モータースポーツ

2014:SUPER GT第8戦 ツインリンクもてぎ

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11月13日 設営

14年最終戦となるモテギ。
通常のシリーズ戦と異なり、金曜日にテストデイが設けられている為、木曜日からの設営となる。
今シーズンのマシンは、昨年と変わり上位グループと変わらねポテンシャルを見せるものの、燃費の悪さや、SCタイミングに恵まれずリザルトは第2戦の4ポイントのみ。
JAFGPの無い今シーズンは、このレースが“ラストラン”となる。
タイ、鈴鹿1000kmと、2戦続いた酷暑レースから1ヶ月、季節は変わり気温もグッと下がり、暑さに弱いMclarenMP4-12Cにとってはありがたいコンディションである。
“ラストラン”に相応しいレースとなれば・・・。

11月14日 公式テスト 晴れ

本日は午後から3時間15分の公式テスト。
走行時間に制約があるSUPER GTでは、レースウィークのプラクティス以外、今回の様な公式テスト、また決められたメーカーテストでしかGTマシンの走行はできない。
サーキットの走行勘を取り戻し、そのままレースに入る事ができる、今回の様なスケジュールはアマチュアドライバーにとってはありがたい。
このサーキットはパワーとブレーキ勝負のSTOP&GOサーキットと言われており、気温が下がり、パワー的に良いコンディションとなったMclarenMP4-12Cにとって得意と思われるが、そのパワーを活かすにはストレートは短く、ギア比も合っていない。
エンジニア曰く、SUPER GT開催サーキットの中で最も不得意かもしれないと言わしめるサーキットである。

加藤選手の走り出しで1′50″520がベスト。
その後車高やキャンバー等、セット変更を行うがポジション的にはクラス中位辺り・・・。
続いて高橋選手に変わり、直後に54秒台、そして程なく53秒台へ・・・10ラップ程走り一旦ピットイン、タイヤのチェック等を行い再び高橋選手。
53秒台から52秒台へ・・・ベスト52″829と順調にタイムを上げ、昨年の予選(Q2)でのベストタイム52″238まであと僅か。
その後はSC(セーフティカー)訓練が行われる。
これは、レース中のアクシデント等でセーフティカーが入った際に、500、300クラスを振り分け、再スタートを行なう為の運用規定を、チームドライバー、そしてオフィシャル双方の再確認の為のシミュレーションである。
SC訓練後、2種目のタイヤ(このテストで使用できるタイヤは2セットと決められている)と比べる為、再度加藤選手が走行する等、幾度かの赤旗による中断を挟み精力的に周回を増やし、加藤選手24周、高橋選手39周と、クラスの中で最も多くの周回をこなすことができた。
タイム的には加藤選手は序盤から、更に更新し50″506のベスト・・・しかしこれで12番手。
奇しくもこれは昨年の予選順位と同じである。
トップ49″230の10号車(メルセデス)から7番手までは49秒台へと入れている。
一方気になるのは高橋選手・・・セッション終盤の10数周、タイムがバラつき54~55秒台で、52秒台はおろか、53秒台がやっとである。
コースサイドから走りを見て無線でアドバイスを送る舘アドバイサーから、細かなアドバイスが飛ぶものの、迷宮に入ったか?なかなかタイムアップにつながらない。
セッション終了後のビデオ学習にも余念の無い高橋選手、明日のプラクティスではそれらが報われる事となるか・・・?

11月15日 プラクティス・予選 晴れ

午前 プラクティス
まずレインタイヤの出番はありえない、素晴らしい快晴で迎えた土曜日、いつも通りプラクティス・予選日。
走り始めの気温は10度、路面温度15度と低めだが、陽射しは強く上がって行くだろう。

