2016 SUPER GT第4戦:スポーツランドSUGO
GTレースレポート
2016年11月29日
7月22日 設営日
設営
第3戦オートポリス戦の開催中止に伴い、2ヶ月半振りの公式戦。
6月のテストから一転・・・涼しい仙台。
酷暑の名古屋から来た身にはありがたいが決勝日は雨の予報も・・・・。
好調だったテストの流れを引き込む事ができるか?
この涼しさが吉と出るか?
7月23日 プラクティス・予選
プラクティス 曇り
プラクティス開始・・・いつも通り加藤選手によりアウトインでチェックを済ませ、計測ラップに入る。
順調だった6月テストでのデータもあり、基本セッティングも良いはず・・・路温も低い為、ゆっくりとタイヤのウォームアップ。
ところがペースアップに入ろうととした2周目、「あれギヤ変わんね~。」シフトチェンジができないと無線が入りピットイン。
症状とデータロガーから、変速システムを動かすエアコンプレッサの作動不良と推測。
幸いスペアパーツも用意できた事から部品交換を行うが、取付場所も“深く”1時間以上を費やす事となり、残り時間約8分ほどでコースイン。
システムの確認を兼ねた高橋選手の走行は、3周目に1′21″174と自己ベストをマーク・・・マシンは復調した。
もう少し走り込めば20秒台は勿論、19秒台への自信も覗かせていた高橋選手にとっては残念な時間切れとなってしまった。
Q1予選 曇り
プラクティスで19秒台が出ていれば高橋選手の起用も考えたQ1予選。手堅く加藤選手が15分間のQ1を担当。
3分の2程、16~17台ほどがコースインした後、残り約10分・・・ゆっくりコースイン。
今日のコンディションに合わせたセッティングは全くできていない中、照準を合わせた計測3周目、18″496!!は2番手タイム「(タイムアタックは)終わり!終わり!」とピットに戻る加藤選手・・Q2へとコマを進める。
Q2予選 曇り
雲が厚くなり雨が心配されるがドライコンディションで臨む上位14台によるQ2予選。
コースの一部で雨という情報が入った事と、習熟走行という事もあり、セッション12分間を目一杯使うべく、開始と同時にコースイン。
3周目に21″623、翌周21″075、更に20″287と自己ベストを大幅更新。
残るアタックチャンスも2周、残り時間3分を切った6周目19″899!!と公約通り19秒台をマークし11番手。
スタートタイヤになるかもしれないタイヤで、これ以上の走行はやめようと、ピットに戻る。
まだタイムアップに自信を覗かせる高橋選手、プラクティス時に走行できなかった事が悔やまれるが、トラブルが予選ではなく、あの時点で発生した事はラッキーだったともいえる・・・。
この高橋選手の自己ベスト更新・・・決勝ラップに大きく反映されれば上位入賞も充分射程内。
雨予報はかなり薄まった久々の決勝レース、いい結果を残したい・・・・。
7月24日 フリー走行・決勝レース
フリー走行 曇りのち雨
曇り空の早朝、ホテルを出る時にサーッとにわか雨。
だがサーキットへ近づいた道中・・・一般道はドライというか濡れた形跡すらない。
でもサーキットに到着すると、「あ~夜中に降ったんだな。」と思わせる水たまり、ウェットパッチがある。
朝9時から30分間のフリー走行はいつも通り決勝レース想定のタン走行、ピットワークシュミレーションとなる。
まず決勝レース交換用となるドライNEWタイヤの皮むき・・・・セッション始まる頃は霧雨だが、コースコンディションはドライ判断・・・スタートドライバー予定の高橋選手が先発。
だが開始直後にクラッシュ車両により赤旗中断、直ぐにピットイン。
霧雨に“変化は無い”ようなので、皮むきタイヤから、ドライユーズドタイヤに交換しセッション再開後直ぐにコースイン。
ところが結構本降りとなり、とてもドライで走れる状態ではなくなったのでドライ装着車は直ぐにウェットタイヤに交換。ピット前は大混雑。(レース中ならかなり危険かも・・・)
セッションの殆どを高橋選手の走行に当て、加藤選手は残り数分バランス確認程度とした。
加藤選手の32″936は24番手のタイム・・・タイム的にどうこう言うセッションでは無いが、決勝レース時の雨に備えたある程度の方向性は掴む事はできた。
決勝レース 曇り
決勝レースまでのサポートレースはF4のみ。
雨は上がったものの、ウェット路面がどう変化していくのか?コース上のライブ映像は、午後の決勝レースを睨んだコースコンディションを観察する絶好のチャンスである。
降雨は無いが、日差しも風もなく、なかなかドライコンディションとはならないが、F4レース終了の頃にはレコードラインはドライといった。
午後の決勝はドライとみて良いだろう。
青空も見えつつ、降り出しそうな曇もある。
そんなスタート前のグリッド上、殆どのチームがウェットタイヤも持ち込んでいるが、スタート直前に霧雨を感じる程度で、ウェットタイヤ交換に交換するマシンは無い。
レーススタート!!
