SUZUKA ポッカ耐久1000kmレース

開催日
2002年8月23〜24日
サーキット
三重県:鈴鹿サーキット
マシン名
BOSSベルノ東海AR・NSX
ドライバー
高橋 一穂・渡辺 明・菅 一乗

鈴鹿再び

23日(金)フリー走行 天候:晴れのち雨 路面 午前:ドライ・午後:ウェット

GTマシンNSXがGT選手権全8戦以外に参戦する、唯一のレースが今回の鈴鹿1000kmレースです。

選手権が掛かっていない、このレースには殆どのGTマシンは参戦せず、GT300も約3割の8台しかエントリーが無かったが、マシンのダメージを考えれば、やむをえない事かもしれない。

しかし選手権争いだけではなく、昨年の同レースでデビューを果たした我々「BOSSベルノ東海AR・NSX」の成長振りを、地元、東海地方のファンに観てもらう事は大いに意義があると、今年もいち早くエントリーをしました。

photo「RS・GTマシン・S耐マシン、その他プロト・OPENと5クラスが混走する1000kmレース。PHOTO by Y.SUZUKI」

すが君デビュー

通常のGT戦の3倍近くの距離をを走る今回、いつもの高橋・渡辺両選手に第3ドライバーの菅選手が加わり、彼にとってはGTカー初ドライブとなります。彼はメインはF4だが、いつもGT戦について来る。各地のサーキットでライン取りの研究をする為、手伝いをしながらの同行だ。

レギュラーのF4では、一発の速さで今年も2回のポールを取るものの、結果が残せず堅実さに欠ける菅選手の慣熟が、本日のメインメニューである。彼は今回のサポートレースであるF4にもエントリーしており、F4の整備ピットはGTのピットと40m程離れたパドックで行われており、GTが終わったらF4へ、F4が終わったらGTへと走り回り、ドライビングスタイルもスイッチと大忙しである。

まず高橋・渡辺両選手がドライブ。程なく高橋選手15秒台、渡辺選手13秒台に入り、マシンの仕上がりも確認された所で菅選手に・・。メカニックから、各部の操作確認をレクチャーされコースイン。

photo熱対策のフィン。ラジエターを抜けた空気を吸い出す効果がある。

photo今回の第三ドライバー「菅 一乗」メインはF4

photo川口チーフメカからドライビングの諸注意を受ける菅選手

photoGT カー初ドライブの菅選手。やや緊張気味。

photoGTカーをこなした菅選手、その後は"メイン"のF4へと大忙し。この頃から雨が降ってきた。

雨、夜・・。

25、20秒台とどんどんタイムを切り詰めて行く。そして何と5周目には早くも16秒台をマーク。予選基準タイム楽勝だろう。OKだ。

夕方からは雨が降り出し、3回目走行時間には昨年7月のシェイクダウン時以来、初のレインタイヤによる走行である。翌日、翌々日とも雨の可能性は無いので、無理して走る事も無いが、夜間走行は経験しておきたいと、各ドライバー走り込む事にした。

本日は大きなトラブルも無く終了。

photo昨年のシェイクダウン時から一年ぶりのレイン走行は夕闇が迫る夜間走行

photo「AUDI R-8」ル・マンの優勝マシン。文句無しの優勝候補だったが…

耐久レースだ!

24日(土)予選 晴れ 路面:ドライ

予選は30分。午前、午後各1回づつ。基準通過は全く心配無し。8台のGT300の何処に着けるかだ。まずは渡辺選手がアタック。

午前が2'12"457、午後が2'12"981でクラス5番手。トップの「VEMAC」は2'8"190のコースレコードだ。

この4秒以上の差は決勝でも埋める事は難しい。耐久レースでの「何か」を期待するしかない。

今回は5スティント、4回のドライバー交代、2回のタイヤ交換を予定している。これらを如何に短時間で済ませるかも重要なポイントだ。

いつものGT戦は通常1回の給油、ドライバー交代だが、この1000kmはやっぱり"耐久"レースだ。

黙々と・・。

特にGTカー初めての、菅選手は乗り降りがスムーズに行かない。そこに加えドリンク、クールスーツ、無線、等、F4に無い各種機器の接続に手間取っている。勿論ヘルパーもいるが自分自身の動きも重要だ。

ピット内では、彼の師匠である、ガレージFの舘 善泰氏の指導の元、何十回と乗降練習をする菅選手の姿があった。

その甲斐あって最初に比べ3分の2の時間にまで短縮できた。またGT戦と違い、給油中のタイヤ交換は禁止の為、メカニックもタイヤ交換練習に余念が無い。

1000kmの長丁場の為に、何を成すべきかを各自が自覚し、チームのムードも段々と高まってきた。

photoまずは軽装で乗降練習をする菅選手

photo今回からサポートしていただく「オートトレーディングは輸入車販売会社」

メインレース?

