Super GT 2006 Series 第7戦 -ツインリンクもてぎ-
GTレースレポート
2006年09月11日
今年のモテギに対する意気込みは一味違う。何が?オートポリスはともかく、本州のサーキットで、唯一行っていないツインリンク… |
SUPER GT MOTEGI GT300kmRACE
サーキット 栃木県 ツインリンクもてぎ
マシン名 プリヴェチューリッヒ・紫電
ドライバー 高橋 一穂・加藤 寛規
9月7日(木)設営
今年のモテギに対する意気込みは一味違う。何が?オートポリスはともかく、本州のサーキットで、唯一行っていないモテギの合同テストに参加したのである。
2001年のGT参戦依頼、何故かモテギだけは参加していなかった。何故か?モテギはいつも鈴鹿1000kmの直後で充分“練習”ができているから・・・と言った理由が、経費節約を後押ししていたからである。
しかし今年はシーズン初めから参加を予定。当然と言えば当然。このGTのレベルになれば“単にサーキットを走る練習”など無意味なのである。
そのサーキットの攻略法を研究した上で、課題を持って練習する必要がある。マシンにしても、他のサーキットのデーターを参考にしたのでは意味が無い。実走で確認(要するにテスト)の時間をどれだけ取れるか?が重要である。レースは相対的な物だから、他のチームがテストを行わなければイーブンであるが、他に先んじられれば、既に遅れを取った事になる。
直前に鈴鹿1000kmを走った事など、次のモテギにナンボのもんじゃ!と言った所であろう。
それ程重要な合同テストは7月に行われたのだが、トラブル続出で、全くもって充分なテストができてはいなかった。
このサーキットはウェイトハンディ(70kg)が、最も影響しやすいストップ&ゴーのサーキットである。
既にウェイトを想定し、7月のテストでも走行しているが、タイム的には全く低迷。それはそのまま8日のフリー走行にも現れた。
合同テストでは補機類の破損から |
これで1セッション90分の |
また駆動系のトラブルも出て・・・ |
ブレーキ系の違和感が出るなど、多難なテストデイであった。 |
9月8日(金)フリー走行
くもり 路面 午前セミウェット 午後ドライ
ここモテギは設営日の夜に雨が降ることが多い気がする。(いつも設営終盤にびしょ濡れになった印象が強い)
今朝も昨晩の雨が残る路面と、霧雨で、レインタイヤでの走行始まったが、高橋、加藤両ドライバーが5~6周づつ走行する頃までは、レイン走行が続いたが中盤からは、ん~~そろそろドライかな~と言った状態となり、スリックでコースインするマシンもチラホラ。
そんなマシンの一部がコースアウトを喫し、10分程赤旗中断も有ったが、それを挟んで我々もスリックを装着し徐々に本格セッティングに入る。
未明の雨でウェット路面。 |
まだウェットパッチが残るコースだが、 |
加藤選手も路面が乾くにつれ徐々にペースアップ。1′57″032と、7月のテストでのタイムを上回ったところで高橋選手に交代。残り30分を走り、チェッカー時に58″544。終了時点ではコースは完全にドライコンディションとなりクラストップはこの時に55″587をマークしている。この1.5秒差は大きい。午後のセッションでどれだけ詰められるのか・・?
こんなチョロQがネットで売られているようだ。 |
NSXはカラーリング違いでできるが |
ランキングトップのままメインスポンサーを |
ここモテギはストップ&ゴーのサーキット。とにかくブレーキとタイヤに負担が掛かる。そこにウェイト70kg!リストリクターを絞って、50Kg降ろすという選択肢もあるが、ただでさえパワー不足。ドライバーの意向も聞いた結果70kgそのまま。それがもろに効いている。
午後の走行は、大きなトラブルも無く、高橋、加藤両選手共17~18周づつ走り込み、セッティングも順調に進むがタイムは伸びず、加藤選手、高橋選手それぞれ56″812と59″296。加藤選手は午前を上回ったが、高橋選手は大きく下回るなど、トップは1′55″587をマークする中、「プリヴェチューリッヒ紫電」は水を開けられ、この日は10番手。打つ手もないまま9日の予選を迎える事となった。
午後は完全ドライでスタート。 |
ここモテギはどうも相性がよくないか? |
加藤選手もテスト時のタイムは上回るが |
パワー不足とウェイトに苦しみ、その逆の |
明日の予選は苦戦となるだろう。 |
9月9日(土)予選
晴れ 路面 午前午後共ドライ
予選は曇り。雨の心配はなさそうだ。
ここ関東圏のモテギは予選日から多くの観客が足を運ぶ。このGT戦、以前は朝ゲートオープンだったので、お客さんは勿論、我々もゲートをくぐるのに長い渋滞に巻き込まれる事になったが、最近は夜中からずっと開けているので、殆ど渋滞は無い。お客さんも駐車場に入れられるので、仮眠もぐっすり取れる。
そうした観客への配慮や、予選日のイベント等も手伝って、土日の観客動員が増えているのであろう。
朝早くからの公開車検には |
伸び悩みの高橋選手は |
SLの準備をする加藤選手。 |
ウェイトハンディ70kgは |
スーパーラップ(以下「SL」:1回目予選上位10台による1台づつのタイムアタック。これによりスターティンググリッドを確定する)進出を目指し加藤寛規選手のアタックはいつもより長い5周を費やし、55″634と昨日のベストを1秒以上短縮する好タイム!と思われたが、この時点でトップ11号車は既に54″399!
