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2009年そろそろ開幕

ニュース
2009年03月19日

岡山テスト。紫電2009年verお見せします。

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SUPER GT 公式テスト

開催日:2009年3月7・8日
サーキット:岡山県 岡山国際サーキット
マシン名:プリヴェ・アップル・紫電
ドライバー名:高橋 一穂・加藤 寛規

 昨年の最終戦レポートの仕上げをモタモタしているうちに、早くも2009年も開幕間近に・・・。
 しかも参戦及び、体制発表やらもないうちから先に第2戦鈴鹿のチケット販売案内。
 そこには既に、マシンもドライバーペアも変わらない体制が掲載されている。
 チョッと順番がメチャクチャだが、プライベーターチームとして大目に見ていただきたい。

 2005年からSUPER GTと改称され、このシリーズも大きく変わる事無く続くかと思われていたが、今年は結構色々変わってる。
 06年から開幕戦は鈴鹿になったが、今年は岡山国際サーキットが開幕となった。
 これは、3年振りにF1が開催される鈴鹿サーキットの大規模改修が昨秋から行われ、その完成がSGT開幕の3月に間に合わないからである。
 またシーズン終盤に当たる7戦モテギ、最終9戦富士が今年は入れ替わり、最終戦はモテギで行われる事となった。
 そしてレースのタイムスケジュールもこれまで金曜の練習走行から土曜の予選、日曜の決勝と3日間で行われていたものを、土曜日練習走行と予選、そして日曜日決勝レースと2デイレースとなった。
 この1日削減により、タイヤ代、ガソリン代、そしてスタッフの宿泊代等、チームに掛かるコストを少しでも削減しようという狙いである。

 マシンレギュレーションも変更がある。
 外観的に一目で判るのは、GTマシンの特長とも言える、フロントサイドに張り出していたカナードが禁止された事。
 見えない(見えにくい)部分では、フラットボトムが前後に延長された事。
 目的はダウンフォースを減らし、早くなり過ぎたコーナーリングスピードを押さえる事にある。

 また、レースレギュレーションも一部変更。
 といってもレース、予選方法等は殆ど変更は無く、練習、予選を通じ使用できるタイヤセット数が5セットに限定され、しかも最終予選(スーパーラップ方式か?ノックダウン方式か?はサーキットによる)で使用したタイヤはそのまま決勝スタートで使用しなくてはならない。
 これに伴い、これまでとは異なる作戦が必要になってくるが、それらをここに書くには大変なので、追々レースレポートでご紹介していきたいと思います。
 お好きな方は、SUPER GT公式HPのレギュレーション等をご覧になると良いかと思います。

 我がCars Tokai Dream28もGT参戦9年目、2009年も参戦確定。
 紫電投入で4年目。ドライバーも高橋、加藤ペアと全く変わらぬ4年目。
 この不動の体制で3月21・22日の開幕戦に先立つ、3月7・8日合同テストに参加。
 紫電はデビューの06年から、毎年合同テスト前にそのシーズンヴァージョンを走らせているが、(昨年は富士のヨコハマタイヤテストが雪の為中止)今年は、鈴鹿が改修中の為、また経費削減によりこの岡山合同テストが“走り初め”である。
 この4年目の紫電、“体制は不動”だが、マシンもデビュー以来大きく変更された事はなかった。
 07年、足回りを大幅変更されているが、外観的な変更は殆ど判らなかった。
 だが今回は、誰が見ても判る外観の変更が多い。
 4年目のエンジンも、戸田レーシングが更に熟成させた。
 初年度のエンジンは散々だったが、年々別物に仕上がっていく。

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テストデイは土日。多くのお客さんが開幕直前の岡山国際サーキットを訪れた。
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昨年と同様の参戦体制で4年目を迎える紫電。このアングルではこれまでと大きな変化は判らないが・・・。
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見慣れたメンテナンス中の紫電。

 全マシン、カナードが廃止された事と、ボディ下面が改造されたが300クラスで、カラーリング以外の外見的な変更はあまり見られなかった中、この紫電はかなり変更が加えられたマシンの様だ。
 そんな中、エンジニアより許可を得た、といってもピットウォークも行われ、誰もが目にしていたいくつかをご紹介したいと思います。

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正面。なんと言っても、ホイールハウス内側のルーバーが目を引く。なんかカッコいい。
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500のNSXにも見られ、ボンネット内の空気を排出。
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フロントアンダーパネルが長くなった。
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紫電4年目の大幅変更。ウィングはごっそりと変わった。未塗装のカーボン地がいかにもテストっぽい。
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取付がセンター部分だけとなり、両端部分の剛性が弱くなった為、メカが肘を付いたり、弁当時のテーブル代わりにする事は厳禁となった。
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アンダーパネルの延長に伴い、ディフィーザーパネル(後端に跳ね上ったパネル)も、バーチカルフィン(垂直の4枚のパネル)やエキゾースト形状も変更。

 勿論これらの変更は空力関連だが、それらに伴い軽量化も計られた。
 最低重量は決められているので、この減量分は他の部分で補うのだが、この後端部、重心位置から最も遠い部分での軽量化の効果は、マシンの運動性能に大きく影響する。
 “普通に”外から見て判る部分はこんな所だが、過去3年間、これほど外観が変わった事は無かった。

