モータースポーツ

2018 SUPER GT 第5戦 FUJI GT 500mile RACE:富士スピードウェイ

2018シーズン LOTUS EVORA
2018年08月10日

8月4日設営

設営
暑い8月・・・とはいえこれ程酷暑が続く年は異常だ。
そんな8月恒例のSUPER GTレースと言えば、これまでは「鈴鹿1000km」がシリーズ最長のレースとして8月下旬に開催されたが、今年からはシリーズ戦から外れ「鈴鹿10時間耐久レース」へと変わった。
それを受けて、8月上旬の第5戦富士大会が、500マイル・・800kmのシリーズ最長レースとなった。
ドライバー交代を伴う4回のピットインが義務付けられており、各チームの戦略も見もの・・。
5月500kmはおろか、鈴鹿1000kmもすでにスプリントと化したこのSUPER GT・・・このレースも激戦必至。

高地の富士とはいえ、酷暑・・薄雲が広がるが35度以上・・。

5月好調ながら、電気トラブルでチェッカーを受ける事ができなかった富士仕様の「EVORA」

4回のピットインをどんな作戦で戦うか?ピットワークの再確認。

8月5日プラクティス・予選

プラクティス 晴れ / ドライ
前日から比べれば、朝方の28度は十分涼しく感じられるが、65%の湿度と共に午後にかけては上昇する事は間違いなく、熱中症に注意が必要な一日になりそうだ。
8時40分からの公式練習は、午後予選のセット確認と、明日の決勝に向けた準備・・・NEWタイヤの皮むき・・等メニュー盛り沢山である。
タイヤの皮むきや、仕様の変わったブレーキパッドの確認、慣らしを加藤選手が行い、数周の計測、車高調整等若干のセット変更でまずは1′38″987で8番手あたりのマーク。
順調にメニューを消化できると思いきや、セッション中盤、1コーナーで、ブレーキトラブルを起こした500が、ピットアウト直後の300のマシンに激しく追突!!
部品が散乱、火災も伴い、もちろん赤旗。
幸い両ドライバーは無事であったが、これにより約17分の中断となりメニューも変更、加藤選手によるアタックは最終・・ベスト38″843マークし高橋選手に交代。
その高橋選手も3周ほどこなし、これからという時に2度目の赤旗・・セッション中断となったが、再開後の300クラス占有走行で40″813をマーク。
プラクティスは赤旗中断の為、10分の延長は有ったが、メニューは予定通りとは行かなかった。
Q1予選 晴れ / ドライ
全体に遅れ気味となっていたタイムスケジュールも、各イベントのインターバルで遅れを吸収・・・午後Q1予選は予定通り、3時35分から開始され、15分間のQ1予選は加藤選手により始まった。
4分間ほどピットで待機・・他のマシンの様子を確認してからピットを離れる。
1周し残り約8分・・徐々にペースを上げタイヤに熱を入れて行く。
アウトラップ含め4周目、まず38″491は8番手・・だが、他のマシンがコントレールラインを通過する度に順位は下降。
Q1予選も佳境に入り、加藤選手も連続アタック。
38″376と更新するも11番手・・・Q1通過の14台をより確実にする為、三度アタック。
セッション終了も近づき、各マシンも続々とピットに戻り、チェッカーも用意された。
そのチェッカーを受けた加藤選手の最終アタックはなんと38″030のトップタイム!!
その後チェッカーを受けるマシンがこのタイムを上回る事はなく、Q1セッションを1番時計で終える。
Q2予選 晴れ / ドライ
Q2予選は10分・・高橋選手はこの間にNEWタイヤの暖機を終えアタックするのだが、どの辺りでグリップが出てくるのか?
プラクティスでそれらのシミュレーションで掴んでいる・・果たして、3周目41秒台、4周目40″664のベストタイム。
翌5周目40″202とベスト更新、13番手。
プロひしめくQ2予選において、ここしばらく14番手となる高橋選手だったが、ここで13番手は、決勝に向けての期待となる。
明日は長丁場のレースとは言え・・・・スプリントと化したレース・・・しかし酷暑のレース・・じっくりとノーミスで走りきれば結果は伴ってくるだろう。