13番手でまだSL(10位以内)には届かず、10位以内には、あと0.3秒も短縮しなくてはならない。
ここで300クラス占有時間が終了。500クラスとの混走に向け高橋選手に交代し待機。計測1周で基準タイムをクリアしたところで赤旗中断。原因は47号車のエンジンブローによるオイル処理の為である。このマシンは”タイム”としては10位以内でSL進出権があったが、もう1名のドライバーが基準タイム未達(まだ走っていない)の為SL権を失った。他に同様で96号車もSL進出権を失い、2号車紫電は実質11番手に浮上。10位とは0.13秒差となった。ならばと、赤旗中断を利用し、この差を覆し、SL進出権をもぎとるべく、2セット目のNEWタイヤ(通常はSLの為の温存しておく)に履き替え、再び加藤選手が500との混走のコースに出て行く。計測2周目3周目と、55″510、55″509と見事にタイムを更新!しかし10位の19号車55″506に1000分の3秒及ばず、鈴鹿ポッカ1000kmに続き、2戦連続SL進出を逃した。
最初のアタックではフリー走行より |
500との混走に向う高橋選手。 |
SL奪取の為2セットのNEWタイヤを用意。 |
予選1回目で初めての2セット目投入。 |
赤旗中断を挟み加藤選手が再びアタックに向けコースイン。 |
午後の予選は高橋選手がドライブ。っが全く遅い。2分が切れない!高橋選手からも「全然パワーが無い!」と・・。6周程走ったところで、マシンがモニターに映し出された。するとマシンの左後に出ている、ブリーザーホースよりかなりの水が噴出している。(こうした事は、近くで見ているコースオフィシャルからの連絡カメラで追跡となる)
当然緊急ピットイン、診断の結果ヘッドガスケットの吹き抜け。エンジンの載せ換えとなった。
NSX以来、戸田レーシングとレースを始めてから、エンジン補機類、センサー類の破損はたまにあったが、こうしたエンジン本体のトラブルは初めてかと思う。
パワーが無く、タイムのでなかった理由が見つかり一安心だが、これらのトラブル、レース中に発生しなかった幸運か?悲劇ドラマのプロローグか?どうなる明日の決勝レース!
SLを逃した午後、予選は高橋選手の練習走行。 |
しかしコースに出て数周。 |
ブリーザーから水が・・・。 |
結局ガスケット吹抜け。 |
当然エンジン積替え。 |
ここモテギでの“のみ”2回目の積替え。 |
9月10日(日)決勝
晴れ 路面:ドライ
ホテルからサーキットまでの道中、パラパラと小雨。だがサーキット周辺は明るい曇り。レースはドライで行ける、どころかかなり暑くなりそうだ。
朝のフリー走行では、載せ換えたエンジン周りのチェックと、満タンフィーリングの確認。特に問題も無いが、タイムには結びつかない。
メカは朝が早いので、 |
朝のフリー走行では満タンと、 |
“この時点“では何の問題も無し。 |
ピットウォークでは久々にドライバーが顔を出す。 |
と思ったらあれよあれよサイン攻め。 |
かなり日差しも強くなってきた午後1時過ぎ、ウォームアップ走行に出たスタートドライバーの高橋選手より、ブレーキに違和感が有るとのの連絡が入る。直ぐにピットイン。グリッドに向かう為に次にコースオープンとなり、そこから3分で閉鎖される。この間にコースに出られなければピットスタートとなる。この間にできる事となれば、ガタや目視点検、ブレーキのエア抜き程度。特に異常は無さそうだと、スターティンググリッドに向けて送り出すが、この1周でも違和感に変化が無い。
ウォームアップ時にブレーキの |
とりあえずブレーキのエア抜きを行い、 |
「そのままピットに入ってくださ~い」とエンジニア、シンタロー。っが、「もうグリッドに並んだよ。」と高橋選手。
これでは“いかん”と、スターティングセレモニーが進む中、グリッドボードを持ったレースクイーンを残して(って本当に残した訳ではないが・・)メカに押されて再びピットへ!開幕鈴鹿以来、今シーズン2度目のピットスタートが確定。(スタートができれば・・)
時間との兼ね合いで、再度ブレーキのエア抜きと、ブレーキローターを交換。これ以上の作業はピットスタートもできず完全にレースの勝負権を失う。(レースが始まり、その最中でもレースに加わる事ができるが、勝敗は論外となる。)
