Pokka 1000km RACE 3/3ページ

決勝:8月22日(日) 午前:晴れ/ドライ 午後:晴れ/ドライ

朝一のフリー走行は30分。100リットル、ガソリン満タンの走行である。NSXのこの状態を知らないポンちゃんに多くを乗ってもらう為、高橋選手が最初に1周、そして渡辺選手はイン、アウト含め4周。そして残り15分をポンちゃんに充てた。2周目12″902、3周目12″556と昨日の予選タイムを上回らんとする勢い・・が余ってか、今度はスプーン出口でコースアウト!オイオイ・・昨日に続きポンちゃんの"一人舞台"である。自力でコースに戻る事ができ、無線で「大丈夫走れる(勿論英語)」。レースでないので一度点検したい所だが、レーススピードでの状態も確認しておきたい。これは残り時間と、決勝までに走行セッションがあるかどうか?との兼ね合いだ。モニターに映し出された状態から推察し、走行に支障はなさそうだ。ピットで点検する事も無く、その後も12秒台で2周走って時間切れチェッカー。幸いマシンも大した事はないが、どうも決勝が(ポンちゃんのドライブが・・)不安だ。

photoコースオフィシャルのミーティング。

photoピット作業練習。給油が終わるまで、ギリギリ寸止めで待機する。

photoドライバー交代練習に励むポンちゃん。

photoレギュラードライバーとの身長差から、スペアが着れなくて自前のスーツ。日本では見慣れないデザインと感じるのは私だけ。

photoフリー走行でもやってしまった。

photo今度は破損も無し。決勝が心配。忙しくなるか・・・?

この後は恒例となった応援席挨拶だ。地元レースとあってポッカ1000kmでは特設応援席を設け、一体となって応援をしてくれる。チームにとって初の外人助っ人ドライバー、ポンちゃんも挨拶(勿論英語)。それを高橋選手が通訳。「タカハシは最高のドライバーだ。」とか都合の良い通訳をしている。

photo恒例決勝前の応援席への挨拶。

photoポンちゃんは英語の挨拶をしたが、それを(都合よく)通訳する高橋選手。

photoメカ皆でウイングを清掃。何事も無ければ、余裕もができる。

このレース、173周でゴールだが、トップ(多分)はGT500となると、通常のタイム差から、我々は156〜160周となる。

この距離は満タンで目一杯走っても5スティント(4回ピット)で走りきれるかどうか?が微妙な距離。

トップを走るマシンのペースによっては我々の周回も変わる。トップグループがライバルメーカー同士だったりすると、ペースも上がり早いゴールとなり我々の周回も減るが、その逆に楽勝レースになるとペースが落ち、我々の周回も増える事となる。

通常300km前後のGT戦では大した問題では無いが、その3倍の距離となると、燃費が0.1km/L違うだけで1回ピットインが増えるかもしれない。毎年これらの読みが狂い、ガス欠で止まったり、土壇場の給油ピットインで順位を落とすチームも少なくない。レース中はトップのペースからゴール周回の予測、コックピットの燃料消費計、そしてピットイン毎の給油量等からペース配分、そこへタイヤの"ライフ"とを掛け合わせ、ペース配分を考えなくてはならない。

photoクールスーツのコネクターは脱着し易い様、位置を変えた。

photoコースがわからない訳では無い。ポンちゃんとコーナー名を統一したメモである。

photoタワー看板にも一人追加。

1時からの決勝に向けた進行が開始され、ドライバーが乗り込む。スタートは毎年高橋選手。次は渡辺選手、そしてポンちゃんである。勿論レース戦略としてローテーションは決められるのだが、コースアウトの可能性が高そうなポンちゃんを最後にしておかないと、万一そこでレースが終わった場合、決勝を走る事無く終わるドライバーが出る事になってしまうからである。

photo自分のグリッドを行き過ぎた高橋選手。グリッドボードの無い「ポッカ1000km」で、昨年に続き恒例行事となった。

photoスタート前の3選手。身長差が良くわかる。

photo突然の集合写真。マシンが見えないぞ〜。

photo応援席にプレゼントを投げ込むドライバー。これも恒例となった。

そんな"裏"はさておき、定刻通りスタートは切られた。クラス最下位からなので追い上げるだけのレースだ。スタート直後にクラス7位。7周目にはクラス5位、総合11位に上がる。高橋選手のペースもさる事ながら、いきなりトラブルに見舞われたマシンも多い。

