モータースポーツ

2017SUPERGT第6戦:鈴鹿サーキット

2017シーズン LOTUS EVORA
2017年08月31日

8月25日設営日

設営

46回を数える鈴鹿1000km・・・オートバイの鈴鹿8耐と並ぶ鈴鹿を代表する夏の耐久レース。
過去、中止も有ったが、距離、参加車両、選手権等など時代に合わせ少し姿を変え、日本のモータースポーツ史残る数多くの名勝負を残していた。
そのレースも今年がファイナル・・・来年からは「サマーエンデュランス「鈴鹿10時間耐久レース」」と名を変え継続される。
その最後の鈴鹿1000km、我々のチームも2005年のGT300クラスVEMACで優勝、SUPERGTのシリーズ戦となってからも2007年紫電でも優勝、最近では2015年LOTUSで加藤選手がポールポジション獲得、そして昨年は牧野選手がLOTUSでコースレコードをマークする等など、地元東海地方の鈴鹿サーキットで数々の栄光を残してきた。
しかし最近GT300クラスでのプロ化が進み、純粋プライベートチームでは上位入賞は難しくなってきたが、まだまだ夢を諦めない2号車、シリーズ終盤戦の足掛かりにしたい一戦である。

高速富士仕様から一転・・鈴鹿テクニカル仕様。

暑さ対策・・・効果は大きい。

土曜日の前夜祭で走るレジェンドカー。他にもあります。

二年振りの助っ人ドライバー濱口選手。

各部が鈴鹿仕様・・・EVORAがもっとも得意とするサーキット

8月26日プラクティス・予選

プラクティス 晴れ / ウェット→ドライ
雨を全く心配していなかった今日、サーキットから20km程離れたホテルを出る朝7時前、突然の大雨!!
勿論ウェット宣言が出て、前日マーキングされたドライタイヤ以外のウェットタイヤの使用が許可される。
っっっc朝一番の仕事はウェットタイヤを組むことなったが、プラクティスの始まる9時20分までには雨も上がり、加藤選手による走り出しこそウェットコンディションで上位タイムも2分10秒前後・・・加藤選手も9秒台で2番手となったが、徐々にドライコンディションに移行・・・ドライタイヤに換装するマシンが混在するようになり、タイムアップ。
ウェットタイヤのマシンはストレート上、乾き始めたレコードラインを避け、ウェット部分を走行する様になった。
そんな中、6周目高橋選手に、10周目には今回の第3ドライバー、2年振りの濱口 弘選手に交代するも、ウェットタイヤは既に限界となり、1周でピットイン。
ドライタイヤに交換し、セット確認の為、再び加藤選手に交代。
すぐに02秒台、そして2′00″362の2番手タイムをマークし、ベースセッティングに問題ないので、クラス混走の残り約15分を高橋選手、そして10分間の300占有時間は濱口選手に当て、高橋選手は03″781、濱口選手は00″550のベストタイムをマークしセッション終了。
だがセッションワンツーの2台のみ59秒台、以下3位から18台が00秒台に入り、加藤選手のタイムでも既に10番手に後退していた。
これは予選は激戦必至。
プラクティスに続くサーキットサファリ。
ここ数戦はプラクティスでトラブルが頻発し、サファリに出走する事ができずにいたが、今日はトラブルなく高橋選手の走行に当てる。
だが、本人も自覚しているのだが、今シーズンはどうもマシンにドライビングが合わせ切れず混迷が続き、このサファリでも、バスがコース退去後のフリー走行でのベストは6秒台。
これらのタイムを踏まえ、Q1予選は助っ人濱口選手を起用する事となった。
Q1予選 晴れ / ドライ
気温31度、路温36度・・完全ドライとなった、午後2時35分からのQ1。
濱口選手のプラクティスでのベストタイム、00秒台ではQ1突破は難しいが、ここまでの周回の伸びからすると、59秒台は間違いない・・・っが、Q2進出の上位14台に加わるには59秒前半は欲しい・・・。
オンタイムでスタートしたQ1・・すぐにコースインしたマシンの様子を3分ほど見てからコースインする濱口選手。
2周目02秒台から翌周00″223で9番手!!
更に連続アタックでセクター1、ベスト!セクター2もベスト!!59秒台ペースだ。
その間にタイム争いは激化!!先のタイムではポジションは下がり、12、14、更に15番手にまで後退するが、59″670で10番手に復帰。
残り時間5分・・・まだまだ予断を許せぬ状況で更にアタックする濱口選手。
1セクターベスト更新!2セクも更新!!59秒前半・・いやフラットのペースだ!!!
ところが、3セクターほぼ真ん中・・スプーンカーブの1つ目の立ち上がりでアウトに膨らみ90度スピン!!
そのまま後ろ向きにコースアウト!!このラップを失う。
もう1周はできるので、気を取り直し攻める濱口選手だったが、最終ラップは00秒台でチャッカー。
トップは58″680だが、3番手から20番手までの18台が59秒台に入る大激戦のQ1・・・結局濱口選手のタイムは17番手に留まりQ1敗退となった。
Q2進出のボーダー14番手は59″565。 幻となった59秒前半なら、楽々突破となり、加藤選手をQ2に送り込めたのだが・・・これもレース。
濱口選手の活躍は、決勝レースでの大きな期待へと変わった。

早朝の突然の雨はコンディションを変えた。

ドライ路面をウェットタイヤで走り続けるとこんな感じに・・・。

高橋選手、昨年の自己ベスト02秒台に届かない。

濱口選手は大躍進!プラクティスで00秒台をマーク。

レースクイーンの二人・・・。全力で応援中!!

