モータースポーツ

2015 SUPER GT第2戦:富士スピードウェイ

GTレースレポート
2015年05月10日

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5月2日(月)設営

SUPER GT開幕から1ヶ月、第2戦は大型連休真っ只中の5月2日富士スピードウェイ。
3月初めのシェイクダウンで20周程度、作動確認の走行をしただけ・・・。
その後、ここ富士では3月にテストスケジュールが有ったものの“例の”鈴鹿クラッシュによりキャンセル。
ライバル(まだ認めてもらってないかも・・・)とは大きく遅れをとってしまっている。
しかし、手をこまねいている気もないので、色々対策をして、この高速サーキット富士に臨む。
当然の事ながら岡山で露呈したスターター系のトラブル等、初期トラブルも改良を加え、基本的な信頼性を高める。
加えて、開発までと、その後の風洞実験データーで得た高速サーキット富士仕様の各種アイテムを付加。
とは言っても、こうした改良も勿論ブッツケ本番。
シーズン前の遅れを挽回するにはチャレンジするしかない。
今回はシリーズ戦2番目に長い500kmレース。昨年までの大食いGT3マシンと変わり、好燃費のエヴォーラ・・・ピット戦略の自由度が広がる。

5月3日(火)公式練習/晴れ/ドライ

好天の富士スピードウェイ・・・朝8時50分から公式練習開始。
加藤選手による走り出しで、まずは4周目1′39″977とクラス27台中16番手・・・その翌々周には39″150までタイムアップし10番手と悪くない。
だがタイヤのマッチングもよろしくないので、ペースダウンしそのままピットイン・・・の予定だったのだが、ヘアピンを立ち上がり、Bコーナー(ダンロップコーナー)辺りから一気にスローダウン!!
コーションランプも点灯し、とてもレーシングスピードを保つ事ができず、Bコーナーもコースではなくゆっくりショートカット。
それでもエンジンは回っているので、コース左側をゆっくりと走りピットに向かう・・・っが、左プリウスコーナーで力尽き、ランオフエリアにマシンを止める。
完全に電源が落ち、再始動はできない。
コースオフィシャルにより引き込み口に移動され、その後レッカーに積込みまれ戻ってきた。
原因はバッテリー電圧が低下・・・いわゆるバッテリー上がり・・と言うことは充電不良と順番を追って行けば辿り着く、ACGベルトの破損が最終原因。
スペアパーツはあるもののミッドシップレイアウトも災いして、交換には公式練習の残り時間を要する事となり、僅か6周で公式練習を終了・・・高橋選手はエヴォーラで、ここ富士を全く走っていない。
このトラブルとは全く関連は無いが、ミッションのオイル漏れが発覚。
このエンジンストップにより、コース、マシンに被害が拡大しなかったのは不幸中の幸いだった。
ミッション内部の点検を兼ね、レシオも変更、午後のQ1予選に備える。
プラクティストップは37″946の3号車(GT-R)で、加藤選手、2号車のベストタイム39″150は最終的には13番手と意外に他のマシンのタイムは伸びていなかった。
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5月3日(火)予選Q1/くもり/ドライ

加藤選手のアタックによるQ1予選 Q2への進出(上位13位)タイムは38秒台前半が予想されたがその手応えは充分アリ!!
半分ほどのマシンがコースインした後、ピットを離れる。
3周のタイヤ暖機を行い4周目のアタックは38″559で9番手!!これではまだ“弱い”ので更に連続アタックに入る。
Aコーナー(コカコーラコーナー)手前の第1セクターベスト更新、更にBコーナー手前の第2セクターまでもベスト更新。
コーナリングスピードで稼ぐ第3セクターでもベスト更新は確実・・・と思われたが、何とBコーナー立上りで突然エンジンストップ!!
ランオフエリアに停止・・・今度は右側へ・・・後は午前の練習走行のデジャブとなって、再び積車に載せられ戻ってきた。
データーロガーではエンジンの回転を検知するクランク角センサーが不良と判断され、修理に取り掛ることとなったが、このトラブルでの回収時にQ1予選は赤旗中断となり、ルール上その原因車両のタイムは抹消となってしまう。
昨年6月のオートポリス以来“恒例”の最後尾グリッドとなってしまった。
午前、午後トータル僅か11周・・・高橋選手は0周・・・セッティングをどうこう言える状態ではないまま、決勝日を迎える事となる。
波乱でスタートした2015年シーズン・・・まだまだ波乱は続くのか・・・?