特にGT500と300の間に割って入ったRSクラスはタイム的には300と互角以上に戦えるはずだが、どうも細かなトラブルで後退してしまう。

94年に総合3位に入ったRSマシン。しかしその後参戦できなくなり、再び参戦できる様になったのは2000年からであるが、予選は殆ど300クラスより上だが、決勝で総合一桁に入ったことは無い。

photo定刻スタート。RSクラストップのマシンがブレーキトラブルでピットスタートとなり、RSの一角が崩れる。

photo定刻スタート。RSクラストップのマシンがブレーキトラブルでピットスタートとなり、RSの一角が崩れる。

photoタイム的には互角のRSクラスも、レースとなると・・・苦戦。

順調な周回が続くかと思ったら、10周頃オフィシャルから、「トランクがバタついている。ピットに入れて点検、処置してくれ。」・・・「えっ!そうなの?」と、ピット前を通過するマシンを追う・・・。確かに後端が浮いている。しかし前部はきちんと止まっているようで、すぐに外れる様子はなさそうなので、「次回ピットインで、処置しますんで・・」(お目こぼしを)とオフィシャルにお願いする。「判りましたが、酷くなって、外れそうになったらオレンジボール(ピットイン命令)を出しますよ。」注意しながら走行を続ける、と言ってもドライバーは知らないし、知ったところでどうなる物でもないし、不安を与えるだけ。

photoスタートの1スティントのみ高橋選手。ノーミスで快調に飛ばすが・・。

photoなんとトランクが口を開け始めている。

これ以外は全く順調に周回を重ね、30周目ピットイン。渡辺選手に交代。ガソリンはほぼカラに近かった。1ラップ3リットルと試算、以降正確に33周毎にピットインをし、(スタート時はウォームアップと、ローリングラップがある。) 162周まで行けるはずだが果たして・・・。

あっ、それからトランクのバタつきを止める為、ガムテープで押える事も忘れない。復帰後の順位は総合12位、クラス6位だ。

photo最初のピットイン。ガソリン消費もほぼ予定通り。トランクもガムテープで押えたが・・。

photoこれまた快調に周回を稼ぐ渡辺選手。

photoしかし補修したガムテープは効果無し。

ところがこの"バタつき"、ガムテープが剥がれ、その後3回目のピットインまで同じ処置が繰り返される事となった。確かにテープを貼る部分は汚れが巻込み易いので、テープも剥がれやすいが・・。オフィシャルに次はちゃんとやりますと言って、3回目は予め"超大型絆創膏"みたいな一枚物を作っておいて、一気にベタッと貼った。これは成功。

photoこの"特大絆創膏"でバッチリ解決

photoこの四灯HIDは明るく、最終コーナーを降りて来ると直ぐ判る。

渡辺選手も順調に走行を続けるが、タイムのバラつきが目立つ。これはタイム差の大きいS耐マシンとの混走の為、やむ負えないだろう。じわじわ追い上げ、総合7位、クラス4位から3位に・・・上がったところで(これは3位のマシンが我々のチョッと前にピットインしたから・・。)予定通り33周ピットイン。いよいよポンちゃんのレースが始まった。コース復帰し1周目クラス4位。まずまずだ。この頃になると各チームのピットイン回数が異なってくる為、単純に順位はわからないし、だれがドライブするかによって、以後の追い上げが変わってくる。長丁場レースの醍醐味である。

途中雨がパラつくが殆どタイムに影響は無く、13″904の"チーム"ファステストタイムをマークし(高橋選手15″161、渡辺選手14″308)総合5位クラス3位、33周でピットイン。

photoこれまでの周りの不安を払拭する、安定した走りのポンちゃん。

photo雨がパラツキレインが用意される。

photoそんな路面の中、"チーム"ファステストもマーク。

代した渡辺選手、満タンだが、タイヤが新しい3周目ポンちゃんを上回る12″936をマーク!ドライバーの意地を見た思いである。その後も13秒から14秒前半で飛ばす・・・が、交代して9周目無線で「シートレールが壊れた!」「えっ何だって!?!」である。どうやら、シートレールのどっかが破損し、ガタつきが大きく運転がしずらいようだ。タイムも14秒後半から15秒台に落ちてきたがクラス4位はキープしている。

