モータースポーツ

第47回サマーエンデュランス鈴鹿10時間耐久レース

2018シーズン LOTUS EVORA
2018年08月30日

8月22日設営

設営
永く夏の耐久レースとして親しまれていた「鈴鹿1000Km」が12年続いたSUPER GTのシリーズ戦から外れ、今年単独で10時間レースとなった。
これまで多種クラスの混走だったが、今回はGT3とJAF-GTマシン・・要するにSUPER GTの300クラス・・のみのレースで、海外の強豪チームと日本チームの激突である。
このレースに我々2号車「LOTUS EVORA」も早々とエントリー。
1000kmは約6時間・・その1.6倍となる時間、距離は未経験・・・に対し、24時間レースの経験もあるGT3勢。
知恵と工夫を凝らした、「LOTUS EVORA SUZUKA10HVer」がどこまで戦う事ができるか?・・・お楽しみに。
っと、その前に明日23日は、公道を閉鎖してレージングマシンが往復約6Kmをパレード。
国内初?と思われるビッグイベントだが台風の接近でチョッと心配。

パレード時のオーバーヒート対策用電動ファン。

ラジエターエアインテーク上の補助ライト・・バンパーサイドにはコーナーリングライトも追加。

全部光るとこんな感じ。ゼッケンも光る・・・これは主催者から全車統一の支給品。

ブームの看板も目立つように・・・。

8月23日パレード走行・非公式プラクティス

パレード走行・非公式プラクティス (共にキャンセル) 雨
台風が接近し、早朝から風も強くなり、強い雨が降ったり止んだり・・・。
日本のモータースポーツ史上、初(多分)の公道を閉鎖してのレーシングマシンによるパレード走行の為、ホテルからサーキットに向かう道路、通称サーキット道路は歩道と車道を仕切るパーテーションが並べられ、通行規制にあたる警備、ボランティアの方々も大勢動き始めている。
このパレードの為、各ドライバー、マネージャーのミーティングも行われ、分刻みのスケジュールも再確認され、多少の雨でも開催予定となった。
パレードの行き先、イオンモール鈴鹿でも各種特別イベントも予定され、多くのモータースポーツファンは勿論、普段それらに親しむ事も少ない、一般の買い物客の方も、パレードの到着を待つ。
そうした期待に応えるべく主催者側、各エントラントも開始に向け準備を進めていた・・・しかし、時折とはいえ、厚い灰色の雲から強い雨、強い風・・・そしてパレード開始の1時間前頃になり、暴風警報が発令・・!!
こうなっては多くの観客を集めるイベントの開催は危険・・・。
モータースポーツ史上に残る大イベントは幻となってしまった。
その後も短時間ながら強い雨が繰り返され、その合間にサポートレースのフェラーリが走る事があったが、我々の「10H」のプラクティスが始まる午後4時15分にはかなり台風も接近・・・その前からの雨でコースはヘビーウェットに加えストレートで向かい風、S字などはかなりの追い風となる強風。
明日以降、決勝に向けてはこれ程の荒天はないと予想される事から、このコンディションでの走行はリスクが大きく、それに見合うほど得る物がないと判断・・・このレースウィーク最初のプラクティス(公式ではない・・)はキャンセル。
同様に走行をキャンセルするチームも数台ある中、降雨量が目まぐるしく変わる、厳しいコンディションを走行する他のマシン観察しつつ、明日以降の走行に備える事とした。

