モータースポーツ

カーズ東海S耐久チーム第3戦 一応完走。

スーパー耐久
2021年06月25日

スーパー耐久第3戦は、日本で唯一の24時間レースとして5月22・23日富士スピードウェイで開催された。
参戦初年度の新参チームにとっては、いささかハードルが高い気がするが、この24時間レースへの参戦、完走を当面の目標として準備を進めてきたつもりである。
テスト参加し、走行周回の最も多い富士だが、超長丁場で、夜間走行があるのでそれなりの装備、準備も大掛かりとなる。
19日(水)朝現地着、設営を進め、午後からのスポーツ走行・・・だが雨に加え霧がすごく、走行が中断されつつも周回を重ね初日終了。

どこにコースがあるか分からないほどの濃霧。

濃霧の間隙をついて走行。

20日(木)今日からが公式スケジュールとなるが、このレースウィークは終始雨予報。
午前のプラクティスはドライタイヤでの走行ができた・・・が、セッション終盤には降り出し、その後は小雨にはなるもののウェットタイヤ一択の午後プラクティス、そして夜間プラクティスで終始した。
マシンは概ねノントラブル。
午後や夜間走行で、完全ウェット走行ながらクラス中盤のタイムを出すなど、決勝に向け明るい材料もあり、スタッフの士気も上がる。


何とか走れる雨・・・霧がないだけまし。

 馬子にも衣装(笑)レーシングスーツ完成。


夜間走行も終始雨。


しかも半端な雨量じゃない。

21日(金)は午後の予選のみ、24時間のレースにグリッド位置は大きな意味を持たないがモチベーションアップには重要なセッション・・・ だが、定刻12:00予選開始・・・と思いきや雨量多くディレイ。
各チーム代表のミーティングが行われ、対応を協議。
とりあえず様子を見・・・未明からの雨で各所に川もでき、セーフティーカーが幾度もコースコンディションの確認に出て、ディレイに次ぐディレイ・・一旦は14:45に予選開始予定と案内され、準備を始めたが、結局雨脚に大きな変化はなく15:10中止決定。
それほど多くはないとはいえ、熱心にサーキットに訪れたファンの方々はマシンの走行を見ることなく帰られる事になってしまいました。
明日の決勝レース、序盤は雨はなさそうですが、24時間全体ではどうなることかわかりませんが見応えのあるレースになればと思います。


朝から・・・結局終日雨。


幾度かのセッションディレイが続き、予選アタックドライバー竹内選手(津島神尾店店長)は、何度か仕切り直しでマシンに乗り込むが・・・。


結局予選は中止・・・。

22日(土)決勝レース日朝8時、早朝の雨は上がったものの濃い曇天・コースコンディションもウェット。
決勝の15時頃にはどうなるかな・・?
まずは9時半からのウォームアップ走行となるが、完全ドライとは言い難いコースコンディションで竹内選手がなんとクラストップ・・・だけど、各チーム捉え方が違うので本当に参考タイムに過ぎないが、チームの士気は上がる。


1ピット2台・・・3台エントリーのFITの2台がお隣同士。


レインタイヤもしっかり準備したが・・・出番はなさそう。


グリッド上で集合写真。


スタートは山脇選手(2020年ST-Xクラスチャンピオン)が務める。

15:00スタート時、コースは完全ドライ。
予選キャンセルとなった為、グリッドは2戦までのチーム成績順なのでST-5クラス12台中11番手。
山脇選手によりレースはスタート、順調に周回を重ねていたが、約80分後ブレーキトラブルによりコースアウト・・そのままピットイン。
ハブボルトの欠損!!
スペアパーツに交換するも約40分、トップからも19周離され、2番手竹内選手に交代しレース復帰。
その後は順調に周回を重ねるものの先のピット作業時の違反(ピット内給油)によりペナルティと、初参加には色々と試練が降り注ぐ。


序盤で早くもトラブル。

ルーティンとしては、燃料タンクがほぼカラになるまで走って、ドライバー交代。
時間にすると約90分、大体41~43周・・・常に燃料消費状況を把握し補正をしていくと行った感じである。
3番手田中選手に代わる18:00過ぎには10時間以上に及ぶ夜間走行に突入である。
そこでは、光るゼッケン(装着義務)が光らなくなるというトラブルが発生、オフィシャルから修理勧告を受け次のピットでは修理をしなくては走行できない。
万一のパーツ故障に備え、事務局にパーツ購入に出向くと、他のチームも同様のトラブルで行列ができている。
来年は事前にスペアを持っていたほうが良さそうだ。
スタートから5時間、4番手西面選手への交代時にゼッケンの修理交換、20:20コースに送り出す。