グリッド中団、イン側、1コーナーは逃げ道の無いポジションの為、慎重に1コーナーを抜ける・・・がその慎重さはアウト側につけ入る隙を与えてしまった。
左後ろグリッドにいた360号車(GT-R)に1コーナーを回った所で並走・・・続く2コーナーへの進入でイン側にややかぶせられる形で半車身ほど先行される。
その時、360号車の右後ろと、高橋選手の2号車EVORAの左前輪が軽く接触!!
共に少しバランスを崩しふらつくが車重の差か?どうかは分からないが2号車がイン側に大きく姿勢を崩し、90度右旋回、1、2コーナーの中間でコースに対し直角にイン側向いてストップしてしまった。
直ぐにバックギアに入れ(・・レース用ミッションはバックギアに入れるには少し手順があり、瞬時には入らない)後退する。
あと30秒もすれば500クラスが戻ってくるが、後退して復帰するには充分な時間・・・のはずだったが、4輪ともグリーンに出てしまった為、後輪が空転。
特にここのグリーンはイン側に向け少し下りの傾斜が付いており、1回、2回と試みるもマシンが揺れる程度で後退しない。
そうこうしている内に500のトップ集団が戻ってきた。
こうなっては自力復帰は危険で無理だ。FRO(ファースト・ レスキュー・オペレーション車両)の到着を待つしか無い。
サイドウィンドウには1コーナーに飛び込んでくる500マシンが見え、観戦ポイントとしてはまたとない場所で待つ事2分数10秒・・・FRO車両が到着。
後ろ側に牽引ロープで引き出すには非常に危険だが、前側には引っ張り出す余裕は無い。
FROスタッフが手押しをするが傾斜したグリーンの為動かない。
結局後ろ側からの牽引しかなく、安全確保をしつつ慎重に作業が進められストップから4分後ようやく、コース復帰・・・トップグループは既に3周を終え4周目に入る。
それらの妨げにならないようにと、また接触部分のダメージが気になる事からペースを落としピットに戻り、メカがチェック・・・ダメージは接触痕のある左前輪だけのようなのでホイール交換し、高橋選手をコースに送り出すが既にトップから・・・というより走行する全車から5周遅れとなってしまった。
完全に勝負権を失ったこのレース、目的はリザルトではなくなった。
ロングを走らせることによる、各種データ収集、タイヤライフの確認、そして何と言っても高橋選手のマイレージを増やす事。
実戦での走行は、プラクティス等とは段違いに経験値を上げる。
コースに戻った高橋選手は22秒台で周回。
このラップタイムであれば当初予定していた加藤選手への交代予定である22~23週辺りまでなら充分ポジションをキープ・・・どころかポジションアップも狙えるタイム。
この後「荒れる菅生」らしく、25周目(2号車は19周目)最終コーナーでクラッシュが発生。
セーフティーカーが入りレースはリセット。“タラレバ”なら、この時点で周回遅れになっていなければトップとの差は一気に詰められたのだが・・・。
レースが再開され32周目・・当初の予定より9周ほど引っ張り加藤選手に交代。
このピット作業においてもタイヤ4本交換を行ったが、緊迫したレースであれば、片側交換、または無交換という選択肢も作戦の視野にいれていたが、むしろテスト的なタイヤ交換である。
そんな中、20~21秒台とトップと全く遜色ないタイムで周回する加藤選手。だが、先行車両に追いついても大幅な周回遅れとなっている以上、無理なオーバーテイクをする事なく充分な安全マージンを持ってパスをしなくてはならない。
そんな「忍」のレース・・・というより周回を消化、レースそのものは終盤、最終コーナーでクラッシュ車両が発生、SCではなく赤旗レース中断。
結局、再開までの時間と残り周回も少ないことから、あと6周を残し75周(300クラスは71周)でレースは終了・・ルールにより1周前の順位がリザルトとなった。
2号車は63周を終え23位完走。
このSUGO戦に向け開発、走り込みを強化し、またその手応えを思うと悔やまれる一戦となった。