Q1を託された濱口選手、ピットを離れる。

濱口選手、Q1突破惜しくも果たせず。

クーラーコンデンサー用エアダクトが追加された。

1000km用装備・・3枚重ね捨てシールド。

1000km用装備・・クイックオイル注入口

明日の決勝は・・晴れるかな・・。

8月27日決勝レース

決勝レース 晴れ/ドライ

17番グリッドとなったが、Q1予選での濱口選手の果敢な攻めの走りは、「タラ・レバ」なら、充分加藤選手をQ2に送り込みシングルグリッドを得る事ができたろう。
そんな期待以上の走りの濱口選手をスタートドライバーに起用。
この1000km・・燃費の厳しいGT3の一部のマシン以外、EVORA始め多くはマザーシャーシ、JAF-GT勢は4回のピットインでも充分走りきれる距離である。
だが今回も最低5回の“ドライバー交代を伴う”ピットインが義務付けられている。
そこで取られた作戦は、スタートして10周ほどでピットイン、加藤選手に交代。1回目を消化。
トップグループと変わらぬペースで走られる加藤選手だが、どうせ中団グループでペースを上げられないなら、早めのピットインで集団から違う場所に移動、単独走行でペースをあげるという作戦だ。
いずれ他のマシンもピットを終え、また各集団も伸びてきたりすれば単独走行もできなくるなるので、レース序盤にしか取れない作戦である。
パレードラップ・フォーメーションラップを経て長丁場のレーススタート。
オープニングラップはひとつポジションを上げ16位・・・だがこれは、9番グリッドの65号車(メルセデス)が先の「早目のピットイン」を早くも1周目に敢行した為である。
その後、後方グリッドの52号車(マークX)が3周目、55号車(BMW)が6周目に同様にピットイン。
濱口選手は中団グループで健闘するも、4周目130Rでオーバーランした際に11号車(メルセデス)に・・5周目に入るストレートエンドで9号車(ポルシェ)にそれぞれパスされ18位にポジションダウン。
その後は先行された2台に喰らい付く濱口選手。
6周目に入りズッと射程距離内で追走・・・130Rを抜け、シケインブレーキングで一気に差を詰め、左に振った9号車のインに入る2号車濱口選手だったが・・・オーバースピード!!
右に向きを変えた11号車のテールをかすめて真っ直ぐオーバーラン。
ステアリングを切っていたらスピンに陥ったかも・・・判断よくそのままバイクシケインにまで抜け、コースに復帰しようとしたが、焦りがあったか?正しくシケインを通過してきた何台かの後続車と交錯!!
多少の混乱を招いてしまい、1台・・26号車(アウディ)の右前と、2号車の左前が接触!
幸い共にそのまま走行はできたが、濱口選手からステアリングに異和感があり、ステアリングの向きが変わったとの訴え。
だが何か致命的なトラブルも無さそうだ・・・順位も22位にまでダウンするも、タイムは6秒台。9周目には4秒台をマーク。
予定通り10周目にピットイン・・・加藤選手に交代。
と同時に接触部分、足回りのクイックチェック・・その間に、先の接触が危険行為という判定がくだされ10秒ストップのペナルティ。
フロアパネルが少し破損、左前ホイールに接触跡がある。
とりあえずタイヤ4本を交換し加藤選手を送り出し様子を見てもらう。
やはりステア系に何か違和感があるという事ですぐにピットイン。
曲がり、破損が無いか再チェック・・・ またペナルティはこうしたピットインとは別に、裁定をくだされてから3周以内に単独で履行しなくてはならない。
とりあえずペナルティを履行する為にピットを離れる。
ピット前を通過し、ペナルティエリアで10秒ストップその後1周してピットイン。
本格的な修理・・・・と言っても明らかな破損部位は見られない。
外からでは見えない部分や、アライメントのチェック、破損したフロアの修理等々・・・結局70分ほどを費やし、早くも完全に勝負権を失ってしまった。
レースでの勝負権・・・というかレースで走る以上、目標とする事は、勿論優勝であり、次は表彰台・・3位まで。
続いてはドライバーポイント圏内となる入賞、10位以内である。
それ以下はドライバーポイントは無いが完走・・その中での上位を目指す。
その完走もおぼつかない位置になったら、データ収集のテストを兼ねたり、我々のチームの様にアマチュアドライバー高橋選手の習熟走行に重点を置いたりする。
結局アライメントを取り直し、その後加藤選手の走りは2分2~3秒程と全く問題ない走りをみせ、約30周走行し43周目に高橋選手に交代。