そんな中、菅選手にとってメインレースとなるF4は今日が決勝である。
予選3番手は、彼にとっては"いまいち"のポジション。決勝は1000kmの前哨戦としてがんばってもらいたい。

「BOSSベルノ東海AR・NSX」のキャンギャルも応援にグリッドへ・・。。
しかし決勝はまずまずのスタートは切ったものの、1周目のデグナーカーブ2つ目で前を行くマシンのスピンに巻き込まれあえなくリタイヤ!

6月のレースで、1周通過後1コーナーでリタイヤを凌ぐ最短レースとなってしました。

これで不運を使い果たしてしまった事を願いたい・・。

photo32番グリッドでアメリカンレーシングキャンギャルに囲まれ、スタートを待つ菅選手だったが…

ファンと共に。

25日(日)決勝 晴れ 路面:ドライ

今回のレースではGTデビュー1周年を記念し、ここ地元東海地方のファン、またベルノ東海のお客様にこの一年の成長を是非見てもらおうと、グランドスタンド席に"特設応援席"を設けた。

決勝日は約400名の方々応援に駆けつけてくれ、確実に「BOSSベルノ東海AR・NSX」が認知され始めた事を実感する。

スタート前には3名のドライバーも、グランドスタンドに挨拶に出かけた。そこでファンから直接声を掛けられたりと、レースに対しいつもと違う、良い意味でのプレッシャーがかかる。

スターティンググリッド17番は、その応援席の期待に答えるかの様にど真ん前である。

選手、チーム紹介では、他のどのチームも大きな拍手と歓声が上がり、3選手もそれに答え手を振る。

手権でないが、出場して良かったと実感できた瞬間だ。

photo決勝前のフリー走行で順調な仕上がりを確認。PHOTO by Y.SUZUKI

photoピット上も「VERNO」づくし。

photoスタンドのお客様に挨拶にきた3選手。左から菅・高橋・渡辺の各選手。

photoファンにサインを求められる高橋選手。

photoレース前特設応援席で挨拶する3選手と監督。

photo選手紹介で応援席からの大きな拍手に答える、ドライバー、監督、スタッフ

photo特設応援席にプレゼントを投げ込む3選手。

いきなりか〜!!

そんなファンが見守る中、高橋選手をスタートドライバーに、予定通り午後1時長丁場レースがスタートした。

ところが直後の第1コーナーで
「白いNSX接触!!部品が飛んだ〜!!「BOSSベルノ東海AR・NSX」だー!」とレースアナウンサー、ピエール北川氏が絶叫!
ピットでは破損に備え慌しくなる。

しかし走り大きな影響は無いようでそのまま15位で走行を続けるもののスタート時にジャンプスタートがあり、ペナルティストップが課せられ、10周目ペナルティエリアで10秒ストップ。

序盤から観客サービス?に余念が無い。総合19位に後退してしまった。

photoスタートで高位置に着いたと思ったが・・。PHOTO by Y.SUZUKI

photo1周目いきなりの接触で左前を破損。PHOTO by Y.SUZUKI

photoコース上に散乱した破片を回収するオフィシャル。レースに不可欠な重要な"黒子"PHOTO by Y.SUZUKI

photoなんと「AUDI R-8」は1周でセカンドグループのGT500にこれだけの差を・・。PHOTO by Y.SUZUKI

photoジャンプスタートに対し黒旗ペナルティが出される。

手負いの追撃

その後も他車との接触、スピンで更に同じ箇所を損傷。

フロントバンパーだけからフェンダーにまで損傷が広がってしまったが、走行に支障は無い様で、16〜17秒台で着実に追い上げ、予定通り36周目、15位にまで上がったところで渡辺選手に交代、満タン給油。

破損部分のガムテープ補強でコースに送り出す。渡辺選手は、磨耗したタイヤにも関わらず15〜17秒台でどんどん追い上げて行く。

ピット内も1回目の給油から燃費を再確認。当初の作戦通り35〜37周交代で行けそうだ。

72周目総合8位、クラス3位まで追い上げてピットイン。給油、タイヤ交換、そして菅選手に交代。練習の甲斐あって素早い交代、ピットアウト。

序盤から17秒台、時に15秒台と、堂々のレース振りだ。

photo最初のピットイン直前に他車と接触。更に傷を広げた。PHOTO by Y.SUZUKI

photo2度目の衝突直後。この後ピットへ。PHOTO by Y.SUZUKI

photo破損箇所の応急修理をする八田メカ。

photoガムテープで補強し、渡辺選手に交代。走りに大きな影響は出ていないようだ。PHOTO by Y.SUZUKI

photoピット内から応援席を望む。ピット内のスタッフが皆上向きなのは上のモニターを見ている為。

photo走行を終えた菅選手に、スタッフが集まり激励と、マシンの状況を聞く。

photoシケインを立ち上がりの後ろ姿。PHOTO by Y.SUZUKI

更なる上位へ。

今年の1000kmレースは、コース距離が変更になった為172周がゴール。トップをプロトクラスの「AUDI R-8」が行くとして、我々は151〜152周辺りがゴールだろう。

