SUPER GT 2007SERIES 第5戦 SUGO
2007シーズン 紫電
2007年09月15日
セパンの惨敗から1ヶ月。 気を取り直して迎えるシリーズ折り返しとなる第5戦SUGOは、昨年チームと紫電に3位初表彰台をもたらしたゲンの良いサーキット。 |
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セパンの惨敗から1ヶ月。
気を取り直して迎えるシリーズ折り返しとなる第5戦SUGOは、昨年チームと紫電に3位初表彰台をもたらしたゲンの良いサーキット。
無論そんな縁起だけで得意、不得意が決まる訳では無く、マシン、タイヤが、コースレイアウトと相性が良いのである。似たような理由でセパンも得意なはずだったが、結果はポイント圏外・・・。
4月中旬に行われたテストでは、2日間延べ8時間の走行時間が用意されていたにもかかわらず、最初の1時間程でエンジン不調、しかもエンジンのヴァージョンUP端境期でたまたまスペアを持ち合わせず、残り時間をキャンセル。
菅生をより得意にするセットUPと、高橋選手の走り込みが全くできず、このレースに陰りを落とした。(特に後者が痛い!)
だが、とにかく、なんとしても、ここで上位に行かなくてはランキング争いから大きく後退する事になる。
最低でもランキング2位をキープ。理想はトップの101号車につけられたの29ポイントの差を少しでも埋めたい。
セパンの結果での、唯一のお土産は15kgのウェイトを下ろす事ができ、35kgとなった事だが、「焼け石に水」程度の事。
7月27日 練習走行 晴れ
例年、菅生では練習走行で雨や霧等、コースコンディションに惑わされるのだが、今年はドライ、クリアなコースに恵まれ、午前の走行はマレーシア帰りのマシン状態と、菅生標準セッティングによる確認が加藤選手により行われ、その頃仙台空港から到着した高橋選手始め、名古屋組一行が到着。
残り時間も充分な事から、高橋選手もドライブ。
ところが走り始めて、「アクセルがおかしい~!戻らん~!」とピットイン。
高橋選手には好都合なトラブルとささやかれたが、そのままと言う訳にはいかず、原因究明。単純にワイヤーの劣化に伴い動きが渋くなったと思われ、ワイヤーを交換する事に…。これで午前終了。幸先が悪い。
それでもやはり、ここSUGOでの紫電は一味違う。午前は十分セッティング進まなかったものの、基本的には昨年をベースとし、味付けを若干修正しただけ。
午後の走行では仕上がりの良さを見せつけ加藤選手が1′23″601でトップタイムをマーク。翌日の予選への準備は整った。
7月28日 予選、スーパーラップ 晴れ
明けて土曜予選日。天候は雨も予想されたが蒸し暑い曇り。 スーパーラップ(一回目予選で上位10台を選抜し、1台ずつのアタックによりグリッドが決定するシステム:以下SL)進出を掛けた午前1回目予選。加藤選手はいつも通り8分ほど他車の動向を見守った後コースイン。
1周後1′23″092をマーク。2番手のランキングトップ101号車に0.1秒差をつけトップに立つ。しかしその後43号車にトップの座は明け渡すものの、SL進出は確実とピットへ戻る。
500クラス占有走行の後、混走では高橋選手も自己ベストの24秒833と、タイムUP。決勝レースを期待できるタイムをマーク。
結局暫定2位でSL進出。43号車が“トリ“を勤め、9番手スタートとなる。
スーパーラップ
午後2回目予選は、午前と若干セッティングを変更。SLに向けた確認を行う。 むかえたSL。先に出走した8台は順位が入れ替わる激戦を見せ、13号車をトップに、46、62号車と続き、ランキングトップの101号車は4番手。
アタックに入った加藤選手、前半セクション、リヤが暴れるマシンを巧みにコントロールし、セクター1で0.4秒短縮!後半セクションに期待が掛かる中、いいペースでマシンはコントロールラインを通過。
1′22″760!と、13号車にコンマ5秒の差をつけ暫定トップ!