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5月4日(水)フリー走行/

連日雨模様だった、前戦岡山と真逆の今週末。
今日も素晴らしい五月晴れのレース日和。
しかし我々のチーム、マシンはドンよりと厚い雲に覆われ、冷たい雨が降り注いでいる。
昨日の予選でのマシントラブル・・・エンジンストップの原因が判り、かなり深刻な事態となったからだ。
岡山でスターター系に発生したトラブルは、システム変更を行ったが、実戦・・というか、実際の走行は今回がブッツケ。
そのパーツが破損し、それらの破片がセンサーのマグネット部に付着しエンジンが止まってしまったのだ。
朝のフリー走行は、それら破損したパーツ待ち状態となり、岡山同様、走行をキャンセルせざるを得ない事となった。

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決勝レース

破損パーツは揃い、決勝レースまでに組み付けも完了。
作動、始動も全く問題ないものの、耐久性には不安が残る。
だが、走るチャンスがあれば、耐久性も含めてデーターを得ることも、また多くのご支援をいただいている方々、ファンの方々の為にも、スターティンググリッドにマシンを並べることは重要な課題である。
前日の予選タイム抹消に伴い、スターティンググリッドは最後尾。
であれば慣熟を兼ね、他のグループに巻き込まれず自己のペースを上げて行ってもらう為、このエヴォーラでまだ1周も走っていない高橋選手をスタートドライバーとした。
「シーズン、1度はワケあり最後尾」が定着?(笑)し、場馴れしたしたグリッドにマシンを運ぶ高橋選手。
この1周で、FUJIとこのマシンの相性など判るものではないが、高橋選手にとっては比較的マイレッジの多いFUJI、直ぐに良い意味でマイペースを掴んでくれるだろう。
午後2時15分、静岡県警先導のパレードラップ開始、そしてフォーメーションラップ・・・レーススタート。
ピットスタートのマシンもあり、オープニングラップは25位。
翌周44秒台、3周目41″777とペースアップ。
更に4周目も1セクター、2セクターとベストを更新し40秒台ペース・・・クラス中位グループのラップタイムと、アマチュアドライバーのブッツケ本番のレースタイムとは思えない。
だがその4周目「エンジンがバラつく!!」と無線が入る。
例のトラブル再発か!?大事をとりスローペースでピットに戻る。
直ぐにエンジンフードを外し目視点検・・・と同時にデーターロガーを確認、結果昨日のトラブルとほぼ同じ。
トラブル再発と診断・・・修復は時間的に不可能・・・リタイヤである。
マザーシャーシのベースシステムであるFRをやめ、ミッドエンジンレイアウトを選択した結果、予想通りのパフォーマンスを発揮、タイヤとの相性も見えてきて、キッチリ煮詰めれば上位グループと全く遜色の無い・・・
いやそれ以上の速さを発揮できる手応えを感じるだけに、こうした補機類のトラブルは残念であるが、「新しいモノを生み出したい!チャレンジしたい!」という情熱が産み出したマシンであり、それに伴う“陣痛”の覚悟も必要である。
“現在”話題だけが先行している「シンティアム・アップル・ロータス」エヴォーラ・・・デビューレースはピットスタート、2戦目は最後尾グリッドと、情けない事になっていますが、多くの方々が“遠い”最後尾グリッドまで訪れてくれました。
注目度に相応しいグリッド、リザルトを得るにはどうやらまだ時間が掛かりそうですが、賞味期限の無いチェレンジングスピリッツにご期待ください。

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