モータースポーツ

2016 SUPER GT第7戦:Chang International Circuit

GTレースレポート
2016年11月29日

設営

10月6日 設営日初日

SUPER GT唯一の海外戦が、マレーシア、セパンからここタイのブリラムに移ってから3年目。
空路5.5時間に加え、空港からの陸路6時間も“慣れた”からと言って大変であることに変わりはない。
5日深夜にホテルに到着。
翌6日木曜日は通常の国内戦より1日早い設営初日である。
8月末の鈴鹿1000kmで大きく破損したマシン・・「LOTUS EVORA」は通常の海上コンテナの出港には間に合わず、9月末航空便で送られ、設営初日の今日ピットに収まっておりました。
外装は全ての製作は間に合わず、多くを2015年仕様のパーツを流用・・・また昨シーズン悩まされたスタータートラブルの対策用に換装したミッションケースも割れてしまったので、これも昨シーズン仕様へと戻された。
こうした昨シーズン仕様のパーツの流用ができないパーツの製作を急ぎ、メカスタッフの不休の努力により、何とか参戦へとこぎつけることができた・・・しかしマシンは完璧な状態ではなく、多くの部分が欠損、スタッフがハンドキャリーで持ち込み、組付ける事になった。

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10月7日 設営日2日目

設営2日目は通常のレーススケジュールの設営日であるが、多くは前日に終えており、メインは車検、各種ブリーフィングである。
各チームのドライバーも本日続々とサーキットに集結。
無論走行は無いので多くはコースを徒歩で“試走”している。
レース関係者も続々とに集まり、パドックのイベントブースもでき、サーキットも段々活気を帯びレースウィークらしくなってきた。
昨日スターター系のトラブルが発生・・・というか、昨年仕様の最も悩まされたシステムで、今回の大修理に際し2016仕様の部品の遅れからやむおえず昨年仕様となった。
システムパーツの交換で対処したものの、スターターの使用頻度を減らす事が対処療法という事もあり、本日はエンジン始動を行わず明日のプラクティスに挑む。
“薄氷”の心配ネタはあるが、ここタイを含め2戦・・・ベストを尽くすのみ。

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10月8日 プラクティス・予選

プラクティス 晴れ/ドライ

8月鈴鹿1000kmのクラッシュから約1ヶ月の修理期間を経て修復された「LOTUS EVORA」。
見た目、外観的には若干の“傷跡”が残るがほぼ修理された。
肝心な中身、特にシャーシーはアライメントこそ完璧にとれたものの各部の作動は停止状態でしか確認できない。
実際に走行してみるまでは、不安が払拭されない。

まずはいつも通り加藤選手による各部チェックで1周・・・各機器の作動は勿論、オイル等の漏れ等は機能的には全く問題ない。
そのまま加藤選手により徐々に速度を上げていき、計測2周目には35秒台の4番手タイム、翌周34秒台、3番手、そして翌周1′34″395で何とクラストップタイムをマーク。
他のマシンも全体的にまだタイムは上がるだろうが、このタイムならマシンは完全復活したみていいだろう。
その後1回のピットインを挟み更に周回を重ね33″428まで上げ、高橋選手への交代の為ピットイン。
ところが、ピットレーンに入って来た所で突然電源が落ち、ピットロード上でストップしてしまった。
メカが走ってレスキュー向かいピットへ入れる。

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原因は充電系のトラブルで、一過性とも思われるが、大事をとり発電機を交換、約30分を費やし、走行残り20分弱で高橋選手を送り出す。
ところがそのアウトラップ、インフィールドのターン5、左コーナーでオーバーラン!しかしエスケープゾーンも充分な為、そのまま走行し、コースに復帰しようとした所、500マシンを先行させる為、通常ラインより大きくアウトに寄ったポルシェと接触、スピン!!
幸いエスケープゾーンに停止した為、二次被害に会うことなく再始動、コースに復帰・・・だがステアリングに異常を感じスローでピットに戻る。
クイックチェックでは左フロントのフェンダー、ホイールに接触痕はあるものの、大きなダメージは無いと思われ、走行時間も少ない事からタイヤ・ホイールのみ交換し再び高橋選手でコースに送り出す。
ところがステアリングの異常に変わりはなく、また既に300クラス専有時間に入った事もあり他のマシンの迷惑にならぬようスロー走行でピットに戻る。

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点検したところ、タイロッドが曲がり、アップライトの取付部にクラックが入っている。
その他ステアリングギアボックス、パワステ系もダメージを受けていると思われる。
特にアップライトは、スペアパーツ製作の優先順位からまだスペアパーツが無かった!
このアップライト全体形状こそ他のマザーシャシー・・86と共通であるが、取付部はLOTUS専用に作られたスペシャル。
日本国内なら、何とかなるかもしれないがタイではどうしようも無い。
外観的には全く大した事ないが、走らせる事はできない。
プラクティスでは最終的には2番手タイムと好調だっただけに残念ですがリタイヤです。
短期間で鈴鹿から、ここタイにマシンを送り込む為に尽力いただきました各テクニカルスポンサー様始め、このタイ戦を楽しみされておられた現地スポンサー様、また復活を楽しみに応援いただきましたファンの皆様、全く力を出し切る事なく日本に戻る事になりますが、最終戦モテギでは翌シーズンに繋がるべく結果を残したいと思いますので、引き続きご支援お願いいたします。

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