Super GT 2006 Series 第1戦
SUPER GT SUZUKA 300km RACE 3/4ページ
3月19日(日)決勝 晴れ
路面:ドライ
昨日の雨と打って変わった晴天でむかえた決勝日。紫電にとって初レース。(紫電には、何でも初)朝の満タンフリー走行は加藤選手、7″702で3番手タイム。悪くない。今日スタートドライバーを努める高橋選手も9″731とクラス中位に位置する。
紫電は参戦発表以後、各雑誌で取り上げ、久々のNEWマシン、スーパーカーと言う事で話題を集め、お昼のピットウォークではピット前は黒山の観客で埋もれた。
続いて渡辺選手、4周目に5″641とトップタイムをマーク。両ドライバー共絶好調である。今季、いや参戦以来の最高位を狙うに充分な仕上がりと言える。・・・あとは天候次第。しかし番狂わせは全チームに可能性がある。
左ハンドルの紫電の右屋根にはエアジャッキのチャックがあり、ここを担当するのはエンジニアの信ちゃん。
無線のカールコードとドリンクホースをセッティングする加藤選手。。
これらは長時間のドライブに影響するので長さを確認。微妙に調整。
ミニカーの「EBBRO(エブロ)」と、加藤選手の実家、「大山豆腐」。
サポートレースのマーチカップに出場のプリモ東海東海店の安達選手を冷やかしに来た、高橋選手(左)と菅選手(中)
そんな多くのファンの期待と、プレスの注目を集め、決勝ウォームアップ走行が始まる。
高橋選手のドライブで3周ほどしてピットに戻る。そしてガソリンを“なみなみ”に給油する。そしてリヤカウルを外す。実は朝のフリー走行が終了後、燃料ラインでの漏れが見つかり、修理をしている。そこの再確認である。
ところが、なんと!またも燃料漏れが発生している!完治していなかったのか・・!どうやら満タン時にタンク内圧が上がって、通常では発見できなかった部位で漏れが発生したようだ。
しかし発見はできても直ぐに修理ができるとは限らない。グリッドへ向かう為にピットロードが開放され3分後に閉鎖されるまでにピットを離れ、コースにでなくてはならない。時間が刻々と過ぎて行く。
各チームクルーがグリッドに向かう。
カウルが装着される。同時にセルが回される。「バウ!」一瞬エンジンが掛かるが、直ぐにSTOP。ピット内で始動してコースに出ることはできない。ピットから押し出し、再度セルを回す。
「キュルキュル・・」始動しない!!
再びピット内に押し戻しリヤカウルが外される。燃料ラインを修復した時に外した、配線を接続し忘れて直ぐ接続。しかしこの頃ピット出口は時間切れ、既に閉鎖されていた。
高橋選手が、再始動してグリッドに向かう為、各チームクルーで混み合うピットロードに走りこむ。これらと殆ど同時に無線で「ピット出口は閉鎖!閉鎖!止まって!」とエンジニアのしんちゃんが叫ぶ。
数十メートル走って停車。ピットロードでバックはできないので、メカが駆け寄りマシンを押し戻し再びピット内に収まる。
今年でGTフル参戦5年目を迎えるが、ピットスタートは初めてである。
ウォームアップに出る高橋選手。この時点ではまだ何の心配も無かった。
各チームのクルーがグリッドに向かう。この時は既にピットロードはクローズされている。
グリッドでは、選手、マシン紹介が行われている中、紫電は再点検が行われる。
ピットスタートはレースが始まる時、ピットロード出口で待機し、全車がスタートした後、レースに加わるという、極めて不利なレースを強いられる、一種のペナルティである。
しかしこうなった事を悔やんでもしようが無い。これもレースである。何十、何百億と掛けたF1でもスターティンググリッドで止まってそのままリタイヤする事もあるのだから・・。
起こった事をポジティブに捉えよう。スタートまでのセレモニーの間約40分。再点検に費やす事もできるし、こんなトラブル、レース中に出なくて幸いであった。またこの季節とは言え、雪混じりの小雨に加え、風も強く体感温度はかなり低い。こんな日にグリッドは、とても居られたものでは無い。ブツブツ・・・
紫電の行く末を暗示するかの様な、多難なデビューレースとなりそうだ・・・。 。
レースは定刻にローリング開始。しかし300クラスの隊列は長く、トップが1コーナーに差し掛かっても最後尾はまだピットロードエンドを通過しない。トップが2コーナーに差し掛かり、高橋選手のドライブする紫電がスタート。停止状態からのスタートの為、最後尾からも離され、尚且つタイヤも冷えており1周目でかなり差がつけられてしまう。厳しいペナルティだ。
最後尾を捉え順位を1つ上げ、23位に・・。ここまで5周を費やす。(1台は4周目にマシントラブルでリタイヤ)その後はマシントラブルによる1台も含め、6周目21位へと着実に順位を上げるが、8周辺りで「バ*△ロー!★ポ*◎ェ〜□$」とノイズのひどい無線が入る。しんちゃんから「もう一回言ってくださ〜い。」と返信。「前を行くポルシェの悪口を言っただけー!」と高橋選手。どうやらストレートの速いポルシェを抜きあぐんでいた様だ。9周目「やっと抜いたわ〜!!」20位へ。「ご苦労様です。」と無線のやり取り。
12周目18位。ピットイン予定は当初15周から1周伸ばし16周だが、15周目の1コーナー「飛び出した〜」と高橋選手。コースに復帰する紫電がモニターに映し出される。既にヘルメットを被って待機中の加藤選手、それを見て「(ピットに)入れた方が良い!」と指示。「ピット入ってくださ〜い。」すかさず無線連絡。15周が終了しクラス最初のピットイン。加藤選手に交代。
300クラスのスタートが切られた。が、ピットスタートでは、この時点でもまだスタートが切れない。
モニターで見ていた、準備万端の加藤選手、すかさずピットインを指示。。
ガス満、NEWタイヤ紫電を戦列に戻す。しかしこの時点で23位。最下位だが、18周目辺りから他のマシンのピットインが始まり、自動的に順位が上がる。まずは20位へ。19周目19位、22周目17位、24周目14位、そしてベストトラップ(3位)2′06″885をマークした27周目には13位まで浮上!
各チームのピットインがほぼ終わった、28周目11位、29周目9位、32周目には7位と、上位陣のトラブル、アクシデントがあったとは言え、ピットスタートしたマシンとは思えぬ快進撃である。 。
ここからは数周は淡々とラップを重ねる・・・・っと、どうも前を行く6位27号車のペース上がらない様だ。36周目で13秒差。残りは11〜12周。ここまでの2号車と27号車のラップからすれば、充分届く距離であろう。マイナス表示(タイム差)サインが出される。38周目には9秒差。40周目5秒差と完全に射程内に入る。27号車は何かあったのか?当然2号車が迫っている事は判っているだろうが、ここまで9〜10秒台と全くペースが上がらない。それに対し7〜8秒台で追う加藤選手
ついに44周目サイドバイサイドでストレートを駆け抜け、6位に上がる。
そして47周チェッカー!紫電、そして高橋、加藤両選手のNEWコンビによるデビューレースは6位というリザルトで終えた。