photoレースも中盤。渡辺選手、2回目のドライブ。

photo耐久のベテラン渡辺選手は、直前にポンちゃんが出した"チーム"ファステストを更新。

その頃3位のマシン(予選クラス1位の9号車)がピットイン。これで3位に上がる。その9号車、タイヤ交換、ガス補給をしたが、エースドライバーの谷川選手が交代せず"続投"!10〜11秒台で追い上げてくる。その為、50秒程のリードが毎周3〜4秒削り取られていく。ギリギリ3位のまま、予定通り33周を走りピットイン。それとほぼ同じ頃、2位を走行中の72号車も最後のピットイン。しかし当然9号車は先行し2位へ・・。我々は72号車に続く4位に後退。アンカーはポンちゃん。気温、路面温度も下がり好条件。交代した3周目12″150と渡辺選手のタイムを更新。その後も12〜後半13秒前半で飛ばすポンちゃん。先行する72号車も12〜13秒台。殆ど差は縮まらない。しかし1分程先行し、2位を走行中の9号車は、後一回はガス補給が必要なはず。そこでどう順位が入れ替わるか・・。

photo最後のドライバー交代。

photoGT300クラス予選トップの9号車。序盤のパンクで大きく順位を落とすが挽回してきた。

photoそしてこの72号車と共に2、3、4位争いをする事になる。

午後6時を回り、「ライトON」サインが出て、コースにも灯が点り始めた140周、小雨が降り始めた。しかしタイムは14〜15秒台と、暗くなった事を考えると、チョッとペースが良すぎる。ここで、"何か"あっては台無し。「Xavier!Safety  Driving!!」である。ピットにはレインタイヤも用意されているが、本降りにならない限りこのまま行った方が得策だ。150周を過ぎた辺りで、2位の9号車がピットイン。順当に行けばここで、3位の72号車と共に順位が上がるはずだが、9号車は残り周回分(恐らく10周ほど)のガス補給と、ドライバー交代のみ!なんと2位のままレース復帰!間に72号車を挟んで20秒弱先行されている。これは誤算!4位か〜。

photoコースにも灯りが入る。と同時に、またまた雨が降ってきた。

photo終盤ピットクルーはモニターに釘付け。準備したレインタイヤを使う程の雨では無い。

ところが交代した9号車のドライバー、いきなり夜間、しかも"やや濡れ"路面にペースが上がらず20秒台。それに対し72号車と共に毎周5秒近く詰めるポンちゃん。155周目72号車が西コースに入って9号車をパス。2位に上がる。続いてポンちゃんも裏ストレートで9号車に食らい着く。濡れた130R高速コーナー、アウト側から9号車をパス!モニターに映しだされ、アナウンスも連呼!ピットも沸く!またまた"一人舞台"だ。

2回のコースアウトの雪辱を果たす事ができたポンちゃん、その後もペースを落とす事なく追撃を続けるが、先行する72号車との差は縮まらず、結局161周を走り3年連続の3位フィニッシュ!

photoピットウォールに登って"ヒーロー"を迎える渡辺選手。

photoピット前で待つチームクルー。高橋選手は何かよからぬ事を企てている。

photoウイニングランのあと、パークフェルメへ向かうNSX。助手席には高橋選手が乗り込んでいる。

photoそのNSX、昨年に続きガス欠で、休息に入った。

2004年ポッカ耐久1000km GT300クラス 予選8位 : 決勝 3位

昨年に続きウイニングラン終了後、殆どガス欠状態で、オフィシャルにパークフェルメ押し込まれた。正に"薄氷"レースだった。GT戦とは参加台数が違うとは言え、表彰台はうれしい!特に今シーズンは不振が続き、チーム内のモチベーションも下がっている。7月の十勝戦完走に続き、今回の3位・・・。

photo表彰台の3ドライバー。ポッカ1000kmは3年連続クラス3位。

photo疲れを飛ばすシャンパンファイト。

photoポッカ1000km恒例の花火は、雨の表彰式に集まったファンからの喝采を浴びる。

photo車両保管から戻ったマシン。長丁場レースで、これ程"無傷"な状態は初めて。

ドライバーは勿論、クルーの仕事も完璧。レース全体のペースを読んだ、ガスチャージも、ピットインも予定通り。ひとつつまずいたら、この喜びは無かったろう。チーム全員手に汗を握る接戦、緊張感、これぞ"レース"である。忘れかけていた、このレースをするに必要不可欠の"エレメント"を携え、次回のシリーズ第5戦モテギへ挑む。

地元サーキットであり、多くの応援に後押しされ、好結果を得る事ができました。暑い中、長時間の応援、本当にありがとうございました。

photo
終わった後はドシャ降りに・・。とにもかくにもうれしい表彰台。これからのシリーズ戦でも一矢報いたい。

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