ホテルからサーキットに向かう道路はパレード走行の為、歩道にパーテーションが並ぶ。

朝8時半頃のコース・・未明の雨も、強風により乾いているが・・。

半乾きになったと思ったら、あっという間に豪雨。こんな天気の繰り返し。

プラクティスキャンセルとなり、メカスタッフは他チームのピットワーク観察。

明日に備え、早々に撤収。

8月24日非公式プラクティス・公式プラクティス

非公式プラクティス 晴れ / ドライ
台風の風、雨は深夜から未明に及んだものの、穏やかな朝を迎える事ができた。
午前、2時間の非公式プラクティス・・・昨日午後の非公式プラクティスは荒天でキャンセルした我々2号車にとっては最初の走行となる。
このレースはSUPER GTのGT300クラス車両であり、マシンによるクラス分けはないが、ドライバーの組み合わせで、PRO(プロ)・PRO-AM( プロアマ)・AM(アマ)の3クラスに分けられる。
このクラス分けは各ドライバーの実績によりFIAがクラス分け・・、下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナと色名でクラス分けされており、出走ドライバー3人の組み合わせが、ブロンズのみならAM、1人でもシルバー以上が加わればPRO-AMクラスとなる。(二人以上だとPRO)
我々は加藤選手がシルバーの為PRO-AMクラスとなる。
エントリーの内訳はPRO、23台・PRO-AM、11台・AM、1台の計35台であり、ライバルはPRO-AMクラスである。
序盤加藤選手によりセット確認・・・いつものSUPER GTであれば、概ね持ち込みセットで、それなりのタイムが出るのだが、他のマシンが2分04秒台が出る中7秒台・・。
コーナー進入でオーバーステア、立ち上がりでアンダーとバランスが悪い。
車高、ウィング等各部のセット変更を加えるが、なかなかいい方向へ行かない。
このレースはピレリータイヤのワンメイクで、このタイヤで戦う海外勢、国内のSUPER 耐久勢には馴染みであるが、我々も5月テストのデータもあるが、色々条件も変わりデータは不十分。
加藤選手はピットインを繰り返しセット変更、17周を要したものの、納得の行くバランスにはなり切らないが、高橋選手、そして今回の第3ドライバーの濱口選手の走行時間必要な為、妥協セットのまま交代。
その時点では2号車は07″114でクラス11台中最下位である・・。
高橋選手は14秒台から13秒、12秒へとタイムを上げ12″119がベストながら、安定したラップを刻みレースラップとしては申し分ないだろう。
コースコンディションも、雨上がりのドライから完全なドライへ移行・・・ し濱口選手の05″749がベストで9番手・・トップは03″525と大きく水を開けられた。
午後からの公式プラクティスに向け、ドライバー、エンジニアでセッティングを詰めるが、ピレリータイヤがGT3マシン用のタイヤの為、GT3マシンより150kgほど軽いJAF-GTマシンではタイヤがうまく“仕事”をしてくれない。
更に足回りの動きも、殆どレーシングマシンのJAF GTに対し、市販車ベースのGT3マシンで異なる。
こうした要素が重なり、JAF GTマシンが得意とするコーナーリングスピードで稼ぐ事ができないのである。
もう1台のJAF-GTマシン18号車「86」も07秒台、PROクラスで最下位と苦戦中である。
勿論こうした事は織込み済みでの参戦、どこまで行けるか・・・である。
公式プラクティス 晴れ / ドライ
そうしたチャレンジングスピリッツとは裏腹に、午後からの公式プラクティスにおいても、バランスは決まらず・・・とりあえずベターなセットで各ドライバーラップを重ねる。
車重が軽い事からロングには強く、かなり周回を重ねたタイヤでもタイムは安定・・・午後プラクティスでは加藤選手が05″160をベスト(これでもクラス10番手)に5秒台を連発。
ロングスティントでの強みを見せるが、給油中でもタイヤ交換が可能な為、タイヤ交換しない時間的アドバンテージはなく、また好燃費もピットストップ(ピットロード入り口から出口までの時間)が決められており、給油量(給油時間)が少なくても、早くコースに復帰する事ができない。
その他、このレース独特・・といっても他のGTレースのスタンダード・・・のルールがあり、このJAF-GTマシンの優位性は少ない・・というか殆どない。
明日25日は予選、3名のドライバーの合計タイムが予選順位となる。
頑張るしかない・・。

この日朝一の仕事はマシンの“集合写真

これだけのマシンを、手押しで決められた順番で並べるのは結構大変。

第3ドライバーは濱口選手。

ブランパンGTシリーズに参戦・・・活躍中。

午前のプラクティスでは濱口選手がドライブ中にパンク・・・というかバルブの破損。

夕闇迫る鈴鹿サーキット。

鈴鹿1000kmでも夜間走行は短く、今回は久々のナイトセッション。

レースでは実質1時間近くは夜間走行。

もう6~7年近く毎年何かしらいただいている中学生のファンからのプレゼント。画力が格段にアップ。

8月25日予選

予選 晴れ / ドライ
水木金・・そして今日土曜日が一番暑さを感じる朝である。
9時の時点で28度、湿度は83%と蒸し暑い一日となりそうだ。
本日の走行セッションは午後からの予選のみ・・・。
その予選方式はSUPER GTとは異なり、3名のドライバー、それぞれ15分間の1回目予選走行においてのベストタイムを合計し、その上位24台がPole Shootout(ポールシュートアウト)に進出し、更に15分間の2回目予選走行においてポールポジションから24位までのグリッド順位が決まる。
25位以下は1回目の予選で決まる・・・Q1、Q2予選である。
走行順は最初が高橋選手・・・15分間の走行時間を使うべく、開始早々ピットを離れ、計測1周目にして10秒台・・・と前日のプラクティスのベストタイムを上回り、更にペースを上げ、翌周には07″745のベストタイムをマーク。
1周でも多くの周回を欲しいアマチュアドライバー高橋選手・・プラクティス後のデータロガー、車載ビデオでの学習が功を奏し、その後も8秒台でラップ。
計測6周、計8周の走行を終える。
15分のインターバルの後、加藤選手のアタックである。
セッション開始から5分後、他のマシンの動向を確認しピットを離れる。
アウトラップから計測2周目04″341!!前日の5秒台から一気に更新。
更に翌周04″123!!総合14位、PRO-AMクラス3位でアタック終了。
続いて第3ドライバー濱口選手。
加藤選手ほどではないが少し間を空けてからコースイン。
アウトラップの翌周で5秒台・・・更に4秒台までアップし、計測5周目に04″696のベストタイムをマークし「タイヤ使い切りました~。」という事で走行終了。
3人の合計タイムは・・6′16″564は総合34位、クラス8位である。
ポールシュートアウトから大きくかけ離れた順位で終わってしまった。
因みにトップは合計6′08″367・・ポールシュートアウトでは01″764で唯一の1秒台。
ポールシュートアウトでは2秒台に19台が入る激戦である。
ここまでのプラクティス、予選通じ、良い材料が見つからないレースウィークであるが、ミスらず、壊さず、地道に長丁場をこなして行くしかない。