加藤選手による走り出し、いつもならOUT-INラップとして、各部チェックとなるが、それらは既に前日のテストで済ませているので、直ぐに計測ラップ。
昨日のテストでは、今ひとつタイムの冴えなかった点を、ドライバー、エンジニアでディスカッション、リヤ周りを中心にサスセット変更。
それらは直ぐに功を奏し、タイヤを暖めつつの計測2周目、1′50″278と昨日のベストを更新、翌周には49″947と更にアップ。
このフィーリングを確認する為、高橋選手に交代。昨日のテストでは終盤タイムのバラつきがあった高橋選手だったが、計測8周の殆どを53秒台にまとめる安定性を見せる。
セットの方向性も決まり、更に煮詰めた加藤選手は49″207まで更新・・・クラス6番手に着ける。
特にセクター1、2だけで0.5秒近くの短縮に成功、セット変更は“当たった”ようだ。
更に高橋選手が走り込み、53秒台は勿論、52秒台も完全にモノにし、走り込む程にタイムアップ、15周を走り込み500、300混走の終わりには、全セクターを自己ベストタイムでまとめ51″755の自己ベストをマークする。
最後10分間の、300専有走行は加藤選手がNEWタイヤで午後の予選に向けた最終チェック、49″377でプラクティスを終えるが、先のベストタイムでクラス6番手は変わらず。
ここ2戦、予選Q1突破が果たせなかったが、今回はQ2へと進めるか・・・?

午後 ノックアウト予選Q1
気温も路面温度もそれぞれ15度21度へと上昇した午後1時30分、Q2進出の13台に入るべく15分間のQ1予選がスタート。
Q1担当の加藤選手はセッション開始から2分後、ピットを離れる。
アウトラップと計測1周目までをタイヤの暖機に費やし、翌周のアタックで49″266!は3番手タイム。
だが各マシンもタイムアップ順位は下がって行く!!・・・勿論加藤選手も連続アタック。
上位は48秒台に入る中、加藤選手も各セクターでベストを更新、最終第4セクターのみ僅差で更新できずとも、この周回を48″916!!6番手でまとめる。
残り時間もなく、Q1突破は堅いと判断、またこの予選で使用したタイヤは、決勝スタートタイヤとなる可能性もあり、タイヤ温存も踏まえアタック終了・・・終わってみれば8番手で久々のQ2進出となった。

赤旗中断のあった500クラスのQ1予選と、10分間のインターバルをおいて300クラスのQ2予選開始。
Q2予選は10分間と短く、またドライバーとタイヤの暖機に時間をとるべく、コースオープンと同時にピットを離れる高橋選手。
2周の暖機を終えアタックラップへ・・・まずは53秒台、そして翌周全セクターをベストタイムでまとめ51″335と、午前プラクティスのベストタイムを更新。
4周目、セクター1でベスト更新、セクター2も更新、これは50秒台ペースか?・・・!だがセクター3、4と更新ならず!!
だがラップタイムは51″290とベストタイム。
走り込むほどにタイムアップする高橋選手、翌周の第1セクターでもベストタイムを更新するが、第2、第3は僅かに届かない。
Q2進出マシンは、Q1、Q2いずれかのタイヤが抽選により決勝スタートタイヤとなるので、極力周回を減らしたい。
その為、タイムアップが見込めない最終ラップでそのままピットに戻る。

昨日のテスト時のベストタイムから約1.5秒の短縮はアマチュアの高橋選手にとっては素晴らしいタイムであり、51秒台はレースラップとして申し分ない。
だが、そのタイムでもQ2予選においては、並みいる強豪プロドライバーの中、13番手とQ2最下位である。
レースは相手があり、相対的な結果が全て・・・自己ベスト更新で満足する高橋選手ではない。
少なくとも加藤選手が48秒台で走らせられるマシンを、同タイム走らせる事ができない自分自身に全く満足できない。
まだまだ高見を目指す、アマチュアドライバー、高橋選手である。