しかし最後に出走する43号車が午前予選でマークした22″665には及ばず、「こりゃ43号車にやられ、2番手かな」と思ったが、その43号車は意外に伸びず22″886と2番手。
こうして優勝に最も近いポールポジションを、今期岡山に続く2回目。紫電通算5回目として獲得することとなった。
![]() SL出走準備をしながら他車のタイムを確認。 |
7月29日 決勝 晴れのち雨のち曇り
決勝当日、天気予報には雨のオプションも用意されており、サーキットに向かう空は曇り。
サーキットに着くとポツリポツリ・・!フリー走行前に各ピットはレイン準備にとりかかる。
しかし雨は本降りとはならずドライ走行となり、ピットアウト時で500との接触というハプニングはあったものの、マシンは順調な仕上がりを示した。
ピットウォーク、サポートレースが進む中、曇りの空は何とか持ちこたえたが、午後1時、ウォームアップランが始まると、再びポツリポツリきて、全車スリックタイヤでグリッドに向かう頃には今度は本格的に降ってきた。
コースは完全なウェット状態だが、スタートまでには30分以上あり、雨も小降りになり、ウェットタイヤも深溝、浅溝どちらをチョイスするか?はたまた天候の回復に期待を掛け、スリックでギャンブルに出るか?各チーム各様のレース予想図を描き、定刻2時マシンはグリッドを離れるが、6周のセーフティーカー先導の後レースは始まる。
浅溝レインタイヤの加藤選手は、ポールポジションを活かし、トップを快走。勿論タイムは35~36秒台。完全なウェット状態。しかも2位の46号車は雨に強いといわれるダンロップタイヤ。これにピタリと追走され、この2台で3位以下を引き離す展開となる。
第3戦優勝、セカンドポジションスタートの43号車と、2,4戦優勝でランキングトップ101号車のミシュラン勢はタイヤの暖まりが悪いのか?4,5位と序盤のペースが悪い。
開幕戦優勝の13号車はスリックタイヤでギャンブルに出たが、全く裏目に出て、11周目コースアウトで後退。
この頃には雨も上がり、コースもドライ方向へと向かうが、曇り空と22~23℃の低い気温でコースの乾きは遅く、タイムも35~36秒台と完全ウェット状態と変わりない。
2秒弱で追走してきた、46号車も他車との接触で、右リヤフェンダーが破損。オレンジボールが出されピットインで後退、2位とは14秒差の独走態勢かと思われたが、2位は唯一の4WDの威力を、今シーズン初のウェットレースで如何無く発揮し、15番グリッドから上がってきた77号車。
23周目+14秒だったリードが、30周で+7秒と加藤選手より1~2秒以上早いペースで追い上げてきた。
27周を終え、レースも3分の1を過ぎる(このレースは、1人のドライバーが3分の2以上走行してはならないので、その逆算)頃になると、ルーティンピットインが始まり、ピットインしたチームはスリックタイヤを選択。
今の路面状況で、スリックタイヤはまだリスクが大きいが、後半はドライとなる事は明白で、早めのスリック勝負に出てきた。
30周辺りになって
加藤選手「あと何周?」
シンちゃん「18周!」
加藤選手「ペース上げる!ペース上げる!」
と、33~34秒台へ・・・
残り周回と、レインタイヤの磨耗状況、そして77号車からのリードを計算し、はじき出されたタイムUP。
レインタイヤとの差が埋まってきて、このまま再び雨が降り出す事が無ければ、スリック優位となるのは明らか。
ところが、その読みで33周目43号車、34周目101号車と早めにスリックタイヤへの交換をしたミシュラン勢は、両車とも、なんと翌35周目共に単独コースアウト。まだスリックは早すぎるのか・・?
77号車に対し37周目には+1.3秒そして39周目に入るストレートではテールtoノーズ。そして1コーナーでパスされ、トップを明け渡す事となった。
加藤選手「クヤシ~~――!!」
シンちゃん「四駆ですからしようがないです。」と慰め。
これまで紫電は5回のポールポジション。その内3回を加藤選手がスタートを担当し、そのスティント内で、同じ300クラスのマシンに抜かれたのは、これが初めてなのである。
77号車はトップに立った翌周、40周目にピットイン。スリックに交換し、戦列に戻り、その後も快走を続けたが、トラブルが発生、コースコンディションを味方に加え快走したが惜しくもリタイヤ。
40周を終え、再びトップに立った加藤選手だが、後続は既にスリックに交換済み。トップも暫定に過ぎない。スリック装着マシンのタイムもグングン上昇。加藤選手の34~35秒台に対し、27~28秒で追い上げられ、マージンも無くなってきた。
43周目ピットイン。高橋選手をスリックで送り出すが、このピットインとアウトラップ周回でついに逆転される。
アウトラップを終え、77・47・62号車に続いて4位。翌周、19号車にもパスされ5位。その後は77号車のリタイヤもあり4位に上がるが、細いドライライン以外は、まだセミウェットのデリケートなコースにタイムも27~29秒台が9ラップほど続き、その後ようやく25秒台へと上がる。
この25秒台は、上位4台の中ではかなりのハイペースで、3位19号車に迫るが、19号車が62号車を抜き、2位、3位が入れ替わる。
その62号車に、64周目の最終コーナーで追いつき、ストレートをサイドbyサイドで抜け1コーナーへ進入!有利なドライラインを死守した高橋選手、62号車をパス!自力で3位表彰台圏内へ!