ところがその「AUDI R-8」が59周でリタイヤした為、トップがGT500クラスに・・。

それに伴い我々も最終周回予定数を156〜158周に作戦変更だ。

そして102周目高橋選手に交代。

古タイヤに強い?高橋選手は17秒台で安定した周回を重ねる。

しかし前を行くクラス3位をの「AMPREX BMW M3GT」との差が詰まらない。

一進一退だ。

そこへ117周目「SC(セーフティーカー)」が入ったのをきっかけに作戦変更。早めに渡辺選手に交代し最後まで走り切る事に。

しかしここで満タンにしても、残り予想の40周は走り切る事ができない。37周が限度だろう。

SC通過の間合いを見計らい121周目ピットイン。

給油、タイヤ交換を済ませピットアウト。

ところがフロントガラスの清掃が不充分で「前が全然見えません〜。」と渡辺選手より無線連絡。

夕方の西日とあいまって、視界は最悪の様だ。 燃料もぎりぎりで、しかもライト点灯後の夕闇の中、18〜19秒台で安定した周回を重ねる。

結局この早めのピット作戦は功を奏し、後1回のピットインを残した「AMPREX BMW M3GT」に1周の差をつけ157周でチェッカーを受ける。

ウイニングランを終えた各マシン、各ドライバーを打ち上げ花火と共に、ピットクルーが迎える。例年通りの1000kmレース独特のフィナーレだ。

クラス3位、総合6位と序盤のミスを払拭する高成績に、特設応援席でレース初観戦のお客様からも「イヤ〜感動しました。」というご感想を何人からもいただきました。

photo「AUDI R-8」が止まった事でゴール周回が変わる。電卓で計算し作戦の練り直し。

photoスタートして4時間20分が経過。高橋選手最後のドライブ。

photoSCが入り隊列走行に。数周後ピットイン。最後の勝負に出る。

photo日が傾き始め、サーキットの色を変え始める。

photo最終コーナーへ向かう。PHOTO by Y.SUZUKI

photoアンカー渡辺選手を迎える、高橋、菅選手。

1年間の成長

昨年1000kmと、GT戦を2戦、今年すでにGT戦を5戦と今回の1000kmと合計9戦を戦い、リタイヤはゼロ!

レース中のマシントラブルも第2戦の富士(この時も完走)のみ。
これはドライバーの確実な走り、エンジンチューナー始め、メカスタッフの日夜、深夜に及ぶ、努力の結果で大いに賞賛に値し、チーム全体の成長に結びついたと言えよう。

昨年、同レースを148周でデビューレース完走をした事からすると素晴らしい成長と言えるが、GT戦を戦うにつれ、主なランキング上位車のいない、このレースでクラス3位という成績ではチームとして満足できなくなっている。

これも成長した証と言えよう。
でも今年から総合3位までと、クラス優勝しか表彰台に上がれなかったのは残念だな〜。

photoこの1000kmと8耐だけのセレモニー。打ち上げ花火。

photoピット戻った渡辺選手を迎えるチームスタッフ。

鈴鹿Pokka 1000km
予選  総合17位  GT300クラス 5位
決勝  総合 6位  GT300クラス 3位

photo
「レース後の3選手。左から菅、高橋、渡辺の各選手。」

ドライバーコメント

渡辺選手「今までのGTとは違い、NSXで耐久レースに参戦したという実感と本当の意味で耐久レースを戦ったという実感があります。自分自身、トラブルも無くチェッカーを受け、目標にはとどかなかったけれどクラス3位の成績を収めることができた。これも監督をはじめとするチームスタッフ、メカニック、ファンの力でもぎとっ順位だと感謝しています。今回の耐久レースで良いデーターを残せたので、次回茂木に生かせれたらと思ってます。最後に、このチームに招かれ走れることを感謝しています。」

高橋選手「今日のレースは優勝を狙っていました。クラス3位は実力そのものの順位だと思っている。次回GT選手権、第6戦の茂木では表彰台を狙っていきます。」

菅 選手「走るチャンスを与えていただき、ありがとうございました。レースが終わってから、もっとアベレージタイムでバトンタッチしたかったな〜。レースに関しての手順ができていなかったかもと反省すべきところもたくさんありました。今後、この耐久レースの経験をばねに、もっと次元の高い走りができるように頑張りたいと思っています。」

 
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