXにとって、相性の良いサーキットであり、ドライバー、スタッフ共、リベンジモードでサーキットに乗りこんだ。

国内の7戦は全て事前の合同テストが開催されるが、今回は事前ではなく、このレースウェークの木曜日、25日に1日余分に走行日があり、これがテストに充てられた。これには渡辺選手だけが参加し、本日合流。

テストでは、OH済みエンジン、夏用タイヤ、新リアウイングが装備された今回の仕様を確かめるのが主な目的だ。その木曜日に渡辺選手が出した、1分33秒996。これは4番手タイムだったが、今日、金曜日のフリー走行では、今ひとつタイムが伸びず34秒台。高橋選手も35秒台と低迷している。5月よりタイムが落ちる事はわかっていたが、これほどとは・・。前回のセパンより気温は低いが、湿度が高く蒸し暑さは日本の方がひどい。

しかも午後の2回目フリー走行、NEWタイヤでのテストでは、高橋選手に交代する直前、帰ってこない渡辺選手より無線で、「Bコーナーで、ドラシャがいっちゃったみたいです〜。」ドライブシャフトが破損。トロトロと最終を昇ってくる。これにてフリー走行終了。本日7LAPしか走る事ができなかった高橋選手、欲求不満のまま本日終了である。

photo今回からグループ会社「プリモ東海」もマシンに添付

photo500富士仕様のウイングに。パワー少ない300ならこちらの方が良いかも…

photoスポットクーラーの冷気を車内に送り込む為のダクト。夏の必需品

photo我々と同じく、一台のみのマシンは気になる。このインプレッサは唯一の4ドア。ミラー位置から乗車位置、果てはエンジン搭載位置の大幅改造がわかる

photo抽選で決められた決勝スタートタイヤが、各チームから持ち込まれ保管される

photoドライブシャフトの破損。事前チェックはむずかしい。安全時間内で交換できれば良いが…

27日(土)晴れ 予選 路面:ドライ

前日のトラブルも修復され、まずは午前1回目の予選は渡辺選手がアタック。8周目33秒666をマーク。これなら5〜6番手と思いきや、33秒台はなんと11台がひしめく大激戦。9番手だ。その後高橋選手に交代。36秒511でまずは基準タイムをクリアしておきアタックは午後の2回目にする事とした。

ところで今回GT300クラスは27台のエントリーがあり、500と合わせ46台と、45台分のピットから溢れてしまっている。このGT選手権、走る広告塔、またピットウォークを始めとする、各種イベント、プロモーション活動により、注目度も高くなり、F1についで最も観客を集めるレースに成長した。今後もまだエントリー増えるとの事。

反面2回行われる予選で、トラブルが発生すれば、予選落ちもありえる訳で、早めに基準タイム(上位3台のタイムを平均し、その107%以内。今回は39秒005だった。)はクリアしておく必要がある。

そんな心配事が2回目の予選に発生。アタックを開始したが全くタイムが縮まらない!アンダー、オーバーがいたる所で発生。37〜39秒と、とてもタイムアタックどころでは無い。他車のタイムから路面状態が特別悪い訳では無い。結局原因がわからないまま予選終了。

ドライバー、メカニック共暗礁に乗り上げてしまった。ドライバー、監督がミーティングに行っている間に、フロントスタビライザーの、接合部の破損とわかり、スペアもある事から、ミーティングから戻った一同、一安心。この様なトラブルを防ぐには、破損する前に、一定の時間が過ぎた部品はどんどん交換して行くのがベストであるが、「一定の時間」、どこまで使うかががチームの経済力によって大きく左右されるのである。

我々のチームも決して裕福ではないので、使える部品はできるだけ使いたい。その見極めもレースのひとつかも・・。無論レース前後のメンテナンスで発見された事もあるが、今回の様な部品は無理である。

今まででもレース中なら即リタイヤになるトラブルも結構あったが、予選やフリー走行中と、本当に運が良かったと言える。何十億と掛けた「F1」ですらスタートできず、リタイアする事も珍しくない。そんな「ハード(道具)」の部分も含めたスポーツがモータースポーツと言えよう。

結局1回目のタイムで9番グリッドである。今回も期待していただけに、やや残念。決勝に期待を掛ける。

photo隣のピットのメカと話す時は動物園状態になる事も…

photoセパンから装着されたエアインテーク。実はやや高かったので今回削り落とすことに…

photoサントリーコーナーを抜ける「BOSSベルノ東海AR・NSX」。PHOTO by Y.SUZUKI

photo突然の操縦性の激変に、タイヤを点検する渡辺選手と鈴木監督

photo破損したスタビライザー。(上の赤丸部分)

photo量販車は「コ」の字型のスチールだが、レーシングカーは全く違う形状

28日(日)晴れ 決勝 路面:ドライ

明けて決勝日。まずは朝のフリー走行で、昨日の破損を修正した足回りのチェックだ。昨日と打って変わって快調である。その後満タン走行、決勝に向けてのセットアップだが、今回はトラブルが発生し、メンテナンス、セッティングスケジュールが遅れている。

雨が予想された午後、曇り空の為、気温も30度前後と、ここ2日間から比べればましな方だ。2時過ぎからスタート進行、雨はなさそうだ。

今回はGT参戦以来、初めて高橋選手がスタートを務める。特に理由はないのだが、”お試し”といったところ。レースは57LAP、GT300は52〜53LAPがフィニッシュだろう。