夜間に入ると順調にラップを重ね、ピット作業も順調にこなされていく。


この24時間の助っ人ドライバー西畑選手。和歌山でスズキの販売店を経営している社長である。

22:00過ぎ5人目西畑選手を送り出し、5人全ての選手がドライブ。
序盤のトラブル以降、概ね順調、順位は11位・・・まだ半分も消化していない。

しかしその後も幾度かのFCY(フルコースイエロー)が出る事はあるが、ドライバーも2巡目にはいる。トラブルもあり10位のまま、順調にレースは進む。
東の空が少し明るくなった04:00頃、周回は310周を超え10位と変わらず・・・9位とは14周、トップからは32周差である。
序盤にロスした約20周・・・“タラレバ”レースならよく健闘していると思われる。


ブレーキの過酷さが分かるショット。夜間走行ならでは・・・。


日の出直後。富士山頂辺りに日が当たる。


左側、交換用ホイールはマシンが止まってからしか配置できない。

サインエリアからマシンを見守る尾関チーフメカ(手前:鵜沼西店工場長)とサインを出す青木サブチーフ(奥:蟹江店工場長)共に24時間不眠。


コースサイドにはタイヤデブリが散乱。これらをタイヤに付着させるとグリップが低下、振動発生等々・・・避けなければならない。

レースも残り6時間となった09:00頃、前を走るマシンが、コース上で止まっている映像が映し出される。
ホイール系のトラブルの為、修復に時間を費やし9:40頃、周回で追いつき9位へと上がる。
ところが、その直後我々にもほぼ同様のトラブルが発生、やはりコース上でストップしてしまった。
ユニックに載せられリペアエリアへと運ばれる。
通常、走行不能になったマシンはリタイアとなるが、この24時間レースはオフィシャルにより、一旦このリペアエリアに運ばれ、エリア内で走行可能になれば、ピットまで戻るか、そのままレース復帰する事ができるのである。
ハブの破損だが、既に前日に使用してしまったのでスペアが無い!
他のチームさんからパーツをお借りして10:40、田中選手に交代し10位でコース復帰・・9位からは13周、トップからは50周離されている。


リペアエリアに運び込まれた222号車。


自走可能になれば、レース復帰、または応急処置でピットまで戻る事ができる。

ところが12:00少し前、なんと再び同じトラブルでストップ!!
先と同様、リペアエリアに運びこまれた222号車。
当然スペアパーツは無い・・・が、先にお借りしたチームに相談すると、もうひとつ持ってるという事で再びお借りする事ができた。
さすがは24時間の場数を踏んでいるチーム・・・・新参チームとは備えが違う。
しかしここで吉田エンジニアから・・・
「部品もあるので、レースに復帰する事は可能だが、破損の根本原因がわからない以上、残り3時間を走るにはリスクが高い。ここはレースを捨て終了間際にコースインしチェッカーだけは受けたい。」
無論、レースラップではなく普通の高速走行なら3時間程度は充分走行は可能だろうが、レースをしている各マシンの中でのそれは危険であり許される行為ではない。
これにドライバーもメカスタッフも全員承諾。
初めての24時間レースは、実質21時間で終了・・・“登頂目前での下山”はレース経験の長い吉田エンジニアならでは決断である。
14:45・・・レースも残り15分、最終ドライバー竹内選手が乗り込みピットアウト。
トラブル修復後の他の部位の異常はないかの確認もあり、ラップタイムは2分10~12秒と普通のレースラップで周回。
15:00・・24時間レース終了・・・その2分後222号車も491周、クラス12台中の11位でチェッカーを受ける。

ウィニングラン、クールダウン1周の後、ストレートエンドでUターンし、チームクルーが迎えるピットロードを逆走しパークフェルメ(車両保管場)に向かう。
タイヤ汚れもひどく、バンパーが取れかかったり、ガムテームで補修されたりと、長時間走り抜いた勲章をたずさえ、チーム関係なく、皆に拍手で迎えられる各マシン。
その中には222号車も入っているのだが、満足行く感動に至らない・・・皆その理由も分かっている。
トラブル、アクシデントが有ったからではない・・・それらを克服できなかったからだろう。
昼夜合わせ12回以上のピット作業、2回のリペアエリアでの作業、不眠のピットサイン、・・・ドライバー、メカ共経験値を大きく上げた24時間レース・・・次回は必ず登頂してみせる。

チェッカーを受け、ピットロードを抜ける各マシン。チーム、勝敗関係なく惜しみない拍手で迎えられる。


ピット前、チームクルーに迎えられる222号車。


24時間・・・実質30時間以上不眠だった吉田エンジニア、しばしの睡眠。