モータースポーツ

開幕近し!SUPER GT 鈴鹿合同テスト

ニュース
2008年03月05日

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 モータースポーツのシーズン幕開けを告げる、鈴鹿モータースポーツファン感謝デーと共に、2月29・3月1日の両日SUPER GT合同テストが開催された。
 GTに新旋風として登場した「紫電」も今年で3年目。
 昨年初のチームチャンピオンは獲得したものの、一昨年、昨年と2年連続ドライバーズポイントは同点という、快挙?を成し遂げ、チャンピオンを取り逃し、万年2位が定着してしまいそうな今シーズン。
 「Cars Tokai Dream28」は、マシン「プリヴェKENZOアセット・紫電」、ドライバー「高橋一穂・加藤寛規」、メンテナンス「ムーンクラフト」と、不動の3年パーケージでチャンピオン奪取に再チャレンジする。
 果たして2008年。「3度目の正直」となるか?はたまた「石の上にも3年」となるか?

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今シーズン(見た目)最大の変更点。
ルーフ部分がピカピカの
ブルーメッキになった。

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稲妻ラインもゴールドメッキと
なった。3年目の気合!

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このピカピカで空気抵抗を
減らそうという。…訳ではない。
チーム内呼称「YURA仕様」
何故か?は言えない。
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戸田レーシング3年目の1UZ、
V8・4.5リッターエンジン。

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リストリクターが絞られ、
ますます回せないエンジンになる。
主流は大排気量をゆっくり
回す方が良いみたい。
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高橋選手学習用、
車載ビデオは新型SANYO
Xacti HD1000

 
 今年はレギュレーションにより、GT300クラスは全体に性能が落とされている。リストリクター(エンジンの空気吸入口の口径)が絞られ、エンジンパワーダウンが余儀なくされた。
 これはGT500との性能差をより大きくする事により、レース中のオーバーテイクを楽にし、不要な接触事故を減らそうというものである。
 また今シーズンからベース車両の区分けが“より”明確になり、その区分けにより性能調整(ウェイト)が行なわれるが、JAF-GT車両を基準に、+-0kg(昨年の上位マシンでは「Z」「MRS」等)とすると、特認車両の紫電は+60kg(昨年は+50kg)となった。
 ようするに昨年の同時期に比べ紫電は+10kg、GT300クラスは全体的にリストリクターの口径というか、面積が約10%絞られたのである。
 ここらの事は、チョッと勉強していただかないと難しいかも…。

 それに対し、紫電の対策は…「特に無し」。
 昨年最終戦の+70kgで、ほぼやり尽くしたと言ったところである。
 かといって、今シーズンに入り性能を引き上げられているマシンもある事から、相対的には戦闘力ダウンである。
 そこで今シーズンは、ラップタイムでは無いが“レースには影響する”とっておきの策があるが、まだこのテストには間に合っていない。(何か?はまだ秘密)
 紫電としては、コースコンディションにあったタイヤをチョイスし、その性能をフルに引き出すセッティングを見つけ出し武器であるコーナリングスピードを活かす事事。
 リストリクターが絞られた中、戸田レーシングには最上のエンジンを作り仕上げてもらう事。
 それでもパワーダウンは必至で、トップスピードが落ちたり、エンジン特性が変われば、各コースでのギアレシオ等も変更される可能性はあり、レース毎のテストは、地道だがよりシビアで重要な事になる。
 そんな中、最大かつ、確実?で、安価な性能UP策は高橋選手の性能向上である。
 ここ数年で、特にアウトラップでのタイムアップは格段の進歩で、この1周で3~4秒差(他のドライバーより遅い)がついていた事もあり、これではトップグループを走る事はできない。
 しかし、テスト時に冷えたタイヤでのコースインを増やす、アウトラップ特訓の成果で、今ではやすやすとアウトラップに抜かれる事は無くなった。
 次の課題は、少なくとも(自己)ベストタイムを早く出し、アベレージタイムを引き上げる事である。
 NEWタイヤでコースインし、レース(またはテスト走行)終了頃にベストタイムが出るようでは、まだまだである。
 加藤選手の予選イッパツタイムと、スタート(ドライバーの場合)での頑張りも、既に限界っぽく、マシン性能も目一杯!v
 こうなると今年の(も・・)カギを握るのはやっぱり高橋選手かな?