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エンジンはヘッドカバーが黒からシルバーに変わった。勿論これは見た目だけ。実際数多くの改良が加えられパフォーマンスは向上。
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足回りではリヤにサードダンパー(矢印)が追加された。これはフォーミュラーには一般的なアイテム。ストレートなど、左右両輪が同じ動きをする時(レース用語ではピッチングと言う)のダンパーの動きをコントロールする。空力特性を安定させるらしい。
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これはフロントフロアパネル面。ここは極秘中の極秘。殆どモザイクです。チリ積もの“チリ”かも・・・。
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「TIRE WATCH」は高機能タイヤエア圧、温度モニター。
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これはホイール側のセンサー。リアルタイムのモニターと、データーログが収集できる。
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サイドビュー。ウィングの“低さ”が判る。

 ここまでが外観的な変更点や追加されたNEWアイテム。でもこれらがチャンと良い仕事をしてくれるかどうかは、本日のテスト次第。
 さもなければ、ただ単にお金を使っただけの事。 

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“リストリクター”とはこういう物。この親指程の穴2つからの空気だけで、この4400ccのレーシングエンジンを回す。高回転は無理なので6000rpmあたりまで効率が良いようにチューニングする。
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この直径はワンランク(面積換算だけど、大体・・)0.4mm!!50kgのウェイトと相殺され、これら増減させコースにあったパフォーマンスを引き出す。これは1ランク、別のリストリクターに交換しているところ。
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小径となった分、ウェイトを調整する。重いハイパワーと、軽いローパワー、サーキットに合わせてチョイスする。ウェイトハンディ制のあるGTではよく行われるセットアップ方法。
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新型ウィングのセットに・・・。
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サスペンションはスプリング交換を含めセットアップ。
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タイヤも数種類のテストが行われる。

 セッティング作業そのものは、いつもと変わる事はないが、今シーズンは土日の2デイレース。
 日曜の決勝レース日はそれ程変更はないが、土曜日は午前2時間の練習走行。
 その後2時間少々のインターバルで40分(500との混走30分、クラス占有10分)予選1回目。
 ここで2名のドライバーは基準タイムをクリアしなくてはならない。
 そしてインターバルが1時間もなく最終予選開幕戦はスーパーラップ(SL)方式。
 これは基本的に今までと変わらず、1回目予選の上位8台(昨年までは10台)により、1台ずつのタイムアタックで最終グリッド順位を決めるのである。
 このSLに使ったタイヤはそのまま明日の決勝スタートタイヤとして使用しなくてはならない。
 練習時間が短くなった為、短時間にセットアップしなくてはならないし、タイヤマネージメントもより重要である。
 インターバルが短い為、ギアレシオ等時間の掛かる作業はでき難くなる。
 当然クラッシュ等のアクシデントがあれば、予選出走もできなくなる可能性もあり、場合に寄っては最後尾グリッドとなってしまう。
 これに雨等天候の要素も加わった場合、狙いはコスト削減の2デイレースだが、裏方としては今まで以上にシビアでハードワークなレースウィークとなる事は必至。
 これまで以上にマシンそのもののパフォーマンスは勿論、ドライバー、エンジニアのセッティング能力、短時間で作業を行うメカニックのパフォーマンスも重要となる。
 成績に関係無く、明るく楽しい?と異様な評判も耳にする、我がチーム。
 体制も、スタッフの顔ぶれも大きな変わりは無く4年目。
 このチームワークも大きな武器となるシーズンとなりそうである。

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このテスト期間中3回の赤旗が出たが全て高橋選手がマシンに乗り込んでいる時ばかり。無論赤旗とは全く無関係だが、ジンクス健在。
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2日目午前セッションで“やっと”出た32秒台が結局ベスト。2日間でのクラス4番手。
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高橋選手の、好調なタイムアップにご満悦の加藤選手。このレースウィーク以外、サーキットを走る事がない高橋選手にとっては、レース勘を戻す、練習時間短縮は痛手だったが・・・
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このマシンの姿勢は、エンジニアのほぼ理想(予想)通りの形だったとか・・・。
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まだセットアップの余地は残されており、もう少しタイムアップは望めるだろうが、レースは相対的な物。果たして他のマシンがどの様な状態で走っているのか・・?色々が憶測が飛びかうが、それらの最初の答えは、開幕戦岡山で・・・。

 今回のテスト走行は・・・一言で言えば“ま~ま~”予定通りといった感じ。
 予想通りのダウンフォース不足はあるが、ウイングを始めNEWアイテムはそれなりの目的通りの仕事をしてくれている。
 ベストタイムは1′32″797
 昨年の予選ベストタイム、32″194から比べてもタイムの落ち幅は少なく、このテストデイでクラス4番手。
 他のマシンがどこまで本気を出しているか?この日のタイムを鵜呑みすれば、昨年同様の活躍はできそうである。

 GT合同テストも昨年までは3回開催されていたが、今シーズンはこの岡山での1回だけである。
 今シーズン全9戦戦うには、あまりに短い“助走距離”と言える。