Pokka 1000km RACE 4/5ページ
決勝:中盤
ところがレースも中盤に入った頃、クラストップを快走する「フェラーリF360」が火災を起こし、2コーナーでストップ。ここでクラス3位に上がる。
トップ「シグマテックセリカ」はいつものGTドライバーに、F3チャンピオン候補の片岡選手を加え、必勝体制だ。今朝のフリー走行では、リヤウイングが吹っ飛ぶクラッシュに見舞われたが、全く快調だ。彼らのアベレージ12秒台にはとても届かない。目前の相手は同一周回数の2位、「クスコインプレッサ」だ。
冨本選手も37周を走り切り、104周目ピットイン。この数周前に「インプレッサ」はピットインを行っている為、見かけ上はクラス2位に上がっているが、高橋選手に交代し、アウトラップは当然3位である。
中盤の3度目のピットイン。冨本選手から高橋選手に交代。GTの1回と違い、4回。長丁場のレースを左右する。Photo by Y.Suzuki
走り終えた冨本選手。一番若いとは言え、不慣れなGTに疲れが見える。
燃費の違いから、我々の方が有利なのだが、今回のレース距離では、ピットイン回数に差は無いと思われる。ピットインタイミングで、順位が入れ替わる時はあるが・・。残り周回は恐らく42〜44周で、共に後1回のルーティンピットインを残している。そこで急遽作戦変更。スタミナを考慮し、残りは高橋選手を20周として、渡辺選手でゴールまで(推定32〜33周)行く事にした。
時計も午後5時を回り、若干気温も下った為か、高橋選手13秒台で周回を重ねる。20周ではペース配分も何も無い。イケイケ!である。
124周目、最後の給油で渡辺選手に交代。2位の「インプレッサ」は80秒先行している。ここからはインプレッサとの差も伝える。それに応え、12、13秒台で追う渡辺選手。しかしインプレッサも13秒台で逃げる。差は縮まるのだが僅か、とても残り30周ほどでは「焼け石に水」である。7周で6秒しか差が詰められなかった事を知った渡辺選手、ペースを守る事に徹し、それ以後15周は、判で押した様に14秒台で周回を重ねる。先行車の"何か"を待つしかない。
レースも中盤から終盤へ。コース脇には戦列を離れたマシンが残る。Photo by Y.Suzuki
3時間の休憩で元気を取り戻した高橋選手。日も傾き始めたサーキットを快走。Photo by Y.Suzuki
決勝:終盤 ゴール
夕闇が迫る午後6時、ライト点灯のサインが出される。薄暮の中、淡々とレースを進める。
ところが差が約60秒に縮まった147周目、一気に5秒近く縮まった。それまで14〜15秒台で走行していた「インプレッサ」が19秒台に落ち込んだ。それ以後も20秒前後のタイムとなり、ドンドンと差が詰められていく。残り周回からのペースダウンにしては遅すぎる。何らかのトラブルを抱えているようだ。残りは約10周。サーキットは完全に夕闇に包まれている。他の300クラスも18秒近くにペースを落とす中、渡辺選手だけ、15秒台のハイペースで追い上げる。
「早期点灯キャンペーン」で、町(タクシー)で見かける、ライトオンサイン。ここが発祥地。
しかし、その差が20秒まで縮まった、午後7時過ぎ、トップ500が173周を終え最初のチェッカーを受ける。その30秒後、チームクルー全員が見守る中、「リニューカー・インターリンクベルノ東海NSX」にもチェッカーが振り下ろされた。クラス3位だ。
チェッカー後のクールダウンで周る渡辺選手から「どうもガス欠見たい〜」との無線。長丁場を終えたマシンが、全チームクルーに迎えられながら、ピットロードを逆走してくる。鈴鹿の車両保管のやり方だ。
そんな中、「リニューカー・インターリンクベルノ東海NSXは、チームクルーに押されて車両保管に入る。他のチームクルーからも大きな拍手を受ける。耐久レースならでは感動である。
チェッカーを受け1周して帰ってきたが、この時は殆ど惰性走行。Photo by Y.Suzuki
ガス欠の為、クルーに押されパークフェルメ運ばれた。Photo by Y.Suzuki
昨年と同じ3位だが、今年は表彰台が用意された。Photo by Y.Suzuki
ややフライング気味のシャンパンファイトで、先制攻撃をかける。Photo by Y.Suzuki
完走者をたたえる花火。8耐共に、鈴鹿のファイナルセレモニー。Photo by Y.Suzuki
レースは157周と、昨年と同じ数で終了したが、コースが僅かに短くなった事を考えると、成長が無かったとも言えるが、実際はトップの500が速くて、昨年より6分近くレースを短くしてしまったからであろう。
しかし、ミッションを中心として不安があったマシンの信頼性を、回復させたメカニック、ミス無くピットワーク行ったピットクルー。猛暑の中、ゴールまでマシンを運んだドライバー。やはり1000kmはチーム一丸となって行う耐久レースであり、"プチ耐久"と言えるGT戦を戦うには、違った意味での"リフレッシュ"になったと感じる。