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レーシングスーツも変更。
紫電のルーフに合わせ、
やわらかいブルーになった。

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まだスポンサーさんワッペンは
付いていませんが、開幕まで
寸法修正とと併せて追加します。
シーズン直前は忙しい。

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チームブルゾンも変更。
ファスナーのつまみにも
「Shiden」と「紫電」ロゴを配した凝りよう。
背中はこんな感じ。
JUNMENプロデュース

 テスト初日は晴れ。午前のテストメニューは特に無し。
 シーズンオフ中のオーバーホールされたシャーシー、小径リストリクターに合わせて作られたエンジン、10日程前にメチャ速のル・マンカーに乗ったドライバー、それらの組合せでチャンと走るか?どうかの確認である。
 NEWタイヤは使わず、ユルユルと周回。
 この日のテストは300クラス19台が参加。軽くアタックし、8秒台でクラストップだが、この段階ではあまり意味は無い。
 加藤選手、高橋選手と体を慣らし、エンジン、シャーシーのフィーリングを確認。
 ギアレシオがよろしくないようだ。エンジン特性(ピーク回転)に合せ、机上計算の上、組んできたのだが、実走で異なるのは想定内。午後の走行に備え、レシオ大幅変更。
 午後はNEWタイヤを各種使用し、本格的なテストに入る。気温14℃、路温も25℃近く上がりこの時期としては暖かい。
 1日を通し、含め大きなトラブルも無く、順調に周回をこなし、この日のベストは2′06″798で今日のクラストップ。とりあえずSUPER GT公式HPのレビューを飾る事はできた。
 しかし高橋選手はやっと10秒を切る程度・・。加藤選手に対しマイナス2秒以内を“とりあえず”の目標としていただけに、せめてあと1秒。8秒台には入れたい。

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初日は比較的のんびりムード
でテストメニューは消化された。
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このアップル仕様は
このテスト日限定。
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こうして見ると「YURA仕様」
が良く判ります。
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今シーズンを左右すると思う
高橋選手。“クラージュ”効果を
期待したが・・

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ル・マンマシン、クラージュにより
未体験速度域を経験し、
300クラスは余裕と感じるだろう
という、安直な効果。
チーム内呼称“クラージュ”効果。
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そんな甘い世界ではなかった。

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エンジン特性の変化に伴い
ギアレシオ変更。

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エアジャッキの一部が
“引っ込まない”と言うトラブルが
出たが、とりあえず
走行に影響は無かった。
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オーバーホールで、
こうした室内のこまごました部分も
きれいになって新車?同様。


 2日目のテストは、未明からの雨により完全ウェットコンディション。今日のコンディションに合うレインタイヤの持ち合わせが無い為、走行見合わせ。
 走行前に雨は上がっているので、“誰か”が走ってくれれば、路面も乾くだろうとピットで待機。
 残り30分頃に、細いドライラインができたので、スリックタイヤでコースイン。午後に備えた、慣らし程度に終わり、タイム的には見るべきものも無い。
 午後は完全ドライ。天気は良いが、気温は10℃超えず、路温12℃と低い。ストレートでは強い追い風となり体感温度は低い。
 開始直後、セーフティカー介入時のシュミレーションが行なわれた。
 赤旗と同様で、一昨年から導入されたシステムで、毎年どこかのテスト日に、シミュレーションが実施される。
 これが実際にレースで実施されたのは、昨年第2戦富士だけ。
 このあとはサス、ウイング調整、NEWタイヤでのテスト、レース終盤を想定したユーズドタイヤのテストと、各種実戦シュミレーション。
 結果、2′06″839は、昨日と殆ど変わらぬタイムだが、昨年の同テストの05″45から比べれば明らかにパワーダウンの影響は出ている。
 高橋選手も8秒台には入れる事はできたが、パワーダウンしたマシンに戸惑いは隠せない。
 しかし4ヶ月振りの紫電。スロースターターの高橋選手も、開幕戦にはもっとタイムアップが期待できるだろう。根拠はあまり無いですが…。
 他のマシンも同様で、2日通しでトップは87号車ランボルギーニの05″441、以下46号車Z、7号車RX-7、81号車Zが5秒台。
 このあたりも昨年のトップタイムが4秒台だった事からすると、パワーダウンの影響?は出ているようだ。
 …と思われるが、この世界ではテスト時に手の内を見せない、いわゆる“三味線をひく”はよくある事。
 はたして開幕ではどのようなレースが見られるか?
 あっ、紫電は勿論今回のタイム、目一杯です。苦戦は必至です!!

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2日目は未明から雨。
このコンディションに見合った
レインタイヤが無いので、
しばらく待機。

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雨は上がったが、
スリックで走るにはまだ無理。
今日からモータースポーツ
ファン感謝デーの為、
朝早くから多くの
お客さんが来ている。
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F1に乗っての、
グランツ挑戦、GTマシン、
MotoGPマシン等、
レーシングマシン乗車体験等、
盛りだくさんの
イベントが行なわれていた。
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その鈴鹿サーキット、
09年のF1再開催に
向けパドック大改修中。
その改修計画完成モデルが
発表された。
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幾度かの赤旗中断はあったが、
テストはそれなりに順調に進んだ。

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2日間を通し6番手タイム。
現時点での仕上がりが
悪くないだけに、
こりゃ今シーズンは
苦戦間違いなし!