しかしトップ争いの47号車と19号車には、既に20秒弱の差を付けられてしまった。
このまま3位をキープできるかと思った最終75周目、そこまでジワリジワリと追い上げてきたハンコックタイヤの33号車。
高橋選手が周回遅れのマシンにやや手こずり、最終コーナーで失速。(追走してきた62号車もこれに付き合わされた)不利な昇りストレート、チェッカー直前で追いつかれ、惜しくも100分の2秒差で表彰台から引きずり下ろされてしまった。
予選1位 : 決勝4位
獲得ポイント チームポイント8点+3点(トップと同一周回ポイント)累計59点 ランキング 2位
ドライバーポイント8点+3点(予選1位) 累計53点 ランキング 2位
今回の敗因はドライバー交代のタイミングが遅かった事。これに尽きる。しかしレースは色々な場面で“賭け”“決断”が行われる。
ましてや今回の様に、スタート直前に雨が降り、それがやんで乾いて行くという、刻々と路面コンディションが変化して行く中ではそうした“決断”がレースの明暗を分ける。
スタートではレイン、スリックで分かれ、レインでも浅溝、深溝で分かれるなど、今回スタートでの選択肢は多く、各チームのエンジニアを悩ませる事となったが、シンちゃんの決断は浅溝(インターミディ)!これは大正解!
次の決断はどこでスリックタイヤに交換するか?しかも(恐らく)ドライバー交代時期とシンクロすると思われ、どういう状態の時に、どこのタイミングで高橋選手をコースに送り出すか?である。
その予想通り、序盤から中盤にかけ、雨も上がり徐々にコースも乾き始め、ピットインして来るマシンは全てレインに見切りをつけ、スリックで出て行く。当然の選択なのだが、まだまだドライラインは細く、スリックタイヤのリスクは高く、ペースは遅い。
そんな中、今シーズン圧倒的パフォーマンスを見せるミシュラン勢の101号車・43号車も早々とスリックに変え、コースに出て行った・・・。しかし共にその直後、半乾きの路面に足をすくわれコースアウト。レースを失った。
それは目の当たりにTVモニターに映し出され、まだデリケートなコースに高橋選手を送り出す事に慎重になったのは当然と言える。
結果的にはアウトラップ“数周”後には素晴らしいパフォーマンスを見せ、自力で(一時は)3位に上がる快走は見せた高橋選手。この調子ならもう少し(それも1~2周だけでも・・)早く交代して良かったと、“結果”から反省されるが、そうした場合のリスクとの天秤で安全策を取った。
しかし高橋選手、アウトラップから素晴らしい走りをする場合もあり、かなりのスキルUPをしているとはいえ、まだまだタイムにムラがある“場合”があり、これらをエンジニアが“データー”としてどうとらえるか?でレース戦略の幅を左右する。
このドライバーのスキルデーターが高いレベルで安定確率しているのと、いないのがプロとアマの差だと思う。
終始同じ様な雨で、ウェットコンディションが変わらないと言うのは、ずっとドライなのと、ある意味同じ様な事だが、雨が2時間同じ様に振り続く事は、めったと無い。だから雨のレースは、それこそ何が起こるか判らない。
そのおかげで、強敵が次々脱落。(それも殆ど自滅に近い状態で・・)コースコンディションを味方に現れた伏兵77号車にトップを奪われたもののそれも自滅。
これほどラッキーな展開の中、優勝はおろか最低目標の表彰台も逃したのは、実に残念。ランキングトップの101号車とのポイント差が多少埋まったのが唯一の救いか・・・。