ドライバー1人の義務周回である18〜22周辺りが、ドライバー交代のタイミングと考えている。

photo今回初の給油担当者は、練習に余念が無い

photoピットウォークで、スーツの渡辺選手に監督が股から冷気を送る

photoいつもは仕事一筋かと思っていたが、今回はキャンギャルと撮影

photoスタート直前の両選手。キャンギャルは左:田口まりちゃん・右:伊藤成子(しーちゃん)

午後3時9分ローリングスタート。1周目13位と、順位を落としている。そこへ1回目のSCが入る。最終コーナーでクラッシュが有ったようだ。隊列のまま5周が過ぎレース再開。

高橋選手、タイムは36、35秒台と徐々に上がって行くが、抜きつ抜かれつで、なかなか順位を上げられない。

高橋選手、タイムは36、35秒台と徐々に上がって行くが、抜きつ抜かれつで、なかなか順位を上げられない。

その予測通り「SC」が入る。次の19周目は500の交代タイミングにドンピシャの為、各車、特に500がピットになだれ込んでくる。ピットクルーのバトルだ!トップのチームはピット作業もほぼ互角。ピットロードを並走で走ってくる。(でも60km/h)譲り合い等あるはずが無い。メチャクチャ危ない真剣勝負だ。我々も19周目ピットイン。渡辺選手に交代。ピットアウト。

photoGT戦初のスタートを務める高橋選手にアドバイスを送る渡辺選手

photoスタートはまずまずだったが…。PHOTO by Y.SUZUKI

photoスタート時はピットレーンに出られない為、こんな感じで1コーナーに入るマシンを見守る

photo1周目にミスった高橋選手もその後は順位をキープ。PHOTO by Y.SUZUKI

photoTVモニターでレースを見守るスタッフ

photoピットアウト!と思いきや、赤信号渋滞!!

ところがストレートを「SC」を先頭に隊列がやって来た為ピットロード出口で赤信号!わずか数秒だが惜しい。出られればそのまま隊列の後まで走って行けたのに・・。それでも順位は落ちる事無くコースに戻す事ができた。

その後約6周を「SC」で消化しレース再開だ。しかし前後ともタイム差が少なく、NSX得意のコーナーで抜いてもストレートで抜き返され、やはり順位を上げられない。

そんな抜きつ抜かれつを続けた終盤45周目、最終コーナーで3台の多重クラッシュが発生。今回3度目の「SC」だ。この「SC」は約20分5周を費やし、解除された時は残り4周のスプリントレースとなった。猛然とスパートを掛けるもの残り周回も少なく、結局10位、54LAPでチェッカーを受ける。300のTOPが55LAPとGT500と2LAP差しか無かった事からも、いかに「SC」が長く、”レースで無かった時間“が多い荒れたレースかが伺われる。

辛くも1ポイント。初戦から5戦連続でポイントは取っているが、高得点が無いだけにランキングは12位と変わらず・・。しかしGT300は今回までの5戦、毎回優勝マシンが違うという大激戦だ!一回の高順位、高得点でかなりのランクアップとなる。

今回の富士は、期待が大きかっただけに悔しさも5割増しといった、残念な結果に終わったが、次回モテギは昨年GTデビュー戦を最後尾グリッドから始めたメモリアルサーキットある。

マシン・チーム共、この1年でどれだけの成長を遂げたかを計る、大事な1戦と位置付け挑みたい。

またその間に8月24・25日に「SUZUKAポッカ1000km」レースにも参戦する。シリーズ戦には含まれ無い為、多くのチームはエントリーを見あわせているが、ここベルノ東海の地元、東海地方で応援してくれる方々の為にも、気合を入れて素晴らしいパフォーマンスをお見せしたい。勿論狙うは表彰台。

photo集団に埋もれなかなか抜け出せない渡辺選手。各コーナー観客ぎっしり

photo果敢に攻める渡辺選手だが・・。PHOTO by Y.SUZUKI

photo結局10位でゴール

GT選手権第3戦 GT300クラス 予選9位 : 決勝10位

ドライバーコメント

渡辺選手「15〜22周の間に交代予定で、19周目のピットインは、タイミング良かったんですが、戻ったところが悪く、遅い集団の後になって、コーナーで抜いてもストレート抜き返されなかなか前に行けませんでした。楽しいレースでは無かったですが、これだけ荒れたレースで、10位でポイントが取れたのはラッキーでした。次回モテギは作戦練り直さないといけないと思います。反省しています。」

高橋選手「今回はたまには先に行って見ようとスタートをやったんですが、僕はスロースターター(ベストラップも最終周だった。)でタイムが上げられず、NEWタイヤが生かせませんでした。いつも渡辺さんが使用したタイヤばっかりで古タイヤに慣れてますから(笑)スタートして直ぐAコーナーで押し出されてコースアウトしてダート走ったリ、3台くらい横に並んでコーナーに入ってったり、殺し合いみたいなレースでしたが、面白かったです。交代した後も、表彰台に立つ為、(レーシングスーツから)着替えずにいたんですが、最後の方で諦めてTシャツに着替えました。今回の富士は期待していたんですがね〜。」

渡辺選手「高橋さん、やっぱ欲出したらダメですよ。チームのコンポーネンツを考え、マイペースで地味にやった方が良い結果でますよ。」

photo
作戦失敗に頭を下げる渡辺選手。「反省猿」は高橋選手

 
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