GT CHAMPIONSHIP 2003 Series Round 6
MOTEGI GT CHAMPION RACE 3/4ページ
14日(日) 決勝 晴れ 路面:ドライ
決勝日の朝一のフリー走行はいつも通り満タン走行。これが予選タイムに迫る58″937!クラス8番タイムである。このNSX、満タン時でも他のマシンに比べタイムの落ち込みが少ない。決勝もこんな感じで行きたいものだ。
いつもながら決勝日の朝、満タン走行は快調だ。
Photo by Y.Suzuki
前回1000km時にうまく入らなくなった給油機。反復練習を行う。
今回サポートレースで行われた、インテグラワンメイクレース関東シリーズ第4戦で、ベルノ東海スカラシップ参戦した、春名雄一郎選手は見事ポールポジションを獲得。
決勝は惜しくも2位だったが、この時点でランキングTOP。こちらも続きたいもんだ。
「OZグラムライツRGベルノ東海」でエントリー。見事ポールを獲得。
ツーショットで、インテグラレースのモニターを見る両選手。渡辺選手はインターでインテグラでは初優勝したばかり。
果敢なレースを見せた春名選手。惜しくも2位。チャンピオンにもう少し・・。
午後1時、スタートに向け進行が始まる。モテギはいつも後方グリッドしか取れない。最終コーナーはやや昇り気味で(グリッドに向かう時は下り)、より一層遠く感じる。9月半ばとは思えない、気温も34度、路面温度も50度に迫り、残暑もピークの午後2時、63周(300は恐らく59周)のレースが始まった。
ポッカ1000kmでしか使用しなかった、クールスーツをGT戦で使用する渡辺選手。
1週間前のS耐で火傷を負った菅 一乗選手は今回欠場。この時もまだ入院中。
スタート時はピットレーンに出られない為、TVモニターか、ピットウォールの切れ目から、通過するマシンを見送り、スタートが無事であったかどうかを確認するしかない。しかしTVモニターは5500を追っており、またピットスタートが4台!もある今回、肉眼でも確認できない。
するとピットウォールの先(1コーナー側)でオフィシャルがザワつき、何かあったようだ。そこへ渡辺選手から「スタートで、白と○色のポルシェに激しく追突されました〜。(本当はもっと怒りモード)」そして「ピットインするから確認してくださ〜い。」と無線が入る。
そんなにひどいのか?TVモニターには写し出されない。そこで舘レース監督が「走行に異常無いのであれば、一度ピット前を通過してくださ〜い。ここから確認しま〜す。」渡辺選手「りょ〜か〜い。」百戦錬磨の渡辺選手。1周もすれば、そのまま走行可能かどうか?また1回のピットインがGTレースにとってどれほど致命的かは判っている。それらを天秤にかけ、90秒ほどして集団と共に16位で帰ってきた。遅れは取っていない。川口チーフメカ、八田メカ、がマシンを追う。確かにリヤバンパーの左側が大きく割れているが、特に問題は無さそうだ・・。「確認しました〜。そのまま行ってくださ〜い。」「りょーか〜い。」
しかしこれは今日の波乱のレースの、序章に過ぎなかった。
スタートで混乱があった。スタートはピットレーンに出られないので確認不可。
Photo by Y.Suzuki
追突されたものの、1周目無事?通過。「RX7(黄色)」とサイドバイサイド。
Photo by Y.Suzuki
その「7」も翌周には1コーナーで見事オーバーテイク。先を急ぐ。Photo by Y.Suzuki
その後00〜59秒のラップで、4周目14位、8周目13位、500にラップされ始めた9周目にも、12位と、快調に順位を上げる。ところが11位で通過した11周目、突然モニターに衝撃的なシーンが写しだされた。グラベルをトロトロと走っているNSXである。どこだ!何があったんだ!渡辺選手のこういうシーンは初めてだ。リプレイが写る。裏ストレートからの右コーナー、ダウンヒルコーナーだ。ブレーキングでコントロールを失った500マシンに突っ込まれて、共にコースアウトしたのだ。幸い20秒ほどのロスでコースに復帰できたが、必死に追い上げた順位は一瞬でふいになり18位にまでドロップ。