11月16日 フリー走行・サファリ 晴れ

午前 フリー走行&サファリ
この2日間、約5時間、120周以上と多くの周回をこなし、全くのノントラブル。
昨年初め、シェイクダウンの時から、細かなトラブルに見舞われ、シーズン半分以上、ロングのテストが全くままならない状態が続き、エンジニア、メカは勿論、本国のMclarenからやってきたエンジニア等努力により大幅に改善・・・というか日本の風土に合ったマシンへと変わり、昨シーズン後半からようやくタイヤテストも進み、マシンの色々なクセも分かってきた。それに伴い足回りのセッティングも出来上がり、コースによっては素晴らしいパフォーマンスを発揮。 昨年JAFGPでは“スプリント”という事もあり、加藤選手が優勝。
今シーズンは、昨年以上には良い結果が残せるだろうと考えていた。
だが、マシンの特性が判るに連れ、マシンの“個性?”特性、得意、不得意のサーキットがある事も分かってきた。
最も得意なサーキットは、富士の様にハイスピードコース。パワーとギアレシオがピタリとあっており、トップレベルのパフォーマンスを見せるのだが、反対に不得意なコースはここモテギで、ギアレシオが全く合わないらしい。
GT3マシンは、そうしたギアレシオを変更する事はできないので、どのGT3マシンにしても、コースによって得意、不得意はあるのだろうが、ターボというエンジン特性と相まってこのマシンは厳しい様である。
加えてヨーロッパとの燃料の違いや、高温多湿な日本の気候により、特に夏季のパワーダウンは激しく、ドライバーを手こずらせた。
そんなマシンという事もあり、来シーズン、チームとしてはマシンチェンジを予定しており、実質MclarenMP4-12Cにとってはラストランとなる。

我々も含め、多くのチームは走行開始30分程度前には暖機に入る。
ところが、今朝はエンジンが掛からない!!
メーターのモニターでは吸気系のセンサーが“おかしい”事は判り、部品を変えるがダメ。
フリー走行が始まる。
念の為ECU(コントロールユニット)も換え、配線の接続等もチェックするが変化なし。
全く掛かる気配が無い。
30分間のフリー走行を走らせるのであれば、時間内に復元できないほど深入りした点検もできない・・・。
これはどうしようも無い。手を着ける事ができない。
この2日間はおろか、今シーズンほぼノントラブル迎えた最終戦・・・ここに来てなんて事だ!!
残り15分頃、運転席にいたチーフメカがステアリング上のダイアル式スイッチの変化を発見。
何の拍子か?意識的に操作しないと回らないと思われるダイアルが回ってしまっていた。
若干いつもと違う位置にありそれを操作したところ、無事エンジン始動。
この位置ではエンジンが始動しない等とは、マニュアルにもなければ、勿論試した事もない。
かと言って、走行中のドライバーが誤って回す恐れがないとは言えない場所である。
メーカーが作ったマシンは、まだまだ隠れアイテムがあるようで、この最後に来て、思わぬ経験値がひとつ追加された。
全てが正常に戻り、暖機を済ませ残り10分弱、丁度赤旗中断の再開に合わせてコースインする事ができた。

時間が少ない事もあり、予定していたピットシミュレーションは中止、加藤選手のみの走行となったが、ほぼ満タン状態で1′50″306の8番手。バランスは悪くない。
上位陣の49秒台中盤からすれば、遜色ないタイム。

マシンは、先の“トラブル・・・・ハプニング”は有ったものの全く快調。
そのまま高橋選手によるサーキットサファリへと入り、終盤バスの退去後のフリー走行で、52″457の13番手。
52~53秒台のレースラップを刻むには十分な慣らしといえる。

午後 決勝レース
フリー走行、サーキットサファリを終え、10時30分からはピットウォーク・・・決勝レース(通常午後2時)まで十分な余裕があると思われるが、今日はレース終了後にグランドフィナーレがあり、日没も早くなった事に伴い決勝スタートは午後1時。
スタート前チェック始めウォームアップ等は12時前から始まるので、実質的には、メカはランチを取る余裕も無くメンテナンスに入り、あっという間にスタート進行へと・・・。

設営日から4日間、全く雨の気配は無く、正に秋晴れ・・・というにはやや寒いが・・・の毎日、決勝も気温16度の快晴。
ウォームアップ時に、トランスポンダーのトラブルでラップタイムが取れないという、これまた“ハプニング”は有ったものの、先のエンジンがかからない事に比べれば、この軽微なトラブルは、グリッド上での点検により回復、万全の体制でラストランに臨むことができた。
スタートは加藤選手。鈴鹿同様、警察車両によるパレードラン1周、そしてフォーメーションラップ1周でレースはスタート。
13番グリッドと、中団に位置した事もあり、タイヤの温まらないオープニングでのアクシデントを避ける為、前のグループとやや距離を開け、1コーナーへ・・・。
無難に1、2コーナーを抜け3コーナーへのブレーキング、アウトから直後14番グリッドいて、チャンピオンの可能性を残している7号車(BMW)が前へ。
オープニングラップは14位。
レースはトップ3の11号車(メルセデス)、4号車(BMW)、31号車(プリウス)が49~50秒台で後続を引き離しかかる形で始まった。
特にトップ2台はチャンピオン争いの為、このレースをリードする事になる事は必至であろう。
10周を過ぎ10~14位の5台が集団となり、13位の加藤選手はグループに囲まれ53秒台と、なかなかペースを上げられない。

