LMマシン本格走行に入る。
ル・マン24時間
2008年02月25日
今年に入って、各雑誌やWebサイトに、Cars Tokai Dream28がル・マン24時間レースにチャレンジするらしいとささやかれている。
勿論思い立ったら、即行動できるほど安直なプロジェクトでは無いので、昨年6月の本戦の視察を始め、マシンの調達方法、予算組、関係諸兄からの情報収集等々ソフト面での動きはかなり長い期間を要している。
しかし、このモータースポーツ、肝心となるハード、マシンが、ドライバーが動き(ドライブ)始めるともう噂の域を出てきたと言える。
そのテスト走行が2月19・20日の両日鈴鹿サーキットで行われた。
19日の日の出。 |
広い駐車場にポツリ1台。 |
午後からの走行に備え、 |
この日の走行は |
走行会参加車と交互のフリー走行。 |
こんな機会と、マシンを見ていただく。 |
その1回目は2月6日富士スピードウェイでの慣熟スポーツ走行であったが、今回は2回目鈴鹿サーキットフルコースでの、本格ロングラン走行である。
2月19・20日の2日間行われたこの走行、19日はカーズ東海の走行会車両との交互走行で約1時間半程で、翌日に備えて、各部チェックと、ある程度セッティングを出す事が目的である。
20日は9時から12時、13時から17時までのロングラン走行を予定しており、それこそ、壊れる所は壊れてもらうのが目的である。
初日前半は加藤選手が |
その次は高橋選手。前回と変わり、 |
最後は寺田選手。 |
今回参戦するマシンはクラージュLC70というシャーシーに、M-TEC(無限)のV8、4リッターMF408エンジンを装着し、タイヤはル・マンでの定番とも言えるミシュランタイヤと言う組み合わせである。
パワーは600馬力以上、最高速は今日の鈴鹿でもGT500より早い、280~290km/hは出るようです。(ル・マンでは350km/hくらい)
SUPER GTマシン(と言っても私の知るのは紫電やVEMAC等だけだけど・・)と比べ、屋根が無い事、面積の小さなウイング、太いタイヤ、そして分厚いカーボンブレーキが印象的で、何か特別なメカが装着されている様子はありませんが、そんな中、ハンドル裏側のパドルスイッチによるシフト機構を備えたトランスミッションは、長時間のドライビングには強い味方となる。
エンジンはM-TEC(無限)の |
ブレーキディスクはカーボン製。 |
シフト操作はハンドル裏の |
ミシュランタイヤ。ル・マンでの |
マシンに関する事では無いが、 |
ヒョッとしてこれが一番重要かも…? |
勿論燃費や、タイヤの磨耗による特性の変化を掴む事、走行終了後のミッション、エンジン等可動部の磨耗、劣化、ロングランによる得られるデーター実に膨大である。
それでもこれで得られるデーターが、そのままル・マン通用する物では無い。
ル・マン24時間レースが開催される、サルト・サーキットは常設のサーキットでは無く、その24時間レースの公式走行時以外は一般道として使用されている公道である。
全長は約13.6kmで、ピット施設等の利用の為、常設サーキットである「ブガッティ・サーキット」の一部分を使用するが、ほとんどは紛れも無い公道である。
当然路面は常設サーキットと異なり、グリップは劣るし、水はけを考慮し、いわゆる“かまぼこ型”の路面である。
この一点をとっても、タイヤの磨耗、サスセッティングが全く異なる事になる。
など等、これまで常設サーキットでのノウハウとはかなり異なり、ル・マンにはル・マンの“流儀”が数多くあるのだ。
そんな我々は、ミスター・ル・マンこと、寺田陽次郎選手と、彼率いるチーム「TERRAMOS(テラモス)」とジョイント。
寺田選手の豊富な経験を武器にル・マン初チャレンジを目指す。
初のドライコンディション。 |
20日朝には正式エントリーが |
昨日も今日も快晴。 |
寺田選手の通産29回は、 |
ル・マン参戦は、永年の夢だった |
チームの若きエース。 |
3人合計155歳と言うのは、 |
そんな中、寺田選手が「オイル臭い!」 |
修復して再び走り出すが、 |
この2日間でのベストタイムは(と言っても、アベレージに近い)1分48秒台。
最近、この手のル・マンプロトが公式に走ったのは、02年のポッカ1000kmの「AUDI R-8」(正にル・マンカー)で、予選1分52秒台。
この時のGT500マシンが58秒台。そこから5年でGT500のコースレコード49秒台になったが、今回それより僅かに早い程度。
季節、セッティングの煮詰め等、各種諸条件を考えた場合、これがどの辺りに位置するタイムは判らないが、致命的なトラブルも発生せず、ドライバー、エンジニア、メカニック共まずまずの結果に、一様に満足と言った所か…。
テスト2日目になる20日未明、主催者であるフランス西部自動車クラブ(ACO)から2008年のテストデイのエントリーリストが発表され、これで正式に参戦が決定した。
決勝レースは6月14~15日、テストデイが2週間前。5月中旬までにマシン等機材を現地に送り込むには、4月初旬には船積みが必要。
データーの解析、マシンのオーバーホール、チェック、カラーリング、等々、テストと呼べる走行はこの2日間が最後だが、組み立て後、最終的な確認走行を予定しており、これらを考えると国内での準備期間はあと僅か!
カーズ東海サービススタッフの参加
今回このル・マン参戦にあたりカーズ東海のメカニックが4名、スタッフ参加いたします。
レーシングマシンのメンテナンスと、市販車のメンテナンスでは大きく異なるますが、整備の基本では相通じる点も多々ありと思います。
こうした経験がお客様へのお役立ち、また話題の提供になれば幸いと、レースメカニックに混ざり、6月の本戦まで参加いたします。
竹内 敏記 加木屋店所属 スタッフ参加にあたり 加木屋店の竹内です。今回『カーズ東海ドリーム28』GT300参戦チームが、フランスで行われる、ルマン24Hレースに参戦する事が決まり、会社からの代表として4名がサポートに行く事になり、その1名に選ばれました。 自分はモータースポーツ大好き人間ですが、国内レースのメカならスーパー耐久やインテグラレース等で多少の経験はありますが、海外でのメカは勿論、海外でレース観戦すらした事も無く、今回はスタッフとして初の海外レースで緊張以上に楽しみでなりません。 この経験が普段の仕事でどう活かされるか分かりませんが、全力で頑張っていこうと思います。 |
尾関 英樹 鵜沼西店所属 スタッフ参加にあたり 初めて見るルマンのマシンは音・速さともに想像を超えていました。 爆音と300km/hに迫るスピード。サーキットに響きわたった音と1周1分49秒という速さ。ディーラーのサービスマンが味わうことの出来ない、この感動を与えてくださったことに感謝しつつ、24H完走という目標達成に微力ながら協力したいと思います。 |
高橋 総史 半田乙川店所属 スタッフ参加にあたり 今回、スタッフとして参加させて頂きましたが、印象としては基本に忠実であるということです。 エンジンをかけるまでのエンジンの温めや、エンジンをかけた後のオイル漏れなどの入念なチェックなどです。 一度、何周か走った後でも再度チェックをするなど、車に対して完璧である姿勢はとても大事な事だと感じました。 「トラブルかもしれない」という場合にも早い対応で車を守り、人を守ることにレースだけでなく、ディーラーでも同じ事だという事を教えられたと思います。 実際にル・マンに行っていろいろなトラブルがあるかもしれませんが、それを乗り越えてよい結果を出せたらよいと思っています。 |
池田 雄大 長良北店所属 |