突然、車載カメラに500マシンが!180度回って、完全にコントロールを失っている。
「ゼッケン○○に今乗ってるドライバー誰だい!!覚えといてくれ!」
渡辺選手の怒りは収まらないが、また淡々とラップを刻む。
またまた、八田メカがストレートで、マシンの状況を確認する。バンパー右前のカナードが無くなっている。パッと見はそんなとこかな?タイムも0〜2秒台とばらつくが、14周目16位、16周15位、17周14位とポジションを上げて来た。そんな最中でも「準備してあるタイヤ、内圧すこし上げて〜。」とか、「このブレーキはソフトに踏んだ方が良いって高橋さんに伝えて」とか「クスコ(スバルインプレッサ)止まった。」とか、冷静に無線が入る。
レースも落ち着きを取り戻したかに見え、何とか得点圏にはとどきそうだ・・。と思ったが、更なる試練が待ち受けていた。
再び追い上げる渡辺選手。右バンパーカナードを失っている。
Photo by Y.Suzuki
ピットイン。タイヤ交換、給油、ドライバー交代、全てが順調に見えたが・・。
25周目トップグループの「Garaiya」を筆頭に300のピットインが始まった。我々は12位である。続々とピットイン、アウトが繰り返され、見かけの順位が5位になった35周目、ピットイン。
1000kmでややもたついた給油マンも、朝から特訓し、順調だ。皮一枚で落ちかけのリヤバンパーもガムテープで補修され、エアジャッキダウン!セルが回る・・・が快音は響かない。
「キュル〜キュル〜キュル」むなしくセルモーターが回るだけだ。パーコレーション(停止中にガソリンが加熱して気泡になってしまう)か?エンジンフードを開ける。燃料ラインを冷やす為、炭酸ガス消火器がかけられる。まだ駄目だ。
お隣がピットイン予定の為、マシンを移動。そこでも作業を続ける。
戸田レーシングの柚木エンジニアがPCを接続し各部をチェック。レース中、彼が出動するのも初めてだ。時間は刻々とすぎていく。ピット前では無理(他のチームの邪魔になる)と判断。ピット内に押し込む。ピット内にいれれば、何人でもマシンに触れる事ができる。といってもエンジンルームには4人くらいしか群がる事はできない。その時三谷メカが妙な所にいる。トランクルーム(もちろんトランクにはなっていないが・・。)内に入って作業をしている。(オイオイそんなところに入っていたら、ディフィーザーパネルが壊れちゃうぞ)っと思ったら、ディーザーパネルは無くなっているではないか!どこで無くした!
狭いエンジンルーム。人手を送り込むには限度がある。ガムテープで補修されたリヤバンパーも痛々しい。
そう、スタート直後の追突で、デフィーザーパネルが落下していた。(白丸)
そう、スタート直後の追突で、デフィーザーパネルが落下していた。(白丸)
Photo by Y.Suzuki
確かに無くなっていたが、「まさか」の部品。誰も気づかなかった。
Photo by Y.Suzuki
それは二の次でメカ、エンジニア、よってたかってダイレクトイグニッションや、関連ハーネス交換、燃料系の冷却等々。どれが功を奏したのか?約20分。「クウォーン」と再始動。(恐らくは各部が冷えたのだろう?)ずっとマシンに座り続けていた高橋選手、待ってましたとコースイン。残り周回は恐らく10数周であろう。もう順位も何もあったものでは無い。他に止まっているマシンがあるので、その周回を上回れば順位が上がる。完走狙いだけである。
00〜02秒で周回を重ね11周目最終コーナーで、見事なスピンを見せた翌12周目、チェッカーを受ける。トップから12周遅れの47周、クラス19位だった。
残り10数周を力走する高橋選手。完走だけが目標になった。
Photo by Y.Suzuki
GT選手権第5戦 GT300クラス 予選19位 決勝:19位 獲得ポイント 0点 / 累計19点