夏の暑さを予感させる好天である。

最初に予選アタックに出るのは高橋選手。

予選終了後、モニターでタイムをチェックする加藤選手。「疲れた・・」そうです。

ブランパンGTを戦う濱口選手は、ピレリータイヤを知り尽くしているが苦戦。

予選セッション終了の後各ピットで「Parc Ferme」車両保管となる。

10時間の長丁場に向け各部チェックが進むピット。明日8時からのウォームアップ・・10Hは10時スタート。

8月26日決勝レース

決勝レース 晴れ / ドライ
午前8時のウォームアップ走行の準備の為、6時半頃サーキットに到着すると、雲ひとつない空のもと、気温は既に28度・・10時間レースのスタートは10時・・・まだ前日土曜、予選日より暑さが増しそうな決勝日。
前日、長丁場の為のメンテナンスを深夜に及ぶまでこなしながら、疲れを見せないメカスタッフの手により、ウォームアップ、10時間のレースの準備が進められる。
20分間のウォームアップ走行は高橋選手→加藤選手を予定・・・。
昨日までのタイムをみると、GT3勢の多くはトップスピードは240~245km/h・・に対しJAF-GTの2号車18号車は235km/m程度。
この差を埋めるには軽さを活かしたコーナリングスピード。
コーナリングマシンの「LOTUS EVORA」のタイムを稼ぐには鈴鹿は相性は最高・・・しかしS字からダンロップの速さが不足でウィークポイントの高橋選手、前日まで加藤選手からアドバイス、ビデオ学習を経て、これらを克服すべくこのウォームアップも重要な走行セッションであり、開始と同時にコースイン。
アウトラップ、そして計測1周目で2分11秒台・・・満タン状態のアマチュアドライバーのレースラップなら悪くない。
更に周回を重ねた4周目、なんとS字終わり・・逆バンクからダンロップの登りに切り返しでスピン、コースアウト!!
タイヤバリアに前回りを激しくヒット!!
なんとか走れる状態ではあったので、スロー走行ながらピットへ向かう。
しかしピットに戻ったマシンを見て、ピットクルーは絶句!!
結構ひどい・・・ボンネットは浮き上がり、あの強固な牽引フックが完全に曲がっている。
正直・・・(これは終わったな。)と誰もが思った。
とにかく作業に取りかかるメカ・・・時間は8時10分・・スタートは10時。
グリッドに間に合わずとも、レースには復帰したい。
その思いで全スタッフが修復に加わる。
前夜入念に調整した、夜間走行用に追加した高光度の補助光類は破損した為、全て取り払わざるえず、とりあえず外装が整ったのは10時半、その後アライメントのチェックを終え、ドライバーが乗り込みピットを離れたのは11時3分。
スタート申請をした高橋選手が1周しピットイン・・・エアコンの効きが悪いとの事・・・夏のレースの命綱をおろかにはできず、2時間以上を費やし点検・・残念だがもう慌てる必要はない・・もうレースはそうした状況である。
また衝撃を受けた車体に問題ないか?加藤選手により1時間ほど確認走行するも、エアコンが不調・・効かないわけではなく走れない事もないが、次戦SUGOもあるので、コンプレッサー等部品を交換しつつ、また高橋選手の練習もかね1時間ほど走行・・・しかし陽も傾き始め、コース各所の路面が見えにくくなった18時頃デグナーでコースアウト・・・そのままコースに復帰するが、もうこれ以上の走行で得るものはないと判断。
ピットに戻りそのまま正式リタイヤ・・・地元レースという事もあり、多くのファンが期待を込めて応援に駆けつけてくれたが、全く土俵に上がること無く夏の祭典は無残な結果で幕を閉じた。
これまで多くのGTレースに参戦し、ウォームアップでトラブルが発生しピットスタート、1周目でクラッシュリタイヤ・・・はたまたプラクティスで大破、予選すら走れなかった等々、それなりに波乱を経験してきたが、そうした中でも、今回はかなり厳しい経験となった。

雲ひとつない空に恵まれた朝・・・暑そう。

8時からウォームアップ開始。

ウォームアップでなんとクラッシュ。

チームクルー総出で修復にかかる。

約2時間で外装はほぼできた。カーボン地のまま。

アライメントチェック・・・幸い異常なし。

レーススタート後、約1時間で高橋選手によりスタート。

ピットインを繰り返し、次戦SUGOに備える事に・・。

午後6時頃のコースアウトを機会にリタイヤ

破損した外装類。