レッドブル・エアレース、2017年ワールドチャンピオン、室屋義秀選手によるフライトパフォーマンスは圧巻。

ビデオ学習中の高橋選手。午後は暑くなってきた。

Q1に臨む加藤選手。

ここ富士でQ1トップに、加藤選手もメカとハイタッチ。

バックモニターに越しにエールを送るレースクイーン見送られ、Q2の臨む高橋選手。

ノントラブルのマシン・・足回りの最終チェックのOK。

8月6日決勝レース

決勝レース 晴れ / ドライ
今シーズンからSUPER GT最長のレースとなる500mile・・800kmの決勝日、天候は晴れ・・・雨の心配はまずないだろう。
レースは177周、(300クラスはおそらく162~165周)でドライバー交代を伴う4回のピットインが義務付けられているが、300なら3回のピットインでも走り切ることができるので、この1回“余分”のピットインをどこに持って来るか?が戦略となる。
4回ピット・・5スティントなので、スタートを加藤選手、次、高橋選手・・最後は加藤選手でチェッカーの予定。
レースは通常の300kmより約1時間早い13:30スタート。
オープニングラップを終えると直ぐに5台ほどがピットイン。
“余分”な一回ををこなすと同時に、スタート直後のトラフィックによるタイムロスを避ける作戦である。
これら5台は後方グリッドの為、12番グリッドからスタートした加藤選手の順位は変わらず12位。
3周目18号車(86)をパス、6周目11号車(GT-R)を抜き1台ピットインで9位。
その後も早目のピットインを済ませるマシンが続き8周目8位・・・、2秒以内に5位31号車(プリウス)6位21号車(アウディ)7位61号車(BRZ)そして2号車の4台が中団グループを形成し、順位こそ入れ替わらないが、12周目には4台の差は1秒!の接近戦となる。
その後500も入り混じりバラけるが、17周目に61号車が遅れ2号車は7位へ・・・そして20周目には21号車もパスし6位へと上がる。
28周辺りからは5スティントをそれなりに周回してのルーティンピットが始まり、見かけの順位が上がり、35周目には1位となり、この周回ピットインの予定だったが、ここまでのラップタイムは、ほぼ40~41秒台・・42、43秒はたった3周という正確さである。
これはトップグループと変わらぬタイムであり、30周を過ぎても変わらない・・・そこでピットから「41秒台キープできるなら(ピットインを)5周延ばしたい!!」と聞くと加藤選手「OK!OK!」と返信。
その言葉通り、41秒台をキープし40周でピットイン。
満タンチャージ、NEWタイヤで高橋選手を送り出し、アウトラップは12位。
NEWタイヤという事もあり、翌周、翌々周は46、45秒台とタイムが悪いが、45周目43秒台に入れ、順位は12位・・・トップからは77秒遅れの同一周回とはいえ、25秒後ろに迫る。
更に42秒台にペースを上げるが、トップは40~41秒台・・加藤選手へのバトンタッチはあと20周・・同一周回で逃げ切れるか?
50周目で7秒に迫るトップ55号車(BMW)、52周目で2秒弱、53周目ストレートでテールtoノーズ・・・54周目についに周回遅れとなるが、トップはブッチギリ状態で、2位はまだ29秒後方である。
また各チーム、ピットイン回数がまだ残っており、今後の順位の入れ替わりがあり、59周目9位、64周目には8位となり、25周を終えた高橋選手、65周目ピットイン。
タイヤ交換せず加藤選手が戦列に戻って22位、約8秒後方の2位25号車(86)とは同一周回・・直ぐに41~40秒台と2位と変わらぬ、どころか速いタイムにペースを上げる。
ところが78周辺り・・・「後ろスローパンクチャーかも?!」と加藤選手から無線、タイムも42秒台に落ちる。
ピット内も緊張が走りタイヤ交換の準備を始める。
ピットからは「異常ならピット入ってください!!」と伝え、加藤選手に判断を委ねるが、振動も無く、また“進行性”も無い様で“それなり”に走れるのか?徐々に慣れてきて、41秒台にペースが戻るが、40秒台には入らない。
さすがにこのタイムでは、逃げ切れず91周目2位にもラップされてしまう。
ピット「タイヤ大丈夫~?」
加藤「少し苦しい」
ピット「予定より早いけど35周まで引っ張りま~す。」
このスティント、予定では40周だが、5周早めの35周、総周回で100周目ピットイン。
ピットに入る加藤選手、タイヤは見た目、特に異常は無さそうだ。
続く高橋選手用にNEWタイヤに交換、給油・・・順調に作業が進むが・・・。
タイヤ交換が終わり、外した左リヤタイヤをサポートのメカが運んだ時、路面に何か破片が・・!
ジャッキ降下・・エンジン始動、発進!!
と同時に、左タイヤマンが手で「X」を作り、マシン前のスターターがドライバーに静止を伝える。
破片は足回りのアライメント調整用の薄い金属シムだった。
これが原因によるハンドリングの変化をスローパンクチャーと感じ取ったのだ。
素早くメカが動き、修復・・だが約1分を失い戦列復帰・・・20位。
43~44秒で周回する高橋選手・・・先のスティントより1秒ほど遅く、トップスピードもレース序盤の270km/h前後から、265km/h前後に落ちている。
特にドライバーからの訴えはないが、44~45秒台へとジワジワと落ちていく・・タイヤなのか?エンジンか?
105周目には4位にまでラップされる。
111周目、レクサスコーナーでスピン!完全に逆向きになり、あわや後続車と“正面衝突”と思われたが、間一髪で止まる。
この時の方向転換で約70秒をロス・・21位まで落ちるが、その後は持ち直し43~44秒で25周を走り切り124周目ピットイン、最終スティント予定通りタイヤ交換はせず、加藤選手を送り出す。
既にトップから4周遅れ・・・17位からも1周ラップされており、このレースは精々完走止まり。
であれば、タイヤテストも兼ね、次戦に向けて先のスティントから遅くなった原因を探らなくてはならない。
だが加藤選手も41~42秒台・・・加藤選手も「なんかタイムでないな~」と、漠然とした無線が入る。
138周目、ソフトタイヤに交換・・・タイムは変わらず、どころか42~43秒、加藤選手から「ストレートが遅い!」との事。
気温も僅かに下がり始め、通常なら上がるはずであるトップスピードも何とか260km/hを超える程度、スタート直後の270km/h超えに遥かに及ばない。
データロガーでも、致命的、決定的な異常は無いが・・・。
そこにドラブスルーペナルティの通告・・先のピットインで作業違反が有ったようだ。
踏んだり蹴ったりの散々のレースもトップから11周遅れの153周でチェッカーを受けて終了。
なんとも砂を噛むようなレースであった。


今年の暑さはこの高地、富士でも暑かった。

中団位置からのスタート・・序盤はまずまず。

中盤、コース一部で雨が落ち、レインタイヤが準備されたが出番は無かった。

レース終盤、漠然とした遅さ・・・メカクルーがデータを覗き込むが・・・。

レースとならないラップを淡々と重ね、一応完走。