53周のレースで、300クラスは50周辺りがゴールで、序盤15周で7号車のピットインを皮切りにレースは動き始める。
17周目には3位の31号車等、続々とルーティンピットが始まり、見かけの順位が上がる。

20周目それまでズッと蓋をされていた、前を行く22号車(メルセデス)を1、2コーナーでパス!
よほど嬉しかったのか?「見た!見た!!」と喜び無線が入る。っが、あいにく、サインエリからも見えず、TVモニターには映される事もなかった。

順位も見かけ上5位にまで上がる・・・と、この周回で加藤選手のいた中団グループも全てピットインが終了、ここで一気にペースを上げる。
それまでの52~53秒台から22周目には51″527のベスト、更に27周目51″434、翌周51″295と更新!!
これまた“見かけ上、前との差を”ドンドンと縮めて行く。

このレース通常の300kmより短縮され250kmの為、我々も含め殆どのチームがタイヤ無交換。
ピットアウト後のマシンも大幅にタイムアップするわけではなく、そんな中で加藤選手は、51~52秒台で飛ばす。

34周目、見かけ上1位になり、全チームで最後のピットとなった2号車、加藤選手がピットに入る。
タイヤ交換は無し。給油は22秒・・・これは殆どドライバー交代に要する時間だけである・・・余裕はないが。
シーズン戦最短のピットストップで戦列に加わる高橋選手。
ここモテギは、ピットロードエンドがコントールラインの為、コースに入る直前に順位が表示され6位。
だが当然アウトラップの為、翌周の9位が実質の順位。
タイヤもそのままなので、直ぐにレースラップなればいいのだが・・・翌周でも1′60″724・・・51秒台で周回してきた、10位は9号車(ポルシェ)が1.6秒まで迫り、更に15秒後方に50号車(アストンマーチン)が虎視眈々とポイント圏内(10位)を狙っている。
翌36周目には9号車にパスされ10位に後退、50号車からのリードも13秒に縮まる。
55~54秒台にペースを上げるが、53秒台の50号車が毎周1秒以上迫る。
38周目プラス11秒、39周目プラス9秒4・・・!と貯金が削られていく。
40周辺りで高橋選手のペースも54秒前半に安定、対し50号車は53秒中盤・・・差は9.2秒。
41周目8.5秒・・・残り周回は9~10周。
エンジニアのシンタローから「このペースなら大丈夫です!!あと少し、ガンバってくださ~い!」と激が飛ぶ。
43周を終え、プラス6秒・・・何とか逃げ切れるか?!

ところが44周に入って数十秒後、無線で「スピンした~。」と高橋選手。
第5コーナー立体交差手前で単独スピンを喫し、イン側にストップしてしまった。
幸い直ぐに再始動、自力脱出はできたが、その間に50号車は勿論、後続4台に抜かれ15位に後退、第2戦富士以来のポイント獲得はほぼ絶望となってしまった。

目標を失ったものの、54秒台で周回、ラストランのチェッカーを目指す高橋選手だったが、49周目、既にトップがチェッカーを受けた最終ラップ、先と同じ右90°コーナーで60号車(BMW)に追突され、コースアウト。
今度はグラベルに止まってしまった為、自力脱出できない!
このままチェッカーも受けずにラストランを終えてしまうのか・・。
だが迅速なオフィシャル対応でキャタピラー車により牽引、何とかファイナルラップを終え、19位でチェッカーを受ける事はできた。

色々と苦労させられたマッ君だったが、付き合い始めて2年。
クセも好き嫌いも判り、良くも悪くも初めてのGT3マシンとして、チームに多くの影響、経験値をもたらしたこいつとも、これでお別れ。
来シーズン新規一転、NEWマシンでの参戦を予定しています。
2015年もよろしくお願いいたします。

画像はFacebookアルバムで・・・。

DATE:2014/12/10