一旦グリッドには着いたが・・・。 |
メカに押されてピットに戻る。 |
交換されたブレーキローター。 |
お陰で涼しいテントの中でスタートを待つ事となった。 |
フォーメーションラップが始まり、高橋選手も再びマシンに乗り込み、ピットロードエンドで待機。500クラスに続いて300クラスがスタート。トップが1コーナーに掛かる頃、猛然とスタートする紫電。最後尾26位と大きなハンディができてしまったが、1周目はスピン車両も発生し、24位で帰ってきた。ブレーキの違和感も“とりあえず”解消したようだ・・・。その後は下位マシンをパスし、加藤選手と交代する19周目には20位に上がったがトップとは40秒の差ができていた。しかし加藤選手も思うようにタイムが上がらず、15位に上がるまでに交代から23周を費やし、トータル42周となっていた。
マシンに乗込みコースインを待つ高橋選手。 |
ピットエンドに向う紫電。高橋選手。 |
300クラスもスタートが切られた。 |
単独でスタート。 |
ここモテギはブレーキ、タイヤに特に過酷なサーキットで、ウェイトハンディは紫電に大きくのしかかってきている。
しかもこの頃、再びブレーキの違和感が発生。どうにも攻められないようで、いつもならトップグループに遜色無いタイムで追い上げる加藤選手も、トップとは1~2秒以上づつ差をつけられていく。45周目14位まで上がったが、トップとは1分47秒遅れである。
ブレーキは特に問題無さそうだが、 |
モニターを見つめる加藤選手。 |
20位まで上がって加藤選手に交代。 |
トラブルと思われるのが、ブレーキ周りだけに無理させる事もできない。勿論順位にもよるのだろうが、この完全にポイント圏外。無理せず48周目ピットイン。ドライバーのコメントを聞きつつ、足周りを点検。このままリタイヤとするか?とも考えたが・・・、トラブルもコントロールの範疇にあるとの事。プロドライバーの意地、NEWタイヤでのベストラップ(決勝中のベストラップには1位~3位には、それぞれ3~1ポイントが与えられる。)を狙うと言うのである。
NEWタイヤをセットし再びコースに送り出す。しかし2周目(50周)の57秒983が限界で、現時点でのベストラップ56秒台には遠く及ばず、トップから4周遅れ、21位の完走に留まり、第2戦岡山以来のノーポイントレースとなった。
交代後14位まで上がるが、 |
終盤のピットイン。 |
再び発生したブレーキトラブル。 |
ブレーキを冷やし、NEWタイヤを装着し、 |
これも不発。 |
岡山戦同様のノーポイント。 |
2006年 SUPER GT第7戦 GT300クラス
予選11位 : 決勝 21位
獲得ポイント チームポイント0点 累計43点 ランキング 4位
ドライバーポイント0点 累計59点 ランキング 3位
モテギは厳しい!っと、レース前から予想はしていたが、それを期待はしていなかった。(当り前)でもこれ程とは・・・リザルトは一応完走だがリタイヤに近い惨敗であった。紫電は(他のマシンでも多かれ少なかれ・・)得意、不得意なコースとが結構はっきりしているようで、ここは最も不得意であろうと思われたそのコースでこの結果。また得意であろうと思われるサーキットは3箇所。菅生、セパンではそれなりの成績を収めている。とするともう一箇所得意と考えているサーキットであるのが次戦オートポリス。期待できるか?
予想は的中して欲しい。
レース後遅い昼食(早い夕食?)を取るメカ。 |
赤とんぼも飛び交い、シーズンは秋に突入。 |
「Team BOMEX Dream28」 666号車NSX
8月の鈴鹿ポッカ1000kmをキャンセルした、周防、山下両選手。7月末の、ここモテギの合同テスト以来のGT走行となる。
このテストの時にNSXを加藤選手がドライブ。その日のセッションで彼らより1秒近く速い1′58″784のタイムで走行。
マシンのポテンシャル、またセッティングの方向性にも概ね間違いない事を確認。
その甲斐あってか、予選ではそれを上回る58″286のベストタイムをマーク。
決勝レースも、トップから1周遅れに留まり、順位こそ15位だったが内容はベストだったかも・・・。
7月末のテストでは、空き時間を利用し |
救済措置でリストリクターは大きいので |
キッズウォーク時のピットワーク練習。 |