当初の予定より7周ほど多い30周・・といっても6周はSC走行・・・を走り、63周目にピットイン。
だがピットイン直前に、ストレートで真っ直ぐ走らないという高橋選手のコメントを受け、約20分掛け足回りの再チェック行い濱口選手を送り出す。
“勝負権”を失い、エースドライバー加藤選手の走行予定は無し・・残り時間は高橋、濱口、二人のアマチュアドライバーの実戦での習熟走行とした。
濱口選手は、2分3~5秒で27周を周回90周目に”最後のドライバー交代”として高橋選手に交代。
残り約40分(本来は周回数173周でゴールとなるが、途中セーフティーカーランが長かった為、おそらく終了予定時刻・・18:28でチェッカー)は高橋選手が走行、チェッカーまでを目指す事となった。
何とか完走(クラストップの70%・・112~113周)周回は行けそうだ。
時刻も18:15分を過ぎ、太陽ももうすぐ鈴鹿の山に隠れそうだ。
高橋選手も、マシンも順調に周回を重ね、残り10分少々・・・ピット内も、ただただ静かにレースが終わるの待つだけといった空気が漂っている。
そこに各ピットに張り付いてるオフィシャル(ピットイン時刻や作業内容、ドライバー交代をチェック、記録している。)から「2号車はあと1回ドライバー交代しますよね。」と告げられる。
「えッ!!なんの事!!」と思い、数えて直すと、確かにピットインは幾度かしているが、ドライバー交代は、スタート:濱口→交代:加藤→交代:高橋→交代:濱口→交代:(今)高橋・・4回しかしていない!
1回足りない!!これでは周回が足りても完走扱いにならない。
これはヤバイ!!加藤選手、濱口選手、どちらでもいいので交代しなくては。
ドライバーの準備は・・!休憩室(チームオフィス)に向かうと、濱口選手はすでにリラックスした服装だが、加藤選手はレーシングスーツ。
事情を話しすぐに準備をしてもらうと、同時に高橋選手に無線で連絡。
ただ少し前からマシン側か?ピット側か?無線が不調、ノイズが大きい。
何度も呼び出すが返事がない。
高橋選手を送り出した時に、ご丁寧に“最後まで行きます”と念も押してある。
サインボードも出すが、かなり暗くなり、サイン用の照明も無い。
レース終了時刻が迫りトップがファイナルラップに入ってしまい、クルーも諦めかけた時、2号車がピットロードに入って来た。
「・・ピットイン・・」という声は雑音と共に時折耳に入り、戻って来たようだ。
事情は分からない為か、高橋選手の降車もスロー・・加藤選手が乗り込みサポートする高橋選手。
トップがチェッカーを受ければピットロードのシグナルは赤になり出られないが、まだスプーンに差し掛かったあたりらしい。
今年から新設されたセーフティネットの装着にも少し手間取り、エンジンスタート!!
ピット前を離れ何とかコースイン・・・15秒後にトップがチェッカーを受ける。
間に合った。
約3分後116周でチェッカー受け完走!!
300トップは158周・・我々2号車は修理ロスタイムは約90分・・周回数にすれば単純には40~41周。
このレース、マシンは快調、ノントラブルで走り、“タラレバ”レースなら充分面白いレースができたのではないかと思うと残念・・。
リザルトだけを取り上げれば寂しい限りだが、最後に思わぬ緊迫感が味わえ、チェッカー後は思わずピットクルーの間で久々に握手が交わされる。
プラベートチームにとっては、こうした感動を楽しむのもレースの目標のひとつかも・・・・。


決勝レース前のミーティング。長丁場だけに臨機応変・・柔軟な対応が必要。
2017_Rd6-32 スタートは濱口選手。Q1予選の雪辱を果たすべく臨んだが・・・。

1000kmとはいえ、いまや通常の300kmX3回と変わらぬハイペースのレースがスタート。

6周目の濱口選手の接触は、ドライブスルー+10秒ストップペナルティとなり、加藤選手に代わってから履行。ピット前を通過する。

中盤以降の走行は、濱口選手と高橋選手で周回を重ねる。

既に勝負権を失ってからのピット作業。速さより確実さ・・。

レースも終盤。 レコードライン外はタイヤカスがタップリ。

18時を過ぎかなり日も傾いた。高橋選手がチェッカーまで走り切る事になっていたのだが・・・。

最後になって思わぬボーンヘッドで出番となった加藤選手。

マシンは無事に走りきり、メカによりトランポに・・・。昨年と違い、次戦タイへの準備に余裕ができた。